前書きは置いといてではどうぞ!
op.8
悲しみ、苦しみ、痛み。そんな纏めると負の感情という言葉がしっくりくるそれらは誰もが一度は経験した事がある筈だ。だけど人はそれを他人に見せる事はしない
何時だって自分の内に秘めて、抱え込んで奥歯を噛みしめて耐えている。家族や友人、恋人に話す事もあるだろうがその他大勢の文字通り他人には見せる事がないもの
そんな心を言ってしまえば【盗み視る】この目、勿論視たいと思って視た事は一度もない。仮にあったとしてもそう考えた時には既に視えているから
手を伸ばす事は許されず、ただ諦観することしか出来ないと諦めていた
心を掴む手の音、それは【SOUL CATCHER(S)】で神峰翔太の相棒でありもう一人の主人公、刻阪響がサックスで奏でていた音だ
彼が言っていた。管楽器は演奏者によって音程・音色・クセが全く異なり自分の
そんな彼が奏でていた音、心に手を伸ばし、掴み、動かす。傷ついた心を癒し、閉じた心を開く事の出来る音
その音がなんで俺の歌声から出ている?指示を出しながら歌う俺の声からは確かに手が伸び人の心を掴んでいる。俺は神峰翔太なのに、導く事はできても心を掴む事なんて出来ない筈なのに
なんで…なんでだ!?
困惑する俺の脳裏に浮かんだのはこれまで辛い心、苦しんでる心、悲しい心。目を覆いたくなる心を視た時、自分に言い聞かせるように、誰かに言い訳をするように言っていた言葉
【俺は神峰翔太じゃない】
今はそれが全く別の意味に感じる。俺は
そんな当たり前の事に今まで気づいていなかった。いや、逃げてきた俺には考える事すら放棄していた
この事にもっと早く気付いていれば救えた心が有ったのだろうか?いやそんなたらればの話をしても意味はない。響也がいてくれたから、俺から離れず俺に手を伸ばしてくれたからこそ今のこの
俺の神峰翔太に対する負い目にも似た憧れ、彼と同じでありながら彼とは違い一歩を踏み出せなかった。
そして十六夜と鈴原、この三人だからこそ俺はこの
だから、これまでにしよう。辛い心に目を背けて逃げるのは、目に視える全員の心に寄り添う事なんて今の俺にはまだ出来ない。でも俺が関わった周りの人達の心には俺の
けど今はこの瞬間を楽しもう、響也が集めてくれたこのメンバーで奏でている演奏をより高く、より遠くまで響かせられるように
今は間奏で歌のパートがない、伝えるなら今だと思った俺は響也がいる方に振り返ると一言
「ありがとう」
それだけ伝え前を向く、さぁ続けよう。今日だけは、今だけは死ぬほど楽しいこの時間を
十六夜視点
いいぜ、いいねぇ、いいなぁおい!!これが神峰の音か!
曲が始まってから確信した、神峰に足りなかったのは聞き手だと。練習での音はただ楽譜の音符をなぞるだけで神峰自身が音から見えてこなかった
だが今は神峰の音がビリビリ伝わってきやがる、ベースの音は勿論神峰の歌声はまるで心を掴まれてるみてぇだ
にしてもベースで指揮をするなんてな
【音を轟かせるように、観客の目を覚ませ!】
今神峰は俺達と観客の中継役になっている、にしても目を覚ませ…か、随分と具体的なようで抽象的な指揮を振るいやがる
そうだろうとは思っていたが神峰も持ってるな俺と同じ………共感覚を
中学に上がってから人と話す時や音楽を聞いたり演奏するとき、音に関する何かしらの刺激を受けた際、身体に電気が流れる様な感覚を覚えた
心の状態や音によって流れ方が違う、時間が経つにつれ相手がどういう感情を俺に向けて話しているのかが分かるようになった。喜怒哀楽は勿論悔しさ、苦しさ、幸福なんかの様々な感情が電気として俺に流れてくる、人の感情ってのは喜怒哀楽で全てを表すのが難しい程に複雑だ。感情の強弱、浮き沈みだって人によっては違う
いい感情ばかりではなく当然悪い感情を感じる事もある。それで俺が腐らずに来たのは共感覚を自覚するより前に俺を俺たらしめるもの、ギターに出会っていたからだ
そこから俺の演奏は少し変わった。元々あった俺の感性に共感覚が合わさって、後に俺の口癖になった「ビリッと来る」音を奏でる様になった
自身の文字通り体験をもとに曲に合わせた
それに加え高校に上がるまで同じ共感覚を持ってる奴に出会う事は無かった。ま、そもそも共感覚を持ってる奴自体珍しいっつーかいねぇんだろうけどな
俺自身共感覚って言葉自体、自覚してから知ったし無理はねぇが
CiRCLEでバイトをするようになって、先に始めていた響也から紹介される形で神峰に会った
会った当初、つか今の今まで神峰への印象は【探求者】ってのが一番近かった
常に何かを探すみたいに、その何かへ手を伸ばそうと足掻いてるように感じた。今思えば音楽の話をした時に感じた諦観や焦燥にもにた感情もその何かへ向けていたのか
それがどうだ?今はその
そこで神峰はこっちを、いや響也の方を向いて一言「ありがとう」と告げた。ありがとう…ね、何に対してかは分からんが何やら吹っ切れたみてぇだな?さっきより更にビリビリきやがる、響也や琴葉もそれに引っ張られるみてぇにどんどん演奏が良くなっていくな
いやこの2人だけじゃねぇ、俺も神峰の指揮に引っ張られている………けどな神峰、俺がただ引っ張られるだけだと思うなよ?
