【完結】いちばん小さな大魔王!   作:コントラポストは全てを解決する

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スマホだけで書いてたからめっちゃ時間かかったぜ…。
俺はカマキリ、yeah
検索で『Bang Dream』『ハーレム』『平均評価高い順』で検索かけたら一番上に出て来た。ちょっと嬉しい

最近色んな人のバンドリ二次創作読んでるけど、コラボって面白いなって思ったよ。よそ様のヒロインデレさせたい(ゲス顔)




第9奏 名前上下同読み系アイドルとファン0号君

 自分の事は、ずっと冴えないスタジオミュージシャンだと思っていた。

 得意な事と言えば、ドラムと機械いじり。

 芸能事務所なんて言う大層な場所にいるけれど、来る日も来る日もドラムを叩いて終わる日々。

 仕事以外の日はちゃんと学校に行って、勉強をして、友達はそんなにいないから昼休みなんかは校舎裏でボーっとしていた。

 誰から見ても、自分ですらも、パッとしない生き方をしているなと思う。

 でも、それはそれで良いのかも知れないと思い、やっぱり釈然としない毎日を生きた。

 けれど、そんな当たり前を生きていたある日、彼と出会った。

 それは、いつも通りスタジオでドラムを叩いていた時のこと。

 

『めっちゃ可愛い人が…めっちゃカッコ良くドラム叩いてる…』

 

 …最初は、自分の空耳なんじゃないかと思った。

 けど、やっぱり彼は自分の事を見ているわけで…。

 何故芸能事務所に一般の人がいたのか気になったけど、あの時はそんな事どうでも良かった。

 おもむろに録音スタジオに入って来ては、いきなりサインをねだって来た少しぶっ飛んだ男の子。

 

『俺、今日から貴方のファンになります!名前教えてください!あ、俺は神楽竜介って言います!』

『えっと…大和麻弥、です』

『麻弥さんですか!上からでも下からでも同じ読みですね!』

『…そう言えば、そうっすね…』

 

 両手を力強くブンブンと振り回され、無邪気な笑顔で自分を見てくる君に、何故か心が救われた気がした。

 それからすぐ、彼は事務所の人に連れて行かれ、こってりと叱られていた。

 彼が叱られている間、自分は握られた手を何度も閉じたり開いたり…。

 手から伝わる温かな熱を、心で噛み締めた。

 

『…結構、嬉しいですね…』

 

 初めて出来た自分のファン。

 何故かその日は、スティックを扱う手が異様に軽くて、久方ぶりにドラムの楽しさを思い出した。

 

『神楽竜介…ですか…』

 

 胸の内に芽生える不思議な気持ち…これはなんなのだろうか。

 分からなかったけれど、その時はただドラムを叩きたかったので深くは考えなかった。

 

『…応援してくれる人がいるって、とても安心するっす。それに、ドラムを叩くのも楽しい…』

 

 ─この日、大切なファンがジブンに出来た。

 

 何よりも大切な彼への、誰にも負けないこの想いを伝え表すため、自分は君に"ファン0号"という愛称を付けた。

 きっとそう簡単に君とは出会えないだろうし、この気持ちを忘れないための大切な言葉。

 でも、勝手に愛称を付けたのは相手に失礼だったのだろう。

 だからきっと…

 

『ふへへ…♪』

 

 …自分におかしな笑い癖が付いてしまったのだと思う。

 でも、君に付けて貰ったような気がして、不思議と悪い気は起こらなかった。

 

 

 ___

 

 

 

 

「ふへへ…♪」

「麻弥さん、急に笑い出してどうしたんですか?」

「いえ、神楽さんと初めて会った時の事を思い出してました」

「初めて会った時…」

「はい!」

 

 自身の手を見つめながら、急に笑い出した麻弥さんを横目に、俺は麻弥さんとの出会いを思い出す。

 確か、芸能事務所の人に何故かスカウトを受けて、試しに見学に行ったら偶然ドラムを叩く麻弥さんを見つけたんだっけ。

 その時の麻弥さんはあこの様にカッコ良くて、酷く惚れ込んだのを覚えている。

 

「…思い出すと、随分大胆なことしたな…」

「録音スタジオに堂々と入ってくる姿は圧巻モノでした」

「でも、そのおかげで今麻弥さんと一緒にいれますし、結果オーライってことで」

「そうっすね。自分も神楽さんと出会えたから今がありますし…ふへへ♪」

 

 上機嫌な様子で麻弥さんは笑っていた。

 憧れてる人にここまで言って貰えると、つい照れくさくなってしまう。

 

「それにしても、今日も随分買いましたね…」

「衝動買いが止まらなくて…すいません…」

「気にしないでください。俺としては荷物持ちでも十分楽しいですから」

「そう言って貰えるとありがたいっす…」

 

 心の底から申し訳なさそうにしながら、麻弥さんは小さめの買い物袋を持ち直した。

 こうやって自分がファンになったアイドルとお買い物デートなんてしていると、俺はこんな幸せで良いのだろうか…何て思ってしまう。

 

