バンドリ!彼奴のいないこの世界で   作:アルファデル

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op.11 縛られる過去、見え無い未来。けれど今だけは

op. 11

 

日菜サイド

 

「お姉ちゃん早く早くぅ!早くしないと神峰達のライブ始まっちゃうよ!」

 

「引っ張らないで、そんなに急がなくても大丈夫でしょう?ライブの開始時間も把握してるしまだ充分に時間はあるわよ」

 

今日あたしはお姉ちゃんと一緒に神峰達のライブを見にCiRCLEって言うライブハウスに来てる、お姉ちゃんはあたしから誘ったんだけど正直来てくれるとは思ってなかった

 

思わず「いいの!?」ってきくと「少し気になる事もあるから」って言われた、結局その中身については教えてくれなかったけど一緒に来てくれるだけであたしは嬉しいから深くは聞かない

 

「だってだってすっごく楽しみだったんだよ!?今日を楽しむために神峰達の演奏、一回も聞かなかったしどういう演奏するのか楽しみでしょうがないんだもん!!」

 

「神峰さん達のライブ時間にはまだ余裕があるんだからそんなに急がなくてもいいわよ」

 

「そうだけどさぁ」と言いながら歩いているとCiRCLEについた、中に入ると結構な人がいて大体ステージから半分くらいの所であたし達は待機することになった。どんな演奏になるんだろうってワクワクしながら神峰達の出番まで他のバンドの曲を聴きながら待つ

 

他のバンドのライブが終わって神峰達の出番になって舞台袖から出てきた。見た感じ緊張とかはしてなさそう

 

他のバンド、上手いのは素人でも理解できたけどるんってくる演奏はひとつもなかった。だから神峰達はどんな演奏を聞かせてくれるのか楽しみ!

 

それにしても、神峰達スーツなんだ!いつもとイメージが違うけど似合ってる!そんな事を考えながらあたしは神峰達のこれから始まるライブをワクワクしながら待った

 

神峰達のライブが始まってすぐあたしはびっくりした

 

何これ!?すっっっごくるんっ!ってくる演奏!みんなの個性が全面に出ててるのに全然邪魔にならない、それどころか一つにまとまってる!

 

それに今でも凄いのに次の瞬間にはよりいい演奏になってく!

 

あたしは感じた事ないけど普通本番って緊張するもんだし、大抵の人は【いつも通り】をするのに精一杯、なのに本番中に成長するなんてもうるんっを超えてるるんっだよ!!

 

専門的な事はあんまり詳しくないけどこれ神峰がみんなの事を指揮してるよね?ベースの音と身振りでそんな事ができるなんて聞いた事ないよ!

 

夢中になって神峰達の演奏を聴いていたあたしは不意に違和感を覚えた

 

あれ?なんか十六夜の演奏が変わった?音楽に詳しいわけじゃないけどなんだか自分の考えを主張し始めた感じ

 

その時一瞬だけ神峰の音がずれたように聞こえた、でもすぐ元に戻って…?戻ると言うか神峰の音も変わった?

 

十六夜はそこから自分勝手に振る舞って(演奏して)いるようで違う、自分の考えを音で表現する演奏をしてる

 

普通そうなったら周りと合わなくなりそうなのに神峰が十六夜の演奏に答えて皆んなに指揮を振る(演奏する)る事で崩れるどころかより良い演奏に繋がってる

 

あれって事前に打ち合わせした訳じゃないよね?そう言う感じじゃなかったしだとしたら凄い!アイコンタクトどころか音で意思疎通してるって事だよね!?更にるるんってくる!

 

どうしてそこまで合わせられるんだろ?バンド組んでそんなに経ってないはずなのに、それにみんなすっごく楽しそう

 

「………いいなぁ

 

「…日菜?」

 

曲が終わって少しのインターバル中お姉ちゃんに呼びかけられた

 

「?どうしたのお姉ちゃん?」

 

「いえ少し上の空に見えたから」

 

「え〜?そんなわけないじゃん!こんなにるんってくる演奏聞いてるのにぼーっとしてる時間が勿体無いよ!」

 

ほら次の曲始まるよ!と言ってステージの方を向くと「ならいいけれど」と言ってお姉ちゃんもステージへ視線を戻した。それにしてもさっきあたしなんて言ったんだろう?自分でも分からないくらい無意識で言ったみたいだけど…うーん?ま!いっか!気にしててもしょうがないし今は神峰達のライブに集中しよっと!

