【完結】いちばん小さな大魔王!   作:コントラポストは全てを解決する

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記念すべき50奏目は友希那様に飾っていただくにしましょう。

評価者数が70に達しました。やったぜ。☆のゲージって何人越えしたら色が変わるの?やっぱ100人とか目指さなきゃダメ?無理やん。あと何人の女の子病ませれば良いの。いっそ主人公を病ませようか。


第50奏 猫好きで幼馴染のポンコツお姉さん

 美咲の家を出た後、スーパーで夕飯の材料を買い、家に帰って来た。家の鍵を持って解錠の方に鍵を回すが、開く感覚はなく。どうやら家の鍵を閉め忘れていたようだ。

 家に入り、リビングの方から聞こえて来るカメラのシャッター音に傾げつつ、俺は部屋のドアノブを捻った。

 

「そうよニャン吉!貴方の覚悟、もっと見せてみなさい!」

「あんた人ん家来て何しとん?」

 

 一眼レフカメラと三脚を手に寝そべり、我が家の愛猫にポーズをとらせて写真を撮るユキ姉がそこにいた。

 ニャン吉はニャン吉でなぜ優雅にポーズをとっているのか。もしかして俺の猫愛が足りなくて、ニャン吉に寂ししい思いをさせていたからこうなったの?(バカ)

 

「あら、お帰りなさい。お邪魔させて貰ってるわ」

「次来る時はちゃんと連絡してね?泥棒入ったかと思ってびっくりしたんよ?」

「それは悪い事をしたわね」

 

 ユキ姉は謝った。ニャン吉を撮りながらだけれど。

 

「もう少しこう……顔を斜め上に……そう!そこよ!そのままジッとしていなさい」

 

 我が家の愛猫は頭が良い。人の言葉を理解しているし、必要とあらばジェスチャーで自分の感情を伝えて来る。餌の時間になれば俺にご飯をせがんでくるし、家主を退屈させないよう時折気遣いで甘えて来る。それぐらいには優れているのだ。

 それにしても、うちに訪れた時のユキ姉は本当にキャラ崩壊が激しい。Roseliaに全てを掛けるユキ姉は何処へ行ったのか。

 

「お願いだから、あこにはこんな姿見せないでよ?ユキ姉に憧れてRoseliaに入ったんだから」

「大丈夫よ。ちゃんと切り替えは出来るから」

「じゃあ今度ライブの時にニャン吉連れてって良いか?」

「……平気よ」

 

 ユキ姉は俺から目を逸らして答えた。これは無理だろう。次のライブが楽しみだ。

 

「それにしても、不思議なものね」

「何が?」

「貴方と私は幼馴染なのに、私があこの事を知らないでいた事よ」

「ああ、なるほど」

 

 俺とユキ姉が出会ったのは、小学三年生の時。父親から送られて来た音楽フェスのチケットを持って、一人会場に訪れた時に、リサ姉とセットで出会ったのだ。それからお互いの家で交流を交わし、今の関係を築いている。

 

「私達に隠れて他の女とよろしくやってる事を知った時はかなり荒れたわ。リサが」

「面目ないっす」

「それなのに貴方は、人の気持ちも知らずにあっちこっちで女を引っ掛けて……今は異性の幼馴染みが何人いたかしら?」

「……十一人です」

 

 改めて数えてみると、かなり幼馴染の数が多い。しかも全員異性と来た。おかしい、幼稚園や小学校の時はクラスに男がいたはずなのに、どうして俺は交流を交わさなかったのだろうか。

 

「口説いて来た女の数は知れず、なのに心身は女の様に育ち、でも好きな相手は女性。炊事洗濯とお菓子作りが出来て想い人が異性?言ってみなさい、貴方の得意なお菓子は?」

「マカロンです」

「女の私より女っぽいとはどう言う了見かしら」

「知らないよ」

 

 そう言えばリサ姉とマカロンの作り方を教える約束をしていたのをすっかり忘れていた。今度教えなければ。

 

「貴方を今日から私の家の家政婦にするわ。ついてらっしゃい」

「嫌です」

「最近お母さんが『そろそろ友希那もご飯くらい作れるようになりなさい』ってうるさいの。どうにかしてちょうだい」

「料理出来るようになれ」

 

 湊家の家庭事情なんか知らない。友希那ママがようやく音楽だけじゃ生きていけない事に気付いたようだが、俺にはどうする事も出来ない。

 

「お母さんは貴方を私の婿に取る気でいるわ。早くしないと手遅れになるわよ?」

「それは忠告?それともユキ姉のお可愛い妄想かい?」

「忠告よ。実際私も悪くないと思ってるわ」

 

 猫好きで幼馴染のポンコツお姉さんが俺に求婚してくる。しかも、これ自分が楽出来るからって理由だ。

 

「私は音楽以外の事にかまをかてける暇はないの。つべこべ言わず私について来なさい」

「じゃあ猫に構ってる暇もないって事だな。写真はぼっしゅ──」

「料理くらい極めてみせるわ」

 

 何たる意思の弱さ──意思の強さか。はてさてどちらだろうか。サイコロは振られない。

 俺はカメラに伸ばした手を引っ込めた。

 

「て言うかこのカメラどうしたの?」

「お父さんがバンドを組んでいた頃、メンバーの人から譲り受けたらしいわ。それで、その人が貴方のお父様よ」

「へえ……はっ?ユキ姉のお父さんのバンドメンバーに俺の親父がいたの?」

「そうらしいわ。今は世界中を飛び回ってるって」

 

