バンドリ!彼奴のいないこの世界で   作:アルファデル

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今回自分が書いてきた中で最長の文字数8千文字です
長いですが呼んでくれたら幸いです
ではどうぞ!


op.4 影は手を伸ばす、されど光は遠のいて

op.4

 

教室に行くとそこには別クラスである日菜が待っていた、言葉だけ聞くと知人が会いに来たという普通のものだが今回の場合少し違う。片や成績、スポーツにおいて学年トップ、片や人と関わる事を避けて学校生活を送っている者

 

接点が無いように見える二人、その片方がわざわざ教室まで会いに来た。それだけでも充分に驚きだが先程の日菜の言葉、受け取り方次第では告白とも取れてしまうそれを俺の横にいる響也が黙っているわけがない

 

「えぇ!?神っちに会いに来たのか?神っちこれは一体全体どういう事だ!?」

 

「落ち着け響也俺が聞きたいくらいだ。それで…日菜俺への用事は何だ?」

 

「な、名前呼びしてる!?」

 

響也の言葉は無視する、クラスメイトがいる中で異性を名前呼びするのはまずいと思ったが気にしていたら話が進まない上におそらくだが日菜が何故名前呼びしないのかを聞いてくるだろう。そうなったら余計話がややこしくなる

 

「今日放課後暇?あたし神峰に興味湧いたんだ〜だからどこかで話そうよ!」

 

そう言った日菜の心は相変わらず鏡ごしでしか此方を見ていない。それにしてもこの心、初対面の時には感じなかったがスポットライトが当たっていても全体的に暗いように視える(スポットライト自体が嫉妬や畏怖などの負の感情で作られているというのもあるが)そして鏡の中にいる日菜に似た誰かがいる場所は光り輝いている

 

まるで行き先が分からない日菜の道導になっているようだ、だが日菜が触れようと手を伸ばせば伸ばすほど光は遠ざかり輝きを増している

 

そこまで考えてふと日菜を見ると訝しげにこちらを見ていたので一旦考えるのをやめ今日はCiRCLEでのバイトがあるので断ろうと思い口を開ーーー「ちょっとまったぁ!!」開こうとして響也に止められた

 

「何だよ響也」

 

「いやいやいや、何で神っちそんな冷静なんだよ!?女子からのお誘いだぞ?つかそもそも神っちと氷川ってどういう関係!?」

 

クラスの総意を代弁したようにいう響也、実際他のクラスメイトも好奇心や疑問の心を向けていた

 

「どういう関係も何も昨日今日の関係だ、文化祭の時に少し話をしただけで恋仲でもなければ友人でもない」

 

恋仲という言葉には無反応だったが友人でもないと言った事に対して少しむくれた様子の日菜、恋仲とまではクラスメイトにも思われていないようだが念のために言う。そして俺は日菜の方へ向き話す

 

「悪いが今日放課後バイトが入ってる。だから行く事は出来ない」

 

「そっか〜ならしょうがないね、だったらさお昼一緒に食べない?」

 

すぐに代案を出して来る日菜、そこで俺は響也の方を向く、基本的に昼食は響也ととっており俺だけでは了承出来ないからだ

 

「あ〜、氷川でいいーーー「日菜でいいよ!」分かった日菜な、俺は乾 響也俺の事も名前呼びでいいぜ、それでさ俺も一緒に食べていいか?昼はいつも神っちと食べてるんだよ」

 

「うん分かった響也、神峰の友達だよね?神峰の事色々聞かせてね!」

 

「おう、いいぜ!」

 

「響也がいいなら俺は構わない」

 

そこでチャイムが鳴り「それじゃ昼にまた来るね!」と言って日菜は教室を後にした。当人でなく何故響也にと思ったがあまり気にしない事にした。なお朝のショートホームルーム後普段話さないクラスメイト達から質問責めにあったというのは蛇足だろう

 

 

 

 

午前の授業が終わりいよいよ昼食の時間がやってきた、チャイムが鳴りそれぞれが部活の仲間や友達と喋っていると教室のドアが勢いよく開けられる

 

