【完結】いちばん小さな大魔王! 作:コントラポストは全てを解決する
オーマフォーム衣装のあこが描きたかった……。仕方ないから来世に託すわ。ソイヤッ!
……小説家って普通の人より『言葉』を知ってるからしなんなら作れるからトーク系ユーチューバー向いてそうだなって勝手に思ってる。
日菜先輩の告白から一日が経った。昨日に比べて天気は良いが、それでも灰色の雲が空を染めている。もしかしたら、またあこの傘にお世話になるかもしれない。
早く替えの傘を買わねばと思いながら、俺は朝食の準備を進めた。
「りゅう兄……おはよー……」
「おはよ──って、なんか青ざめてないか?」
「頭痛い……」
こめかみを自分の拳で抑えつけながら、あこは頭痛を訴えた。
「偏頭痛か何かか?待ってろ、今痛み止め出すから」
「うん……」
唐突に訪れたあこの頭痛。最近の気圧変化の激しさが原因か、はたまた別の原因があるのか。テレビ台の引き出しにしまっておいた痛み止めの薬を探しながら、俺はあこの体調不良の原因を考えた。
「ほい、痛み止め。取り敢えず今日は学校お休みだな。お母さんと学校に連絡入れとくとして後は……病院か。どうする?今から迎えに来て貰うか?」
「うーん……いいや……。寝てれば治りそうだから……」
「分かった。俺も蘭に弁当届けたら早退してくるから、それまで留守番だな。出来そうか?」
俺がそう尋ねると、テーブルに突っ伏したあこは手の平を返すだけの返事をしてきた。大分参っているらしい。
そんな弱るあこの姿を横目に俺は学校の支度を進めた。
「じゃあ、行ってくる。出来るだけ早く帰ってくるからな」
「ゆっくりでいいよ……。行ってらっしゃい……」
「おう。行ってきます」
あこの見送りの言葉を背に、俺は玄関へと向かった。
正直な事を言えばあこを置いて行きたくない。けれど、蘭に迷惑かけられないし、何より日菜先輩の様子が気になる。だから俺は学校に行かなければならない。
俺がいない間、どうかあこの容態が悪化しませんようにと神頼みし、俺は学校に向かった。
____
「え、日菜先輩が休み?」
それは俺が羽丘に到着し、教室にて蘭に弁当を届けた後、日菜先輩のいる二年A組に訪れた時の事だった。同じクラスのリサ姉に頼んでこっそり日菜先輩の様子を伺ってみようと思っていたのだが、なんと日菜先輩が学校を欠席していたのだ。
「日菜先輩が休んで理由って分かる?リサ姉」
「ん~そこまではちょっと分かんないかな~」
「そうか……。ありがとリサ姉、時間取ってくれて」
「いいよいいよ。見たところなんか拗れてるっぽいし、アタシに出来る事があったらまたなんか言ってよ」
リサ姉はその顔に微笑みを浮かべながら、俺の現状を察して相談役を申し出てくれた。この言葉では表せない包容力がさすがリサ姉。胸の内に広がる安心感が半端ではない。
「今度なんかお礼するよ。それじゃ、俺早退するから」
「え、早退?どうしたの」
「あこが頭痛起こしちまってさ。今日は看病に一日を費やす予定」
「……頭痛、か」
俺が事情を説明すると、リサ姉は顎に手を当ててブツブツと何かを呟き始めた。何か気になることでもあるのだろうか。
「リサ姉、どうしたの?」
「いや、昨日Roseliaの練習終わりにさ、皆にお父さんから貰ったチョコをあげたんだけど……実はそのチョコ、ウィスキーボンボンで。それがあこの頭痛の原因かなーなんて……」
「……まさか」
思い返してみれば、昨日のあこは何処か頬が赤かった気がする。それに、俺を説教していた時もいつもより行動が大胆だった。
とどのつまり、昨日のあこは酒入り菓子で酔っ払っていたという事に。そして、その翌日に頭痛を引き起こしたという事は……
「二日酔いって事か?」
「多分……」
衝撃。あこは中三にして二日酔いを経験していた。どうやら登らなくても良い大人の階段を登っていたようだ。
風邪じゃないだけまだマシと考えるべきか、それとも酒入り菓子を渡したリサ姉を注意するべきか……。現在進行形でリサ姉にお世話になっている俺に後者を選ぶ権利はないのだろう。
「そうか……。うん、原因が分かって良かったよ」
「あはは……ごめん竜介……。あこの事よろしくね」
「いや、気にしなくていいよ。あこの世話は俺の十八番だからさ。じゃあ、ちょっと二日酔い魔王様の所に行ってくる」
「うん、またね」
苦笑しながら手を振るリサ姉と別れ、俺は担任に早退届けを貰いに行った。
その後、担任の教師に早退届けを出し無事帰宅した俺は、テーブルの上で意気消沈してるあこの元へと向かった。
「ただいま。調子どうだ?」
「あっ……おかえりりゅう兄……。起きた時より大分楽になったよ……」
「良かった。待ってろ、今しじみの味噌汁作るからな」
戸棚からインスタントのしじみ汁を取り出し、開封口をを開けた後、湯を沸かして中に注ぐ。
