バンドリ!彼奴のいないこの世界で   作:アルファデル

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SOUL CATCHER(S)とBanG Dream!のクロスオーバーです
SOUL CATCHER(S)を見てない人にも楽しめるように書いたので読んでみてください


op.1 彼奴のいないこの世界

op.1

 

この物語を見る前に一つ質問をしたい。【SOUL CATCHER(S)】と言う作品を知っているだろうか?

 

3〜4年前にジャンプで連載されていた作品で主人公の神峰 翔太が相棒で同じく主人公の刻阪 響と共に鳴苑高校吹奏楽部を全国金賞に導いていくストーリーだ

 

ここまで見ると何処にでもありそうな吹奏楽漫画だが俺が何より興味を引いたのは主人公神峰 翔太にはある特殊性があった事だ

 

共感覚(シナスタジア)】と言われる簡単に言えば一つの刺激に対し通常の知覚とは別の知覚が働くと言うもの

 

これは実際ある人にはあるものらしく例えば漢字に色が見えたり何かを味わうと手に形を感じるなどといったものが例になる

 

そこで主人公の共感覚の話にもどるがこれは実際にあるのかわからない、でもあったとしたらそれを持っている人はとても苦しむだろう

 

名前はないがその共感覚は【人の心や音楽が風景などに色覚化される】と言うものだ。この共感覚のせいで主人公は苦悩した

 

[心が冷たい][心を痛める][心が荒む]

 

心の表現で使われるこれらの言葉が主人公には確かなものとして見えるのだ

 

そんな見たくもないものを見せられ耐えることができるのだろうか

 

神峰は刻阪と出会う事で救われた。最初こそ神峰の共感覚を理解出来ていなかったが時に笑い、時に喧嘩をしながら最大の理解者にまでなった

 

神峰が演奏や心の風景を指揮によって刻阪に伝え演奏で人の心を掴む、その演奏()を吹奏楽部のメンバーで増幅させる。漫画のタイトルになっているSOUL CATCHER(S)とはまさに二人の、そして鳴苑高校吹奏楽部の全員のことを表しているのだろう

 

そうやって少しずつ吹奏楽部や音楽を聞く人の心、その曲に関わった全ての人を繋いでいき全国コンクールで【受け取り方さえ聞き手に委ねる心地よい虹の音】を奏て金賞を受賞した

 

でも俺はこの作品を見るたびに思う事がある。刻阪 響に合わなかったら主人公は一体どうなっていたのだろうと

 

そんなありもしないもしもの話を何故するのかと言うと

 

俺が神峰 翔太に憑依する形で転生したからだ。何故俺がなのかは分からない

 

ただ俺をこの世界に転生させた神が目の前に現れたら俺はそいつを殺すだろう

 

何故ならこの世界は刻阪 響のいない、というよりSOUL CATCHER(S)の世界ですらないバンドリ!の世界なのだから

 

 

 

羽丘学園

 

昔は羽丘女子学園と運営されていたが最近になって共学になり男子も通っている高校で俺も今年入学し、今は文化祭の最中だ

 

本当は来たくなかった文化祭に限らず人が多く来る行事ごとは嫌いだ

 

なぜなら

 

「神峰、お前クラスの出し物で当番じゃなかったか?他に何かやってんの?」

 

廊下を歩いていると不意にクラスの学級委員長である大村から声をかけられる。そちらの方を向くと案の定疑いの心で俺を見ていた

 

クラスであまり人と関わらずに生活しているためか何か問題があるんじゃないかと心配、いや警戒してるんだろう。そんな心向けられたら教室に行けるわけないだろ

 

こういったのはさっさと会話を切り上げたほうがいい

 

「俺の当番は午前だったから他のところを見て回ってるんだ」

 

「そうか、あまりフラフラするなよ」

 

そう言って大村は踵を返し見回りへと戻っていった

 

しばらく歩くと三人の男女が眼に入る。それは同じクラスの三人だった。二人の男女が話しており、少し距離を置いたところに眼鏡をかけた女子が二人の様子を見ている

 

「なぁ笹井この後暇だろ?俺と一緒に店回らね?」

 

「ごめ〜ん山市〜今日イトコが来るからぁその子案内しないといけないんだよね〜」

 

「山市くん…」

 

ムダだぞ山市、笹井の心は完全に閉じている閉じた心の前で何を言っても響きはしない聞く事自体を拒否しているからな

 

その様子を見て安田が傷ついてる

 

間に入って上手くいくよう本当の事を教える。なんて事は最初から諦めている

 

これがこの世界ではなくSOUL CATCHER(S)にいた神峰 翔太なら、彼奴に出会う前でもどうにかしたいと思うのだろう

 