当然ドアへと注目が集まる中、それを気にする様子もなく日菜が入ってくる。片手に弁当を持って俺と響也がいる席に駆け寄ってきた

 

「逃げられるんじゃないかって思って急いで来ちゃった!」

 

「約束しておいてそれを破るわけないだろ」

 

「うーん、でも神峰あたしの事避けてるみたいだしもしかしたらって思うよ。それに神峰あたしの目を見て話てくんないんだもん」

 

少し頬を膨らませながらそう言う日菜露骨だっただろうか、確かに俺は日菜を避けている。もっと言えば日菜から見えている心を視たくないから目を背けている

 

「悪い、元々人とのコミュニケーションが苦手なんだ不快にさせたようだったら謝る」

 

「ううん、いいよ気にしてないからそれにこれから仲良くなればいいしね!」

 

そう言って近くの席を近づけて座る日菜、三人揃ったところで昼食をとり始める。食べながら響也と日菜の話し声に耳を傾けつつ俺は考えていた(日菜は宣言通り俺の事について響也に聞いていた)

 

何故日菜は俺と仲良くなりたいのだろう、いや、本当は分かっている。彼女が無意識の内にこちらへ送っているSOSに俺が気付かないふりをしているだけだ

 

Afterglowのメンバー達も俺に対しSOSを送っていた、何で俺なんだ?俺はバンドリ!に関して知っている事は少ない。だがそれでも友人の話を聞く中で分かっている点がある、それは彼女達の問題は第三者の協力なく彼女達自身で解決出来るという事だ

 

そう第三者()の手はいらない、たとえ俺というイレギュラー(転生者)がいようともそこは変わらない筈だ

 

いや、分かってるこれもまた言い訳だ、結局の所俺は怖いんだ。よく2次創作もので物語の世界に転生する話がある、この世界に来てからそれに対して疑問に思う事があった

 

怖くはないのだろうか?自分が知っているものとはかけ離れ、行き先も分からないまま確かに進んでいく日常・非日常(ストーリー)に。俺は怖い、自分のせいで壊れてしまうんじゃないかと

 

だから踏み出せない、手を伸ばせない。当人達が苦しんでいると分かっていても

 

「神っち?どうしたぼーっとして」

 

食事し始めてから黙っている俺に対し心配の心を向けながら言う響也、少し考え込んでしまったな

 

「いや、なんでもない」

 

「そうか?神っちは昔から考え事してると周り見えなくなっからなぁ」

 

「癖だから仕方ない、だけど話は聞いていたからな。中学時代ドアに黒板消しを挟んだのは響也だろ?人に罪をなすりつけるな」

 

「あれ?やっぱりそうだったんだ、神峰がやりそうなイメージがなかったから響也がやったんだろうな〜って思ってたけど」

 

「な、俺の嘘、見抜かれていたのか!?」

 

「逆に今の話聞いて信じる奴の方が少ないと思うぞ」

 

「うんうん」

 

そう言うと響也は椅子から離れ四つん這いになって悔しがっていた、そこまで悔しがる事無いだろうに。感情が爆発しやすい響也らしいといえばらしいが

 

「あははは、響也は面白いね〜るんってくる!神峰の話も聞けたし今日は来て良かったよ」

 

大した話はしていないように聞こえたが日菜にとってはそうではなかったらしい

 

「ねぇ、あたしまだ話し足りないからさ放課後一緒に帰らない?神峰と響也のバイト先まででいいからさ」

 

CiRCLEでバイトしている事は話していた、どうやら学園からの帰路の途中にあるらしくそれを踏まえての提案だった。因みに響也もCiRCLEでバイトをしている、主に機材の運び出しなどの力仕事で俺より先にバイトをしており俺にCiRCLEを勧めたのも響也だった

 

「俺はいいぜ今日は俺もCiRCLEでバイトだしな!」

 