 

 

 

紗夜サイド

 

これは何?私が神峰さん達の演奏を聞いた最初の感想だった、日菜に誘われる形でCiRCLEにきた私は彼等のライブに圧倒されていた

 

一人一人の演奏技術は勿論、それらをたばねよりよい音を作り上げている彼らに

 

神峰翔太さん、まさかベースで指揮を行うとは思いませんでした。一つ一つの音のバランスを判断し次にどうすれば良い音を奏でることができるのかを瞬時に理解して指示を出す、その姿はまさにオーケストラの指揮者のようだった

 

時折崩れそうになる危うさもありますがそれを周りがカバーして演奏している。このチグハグさはまさか、このように演奏するのは今日が初めて?日菜から聞いた話だとバンドを組んで日が経っていない事を考えるとあり得ない事ではないですね

 

乾響也さん、ドラムをただ譜面通りに叩くのではなく強弱やメリハリをつけて曲自体にリズムを与える事で聞きてへサビまでの期待感を煽り盛り上がる部分を通常以上に見せて(聞かせて)いる

 

鈴原琴葉さん、全体の音を聞いて音のバランスをとるように演奏する事で1人1人の個性が強いこのバンドで纏め役をになっている。だからこそ聞き手側も曲に対して混乱する事なくスムーズに受け入れられる。それには演奏技術は勿論、周りの音を聞いて神峰さんの指揮を汲み取り反映させられるだけの知識が必要です

 

恐らく彼女は昔から音楽に触れていたのでしょう。彼女の演奏には才能だけじゃない、確かに積み上げた厚みを感じられました

 

そして…暁十六夜さん、恐らく彼が一番神峰さんの指揮を理解してそれに対する答え()を瞬時に出す(演奏する)事が出来る

 

音に対する考え方が神峰さんと近いからこそそれは出来る、そして何より…!?彼の演奏が…変わった?

 

今までの指揮を受け入れ奏でる演奏から自分の考えを全面に押し出すスタイルに、でもそんな事をすれば全体のバランスが崩れて周りにも悪影響が!…出ていない?それどころか先程までのライブとは段違いに良くなっている!?

 

暁さんは時折乾さんや鈴原さんの方を見て挑発するように音を奏でまるで2人に現状維持を許さない、より良い演奏をしてみせろと主張している

 

周りを気にせず自分の感性に従って立ち振る舞うその姿は日菜に似ていた、日菜と彼に決定的な違いがあるとすれば、何かにそして誰かに依存する事無く自分の考えを音に乗せて主張している(奏でている)事でしょう

 

普通そうしたら周りとの違いで孤立する。でも暁さんの周りにはそれを理解し応えられる人達が、仲間がいる

 

でも日菜には…私しかいなかった。だからこそ私に半ば依存する様に私がやっていた事を真似し、尊敬の念すら湧かない圧倒的なまでの才能で私だけを置いていく

 

そして私に残るのは、無駄だと思えてしまう過去(足跡)。だからでしょうか、日菜と彼

似ている様で決定的に違う彼の姿を見て

 

きにいらない…!?」

 

ほとんど無意識でした、幸い演奏と小さな声でつぶやいたから日菜には気づかれていない。それでも私は手で口を覆った

 

日菜に対しての嫉妬の感情が無いと言えば嘘になる、けどそれを日菜以外の誰かに、しかも羨ましいと思って向けた事なんてなかった

 

そんな自分に嫌気がさして汗が滲んでいる手を握っていると

 

「………いいなぁ

 

「…日菜?」

 

「?どうしたのお姉ちゃん?」

 

「いえ少し上の空に見えたから」

 

「え〜?そんなわけないじゃん!こんなにるんってくる演奏聞いてるのにぼーっとしてる時間が勿体無いよ!」

 

ほら次の曲始まるよ!と言ってステージの方を向く日菜、「ならいいけれど」と言い私も向き直る。けれど私の心にはさっき見た日菜の表情が深く刻まれていた

 

私の時と同じ様に周りの音と小声で呟いていたから何を言っているのかはわからかったけれど。羨ましそうで悲観的、楽しそうで悲愴感漂うその姿に私はかける言葉が見つからなかった

 