音にはそれぞれ個性がある様に音へ対する解釈もまた違う。お前と俺のビリッと来る音に違いがあってもおかしくはねぇ、まぁそれすらもビリッ来る方へ導くと俺の共感覚も言ってるしな?
それに何より…ただ従ってばっかつ〜のも、面白くねぇからなぁ!?
琴葉サイド
何…これ?
演奏中にそうなっているのはいけないと分かっているけど、私は困惑していた
神峰の音、練習の時とは大違い!
そして歌も!あの時私が演奏会で聞いた、ううんそれ以上の歌声!あの心を掴まれたって錯覚しちゃう歌声!
でも何で?練習でも神峰は全力で演奏して歌っている様に見えたのに。それに…
【ピアノ、凛と力強く響く様に!】
ベースの音や動きで指揮してる!?え?ベースって指揮するものだっけ?違うよね?何でできてるの!?
それにこの指揮、最初と指揮内容が違う。これって変化をつけてお客さんを飽きさせない様にって事だよね?
それ以外の指揮もどういう音を奏でて、その音を誰に聞かせたいのかを指揮で示してる
そう考えてたら神峰が響也の方を振り向いて一言「ありがとう」って言った…神峰と接するようになってこれまで見た事がなかった笑顔で
何でこのタイミングでありがとうって言ったのか分からない、神峰はお客さんの方へ向き直って演奏を再開する。その演奏に引っ張られる様に私や響也、十六夜が演奏の深みを増していく
そんな中、何でそうしたのかわからないけど私はふと十六夜の方を見た。…うっわ彼奴ニヤニヤしてる
あの笑顔、羽沢さんを青葉さんと2人で揶揄ってる時によく浮かべてた顔。一体何を考えてーーー
ーーー♪♪♪
!?…これ神峰の指揮と違う?解釈違いとかじゃなくてわざと外したの?でも何で…ってあれ?今神峰の音がブレた?…ううん、ブレたと言うより弾んだ?
そこから十六夜は神峰の指揮に答えなくなった、ううん、正確には自分の我を通すようになった。解釈が同じところは指揮通りに演奏するし自分がこうだと思った音は曲げずに奏でてる
普通はそこでみんなとの和が乱れて音が合わなくなるのにそれどころか寧ろ良くなってる、神峰は十六夜の音に対してどういう演奏をすればいいかを瞬時に考えて音と歌を奏でて指示を出してる
それにしてもすごく楽しそうに演奏してるなぁ。自分の想像している事と違ったら戸惑ったり困惑したりしそうなのに、神峰の音からはこの状況を楽しんでるように聞こえる
「〜〜〜♪」
ん?
「〜〜〜♪♪」
これって…
「〜〜〜♪♪♪」
間違いない…十六夜の奴、音で私や響也を挑発してる。音で言葉が聞こえるって変かもしれないけど「お前らの音はその程度か?」って言ってる気がする
それに応えるように響也の音が激しさを増した、まるで私達の音をより遠くへ届かせるみたいに
でもこれじゃみんなの音を聴かせたい人に音を届けられない、音がばらけてる、指向性が必要なんだ、この音を聴かせたいって、奏でた音がその人へ届く様に
道はある、動力も、推進力も、なら後はそれがちゃんと通れる様に周りを覆えればいい。出来ないとは思わない
まだ関わり始めてからそんなに経ってないのにそう確信できるくらいの信頼がここにあった。何よりこんなにいい演奏なのにちゃんとお客さんに届かないのは嫌だ
今できる私の全身全霊で奏でよう…何よりこんな時間楽しまなきゃ損よね
そう思って私は自分の演奏を始めた。みんなの音を聴かせたい人に、ここにいる全員へ届く様に
さぁ聴いて、私達の音を!
琴葉は結構天然入ってますw
十六夜のシーンは書いてて楽しいですw(モデルがいますし)
さぁ、次回はいよいよ最後のメンバー、響也の視点です
これまで手を伸ばせないと諦めていた神峰に手を伸ばし続けた彼は何を思っているのか
お楽しみに!
ではまた次回で!Σ(゚д゚lll)
PS.コラボについてですがも一度アンケート取らせてくださいすみません
コラボ先は風夏!
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あり
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なし