落ち込みから復活した響也は椅子に座りつつそう言う。俺も「分かった」と返しちょうど昼休み終了の時間が迫っていたので

 

「それじゃ放課後また来るね!」

 

と言って日菜は教室を後にした

 

「いやぁ神っちに会いに来たと言った時は驚いたけど結構楽しそうな奴だな、日菜って!」

日菜を見送ってから響也がそう言ってくる、初対面のはずなのに楽しそうに喋れていたのは響也も日菜と同じく考えるより先に行動に出るタイプで同じ感覚派同士近いものを感じたからだろう

 

「文化祭の時に少し話をしただけで教室まで来るなんて誰も思わないだろ」

 

「え?良い奴とはもっと話したくなるし会いに行きたくならね?」

 

「それはお前ら(感覚派)だからこそ思う事だ。流石に昨日の今日で会いに行こうとは思わないぞ」

 

「そういうもんかね〜?ま、いいや!取り敢えず午後の授業寝るとしますかぁ!」

 

「そこは嘘でも起きて受けるって言えよ」

 

そこで午後の授業の開始を知らせるチャイムが鳴り自分の席へと戻る、宣言通り授業中に爆睡した響也は教師からの暖かいお話(お説教)を受けていた

 

 

 

 

日菜サイド

 

(あ〜楽しかったなぁ)

 

神峰、響也と別れたあたしは自分の教室で授業を受けている。昼休みはとってもるんってきたなぁ始めて話たけど響也は表裏がなくてでからかいがいがありそうだし話してて楽しかった

 

神峰の話も少しだけど聞けた、でも元々の目的だった神峰とは話せなかったなぁチラッと見たけど文化祭の時屋上で見た時とおんなじ顔してた、あの顔されちゃうとお姉ちゃんを思い出して話しかけられなくなっちゃう

 

響也はそんなあたしを見て「悪りぃな日菜、神っちは考え事してると周り見えなくなるんだよ」って言って神峰に話しかけてた。そこからあたしは神峰と響也に放課後一緒に帰る約束をして別れた

 

昼休みが終わって今は授業中、いつもと変わんない退屈な時間。あたしは教師の声を聞き流しながら考えてた、今更だけどなんであたしは神峰に会いに行ったんだろう?

 

モヤモヤを解消したいって気持ちはあったでもそれだけじゃないよね、う〜ん考えてもわかんないなぁってまたモヤモヤが増えちゃった。あ〜あ、テストの問題ならすぐに答えが分かるのに

 

結局午後の授業は考え事で潰しちゃった、今は放課後であたしは神峰のクラスに行き教室へ入ると二人は帰りの準備を済ませてあたしを待っている様子だった、あれもう一人いる?

 

「ごめんね〜神峰、響也!少し遅くなっちゃった!」

 

「いんや、こっちもさっき終わったところだから気にしなくていいぜ」

 

「そうなんだ〜待たせたわけじゃないんだね、それなら良かった。それでそこにいる人は誰?」

 

あたしがそういうと響也は紹介しようとしたけどその人に片手で止められてあたしの方を向いて名乗ってくる

 

「お初にお目にかかります、私名を暁十六夜と申します、所轄快楽主義ではございますが用法と容量を守り適切な態度で接してくださると幸いです」

 

執事風に自己紹介する暁、なんだか様になってる暁をぼーっと見てたら響也が微妙な顔して言う

 

「十六夜、お前がその喋り方すんの超絶似合ってないぜ?」

 

「…超絶とかきょうびきかねぇな響也、口調についてはわざとだから気にすんな。驚いた顔が見たくてやったが期待通りで良かったぜ、さて改めて暁十六夜だ。以後お見知り置きを?」

 

悪戯っ子が浮かべる不敵な笑顔をこちらに向けて言う十六夜、あたしは驚きから立ち直って自分も名乗る

 

「…うん!暁十六夜だね、十六夜って呼んでいい?あたしは氷川日菜、日菜ってよんでよ」

 

