ラブライブ!フェスティバル!!   作:白い雪(通称、シロ)

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こんにちは。←え?それだけ!?←うん、それだけ!


Mission『Agent on whom an orange looks good』崩壊有り

 

 

東京都豊島区、サンシャインHOTEL。地上高239.7メートルで完成当時はアジアで最も高かったと言われ、その最上階たる地上60階にあるVIP御用達のデラックスROOMでは複数人の黒服に身を包んだ男達がいた。

その様子からして尋常ではない雰囲気を纏っている。 しかも、テーブルを挟んだその正面には、同じく黒服に身を包んだ毛色の違う複数人の別口と思われる男達もいる

 

片方は黒髪にサングラス、それでいて浴衣のような服で和装をした日本人集団。国内最大派閥の黒澤会系暴力団『本家黒澤組』、その中でも戦闘特化の精鋭のみで構成された強襲部隊『黒鴉(クロガス)』。そのシンボルは紅葉(もみじ)の紋様を刺繍された浴衣に身を包み、黒びやかなサングラスを装着すると言う特殊FASHIONだ。

 

対して向こう正面に座するのは、スキンヘッドに白スーツを着こなした青い瞳をした男と、その背後に控える黒スーツにサングラスを装備した金髪のイタリア人集団。イタリアンマフィア『Uccello migratore di notte(発音ウォルシェロ ミゲラトレ ディ ノッテ 日本語訳、夜の渡り鳥)』のボスと幹部2名と護衛8名だ。もちろんハgーーースキンヘッドの白スーツ男がボスである。名を『オールッパゲ・ラッセーラ(48)』。一代でマフィアUccello migratore di notteを築き上げただけではなく、イタリア内最大の構員数と取引成功件数を収める巨大組織だ。

 

そんな巨大組織同士が、極秘に会合している理由など誰が見ても裏の取引だと分かるだろう。

しかも、両者の雰囲気はひじょーうに!悪い!まさに一触即発の雰囲気!今にもスーツに僅かにある膨らみから、何かが取り出され、皆でワイワイビー玉のようなもの飛ばしが始まりそうだ。サンシャインHOTELのデラックスROOMさんも「あ、なんかお腹痛い……大丈夫だよね?僕のお腹の中で暴れたりしないよね?気にし過ぎてストレスでお腹痛いだけなんだよね?」と、この剣呑さに戦慄している事だろう。

 

 

 「さて、我々としてもこのままオタクらのシマから大人しく出て行きたい所なのだがね、分かるだろう?」

 

スキンヘッドの白スーツ姿のUccello migratore di notteボス“ラッセーラ”が言葉を切り出す。それを聞いた黒澤組の幹部から殺気が溢れ出す。

 

椅子に座る若い男性の背後に控える男女の黒澤組幹部は、少し前へ出ると果敢にもラッセーラを威圧する。

 

 「オイオイ、ボスさんよ。それはどういう意味だい?まさか、ウチに“ふっかけ”しようって腹じゃないでしょうね?」

 「ウフフ、そんな訳ないですわよ。ここがどこだか……あちらさんも解ってる筈ですもの」

 

目つきの鋭く、若いのに確かな威圧感を放っている男が挑発染みた発言を、同じく若い女が、腰よりも長い美しい黒のロングをなびかせ、周りを魅了するような色気を出しながらも蛇のような鋭利な殺気を放ちながら試すような発言をした。

 

そんな二人からの舐めた態度に憤りを感じたUccello migratore di notteの構成員達だが、椅子に座ってより未だに一言も口を開かない若い男の次の発言で静まり返る事になる。

 

 「アメジスト、桜。余計な真似をするんじゃねぇよ。ここぁ、ラッセーラと俺の語り場だぁ。控えろ」

 「すいません、お義父さん」

 「ごめんなさい、お父様」

 「俺のことはぁ、組長と呼べぇ!」

 「組長お義父さん」

 「組長お父様」

 「父を付けるなっつってんだぁ!」

 「「……」」

 「そんなに嫌か!?俺を組長と呼ぶのそんなに嫌かぁ!?ああん!」

 

 

