【完結】いちばん小さな大魔王!   作:コントラポストは全てを解決する

37 / 95
竜介「あこー、いちばん小さな大魔王の評判が良くて、皆から感想のお便りが来てるぞー」
あこ「ほえ、そうなの?どれくらい?」
竜介「100通近く」
あこ「へー100……え、100?」

感想100件のお祝いしてなかった。だが、言葉は不要。ンハ

最近番外編も更新したからよかったら見てねー


第34奏 あいじょうの味を君に

 調理実習が終わった後の放課後の一幕。

 俺はバイト先のCircleにて、常務であるフードとドリンクの準備をしていた。

 

「まりなさん、ドリンクバーのコーラがないんですけど代えってどこでしたっけ?」

「ああ、ドリンクバー用のタンクは最近場所変えたんだー。こっちこっち」

 

 俺を倉庫まで案内してくれているこの御方の名は月島まりなさん。Circleの先輩スタッフであり、俺をCircleへ引き入れた張本人。

 そんな彼女に連れられて、俺は倉庫にやってくる。

 

「ここだよー。覚えて置いてねー」

「あーこっちになったんですか。ここに置いてあった壊れた機材達は?」

「もう直りそうにないって事で、オーナーがリサイクルショップに」

「大胆に踏み出しましたねー」

 

 麻弥さんあたりにお裾分けしたら大喜びしただろうに。まあ今は場所が分かっただけ良しとしよう。

 

「さてと、次はキッチンですかー。時々、なんで俺ってライブハウスで料理作ってるんだってなるんですよね」

「なんでってそりゃ、料理が上手いからでしょ?」

「ならファミレスとかでも良いんじゃないかって思うんですよ」

「ファミレスはほら、作り置きから温めるだけだからさ……」

 

 Circleでも似たような事しかしてない気がするが、楽器は扱えてもフライパンは扱えない二十代後半お姉さんからの訴えを感じたので、これ以上は聞かないでおいた。

 

「まりなさんも料理覚えれば良いのに……」

「いやー一人暮らしだとついつい即席食品に頼っちゃうんだよねー。参っちゃうよ」

 

 あはははーと呑気に笑っているが、そんな軽く考えていい事ではないだろう。

 

「お嫁に行き遅れても知りませんからね」

「好きな子に告白できなくて拗らせまくってる君には言われたくないなー」

「お?なんですか煽ってるんですか?良いでしょう受けてあげようじゃないですか。魔王より授かりし爆裂魔法で一撃ですよ」

「かかって来なさいな。二十六歳(ゴッドブロー)の抵抗を見せてあげるわよ」

 

 しばらく両者の間に火花なり火の粉なりが飛び散っていた。その後すぐにクールダウンしお互いに笑い合う。

 

「あ、ハンバーグ食べます?今日調理実習で作ったんですよ」

「お、いいねいいね。一人で作ったの?」

「蘭が作りました」

 

 カバンから取り出したハンバーグの入ったタッパーの蓋を開け、まりなさんに見せびらかす。時間がたってもなお食欲を唆る良い匂いを漂わせていた。

 

「へぇ〜これを蘭ちゃんが」

「凄いですよね最高ですよね」

「天才だね」

「でしょ?」

 

 俺とまりなさんの感性が奇跡的相性(マリナージュ)した瞬間だった。

 まりなさんに割り箸を渡し、レンジでチンしたハンバーグを食べて貰う。

 

「ん、美味しいね」

「当然です。蘭の愛情が入ってますから」

「愛情の味か〜。そう言うの良いね〜」

「ですよね〜」

 

 奇跡的相性(マリナージュ)は止まらない。

 

 

 ___

 

 

 

 夜8時。俺がCircleのバイトから帰宅する時間だ。今日も一日お疲れ様と自分を労いながら俺は玄関を通る。

 

「ただいまー──」

 