「ふと気になったんですけど、麻弥さんって俺以外のファンの人ともこうやって買い物行ってるんですか?」

「え?そんな事するわけないじゃないっすか。ていうか自分、神楽さんとは友人になったつもりでいたんですが……もしかして気の所為だったんでしょうか…」

「え、友達?良いんですか俺なんかで?」

「神楽さんだから良いんですよ。まったくもう」

「なんか、すみません…」

 

 ぷりぷりと頬を膨らまし、可愛らしく怒る麻弥さん。

 あまりに愛らしい顔だったので、思わず頬を指で押してしまった。

 プスっと言う空気の抜ける音と、麻弥さんが羞恥で喚く声が俺の鼓膜に響く。

 

「もう神楽さん!ジブンにこういう事するのやめて下さい!乙女の肌はデリケートなんっすからね!」

「でも顔はニヤけそうになってますね。本当は嬉しかったり?」

「ううううるさいっすよ!私語は慎むっす!」

 

 どうやら図星だったらしい。

 麻弥さんはあたふたしながらも、ビシッと俺に人差し指を向けて照れ隠しの私憤を撒き散らす。

 怒っている姿は大変可愛らしいのだが、このままだと友達どころかファンの関係も断ち切られる可能性があるので、そろそろ機嫌を治さなくては。

 

「麻弥さん麻弥さん」

「……なんすか?今のジブンは何を言われても般若っすからね?」

「そんな固い事言わずに…。あ、ちょっとそこの喫茶店で一休みしません?ケーキ、奢りますよ?」

「ケーキ……本当っすか?」

「はい」

 

 俺がそう微笑み返すと、麻弥さんは先を歩き出す。

 表情を伺う事は出来ないが、周りには花が咲いていた。

 女の子は甘い物に弱いというリサ姉情報は、どうやら間違ってなかったようだ。

 

 

 ___

 

 

 

 カランカランとドアベルを鳴らし店内に入ると、若者受けしそうなさっぱりしたとした風景が視界に広がる。全体を白系統で纏めあげ、外からの陽の光も相まって実に爽やかだ。

 腰掛けエプロンをつけた店員が「いらっしゃいませー!」と元気良く挨拶をし、俺たちを席へと案内した。

 店員にメニュー表を二冊渡され、麻弥さんはそれをパラパラと捲る。

 そして、時折瞳をキラキラさせたかと思えば、その都度注文を重ねていった。

 もう少し俺のお財布事情も考慮して欲しい。

 

「…ふう、こんなもんすかね」

「結構食べますね…。色々大丈夫なんですか?」

「ああ、そこはご心配なく。機械いじりしてると結構キツイ体勢取るんで、気付いたら良い感じに引き締まってるんすよ」

「へえー」

 

 俺は素っ気なく返事を返して見るが、麻弥さんのドヤ顔は崩れなかった。

 今度ひまりに紹介して見ようか。

 

「それにしても神楽さん」

「?」

「女の子の扱い上手っすね」

「あはは、冗談キツイですねー…」

「冗談じゃないっすよ?紗夜さんも同じ事言ってましたし」

 

 紗夜先輩への仕返しとして、フライドポテトお預けプレイの刑を執行する事になった。

 おのれ紗夜先輩め、覚えてろ。

 

「いやー神楽さんも良い性格してるっすね〜。ここのお店、ネットで評判いいんすけど、ちょっとお値段お高めで入りずらくて…神楽さんが女の子怒らせた時の最終兵器か何かっすか?」

「あの…麻弥さんの中での俺って、どんな事になってるんですか?」

「えっと、男版薫さん…ですかね」

「えー…」

 

 俺があの薫先輩と同じと申すか、この人は。

 

「あの女たらしの薫先輩ですか?」

「あの女たらしの薫さんっす」

 

 真面目な顔で麻弥さんは返答する。

 薫先輩の扱いが酷い事になっているが、事実なので仕方ないだろう。

 

「麻弥さん、俺が女たらしなわけないじゃないですか…。仮にそうだとしたら、今頃あことイチャラブしてますよ」

「あー…そう言えば神楽さんの本命ってあこさんでしたね。どうすか?なにか進展とかはあったり?」

「特に無い…です」

「マジですか…。ジブン的には、もういつ告白してもオッケーって感じなんですけどね〜。神楽さん、凄くあこさんに好かれてるじゃないっすか」

 

 俺も麻弥さんが言った様に、もしかしたら脈アリなんじゃね?って思った事もあった。

 けれど、常日頃からあこを見ていると嫌でも分かってしまう。あこがそう言う目で俺を見ていないと言うことに。

 だから、今俺が告白をしてもあこを困らせるだけだろう。

 あこの迷惑になるような事は、絶対に避けなければならない。

 

