シグナム「主が失礼した。そんなものは決して始まらないので安心して欲しい。後は頼んだぞ、ヴィータ、シャマル」
はやて「ちょ、待ってシグナム!私の話はまだ終わってな………」
ヴィータ「お、おう……。えーと、これ読めばいいんだよな?」
シャマル「そうみたいね。それじゃコホン、前回のEVOLTEC LYRYCAL!」
ヴィータ「神社でジュエルシードの暴走体と戦ったなのはと香帆。そして、てぇんさぁい的な魔法で見事鎮圧した」
シャマル「違うわよ、ヴィータちゃん。てぇん↑さぁい↓的な、よ」
ヴィータ「何処が違うんだよ!?とりあえずどうなる第四話!」
ザフィーラ(私の出番は……)
神社での戦いから数日。なのはとアリサとすずかがユーノを連れて、お父さんが監督を務めるサッカーチームの応援に行っている頃、私は友達と遊ぶ為に、待ち合わせ場所の図書館に向かっていた。
「お、香帆ちゃーん!こっちや、こっち」
「あ、はやて!」
図書館前に着くなり私を呼んだのが友人のはやて。足が悪く、車椅子での生活を余儀なくされている少女だ。
私と彼女の出会いは偶然。ちょっと前…ユーノと出会い魔法を手にする数ヶ月前に図書館で知り合った。車椅子に乗ったまま、高い所にある本を取ろうとしていたのを見て、手を貸したのがきっかけだった。
「さあ、香帆ちゃん!例の物は?」
「こちらになります、はやて様」
「おお!これかいな!
ふふふ、主も悪よのぉ?」
「いえいえ、はやて様には及びませんよ……ふふっ」
なんて笑いながらふざけて言いあってるけど、例の物とはただのノートの事である。中身は私の『夢』の内容を物語風にして書いてある(一部挿し絵付き)。タイトルは『KAMEN RIDER BUILD』。特にいい名前が浮かばなかったから、一番主人公っぽかった『桐生戦兎』こと『仮面ライダービルド』を主人公兼タイトルネームにして『夢』の内容を再構成してある。ただ、『夢』の中の『私』視点ではわからないこともいくらかあったので、そこは話がおかしくならない程度に補完している。以前、『夢』の内容を少し話した時にもっと聞きたいと言われたから、今度ノートに纏めてくると言って作ったのがこれだ。
少し読んだ感想を聞くと、「ベストマッチってなんや!?なんでウサギと戦車がベストマッチやねん、どういう関係!?」等、まあ色々と突っ込まれた。私に言われても……って思ったけど、元ネタは私の夢だったね。映像化出来たら面白いんだろうなー、とか思ってたり……あ、魔法で無理なのかな?こんどユーノに聞いてみよう。
そんなこんなで私の『夢』の話や、世間話をしていると、帰る時間になったので途中まで一緒に帰ることに。
「いやー、中々読みごたえあるなぁ。これ、何ページくらいあるん?」
「え?そのノートが……現時点で3冊分くらい?」
「多っ!?うわっ、ほんまや。最後のページまで書いてるやん……」
はやてが半日で読めたのは、わりかし最初の方だけ。具体的に言うと『戦兎』が『
そして、そろそろ別れる所に差し掛かった時、強力な魔力の気配を察知した。
「!?なんや、今の……ってわぁっ!?」
なぜかそれをはやても感知したみたいで少し驚いてたみたいだけど、突然地面が激しく揺れだしてそれどころじゃなくなった。はやての車椅子の持ち手部分にしがみついて倒れないようにするのでいっぱいになったから。
『香帆!聞こえる!?』
『ユーノ!ねぇ、これって……』
『うん、ジュエルシードだ。僕たちも今向かってるんだけどこれる?』
『ごめん、今魔法を知らない友達と一緒にいて無理そう!』
『そう、わかった。じゃあ香帆はその子連れて避難してて。ボクとなのはでやるから』
『お願いね!』
ユーノから念話が飛んできて軽く現状を説明してもらって、だいたい理解した。
「香帆ちゃん、大丈夫か?」
「はやてもね……ってあれは」
揺れが収まり周囲を見ると、巨大な樹が現れてその根が街中に広がっているのが見える。
「……香帆ちゃんの話にあった、パンドラボックスがスカイウォールを作って日本三分割、みたいな事が起きてんのかな?」
「いやいや、あれは夢の話だから!これが起きてるのは現実だけど……」
「わかっとるって。さて、避難しよか……ほんまは近くに行って見てみたいけど」
はやてが冗談でそんなことを言った時、はやての真下から大樹の根が突き出てきて、はやてが上空に投げ出された。
「えっ」
「はやてッ!」
このまま落ちるとまず間違いなく怪我するし、先ほど根が出てきた時に車椅子が巻き込まれて壊れているので、早く封印が終わらないと動けないので最悪死ぬ可能性もある。魔法を隠すことを優先して友達が怪我するくらいなら、バレても構わない!ユーノには悪いけどね。
『ブラッドアクション』
『ブラッド』を起動し、レイジングハートの協力を受けて『ブラッド』内部で見つけた魔法を使用。伸びてきた根を避けつつ、はやての所へと高速で移動し空中で受け止める。はやては怖かったのか、目を強く閉じて固まっている。
「大丈夫だよ、はやて」
「へ?……香帆ちゃん?」
「さあ、行くよ。しっかり掴まっててね!」
「え、いや何処に?ってかその服装は?………ん?ちょい待ち、香帆ちゃん飛んでるやん!?」
はやてが色々とうるさいけどそれは置いておく。私ははやてを抱えたまま……は少しキツイから背負い直して、大樹の中心から離れるように移動を開始した。
意思を持ってるのか、魔力に反応してるのか、根が私に向かってきたので、それを避ける。たまに避けきれないのが来るので、それは
そんなこんなで10数分の間逃げ回っていると、遠くから桃色の閃光が大樹に命中し、次の瞬間には大樹は消え失せた。たぶん、なのはがやってくれたのかな。
これならもう大丈夫だと、地面に降り立ち『ブラッド』を解除する。ただ、はやての車椅子が無いので家まで送ることに。
「いやぁ、悪いなぁ香帆ちゃん」
「別にいいって。あれは仕方ないよ」
「さよか。なら……」
「?……!?」
言葉を一旦切ったはやてはいきなり私の胸を揉んできた。驚きではやてを背中から落とさなかった私は誰かに褒められてもいいと思う。
「とりあえずさっきの事、説明してもらおか。じゃないと今日は話すまでこのまま揉み続けるで!」
友人の思わぬ性癖?を知って少し引いた私だった。
香帆「もちろん、あのあとはやてに話すことに……あの目は本気だった……」
なお、時間も時間なのでその日ははやての家に泊まったそう。
『ブラッドアクション』
名前の元ネタはブリッツアクション。
効果としては、エボルトの行う高速移動そのもの(ただし5秒という発動制限時間がある)である。もしくは高町一家の扱う御神流奥義『神速』。
これを使えるのは香帆やなのはたち高町一家だけである。