さっきまでの剣呑な雰囲気はどこへやら、きっと家族なのだろうが、ここが今何の場なのか忘れてないか?とラッセーラとその部下は言いたげだ。その証拠に額に青筋を浮かべている。

 

 「あ。 で、何の話だったかぁ?」

 

思い出したかのようにラッセーラに向き合う組長。ラッセーラの青筋が血管のように無数に浮かび上がる。眼光が鋭くなる。

 

 「ここまでコケにされたのは久々だよ。なぁ、黒澤辰也組長殿? 貴様らは我々と戦争をお望みか?」

 

 

ラッセーラから一気に殺気が膨れ上がる。その殺気に呼応されて、今まで桜に魅了されていた構成員も戦闘モードへと切り替わっている。そこにはボスへの信頼と忠誠が見て取れる。ボスが敵と見定めたら、それが誰であれ敵であり、戦争をと申せばそれは誰が相手であろうと戦争をしてやろうとなる。その高い忠誠心を植え付けるカリスマ性こそが、イタリア最大構成員数を誇る由縁なのだ!

 

 「フッ、流石のカリスマ性だな、ツルッパゲ」

 「待ちなさい、アメジスト。彼の名前はツルッパゲではないですわ。オールハゲですわよ?」

 「クハッ、人の名前も覚えられねぇたぁ、おめぇらもまだまだだなぁ。奴はツルッパゲでもオールハゲでもねぇ。スキンヘッド・ラッセーラだろぉがぁ!」

 

ブチン!と何かがキレる音がした。

 

 「俺の名前はオールッパゲ・ラッセーラだぁぁぁ!どいつもこいつも馬鹿にしやがって!良かろう!戦争だ!東洋の猿共に鉛玉ぶちこんでやれ!」

 「「「「「comprensione!!」」」」」

 

ブチンしたラッセーラの号令で、皆が銃を取り出して構えた。そして、その銃口から火花を散らーーーーーそうと思った瞬間、少女の声が響いた。

 

 「させないよ!」

 

ぽてっ、ころころころ〜 

 

そんな可愛らしい音と共にどこからか投げ込まれてきたのは手榴弾ーーーーーではなく、ミカンだった!

 

 『…………え?』

 

あえてもう一度言おう!ミカンだったのだ。イエス!ミカン!

 

 「mandarino……? 」

 

ラッセーラがイタリア語でミカン……?と、疑問を口にする。

 

ぼんっ

 

その瞬間、ミカンが爆発した。同時にオレンジ色の煙幕が辺りに充満していく。

 

 「Eh, bomba fumogena ... ....! ?(え、煙幕弾だと……!?)」

 

 

 

 「ひとーつ!暗き夜に輝きを!」

 

バスっ!

 

 「ぐぇ!?」

 

何者かが、マフィアの構成員の腹に鉛玉(銃弾みたいな比喩ではなく、ガチの鉄球のような物)がぶち噛まされ悶絶した。  

 

 「ふたーつ!内浦のミカンは美味しい!」

 

 「な、なに言ってぎゃあ!?」

 

鎖に巻き付けられたマフィア構成員は、そのままコマのように回され、壁へ激突され意識を手放す。 

 

 「みーつっ!老舗旅館、十千万へぜひいらっしゃって下さいね!」

 

キンッ

 

ラッセーラの目の前にいつの間にか現れたオレンジ髪の少女。藁帽子から白いカーテ ンがついていて、浴衣を改造したような特殊な服装をし、ニーソがよく似合うがその足には数本のクナイやミカンが巻かれていて、全体的に言えば余りにコスプレと言いたくなるような可愛らしい格好だが、その手に握られた小太刀がラッセーラの首元にヒタリと突き付けられているのが、そんな感情を無視させていた。

 

 

 「こ、口上の2つは…最早…宣伝じゃないか……!」

 「うん!そうだよ!仕事しながらお家の宣伝!」

 

なぜかドヤ顔のミカン戦士ーーーーー否!蜜柑忍者!

 

 「ともかくね。私は今回、ダイヤさんにお母様達の護衛をお願いしますわーって、言われていてこんな狭い空間でそんなの放っちゃったら、被弾しちゃうかもしれないの」

 

デラックスROOMさんは落ち込んだ。「狭い空間……デラックスなのに狭い……そっか、僕は狭かったんだ……今度からスモールROOMと呼んで下さい……」と言いたいに違いない!

