??「ちょっとヴィヴィオさん。勝手に入るのは不味いのでは……」
ヴィヴィオ「大丈夫ですって、アインハルトさん。なのはママに頼まれたんですから。ほら、これ台本です」
アインハルト「あ、はい。ありがとうございます」
ヴィヴィオ「とにかく始めますよ!前回のEVOLTEC LYRYCAL!」
アインハルト「えーと、魔法少女になった高町なのは。ユーノの助言を受けて襲ってきた怪物を無事に撃退」
ヴィヴィオ「そして家に帰るとなんと!妹の高町香帆も魔法少女に!」
アインハルト「え、なのはさんの妹?……香帆さんって……え?」
ヴィヴィオ「あ……ど、どうなる第三話!」
アインハルト「ちょっとヴィヴィオさん!?これはどういうことですか!?」
ヴィヴィオ「戦略的撤退ーッ!」
アインハルト「待って下さい!」
(今話は途中で一時なのはへの視点変更があります。)
私たちが魔導師デビューした翌日。
朝、通学のバス内で会ったアリサとすずかにフェレットことユーノを飼うことに決まったと伝えると二人とも安心した表情を浮かべた。今度家に連れてきて撫でさせてとは言われたけど。
もちろん、了承しておいた。ユーノは魔法が使えて話せるとても珍しいフェレットだから、バレたら面倒な事になるけど、会わせないと逆に何か隠してると思われるかもしれないからね。
その日の授業では、何度かなのはがボーッとしていてその度に先生に怒られていた。休み時間にアリサとすずかに軽く叱咤されていたけど、ちょっと仕方ないかな?って思った。
そのボーッとしていた理由がマルチタスクの練習をしていたから。私たちは魔法を使うのに便利なマルチタスクをユーノ指導で練習していた……授業中に。マルチタスクは一つの事をやりながら、別の事を同時にやるという高度な技術。つまり、私たちは学校の授業を聞きながら、ユーノと念話で話をしていた。その念話になのはが集中し過ぎた結果、ボーッとしているように見えたみたい。
何故か私は最初から出来てユーノとなのはに驚かれた。授業で当てられて答えた内容がそのままリアルタイムで念話に流れることもあったけど、ユーノからは合格点を貰えた。
そして放課後。一度家に帰り、ユーノを連れてなのはと一緒に街を周りジュエルシード探索を開始した……のはいいんだけど。
「見つからないね……」
「うん……」
「仕方ないよ!まだ初日だし、そういう事もあるって!」
たぶん、今の私となのはの気持ちは同じだと思う。そう、魔法を使いたいッ!無闇矢鱈に使えないから使える時に使いたいって思うのは、普通だよね?
そんな事を思っていると、ユーノとレイジングハートが何かを感知したらしい。聞くと、ジュエルシードが発動したらしく、私たちの出番が来たようだ。
発動場所は神社。私たちが辿り着くと、そこでは黒い四足歩行の大きな獣型の暴走体が暴れていた。近くにはその暴走体にやられたのか、怪我をした女性が一人倒れている。
「なのは!香帆!あれは原生生物を取り込んでいるみたい!この前のより強いから気をつけて!」
ユーノの言葉を聞きながら『ブラッド』をセットアップし、女性を助ける為に駆け出す。なのはは何故かセットアップに手間取っている。何を?と思って後になって聞いたら、ユーノに一般的な初心者は普通は起動パスワードが必要なんだ、と教えられた。それ、私が一般的じゃないって言ってるようなものだよね!?
なのはが手間取ってる間に私は左手に
攻撃されたことに気付いた暴走体は下手人である私を獲物と見たのか、まんまとこちらへと誘われてくれた。さっそく会得したマルチタスクを使い、暴走体の攻撃を避けつつユーノへと女性を助けるよう念話を送る。
そこに私と同じくパスワード省略でのセットアップに成功したなのはも合流し、暴走体を攻め立てる。私が拳銃と小剣を用いて翻弄して、動きが遅くなった所をなのはが昨日と同じ桃色の砲撃で大ダメージを与える。
何度かこのパターンが続き、もうすぐ倒れるかな?と思い始めた頃、突然暴走体が大声をあげ、思わず耳をふさいで動きを止めてしまう。そして暴走体はチマチマとしか攻撃しない私より、デカイ一撃を与えてくるなのはを脅威と見なしたのかそちらへと飛びかかる。
「なのはッ!」
「ひっ!?」
『protection』
暴走体の爪の一撃がなのはを引き裂くと思ったその時、レイジングハートが声を発しシールド……じゃない、防御魔法を展開した。それに守られたお陰でなのはは無傷だったが、暴走体はその盾を蹴り、その勢いで今度はこちらへと飛びかかってきた。
――――――――――――――――――――――
レイジングハートが反応して防御魔法を展開してくれたお陰で助かった。暴走体はその防御魔法を蹴って後ろに下がった。……って違う!?香帆ちゃんに向かって飛びかかってる!?まさか、盾を足場にしたの!?私の後ろにいたユーノ君も驚いてまだ固まっているままの香帆ちゃんに声をかける。
「香帆、危ない!」
「香帆ちゃん!避けて!」
だけど香帆ちゃんは動くことなく、暴走体の爪が振り下ろされた。腕が地面まで叩きつけられた衝撃で土煙が出て香帆ちゃんたちは見えなくなった。だけど香帆ちゃんはもう……。
「なのは!僕は回復魔法が少しなら使える!それに香帆はバリアジャケットを纏ってるんだ。流石に死にはしないから!」
ユーノ君にそう言われてハッとした。そうだ、香帆ちゃんは死んだと決まったわけじゃない。早く助けに行かないと!そう思って香帆ちゃんと暴走体の方に近づくと、
『エレキスチーム!』
そんな音と一緒に暴走体が土煙の中から跳ね上げられた。それで土煙が晴れたので香帆ちゃんを見ると傷一つない状態で立っていた。何があったのか聞こうとしたけど、香帆ちゃんに『早く封印を!』って言われたから先にそうすることに。
「リリカルマジカル!ジュエルシード封印!」
これでなんとか無事に終わったから早速香帆ちゃんに聞きたいことを聞ける。そして驚きの答えが返ってきた。
――――――――――――――――――――――
「香帆ちゃん!大丈夫なの!?」
「香帆!怪我はしてない!?」
ジュエルシードの封印が終わって早々。なのはとユーノに詰め寄られた。怪我してないって言うと、二人して言ったのは「なんで無傷なの!?」って。それの理由を説明したらものすごい驚かれた。うん、わかるよ。私も自分で驚いているから。
暴走体がこちらに突っ込んできた時、何故か私にはそれがものすごいスローに見えた。さらにどこに爪が振り下ろされるか、どこまで攻撃が届くか、どこなら安全かもわかった。わかった理由は不明。そもそも最初に暴走体を翻弄している時も勝手に体が動いていて、(どうやれば上手く気を引けて、自分は怪我しないように動けるかわからなかったのに)結果上手くいっている。まあ、とにかくそうやって攻撃を避けた後、懐に入り込んで『エレキスチーム』を纏わせた小剣で暴走体をかち上げ、なのはが封印したというわけ。
初めての戦いだけど、なのはとの息も合ってたと思うし良かったんじゃないかな?巻き込まれて怪我した女性はユーノが眠らせた後に治療したから夢だと思ってるだろうし、特に問題はなかったかな?
『エレキスチーム』
『ブラッド』に登録されてる魔法。決してバルブを捻ってのやつではない。香帆の魔力を『ブラッド』内部で変換、放出する。電気を纏わせることと、周囲に放つことができる。『アイススチーム』も同等。