「チキンハートには辛い所業です…」

「大丈夫っすよ。骨は拾ってあげますから」

「あ、フラれるの前提なんすね…」

「まあ、そっちの方がジブンにとって都合が良いので」

「酷い人ですねー…」

 

 俺がそう言うと、麻弥さんはニシシと小悪魔の様に笑う。

 あこにフラれると何か麻弥さんに良いことが起こるのだろうか…。

 

「…まさか、麻弥さんもあこのことを?」

「あー…そう言う結論になるっすか…。安心して下さい、自分はノーマルですので」

「そうですか…良かった」

 

 ちょっと安心した。

 もし麻弥さんが燐子タイプだったら、四角関係とか言うややこしい事になってしまう。

 これ以上ライバルが増えるのは、出来れば避けて通りたい道。

 

「ま、戦に燃える乙女達は、負ける確率の方が高くても戦わなきゃ行けないんすよ。だから、勝てる可能性に縋りつつ、負け戦に挑む。つまりは…そういう事っす。取り敢えずラスボスの魔王強すぎ…」

「恐ろしい敵ですね…」

「ちなみに敵の数はだいたい十六人くらいで、戦闘方式はバトルロワイヤルっす」

 

 それだと魔王の無双ゲーが始まってしまうのでは…。

 魔王であこを思い出したが、もしかしてあこも参加しているのだろうか。

 そうだとしたら、どうかぽっと出の魔王なんかには負けないで欲しい。

 

「頑張って下さいね。俺、応援してます!」

「…神楽さんって、鈍感系主人公物の恋愛作品って読んだ事あります?」

「ああ、ひまりに借りて少しだけ読んだ事ありますよ。ヒロイン達の好意に気付かない主人公って何なんですかね?あんなに分かりやすくアピールしてるのに…。アホなの?」

「そうっすね、ジブンも神楽さんはアホだと思います」

「え、酷くないですか?」

 

 麻弥さんは何故か頭を抱え、「はあ…」と落胆したように溜め息をついた。

 

「溜め息なんかついてると、可愛い顔が崩れちゃいますよ?」

「そう言うとこっすよ?」

「なるほど」

「理解してないっすよね?」

 

 吹けない口笛で誤魔化しておいた。

 

(ほんと…)(なんでジブンは)(こんな人を…)う〜、ムカムカするっす…」

「胃腸薬ありますよ?」

「…なんでそんなの持ってるんすか」

「麻弥さんに何かあった時の為ですよ。こんな俺でも、麻弥さんの事が大好きな人達の端くれですから。心配しちゃうんですよ」

「……そうですか」

 

 素っ気なく返して来た麻弥さんは、ふいっと目を逸らした。

 そして、口を若干尖らせながらポツリポツリと俺に向かって呟き出す。

 

「…端くれなんかじゃないっすよ…」

「え?」

「神楽さんは、ジブンにとって何よりも大切なファン0号っすから…。だから、どのファンよりもジブンを…す、好きでいてくれて良いっす。ジブンが許可するっす…」

「…はい、ありがとうございます」

 

 麻弥さんの言葉に最大限の感謝を込めて笑い返すと、当の本人は顔を赤くして俯いてしまった。

 ほんの少しだけ気まずい雰囲気が流れ、お互いに沈黙が訪れる。

 目の前の麻弥さんは、湯気が出そうな程赤くなっていた。

 

(な、なんでジブン、)(あんな事を…!)

「あの…麻弥さん?やっぱり何処か具合悪いですか?」

「うえ!?な、なんでもないですし大丈夫っすよ!?」

「そ、そうですか…」

 

 一瞬で様子がおかしくなった麻弥さんを気にかけつつ、店員が運んで来たケーキ六皿を受け取った。

 麻弥さんはケーキを受け取った瞬間、「く、食うっすよー!」とやけ食いの様にがっつく。

 お高めの店と言っていたのに、ちゃんと味わってるのだろうか。

 

「麻弥さん、追加注文して良いですからね」

「い、いや…さすがに悪いですよ…」

「気に病まないで下さいな。ファン0号として、大好きな麻弥さんに奢らせて下さい」

「っ!」

 

 努めて穏やかな態度で言うと、麻弥さんの顔色が茹でダコになった。

 

「はは、可愛い」

「本当に本当にそう言うとこっすよ…」

 

 ケーキをフォークでつつきながら、麻弥さんは消え入るような声で言う。

 麻弥さんのファンになって良かったなあ、と俺はしみじみ思った。

 

 

 




「神楽さんは、ジブンにとって何よりも大切なファン0号っすから…。だから、どのファンよりもジブンを…す、好きでいてくれて良いっす。ジブンが許可するっす…」

ここの台詞を書いてて一人悶えてました。変態ですね分かります。
次回は蘭でその次に沙綾の予定ですが、もう一人の僕が薫のデレを見たがっていたので、沙綾の前にワンクッション置くかも。

感想評価お気に入りありがとうございます。
ランキングとかは気にしてませんが、もしあったら教えてください。一人で舞い上がります。
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