たとえ心が見えそれを信じてもらえず心の状態をバラす事によって相手に一方的にキレられるとしても、心に関わって良い方向に行った試しがないと分かっていても心の片隅でそう思ってしまうのだろう

 

だってそれが俺の好きだった主人公、神峰 翔太なんだから

 

そして人の心を掴み、影響を与える事の出来る刻阪の演奏なら傷ついた心を癒す事も出来るだろう

 

でも俺はそんな生き方はできない。この世界に彼奴が、希望がないと分かった今誰かに関わるだけ無駄だ

 

関わっても其奴の心を変えられるだけの演奏()が俺にはないんだから

 

「ちょっとあんた何やってんの!?」

 

「ご、ごめん」

 

「謝ってる暇があるならさっさと動きなさいよ!あんた一人でやった事がクラス全員の迷惑になってるのよ!?」

 

そんな事を考えていると声が聞こえた。見たくなかったが前方にいたので目に入ってしまった

 

やめろ、そんなに相手を追い詰めるな彼の心は他の人より脆いガラスの心なんだ

 

相手の事を思って叱っているとしてもそれを相手が分かっていなかったらそれは凶器にしかならない!

 

だが無情にも彼の心は砕けてしまった。その光景は俺に「お前が救わなかったからこうなったんだ」と言っているように感じた

 

「ごめん…」

 

消えてしまいそうな声で彼は言うとその場から逃げるように走りさって行く

 

砕けた心が完全に治る事はない傷を残しそこからまた壊れやすくなる

 

彼女は自分の独りよがりな彼に対する期待とそれに比例する様に膨れ上がったイライラが溢れてしまったのだろう

 

今はなぜあんな言い方をしてまったのかという後悔と自分に対する自己嫌悪に心が覆われていた

 

あぁ、だから人の集まるところは嫌いだ

 

いっそこの目を潰してしまいたい

 

昔は実際にやろうとしたところに母親が帰ってきて止められ涙ながらに「二度とこんなことしないで!」と哀しみの心を向け言われた

 

そこから目を潰そうとすると母さんの心を思い出してしまい出来ないでいる。それが俺にとってプラスなのかマイナスなのかはわからない

 

せめて人が少ないところに行きたい

 

そう思って屋上へと俺は来た

 

幸いにも屋上には誰も居なかった、だが少し前まで雨が降っていたからだろうアスファルトが濡れていて空には虹がかかっていた

 

俺は虹が好きじゃない

 

虹を見るたびにここでなし得る事は出来ないと諦めたあの世界で神峰がたどり着いた演奏を思い、嫌な気分になると同時に俺がこの世界での異物であると再認識させられてしまうからだ

 

まぁ学校内を回るよりましかと思ってドアから対角上の隅に行き暫くの間空を見ているとバンとドアを開けながら誰かが屋上にやってきた

 

「あっやっぱり虹だ!綺麗だなぁ、るんっ♪てくる!」

 

言葉通り虹を見にきたであろう女子の声、誰がきたのかなんて確認はしない。周りに俺一人の状況で振り向いたら確実に目が合うしその時の心を見たくない

 

相手もわざわざ話し掛けてくるなんて事はしないだろうと高を括っていたのだが

 

「君も虹を見にきたの?」

 

少し時間を置いてからそう相手に声を掛けられてしまった

 

 

 

 

氷川 日菜サイド

 

う〜ん、なんか退屈だなぁ

 

今日はあたしが通っている羽丘学園の文化祭の日、何かるんってする事ないかな〜と思って学園中回ってみたけどどこも大体同じ様な事しかしてない

 

クラスの手伝いも午前中に終わっちゃったし暇だなぁ

 

あ〜あなんか起きないかな

 

そう思ってふと外を見るとさっきまで降っていた雨が止んで太陽が出ていた。もしかしたら虹が見えるかも!

 

ただ学校を回るよりはましかなって考えて虹を見るために屋上に向かって階段を上ったあたしはそのままの勢いで屋上へのドアを開けると

 

「あっやっぱり虹だ!綺麗だな〜るんっ♪てくる!」

 

そこには綺麗な7色の虹が空にかかっていて少しの間見ているとふと視界に人がいるのに気づく、よく見るとそれはこの学園の制服を着てる男子だった

 

あたしより先に屋上に来ていた彼に少し興味が出たあたしは彼に近づきながら

 

「君も虹を見にきたの?」

 

って声をかけると、彼は少ししてからめんどくさそうに小さくため息をついてこっちを向くとどこか突き放すような口調で言ってくる

 