「OK十六夜でいいぜ日菜、にしても響也と神峰から聞いたが朝と昼は屋上でサボッていなかったんだよなぁ、こんな面白そうな事起こってんなら俺を呼べよな響也?」

 

「授業中にどうやって呼び出せばいいんだ…「んなもんスマホでに決まってんだろ?」授業中にスマホいじるわけねぇだろうが!?」

 

昼休み話した時には思わなかったけど響也って変なところで真面目なんだ

 

「中学時代散々悪戯してた奴が何を言ってんだよ」

 

「ちょ、神っち!?それは言わない約束だろ!?」

 

「した覚えもないしなんなら日菜には昼食の時に話してたような気がするけどな」

 

そうだけどさぁ!って言う響也をスルーして十六夜は鞄持って

 

「さてと、今日はCiRCLEでのバイトはないし日課の響也弄りは終わったし「おい」家でギターでも弾いとこうかねぇ?」

 

と言ってきた、十六夜もCiRCLEってところでバイトしてるんだ

 

「ギター好きだな十六夜、そんなに好きならバンド組めばいいのに」

 

「それについては前にも話したろ?ビリッとくるバンドがみつからねぇんだよ、てなわけで俺は帰るぞ、また明日な」

 

そう言って教室から出て行った十六夜

 

「なんだかるんって来るね十六夜って!」

 

「今思ったけど日菜のるんっと十六夜のビリッて似た感じするな神っち」

 

「どちらも感情表現の一種だろうな、俺達もでよう遅れたらまりなさんに悪い」

 

そう言ってあたし達は帰路についた、帰ってる途中でも話はしててとってもるんってくる。そしたら不意に響也が立ち止まった、どうしたんだろうって思って響也が見ている方向に顔を向けたらそこにはあたしのお姉ちゃんがこっちに歩いてきていた

 

 

 

 

神峰サイド

 

俺と響也、日菜で帰っていると響也が立ち止まった、「どうかしたのか?」と声を掛けつつ響也が見ている方向を見るとそこには日菜と似た髪色と顔をした女性がこちらに向かってきていた

 

「なぁ日菜、あの人ってーーー「お姉ちゃん!!」お姉ちゃん?」

 

響也が日菜に聞こうとする前に日菜がその女性に向かって走って行った

 

「日菜っ!いつも言ってるでしょう、いきなり抱きついて来ないで」

 

日菜が抱きついた事により驚いた様子の彼女彼女を咎めながら日菜を引き離している

 

「えぇ?いいじゃんお姉ちゃんに出会って嬉しかったんだもん!」

 

「それとこれとは話が別でしょう…それに…っ日菜あそこにいる方々は?」

 

そこで俺と響也に気づいたらしい女性は日菜にそう質問しする、それが俺には本来言おうとしていた言葉を飲み込んだ様に聞こえた

 

「ん?あ、そうだ紹介するね!あそこにいるのは神峰翔太と乾響也、今日友達になって一緒に途中まで帰ってるんだ〜」

 

「日菜のお姉ちゃんか、日菜が言ったけど俺が乾響也だ!」

 

「神峰翔太です」

 

「初めまして氷川紗夜です、妹と仲良くしてあげてくださいね」

 

よくある挨拶の仕方、愛想笑いを浮かべながら言った言葉が俺にはそれが酷く歪に視える

 

「勿論!話してて楽しかったしもっと仲良くなるぜ氷川さん!」

 

「そうですか、なら良かったです。それと私と日菜は双子ですので敬語もいりませんし名前も紗夜で構いません、会ってすぐで申し訳ありませんが今日はこれから用事があるので私はこれで」

 

「え〜もっと話そうよお姉ちゃん!」

 

「今言ったでしょう?私は予定があるの、それに日菜は兎も角あの二人にも予定があるでしょうし無理に引き止めるのは迷惑よ」

 

それじゃと言って紗夜さんは去って行った、少しの沈黙の後に「残念、それじゃ行こっか」と言って歩き始めた日菜、それについていく俺と響也

 

