色々考えつつ研修やりつつで遅くなりました
楽しんでもらえると幸いです!
ではどうぞ
op.3
美竹からの要望を引き受けた俺はAfterglowのいるスタジオに来ていた。彼女達は楽器の準備をしていて俺は美竹から「神峰先輩は座って待ってて」と言われたので用意した椅子に座りその様子を見ている
「みんな、準備できた?」
美竹の呼びかけに各々返事をし、全員の準備が完了した事を確認すると美竹は俺の方を向いて言う
「神峰先輩もいい?」
「あぁ、大丈夫だ始めてくれ」
正直今でも抵抗はあるが一度引き受けた以上、中途半端に
「
でも違和感がある、どうして流れがない?曲には流れがありストーリーがある。作曲者や演奏者、聞く人、その他の曲に関わった人達全てで紡がれるのが曲の流れでありストーリーなんだとこの
なのに彼女達が奏でる音にはそれがない、一枚の写真を見せられているみたいに最初の時点で曲の流れが止まっている
まさかさっき美竹の言っていた「いつも通り」という言葉、あれは自分達ですら気づいていない現状維持の心が言葉として現れた結果なのか?そうだとしたらこの光景にも納得がいく
美竹が言った時のメンバー達の心、まるでそれがキーワードかの様に本音を隠している時に出る口を塞ぐ仕草をしていたのもこれが原因だろう。自分達はこのままでいいのかと言う思いとそれでも変化を恐れる矛盾の心
その中で羽沢は変わろうともがいていた、自分が変わる事でバンド内をいい方向に導こうとしているようにも見える。実際羽沢の演奏技術はAfterglowの中でも一番と言っていい、だけど独りだった
一人じゃなく独り言葉遊びをしているわけでも冗談を言っているわけでもない文字通りの独り、そのくらい羽沢は演奏の中で浮いていた
いや浮いているという言葉も正しくないか、これは沈んでいる。羽沢の心だけが他の四人と同じステージに立てていない
理由は初対面の時から変わっていない仮面の裏に隠した自身に対する卑下の心だ。バンド全体が変わらない事への焦りや変えられないことへの自己嫌悪に近い思いがそれに拍車をかけている
Afterglowが結成された経緯については五人から聞いていた。美竹と他の四人がクラス替えの時に分かれ五人で会う機会が少なくなりその事で不安になって、みんなで集まり出来る事はないかと考える中で上原のバンドをやっている妄想に羽沢が強く同意し他の3人も賛成する事で結成したと
美竹が詩を書いていた事もありカバー曲だけでなくオリジナルの曲もいくつか作り今に至ったという事を聞いて「何故そんな話を俺に?」と主に話していた上原に聞いたが「分からないですけど神峰先輩には知っておいてほしくて!」と自分達でも気付いていないであろう助けを求める心を向けながら言っていた
それが変化を恐れ現状維持の心を持つきっかけにもなったんだろう
だけど、惜しいな。この
そして写真の中にも本来なら彼女達が居るのだろう、五人分の白い人型の靄がある。そこに五人が並ぶ事で曲は完成する、何故なら俺の目の前に広がっていたのはーーーーーーー
演奏が終わり少し呼吸を整えてから美竹が俺を見て問いかける
「…私達の音楽はどうだった?神峰先輩」
俺は言葉に詰まった。視たままを言う事は簡単だがそれを共感覚を持っていない彼女達に言っても伝わらない、仮に伝わったとしても変化を恐れている彼女達に悪影響を与えかねない
「神峰先輩?」
羽沢が俺を心配して声を掛けてくる。少し間を開けて俺は話し出す
「………素人目にも結成して1〜2年とは思えないくらい個々としても全体としても高かった。俺は全員の楽器を扱えるわけじゃないからこれからするアドバイスは参考程度にしてほしい。先ずは宇田川、盛り上げ盛り下げのメリハリができていて良かったけどサビの部分でリズムが崩れているところがあったからそこを直せばもっと良くなると思う」
「あ〜あたしもそこは気をつけるようにしてたんだけどまだ直しきれてなかったか」
宇田川の心は大木だ、どっしりと構えそこを中心に周りの人がもたれ掛かれる様な安心感を与えられる。まだ中学生だと言うのにこの心を持っているのは正直驚いた、そしてドラムは曲のリズムを作る土台、その点で言えば宇田川はドラムに向いていたんだろう、さっき言った所も気持ちが昂り過ぎたのが要因だから冷静にそれでいて勢いは失わない様にすれば大丈夫だ。本人も自覚している様だしな
「次に羽沢だけどーーーーー」
その後も全員に技術面に関してのアドバイスを行なった、そう技術面だ
要になるAfterglowの心に関して俺は触れていない