 長年家に帰って来ないと思っていたら、どうやら世界を股にかけて活動していたらしい。どうりで爺ちゃんの葬式にも来ないわけだ。それにユキ姉と出会ったあの音楽フェスのチケットにも合点がいった。おそらくあそこに父さんがいたのだろう。

 

「まあ、仕送りさえ送って貰えてればいっか」

「冷たいのね」

「子供の頃はほとんど爺ちゃんといたからなー。今更父親だぞって来られても気づけるかどうか……」

 

 幼馴染に勝手に家の鍵を預ける父親の顔も見てみたいとは思うが、他人行儀になってしまいそうだ。

 

「それと、もう一つ。貴方のお父様の親友に“氷川”って人がいたそうよ」

「……あーはいはい。そう言う事ね。あれでも、前に身体壊してギター続けられなくなったって聞いたんだけど」

「それ、ただの勘違いだったらしいわ。でも、ギターは竜介に授けるって」

「なるほど」

 

 今でも呪われないかとビクビクしていたのだが、もう怯える必要はないらしい。

 

「それと──」

「まだあるの?」

「ええ。この際だから言っておくけど、貴方のお母様、今はお父様と離婚して女優をやっているそうよ」

 

 母方まで芸能界所属。だから東京にこんな大きい一戸建て持てたのか。

 

「女優って言うと……千聖先輩の、とか?」

「さすがにそれはないと思うわ」

「だよねー」

 

 ここまで面白い程繋がっていたので、千聖先輩俺の姉説を提唱してみたが、さすがになかったようだ。今度ダメ元で千聖先輩に聞いてみようか。

 カメラでニャン吉を撮り終え、満足いった顔で椅子に座るユキ姉を見ながら、千聖先輩の顔を思い浮かべた。

 

「コーヒー淹れる?」

「砂糖いっぱいね」

「はいはい」

 

 台所でインスタントのコーヒーを淹れ、ユキ姉の元まで持っていった。角砂糖山盛りで。

 

「ありがとう。そう言えば、最近ギターの調子はどうなのかしら?」

「そこそこかな。日菜先輩と紗夜先輩の指導に必死にしがみついて行ってる感じ」

 

 紗夜先輩の鬼指導に、日菜先輩のプロのお手本。ギター指導にはこれ以上ない逸材だが、如何せんスパルタ過ぎる。主に紗夜先輩が。

 

「貴方は器用だし、すぐ上達するわよ」

「ユキ姉は不器用だもんね」

「だから貴方を連れて行こうとしてるのよ。記憶でも消せばついて来てくれるかしら」

「おぉー怖い」

 

 ユキ姉は俺の記憶を消そうと一眼レフカメラの角を向けるが、俺には効かない。多分消されても思い出すから。

 

「私とあの子、何が違うのかしら。身長以外の体格に差はないと思うのだけれど」

「自分で言ってて悲しくならない?」

「うるさいわね」

 

 お子様ボディーに魔王のハートか。

 お子様ボディーにハートビートか。

 どちらかを問われたなら、俺は迷わず前者を選ぶ。

 

「てかさ、俺がユキ姉に嫁いだら、それこそリサ姉が荒れないか?」

「それくらい平気よ。私がどうにかするわ。だから安心していらっしゃい」

「愛がないから嫌だ」

 

 音楽と真正面から向き合うユキ姉を支えるのも悪くないと思うが、俺にはあこがいるのでやっぱりユキ姉にはお一人でお帰り頂きたい。

 俺は絶対的正義(Roseliaの魔王様)を胸に、ユキ姉のお願いを断った。

 

「そう言えばユキ姉、今週末数学の追試じゃなかった?勉強しなくて良いの?」

「ああ、そうだったわね。教えてくれるかしら」

「俺高一なんだけど」

「大丈夫よ」

 

 この絶対的な信頼は何なのだろうか。

 ユキ姉に教科書を貸して貰い、俺は頑張って勉強を教えた。高一に教えを乞う高二。何ともおバカな図だった。

 

 

 ___

 

 

 

「もしかしたら俺はユキ姉の家に嫁ぐ事になるかもしれん」

「えっ」

 

 晩飯時。隣で宿敵(ピーマン)を切り刻むあこに向かって、俺はif世界のお話をしてみた。

 記憶を消され、都合のいい家政婦人形になった俺を、ユキ姉がかっさらって行く。そしてそのまま生涯ユキ姉の隣を無理矢理寄り添わされるのだ。あのポンコツお姉さんの世話を焼いてみたいと言う願望も無きにしも非ずだが、やはり俺はあこの隣を歩きたい。

 

「俺が仮にそうなったら、家はどうすれば良いんだろうな。あこにあげれば良いのか?それとも売れば良いのか?」

 

 あくまでもしもの話だが、俺がユキ姉に負けた後の事はどうするべきなのだろう。

 家の事はもちろんだが、一番気になるのはあこの出方だ。もうある程度の家事はこなせる様になったし、何処に出しても恥ずかしくないが、あこ自身はどう思ってるのだろうか。

 

「りゅ、りゅう兄はお婿に行っちゃダメ!ずっとあこのけん属なんだからね!」

「なるほど」

 

 結論。どうやら俺は何処にも嫁げないらしい。

 大魔王あこ姫曰く、俺は四天王の中でも最強クラスなので、あこ姫の元から離れられないとの事。他の四天王が気になるけど、多分いないだろう。その場のノリ感が否めなかったから。取り敢えず可愛い。

 

 




四話連続出オチですまぬ。お友達編だから許して。
友希那先輩のキャラ崩壊が激しいですがご了承ください。あくまでお友達にはプライベートのほのぼのした感じをお送りしたいので。じゃなきゃこの小説に病みタグつけなきゃいけなくなっちゃう。
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