 いつもバイト終わりはあこがお疲れ様と元気よく玄関で出迎えてくれるのだが、今日はそれがなかった。その代わりなのか、リビングの方から何か焦げ臭い匂いが俺の鼻腔をくすぐっている。

 

 瞬間、額に冷や汗が伝い、嫌な予感が背筋を通り抜ける。気付けば俺は駆け出していた。

 

「あこ!?」

 

 リビングのドアを開け、おそらく鬼の形相になっているであろう顔をしながら俺は台所へ向かう。

 

「りゅ、りゅう兄?」

 

 そこには、エプロン姿のあこがいた。よく見ればホットケーキの素やフライパン、その他諸々の調理器具が調理台の上に広がっている。そして一層目を引いたのは、お皿の上に乗っている真っ黒くて丸い何か。

 色々聞きたい事はあったが、一先ず不安が的中していなかった事に安堵した。

 

「良かったぁ……無事だったぁー……」

「ど、どうしたのりゅう兄」

「ああ……いや、気にしないでくれ」

 

 心配そうな顔をするあこの頭を撫でた後、俺は黒い謎物体をまじまじと見る。真っ黒だが、調理台の材料からしてパンケーキなのは間違いないだろう。だが、何故急にパンケーキなのだろうか。

 

「……今日ってパンケーキの日か何か?」

「パンケーキの日?」

 

 あこの反応からパンケーキの日では無さそうだ。だとすれば他に何があったかと記憶の中を探ってみる。色々と候補をあげてみたが、これと呼べるものは見つからなかった。

 結局何も分からなかったので考えるのは諦めて、俺はパンケーキをいただく事にした。

 

「一口貰うな」

「でも、それ失敗したやつ……」

「捨てるのも勿体無いだろ」

 

 フォークで一口分にカットしたものを食べてみる。ほんの少しの甘みと、大多数の苦味が口の中を占領した。さすがの苦味だ。焦げてるだけの事はある。

 

「うーむ……苦い」

「りゅう兄、無理して食べなくても……」

「まあ、そうだな。でも、まだ巻き返せる。えっと……これとこれを使って──」

 

 冷蔵庫の中を物色し、バターとチョコレートシロップを手に取る。なんとなくだが焦げの苦味とチョコの深みが合いそうな気がしたのだ。後は溶かしたバターを塗って全体の味をマイルドにしてあげればきっと食べられる物になるだろう。

 

「お、いける。ほらあこも」

 

 意外と美味く出来たパンケーキをあこにも食べてもらう事にした。フォークを向けられたあこは、一瞬戸惑ったがすぐに受け入れ、勢いよく一口で食べた。

 

「……美味しい」

「だろ?やり方次第では失敗も成功になるもんなんだよ。……で、結局なんでパンケーキ?おやつ食べたかったなら作っておいたのに」

「う、うん。今度からそうする……」

 

 パンケーキ作成の意図を問う俺に、何処かぎこちない様子で答えたあこ。やっぱり何か事情があるようだが、俺には言えない事なのだろうか。

 あこのちょっとした秘密事の内容を探っていたが、あんまり深入りするものでもないかと判断し、俺はこれ以上の詮索をやめた。

 

「それにしても、随分生地が余ってるな。あこ一人分にしては多くないか」

「そ、それはその……明日とか、明後日ように……」

「作り置き用か。おっし、なら俺に任せておけ。時間が経っても美味しく食えるパンケーキを──」

「だ、大丈夫!あこが一人でやるから、りゅう兄は何もしなくても大丈夫だよ。うん、大丈夫……」

 

 腫れ物を触るように、猛獣を扱うように、恐る恐ると言った様子であこが生地の入ったボールを回収しようと近づいて来た。さすがにこれは怪し過ぎだ。これでは詮索してくださいと言っているようなものだろう。

 

「あこ、何か俺に関して隠し事してるな?」

「そ、そんな事してないよ?」

 