宇田川の心だってそうだ大木でありながら上に行けば行くほどつまり寄りかかってる人達と距離を置いた所では心配や悩み恐怖などに枝分かれしていた、中には寄りかかる人達を守る様にも伸ばしている。そして頂上ではそんな枝分かれした檻の中に本心が囚われていた
どこまで技術が向上しても演奏者の心が合わさらなければそれは無機質なものになってしまう。そして彼女達はきっかけを探している
自分達が変われるだけの変わる事が出来る理由を俺に結成秘話を話したのもその理由の一つだろう
だが俺に何ができる?言うだけなら簡単だ「変化を恐れるな」と。しかしたかが2〜3ヶ月の付き合いでしかない彼女達の心の影に俺が土足で踏み込んでいいはずがない
何より人の心に触れるのを恐れている俺が、変えられるだけの力を持っていない俺がどうこうできる問題じゃない
視てみたい、だが踏み込んで拒絶の心を向けられるのが怖い、変えられないどころかより悪化させてしまうんじゃないか、ちぐはぐな考えが俺の頭の中を駆け巡る。こんな時
羽沢の事を言えないな俺、彼の身体で彼の
「後は…そうだなもっと話し合ったほうがいいかもしれない」
『話し合う?』
五人の異口同音の言葉を聞きながら俺は言う
「自分がどう言った音を出したいのか、どういう風に音を奏でたいのか、メンバーの音に違和感はなかったかとか曲の終わり終わりでもいい話し合うんだ、五人が幼馴染だと言うのは知ってるけどそれでも結局
俺に言える事は所詮この程度、踏み込むまえの中途半端な事しか言えない
「それじゃ俺はバイトに戻るな」
そう言ってスタジオから出た俺はカウンターにいたまりなさんと雑談をしていると6時になったのでAfterglowの面々が出てきた、羽沢が顔を赤くして伏せていたがあれはなんだったんだ?心の方は顔を覆って赤くしていたが
彼女達を見送ったあと「今日はもう上がっていいよお客さんもAfterglowだけだったしね」とまりなさんに言われたのでそれに甘えてバイトを切り上げ帰路についた
家に帰ってから部屋のクローゼットに置いてあるアレを取り出す、上手く出来るだろうか?耳コピゆえ完全ではないが彼女達Afterglowの奏でていたオリジナル曲を少し演奏する
だけどやっぱり俺だけじゃ意味がないな俺だけじゃ誰かの心を掴むことなんてできはしない。それにあの光景を作り出せるのは幼馴染である彼女達だけだ、後は彼女達がより良い方向へいくよう願うしかない
俺は気づいていなかったそもそも彼女達の音を聞く前までの俺ならアドバイスは技術面に関してだけ言っていたという事実に
俺だけじゃという無意識の内に誰かを、仲間を求め始めたという事を
そして何より彼女達の心に変化を与えるのは俺自身であるという未来に
羽沢サイド
神峰先輩がスタジオを出て行った後、さっそく私達は話し合いをしていた
それにしても神峰先輩のあの言葉「人の心は声に出さなければ伝わらない」それを言っていた時の神峰先輩の眼と顔が忘れられない。まるで自分だけは例外だって言っているみたいに見えた
「………つぐ〜?おーいつぐちゃんや〜い」
「うぇ!?何、どうしたの?」
「やっと気づいたね〜ぼーっとしてたから呼びかけたのに無視するんだもん、モカちゃんは泣きそうになったよ〜しくしく」
モカちゃんが軽い冗談を言う、そんなに考え込んでたんだ私と思いながら話を続ける
「ごめんね、少し考え事してて」
そこでモカちゃんは口を三日月状に言葉で表現するなら『ニヤリ』と歪める、うぅこの時のモカちゃんは苦手だなぁ。だって
「はは〜んさては神峰先輩の事を考えてでしょ〜つぐは本当に神峰先輩大好きだね〜」
「えぇ!?なんで分かったの!?じゃなくて、そう言うのじゃないよ!」
絶対からかってくるんだもん!顔が赤くなっているのを自覚しながら必死に弁明する
「分かってますって〜つぐは神峰先輩の大ファンなんだよね〜」
「うん!」
「…そこは否定しないんだなつぐ」
「だって本当の事なんだもん!」
そう、私は神峰先輩のピアノと歌声を聴いてからファンになった。たった一回聴いただけでファンって言うのもおかしいと思うけど先輩の演奏にはそれぐらいの何かがあるって感じたんだ
でも演奏が終わってからううん、私達を見てからの先輩の目なんだかとっても寂しそうな悲しいような怯えているような目を向けていたのは何でだろう?
話すようになって少しは良くなったと思うけどまだ距離が開いたままなのは少し悔しいな
「ねぇねぇ、つぐ絶対神峰先輩の事すきだよね!?」
「いや〜これはまだlikeのほうだと思うよ〜?」
「つっても時間の問題な気がするけどな、見ろよあの顔絶対神峰先輩の事考えてるぞ?」
「つぐみってそうだったの?」
あれ、考え事してたら他の四人が円になって何か話してる?