そもそも日菜を拒絶しているのは私自身、そんな資格があるはずもない。沈んだ心のままライブを聞いていると、どうやら次でラストの曲、ここまで演奏中に成長していった彼等の集大成に観客の全員が期待の眼差しを向ける中、私は嫉妬や羨望、諦観と言ったおおよそ期待とはかけ離れた感情で曲の始まりを待っていた

 

【観客全員を吹き飛ばすように音を響かせろ】

 

そんな中神峰さんが会場全体を見渡してそう指揮をした。そこから紡がれる音に先程まで覆われていた私の黒い感情は文字通り吹き飛ばされた

 

まるで観客全員を見てその中で私だけがライブに参加していないのを見抜いたかの様な曲の始まりに私は驚き、その直後からこのライブに引き込まれていた

 

今までもライブの演奏は聴いていた。けれど先程までの日菜や自分に対する感情全てが今この瞬間では全てなくなったのではないかと錯覚させる程、この演奏に聴き込んでいた

 

【十六夜、お前の音で、観客全員に衝撃を!雷鳴の様に音を轟かせろ!】

 

解釈が一致したのかその指揮に従って音を奏でる暁さん、他のお三方含め今この瞬間を、それこそ観客である私達よりも楽しんでライブをしている彼等に私は気が緩み、表情として現れていた

 

あぁ、そうですね。私も何もかもを忘れ浸りましょう、何処か心地よいこの時間を…今だけは

 

 

 

日菜視点

 

すっごくるんってなりながら神峰達のライブを聞いていると神峰達の最後の曲になった

 

「【Climber's High!】」

 

曲名をいってから神峰が観客全体を見て皆んなに指揮を振る。そしたら音が衝撃波みたいにあたしを襲った、演奏しているのは4人のはずなのにより多くの人で奏でてるみたいに聞こえる!!

 

それにさっきより一層みんな楽しんで演奏している様に見える!見ている(聞いている)こっちも笑顔になっちゃうくらい

 

そんな中あたしはふとお姉ちゃんがどうしているのか気になってむいて見ると

 

「………え?」

 

そこには最近、ううん、長い間見た事が無かった作り笑いじゃ無い本当の笑顔をステージに向けるお姉ちゃんがいた

 

いつからだったかな?あたしが周りから距離を感じる様になったのは…でもあたしはその事を気にせずお姉ちゃんについて行った。だってお姉ちゃんがやっている事はるんって来た(輝いていた)から

 

あたしもやりたいって思って始めて少し経つとお姉ちゃんはやめて別の事を始めちゃう。その後に残ったあたしは興味(輝き)を失ってやめちゃう

 

それの繰り返しをしていたらいつの間にかお姉ちゃんは心から笑う事がなくなっていた。そうして高校に上がるときにお姉ちゃんに言われた「お互い干渉しない様にしましょう」って言葉

 

でもねお姉ちゃん、それに関しては絶対に聞かないって決めてるんだ。だってそうしないとあたしとお姉ちゃんは一生このままになっちゃうと思うから、そんなのあたしは嫌だよ

 

これからどうすれば良いのか正直わかんない、テストみたいに簡単に解ける問題じゃ無いって分かってる。でも今は、神峰達のライブを聞こう

 

お姉ちゃんもそうなんだよね?だってあたしを呼んだときにしていた何かを堪える様な感じがなくなってるもん、だからあたしもそうしよう

 

ううん、あたしがそうしたいんだ。聞いていたいんだ神峰達の演奏を、だから楽しもう。この最高に心地よい神峰達のライブを…今だけは




約2年ぶり、大変長らくお待たせしました
自分でも自信を持って送り届けられる話になりました
日菜のほんの少しの変化、それは小さな変化かもしれません、けれどもそんな彼女のこれからを暖かく見守ってください
沙夜にも言えますがこの2人の描写を描くのはほんっとうに悩みました
皆さんがどう感じてくれたか感想を頂けると幸いです
さて次回はライブ後のアフターストーリー、各々の視点を描くつもりなのでお楽しみに!
後Vtuber物でもうひと作品も執筆中なのでお時間あればそちらも宜しくお願いします!
ではまた次回で!Σ(゚д゚lll)

バンド編何処からみたいですか(時系列は気にせず)なお最初期からいるバンドに限定します

  • ポピパ
  • アフグロ
  • ロゼリア
  • ハロハピ
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