 ギクっと肩を跳ねさせたあこは、目を逸らしながら俺の質問にノーと返す。やはり何かあるのは確実のようだ。あこの事だからピーマン絡みだろうか。

 念のため野菜室を見てみたが、ピーマンは無事だった。

 

「うーん……俺に関して……俺と料理勝負がしたかったのか?」

「そ、そうそれ!」

「……違うな」

 

 あこの顔に『良い言い訳が見つかった』と書いてあった。そう簡単に俺は騙せない。

 

「他には……そうだな、あこも調理実習とか」

「そ、そうかもしれないね」

 

 ヒュー、ヒューと吹けない口笛を鳴らしながら、あこは白を切る。もう隠し事の否定は捨てていた。順調に真理へと近づいているようだ。

 その後も幾つか候補をあげていき、最終的に俺、蘭、家庭科、手料理と言うワードが残った。いつの間にかあこの隠し事当てゲームになっているが、そこはどうか気にしないで欲しい。

 

「……もしかして、料理は愛情って話を気にしてたのか?」

「みゃっ」

「みゃっ?」

 

 あこから変な声が出て来た。それと同時にあこの頬がほんのりと赤くなる。正解と見て良さそうだった。

 

「なんだ、そう言う事だったのか。言ってくれればいいのに。別に笑ったりしないぞ?」

「そうじゃなくて……その……ちゃんと上手になってから食べて貰いたかったから……」

「練習用に生地をたくさん作ったと」

「うん……」

 

 人差し指をつんつんとさせながら、未熟さを恥じるあこ。

 心意気は大変よろしく花丸満点をあげたいと思ったが、あこはたった一つだけ重要な事を見逃している。

 

「あこ、料理ってのはさ、パンケーキを焼くのにも言えるが、そうポンポン上手くなるような物じゃないんだぞ?たくさん失敗して、改善して、初めて上手になるんだ。一度にたくさん作れば良いって話でもない」

「……でも、なんか今日は行ける気がしたんだもん……」

 

 まさかの気分だった。でも、それであの惜しいパンケーキを作ったのだから、あこは筋が良いのかもしれない。

 

「まあ、焦る必要はないさ。そうだな──将来、俺とあこが大人になった時、今日みたいに俺が疲れて帰ってきたら、温かいご飯とあこの笑顔で俺を迎えられる。それぐらいゆっくりで大丈夫だ」

「わ、分かった」

「おう。それじゃあ、将来に向けて俺の愛情の味、しっかり盗んでおけよ。力の継承だ」

 

 分かりやすくカッコよく。あこに俺なりのアドバイスをしてみた。

 どうかあこに俺の力が受け継がれますようにと願いながら、俺はフライパンを握る。

 

将来、りゅう兄を笑顔と温かい料理で迎えられるように……あれ?でも、それって……──ッ!

「じゃあ今日はパンケーキだな。しっかり見とけよあこ……あこ?」

「へ?あ、ううん何でもないよ!しっかり見てるよ!」

「おう。しっかり見とけよ」

 

 そうして、俺はあこにパンケーキの作り方を教えた。終始あこの頬が少しだけ赤くなっていたが、もしかしたら普段台所に入らないあこにこの場所の気温は暑かったのかもしれない。

 




前半と後半の差がボルケニックとグレイシャル並。

拳で抵抗とゴッドブローを同時に入れる高等テクニック。俺でなきゃ見逃しちゃうね(コメント奪うスタイル)
満ちる〜才能〜才能に満ち溢れているぜ〜。満ちる才能マン。ネットを引くならド□モひ〜かり〜
恐ろしいのは私自身の才能さぁ……。ブゥンッ!

あぁ〜デンジャラスゾンビの音〜

__人人人人人人人人人人人___
> ネタに満ち溢れた後書き <
Y^Y^Y^Y^Y^U^Y^Y─


申し訳ございません( ^ U ^ )
無言の腹パンからのクラップワニワニパニック。

「よっ!」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。