「別に虹を見に来たわけじゃない、人が多い所に居たくなかっただけだ」

 

いつものあたしなら「なんで人が多い所にいたくなかったの?」って聞いてたと思う。でも彼の表情を見たら言えなくなった

 

何か抱え込んでそれを誰にもうち開かせない顔、それに気づけたのは多分あたしのおねーちゃんと似ていたから

 

あたしには双子のおねーちゃんがいる、でも最近じゃあまり話をできてない

 

それに高校に上がってからは「お互い干渉しなようにしましょう」って言われちゃった

 

そんなおねーちゃんと同じ感じがする彼に少し興味が湧いた

 

「そうなんだ、あたしの名前は氷川日菜って言うんだー君の名前は?」

 

「氷川日菜?…あぁそうか俺の名前は神峰翔太だ、呼び方は適当でいいぞ氷川さん「日菜」…あ?」

 

「あたしおねーちゃんいるからややこしくなっちゃうんだよねーそれに苗字で呼ばれるのはなんかるんっ♪てこないから日菜って呼んでよ神峰!」

 

「るん?つか俺の事は苗字呼びかよ。まぁいいや日菜さんでいいんだ「日菜!」…分かった日菜、これでいいか?」

 

あれ?なんか神峰に呆れられた?

 

「他に何もないなら俺はもう行くからじゃあな日菜」

 

そう言ってあたしの横を通り過ぎて階段の方へ向かって行く神峰、どこか逃げる様に見えたその背中をあたしはもう少し話がしたくて呼び止めようとするとドアを開けて入る直前あぁそれとってこっちを振り向いて

 

「日菜、お前一体どこを見て人と話してんだ?」

 

手の届かない何かを見るような目であたしに向かってそう言い神峰は今度こそ屋上から出て行った

 

屋上に残ったあたしは神峰が言ってた事について考える

 

何処を?あたしは人と話す時は目を見て話してるし神峰が言ってた事はその事じゃない気がする。むしろ神峰の方があたしと一度も目を合わせてなかった

 

んー分かんないなぁモヤモヤする!

 

空を見たら虹が消えていて今のあたしみたいに雲が空を覆ってた

 

神峰サイド

 

屋上から出た俺は人気のないところへと移動した

 

「はぁ、まさかここに通ってたのかよ」

 

俺はバンドリ!について知っている事は少ない、前世でアプリをやっていたわけではなくアニメも見ていなかったから強いて言えばバンドリ!のキャラクター達と入るバンドを友達との会話で聞いたくらいだ

 

今までで会ったと言うか面識ある奴ならいるがここに友達が言ってた天才氷川日菜が通っていたなんてな

 

何をしても直ぐに周りの人を追い抜き、歯に衣着せぬ発言と相まって他人から距離を置かれる

 

高校入ってからのテストで全て満点を取ってたやつがいるとクラスの連中が話してたのも前世で話してた内容と合致するから彼女だろう

 

Pastel*Palettesというアイドルバンドに所属し姉の影響で始めたギターが担当楽器

 

にしてもアイドルか…皮肉だな

 

あいつの心、ステージに立ちスポットライトを浴びていた。だが本人は正面を向いておらず背後にある鏡に反射している姿の似ている誰かを見ていた(俺と話している時も鏡越しに俺の事を見ていた)

 

いやステージは正しくないか、正確には周りから距離を置かれ「自分は周りとは違うんだ」という思いから積み上げられた壇上

 

スポットライトも青や赤に黒がかかった色だった、彼女に対する非難や嫉妬などの負の感情を表しているんだろう

 

本人はそれに気づいているんだろうな時折正面をチラチラとみていたから

 

でも俺が最後に言った言葉については分かっていないようだった

 

人は心の状態をバラすと怒るしそんなことを分かる奴に近寄ろうとしない

 

それを利用してもう話しかけられないようにしようと思ったが自分の心について理解していなかったのか

 

にしてもあの鏡妙だったな。なんで鏡を固定するための額縁がなかったんだ?

 

あれじゃまるで…

 

「って何を考えてるんだ俺は?」

 

心について深く考えたところで意味はない、考えた先にあるのはどうする事も出来ない無力感と彼奴ならと思う虚しい他力本願だけだ

 

俺には心が視えても心を掴んで動かすだけの力なんてないんだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここから、俺の物語は始まる

 

何もできないと諦めていた俺が踠いて足掻いて、そして誰かの心を掴む物語が




日菜の喋り方難しい…
感想、誤字脱字などありましたら報告お願いします!
ではまた次回!

この作品に度々出てくるSOUL CATCHER(S)を

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