道中で紗夜さんについての話になり曰く「あたしの自慢のお姉ちゃんなんだぁ」と目を輝かせながら言う、だけど俺にはその目に影が差しているように見えた

 

そうして俺達はCiRCLEへとついて「それじゃまた明日ね神峰、響也!」と言って日菜と別れた

 

CiRCLEへと入るとまりなさんがカウンターにいて話しかけてくる

 

「やぁ青少年達、元気にしてるかな?」

 

「おっすまりねぇ、今日も元気だぜ!!」

 

響也はまりなさんの事をまりねぇと呼んでいる、別に血縁関係があるわけじゃないが「なんかまりねぇって呼び方の方がしっくりくる」と響也は言っていた。まりなさんもまんざらでもないらしく弟の様に響也を可愛がっている

 

「おぉ、いいねいいねぇ若者はそうでなくっちゃ神峰君も響也君みたいに返してくれると嬉しいんだけどなぁ」

 

とこちらをチラチラ見ながらいってくるまりなさん

 

「…返しませんよそれに青少年とか、若者って言い方自分が年増だって言ってるようなものですよまりなさん。それじゃ着替えてきます」

 

「ついにはっきりと年増って言ったね!?」と言うまりなさんの声を聞きながらスタッフルームへと入る俺と響也、着替え終わりカウンターに戻るとまりなさんがポスターを貼っていた

 

「まりなさんそれは?」

 

「ん?あぁこれ?これはね今度CiRCLEで行うバンドイベントのポスターだよ。ここ最近はガールズバンドが人気になりつつあるけどこのイベントではガールズバンドだけじゃなくて参加したいバンドは大歓迎!って形で行おうって思ってるの」

 

「へぇ、面白そうだなまりねぇ!」

 

「うん、まだ参加してくれるバンドは少ないけどこれからもっと増やしていくつもりだよ!」

 

そこから今日の業務についての話を受けそれぞれの場所に移動した、俺はお客が来るまで清掃を響也は今日来る客が使う機材の持ち運びだ

 

今はスタジオに向かう廊下を清掃しておりその中で俺は考えるさっきの紗夜さんと日菜について、今日会って分かった。日菜の心にあるあの鏡越しにいる人物、あれは紗夜さんだ

 

分かった理由については紗夜さんの心を見たから、彼女の心はただがむしゃらに走り続けていた。道先も分からぬままに後ろから迫ってくる姿の似た影法師から逃げる様に

 

紗夜さんの後ろには彼女が歩いてきたであろう足跡とやってきた事の映像がいたるところに刻まれていた。それを見て分かった事がある、紗夜さんはいつからか他人に言われるようになった筈だ「姉より妹の方が出来るんだ」と、自分が先に始めたのにもかかわらず後から始めた妹に瞬く間に先を行かれるそれが耐えられなくて、比べられる事が辛くてやっていた事をやめてしまうそれが心に現れた結果があの足跡、現に歩いた足跡は中途半端に途切れたものばかりだ、その箇所から見える映像も最後には日菜に越されるところで終わっていた

 

そして日菜にとって姉は光なんだ、だからこそ姉がやっていることはなんでも光って見えるし、楽しく見える。だからその光を求めて自分も同じ事をやるが才能()がその輝きをも奪ってしまう

 

試行錯誤、努力、研鑽、その全てを奪い去るそれは出来たという結果だけを残しそこに至るまでの輝いていた過程の全てを消し去る。双子で先に生まれただけで姉という立場になった紗夜さんにとってそれは苦しく辛い事なのだろう

 

だが同時に断言出来る、紗夜さんは日菜と仲のいい姉妹でありたいと思っていると。その証拠に影法師を時折惜しむように、悔やむように振り返り見ていた、今の自分には姉として誇れるものが何もない、ないが故に対等に話せる自信がない。だからこそただがむしゃらに走る、いや走らずにはいられないんだ

 

彼女に必要なのはきっと一緒に走ってくれて休む事を、弱音を吐く事を許容してくれるそんな仲間だろう

 