 

 「だからね、引き下がって?ね?」

 

おねがーい。と言うような可愛らしい態度ではあるが、小太刀の冷たさがラッセーラから冷や汗を流す。あれ?小太刀が徐々に引かれて言ってないか?あれ?ちょっと首元から温かい何かが少し垂れているような……それは冷や汗なのだが、極限状態のラッセーラには蜜柑忍者が小太刀で首の薄皮を斬ったように思えたのだろう。つまり、ここで引かねば首を落とす!と。

 

 「わ、わかった。引く。もう……日本には来ない……」

 「ほんと?」

 「あ、ああ」

 

じ〜〜っと、見詰める蜜柑忍者。ラッセーラは鼓動がより速く打つのを感じる。

 

 「わかった。それじゃ、お帰り下さい♪」

 

キンッと小太刀を鞘に納めた。

にこっと眩しい笑顔ヲ向け、右手でお帰りはあちらですと言うように、出口へ差し向けていた。

 

 「Vado a casa, voi ragazzi ....(帰るぞ、お前ら……)」

 

 「? あ!ボンジュール!(さようなら!)」

 「は? なんでそこで“もしもし”なんだ?しかも、フランス語で……」

 「あれ?」

 

どうやら蜜柑忍者は英語の使い方をミスったようだ。キョトンとしている。

 

そしてマフィアの連中は、そんな蜜柑忍者に同情の視線を送ると静かに帰っていった。

 

 「わりぃな、千歌ちゃん」

 

静かになった空間で最初に話しかけてきたのは、黒澤組組長の辰也であった。

 

 「お役に立てたみたいで何よりです!」

 「おう、立った立った。また頼むよ。次はパートナー達と一緒にな。アメジストの娘達も喜ぶだろうよぉ」

 「はい!二人に会えるのは、私もだけど、曜ちゃんも梨子ちゃんも喜ぶと思うんで!それじゃ!」

 

ぼんっと蜜柑煙幕(オレンジ色)を焚いて、蜜柑忍者こと日陰に生きる裏稼業の一つ代行屋“陽光・千歌”はその場から消えた。

 

 「あらあら、千歌さんってば。少しは娘達に会って行けば宜しかったのに。」

 「仕方ないさ、桜。彼女は代行屋……それも“陽光”と言う二つ名付きだ。次の仕事があるのさ」

 「おい、桜ぁ。アメジストぉ。良い加減家に帰ろうやぁ。他のモンは後片付けだぁ。HOTELの損害費用も色3乗せぐらいしてやれぇ」

 『ウスッ!!』

 

 

 

 

 「ん〜〜!おーいしっ♪」

 

その頃の千歌は、蜜柑アイスを頬張っていた。ビルの上で足をプラプラさせながら。普通なら高層ビルの柵の外で座る等、女子には怖くて出来る訳が無いが、千歌は普通の女子ではない為、常識は当てはまらない。

 

今はそんな事より、一仕事終えた後のアイスは美味い!そう言いたげである。

 

 「んふふ〜、やっぱアイスはバニラだよねー♪」

 

そこはオレンジだろ!とどこからかツッコミが入りそうだが、天然さんの千歌には聞こえない!気にしない!

 

 「そーだ!曜ちゃんと梨子ちゃんにも仕事終わったよーって連絡しないと!二人ももう終わってるよね!」

 

即座に個人通信用端末から二人へ連絡を取ると、曜はオフラインとなっていて連絡が取れず、その変わり梨子は出た。

 

「あれ?曜ちゃんがオフラインになってる……。あ、もしもし、梨子ちゃん?」

 

 《ち、千歌ちゃん!世界が!ネフィリアが!ネフィリアが世界を滅ぼすわ!》

 

 「何があったの!?」

 

 

夜の街に千歌のツッコミが響き渡った。

 

 

 

次回へ続きません!多分。




最初からぶっ壊れ設定ですいません!
どうしてもふざけたかったんです。もしもシリーズしたくなったんです。一話限りのつもりで書いたので続かないんです。

だから、最後の梨子の言葉も適当です。なんだ、ネフィリアって。

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