「なんでしじみの味噌汁……?」
「あこの頭痛の原因、二日酔いっぽいからさ。昨日の放課後なにしてたか思い出せるか?」
「えっと、Roseliaの練習に出て……リサ姉からチョコ貰って、それから……それから……?」
「おぉー物の見事に記憶が飛んでるな」
ここまで上手く記憶が飛ぶものなのかと俺は心の内で感心した。
「りゅう兄……昨日のあこ、何してたの?」
「そうだな。夕飯を作って俺出迎えてくれて、それから……ここから先は知らない方が良いかもな」
「えぇー……。りゅう兄に変な事しなかった?」
「変な事、か」
あこに隠し事をした事を説教されて、それにアドバイスを貰って。俺は日菜先輩に告白された事を打ち明けるべきかどうか、しばらくの間黙りこんで考えていた。
「りゅう兄?」
しじみ汁の容器をボーっと眺めていたら、あこに心配された目を向けられてしまう。
「ああ、悪い。昨日は特に何もなかったぞ。あこが俺にキスしようとして来た事意外は」
「キ──え!?」
「冗談だ」
「び、びっくりさせないでよ……」
キスどころか自白のために身体をイジられそうになったが、さすがにこれは打ち明けない方が良いだろう。それに、中三女子に高一男子が手懐けられたなんて話、みっともなくて聞かせられない。いやまあ、俺の意思はあこが握っている様なものだが。
「ほら、出来たぞ。熱いから気をつけてな」
「うん。ありがと……」
出来たてのしじみ汁を冷ましつつチビチビ飲み始めるあこをじっと眺めながら、俺は昨日のあことの事を思い出していた。
「……どうしたのりゅう兄。あこの事じっと見て」
「うんや。なんでもない」
もしも、昨日と同じ事をあこに聞いたら、あこはなんて答えるだろうか。今のあこは昨日のあこが言っていた俺とのキスの件を覚えているのだろうか。仮に覚えているなら昨日と同じ答えをしてくるのだろうか。
色々と考えながら、俺は何となくを装ってあこに尋ねてみた。
「なあ、あこ」
「ん、なに?」
「もしさ、あこが燐子にキスされたら、あこはどうする?」
「んー……よく分かんないけど、あこは何もしないと思う」
しじみ汁を飲みながら、あこは何となしに答える。俺がその答えの理由を問うと、あこは俺から目を逸らして答えた。
「りんりんは親友だから、キスぐらいじゃ嫌いになれないと思う。そ、それに……初めてのちゅーはりゅう兄にあげてるから、その……あんまり気にしなくても良いって言うか……」
「分かった。あこの言いたい事は十分に分かった。ありがと」
段々と顔が赤くなっていくあこ。そして俺の顔も赤くなっていった。顔が熱い。
俺とあこがお互いに顔を赤くする事数分。気まずい雰囲気が両者の間に流れる様を肌で感じながら、あこが味噌汁を飲み終えるのを待った。
「けふッ……ご馳走様」
「おう、お粗末さま。どうだ?気分は」
「少しよくなった気がする」
「それは良かった」
あこの顔色は朝より断然良くなっていた。九割回復したと見て良さそうだった。
一先ず、これでこちらの方は落ち着いただろう。後は……日菜先輩の事だけだ。
「日菜先輩に見舞いでも持って行くか。あこ、ちょっとスーパー行ってくるからまた留守番頼めるか?」
「あこも行く!」
「ん、そうか」
どうやらあこも付いて来てくれるようだ。心強い。
そうして俺はあこを連れてショッピングモールにやって来た。平日の午前中だからか中はやけに空いていて、電気屋もフードコートもスーパーも、休日に比べて客数が半分くらいだった。
そんなショッピングモールの中をスイスイと進んでいき、目当てのスーパーに辿り着く。いつも通る魚売り場や精肉売り場は飛ばしていき、ゼリーなどがある菓子売り場へ向かった。
「取り敢えずみかんゼリーで良いか。あこはお菓子どれにする?」
「これ!」
瞳を輝かせながらあこが手に持って来たのは神羅○象チョコだった。数あるウエハース菓子の中からこの一品を持ってくる辺りにセンスを感じる。
買い物カゴの中にあこのお菓子と日菜先輩へのお見舞いの品を詰めた後、俺はレジに向かい会計を済ませる。その荷物をサッカー台で詰めていると、向かい側に見覚えのあるエメラルドグリーンの髪が俺の視界に写った。
「え、紗夜先輩?」
「え、神楽君?」
まさかの人と鉢合わせをした。
1ターンお休み回。竜介君には一度休んで欲しかったので。高一男子に昼ドラドロドロ展開はちょっと重すぎたかなと反省。魔王様とセットで休んで。
そしたらまた今度死地にぶっこむから(無慈悲)。
前回の魔王モード我が魔王はお酒ブーストによるフルバーストが原因でしたと。ファーストキスと初めてのちゅーの言い回しが好き。可愛い。早く結婚して。魔王様ぐう聖。魔王なのに聖とはこれ如何に。聖堕天使だから良いのか(自己解決)