「みんないきなり輪になってどうしたの?」
「い、いや!何でもないよ!あ、もう時間だし帰ろうか!」
ひまりちゃんが少し声を上げてそう言う、何か慌ててるように見えるけど気のせいかな?
帰りのカウンターで神峰先輩と会ったけどモカちゃんに言われた事を思い出したらまともに顔見れなかったよぉ
明日もCiRCLEで練習するしそれまでに治しとかないと変な子って思われちゃう、お願いだから赤くならないでね私!
その思いとは裏腹に次の日行った時もモカちゃんに弄られ顔を赤くする私でした…絶対変な子だって思われた。モカちゃん、こればっかりは恨むからね!
神峰サイド
文化祭による振替休日が開けた火曜日、俺は学校へと向かっていた、生徒の憂鬱そうな心を目にしながら登校してい「か〜〜〜み〜〜〜ね〜〜〜!!」
…登校していると後ろから声が近づいてきた。わざわざこんな大声を出しながら俺を呼ぶ奴は一人しかいないので振り返りつつ声を出す
「響也そんな声を出さなくても聞こえる」
「おいおいおい!つれねぇじゃんか神っち!俺とお前の仲だろ?文化祭の時はクラスの奴らに捕まって回れなかったの結構気にしてんだぞ俺、ま俺が神っちと回りたかっただけだがな!」
こいつの名前は乾 響也、小学校からの付き合いで所謂腐れ縁のようなものだ。俺がバンドリ!の世界だと自覚し塞ぎ込んでいた時にも唯一話しかけてきたやつでもある
「別にいい、元々文化祭には興味なかったからな屋上で時間潰してたよ」
「お、れ、が!神っちと回りたかったんだよ!くそぉクラスの奴ら置いてきてでも回れば良かったか?」
「そんなことをしたら俺がクラスの奴らに恨まれる事になるからやめてくれ」
響也の心は爆弾のようだ、ソルキャの世界でも爆弾の心を持っていた人はいたが響也の場合意味合いが異なる。ソルキャではすこしの言葉が地雷となりネガティブな思考に立ち入ってしまうのに対し響也は本心を隠す事はあまりせずすぐに爆発するかの様に表に出してしまう
裏表のない性格と言ってしまえばそれまでだが彼はクラスからの人気も高いそれでも俺に何故構うのかと聞けば答えは「俺が神っちの幼馴染で俺が神っちのファンだからだよ!」と返ってくる
ファンになった経緯については話してくれた事がなく分からずじまいでいる。こんな俺の何処にファンになる要素があったのか分からない
他者との触れ合いを避けている俺に適切な距離で接してくる響也を拒絶しないことに対して罪悪感を覚えながらも今まできている
そんな事を響也が気にするわけがないのはわかってる、それでも思ってしまう。これはもう癖と言っていいな
そんな響也と話をしながら教室に向かっていると何やら廊下が騒がしかった
「なんだなんだ、今日はなんだかやけに騒がしいな?」
「あ、響也に神峰、聞いてくれようちのクラスにあの天才氷川日菜が来てるんだよ。どうやらうちのクラスの誰かに用があるみたいなんだ」
「氷川ってあの?一体全体誰に用があるってんだ?」
クラスメイトの岡山の話を聞いて何故か手に汗が滲み出す。嫌な予感を感じつつ教室へと入るとあたりを見回していた日菜と目があった、すぐに逸らし教室を出ようとしたが本人は逃す気は無いと言うかのように机の上を陸上を走っているのと変わらないスピードで駆けドアを塞ぐ、そして
「神峰おはよう!どうして逃げようとするかなぁ?あたし神峰に用事があるんだよ?」
と言ってきたこの時俺は天才氷川日菜の事を
『えええええええええ!!?』
あたりから聞こえるクラスメイトの声を聞きつつ思った
天災氷川日菜と
評価が新たに二人付いている…だと!!?
そして感想もキタァ!嬉しい事ありすぎません?
☆4評価MinorNoviceさん
☆8評価さか☆ゆうさん
ありがとうございます!
そして新たにお気に入りしてくださった
グラ〜暴食〜さん、八十一さん、おうちでごはんさん、八夕さん、さか☆ゆうさん、紫電 .さん、souryuuさん、残念だったな、トリックだよさん、scarletさん、佐伯 誠さん、Polarisさん、人生を見つめ直したいさん、azuleneさん、くじら着さん、天魔刀さん、ソォイ!お茶ァ!さん、まみやさん
他3名のかた重ね重ねありがとうございます!
ではまた次回で!Σ(゚д゚lll)
この作品に度々出てくるSOUL CATCHER(S)を
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見てる
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見てない
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見てないけど楽しめている
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見てなくて分からないところがある