そして日菜に必要なのはーーー

 

「お〜い、そっち終わったらこっち清掃お願いしていい〜?」

 

そこまで考えているとカウンターからまりなさんの声が聞こえた「わかりました!」と返事をして考えを中断、あと少しだった廊下の掃除を終わらせカウンターに移動する

 

「すみませんまりなさん、お待たせしました」

 

「いいよいいよ気にしなくて。今日のお客さんが来るまでにまだ少しじかんあるからそれまでに終わらせてくれればいいよ」

 

「了解です」

 

「にしても前から思ってたけど神峰君って結構綺麗好きだったりする?清掃した箇所が新品みたいに綺麗になってるけど」

 

「そうですか?自分ではあんまり感じた事はないですね、けどここのバイト始めた時に清掃することが多かったので慣れたのかもしれません」

 

「あ〜確かに結構清掃させられてたねぇ私も始めた頃はそうだったからよく覚えてるよ」

 

ここのバイトでの登竜門かもねとくすりと笑いながら言ったまりなさんにつられ俺も少し笑う。するとまりなさんは目を見開いた

 

「神峰君が笑った顔見たの始めてかも、結構笑うと年相応になるんだね!いつもは少し大人びてるから結構新鮮かも」

 

「…俺だって笑うくらいはしますよ、それじゃ清掃に戻ります」

 

まりなさんに背を向け清掃を再開する俺、人の通りが一番多いカウンター付近は念入りに清掃する、そこから15分経って終わらせると丁度今日の客が入ってきた

 

「いらっしゃいませ」

 

とお辞儀をしつつ声をかけると

 

「神峰先輩、こんにちわ!」

 

と返ってくる、顔を上げるとそこにいたのはAfterglowの五人だった、因みに挨拶を返したのは羽沢だ

 

「いらっしゃい!ここのところほぼ毎日来てるね、練習もいいけど頑張りすぎないようにしなよ?」

 

とまりなさんが歓迎する

 

「大丈夫ですよーモカちゃんは頑張った分、ちゃんと食べて余計な分はひーちゃんに送ってますからー」

 

「酷いよモカ!?」

 

そんなやりとりをしていると奥から響也が出てきた重い機材を運んでいたせいか少し汗をかいている

 

「まりねぇ機材の運び出し終わったぜ」

 

「ありがとう、やっぱり男手がいると助かるね」

 

「あのくらいならお安い御用だぜ」と言ってこちらを、正確には一人を見て響也にしては珍しい嫌そうな顔をして言う

 

「使う機材とかでなんとなく察してたけど今日はAfterglowが使う日だったんだな」

 

その言葉に反応して一人がこちらも珍しく少し機嫌を悪くしたような顔をして言う

 

「そう言う響也先輩こそ今日はシフトの日だったんですね」

 

『ふんっ!』という声が聞こえそうな程露骨に首をそらす二人

 

「響也先輩とつぐ、相変わらずだね」

 

「内容としては少し笑っちゃうくらい子供っぽいけどな」

 

「その元凶になってる神峰先輩からは何か言う事ありますか〜?」

 

顔をニヤリと歪ませてそう言ってくる青葉、そんなの決まってる

 

「どうしてこうなった?」




全話投稿して1日経ったら評価バーが付いてて驚き少し経ったらお気に入りが前回から2倍に増えてて「ふぁ?」と思わず呟いたアルファディルです
かなり嬉しくて舞い上がってましたw
リア友からは先を読みたいと禁断症状と称してスタ爆もくらいましたw
今回のあとがきからお気に入りと評価バーしてくださった方々の評記を取りやめました、人数が人数だけにあとがきが長くなってしまうので(現時点で長いとか言わないで)
感謝は変わらずしてます、本当にありがとうございます!!
感想誤字脱字、そしてアンケートも宜しければお願いします!
ではまた次回で!Σ(゚д゚lll)

この作品に度々出てくるSOUL CATCHER(S)を

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