【完結】いちばん小さな大魔王!   作:コントラポストは全てを解決する

55 / 95
ドラゴンにラビットを寝盗られたタンク君可哀想。

はつひこはメタルビルドを応援しています。


第52奏 一番クジラストワン賞:ラビッ〇ドラゴン

 今朝、カラスに糞を落とされかけた。あの糞が目前スレスレを通っていくあれだ。あれが今朝起こった。隣のあこには目もくれず、真っ先に俺を狙った糞だった。我が魔王を狙わなかったのは褒めて使わそう。でなきゃ今頃あのカラス(あいつ)は手羽先になっていたと言うもの。

 

 可愛い今朝のお戯れは置いておき。

 さて、本日皆々様に集まって頂いたのは他でもない、俺の周囲の男女比率についてだ。男女比率と言ってはみたものの、その比率は9.9:0.1。俺以外女の人と来た。何処のギャルゲーだこんちくしょう。俺は生涯メインヒロイン(あこ)に尽くすと決めてんだ、はよ男友達を寄越せ。

 最近、バンド系アニメを見た。高校入学を機にバンドを組み、香澄の様にキラキラドキドキを探す女の子が主人公のアニメ。それのセカンドシーズンがまあ酷い。男のおの字もないと来た。関係ないけど、あのアニメで一番好きだったのは商店街のお婆ちゃん。

 

 ……ここまで語れば察しの良い人は分かるだろう。そう、俺は正に、その世界に一人ぶちこまれた男の様なものなのだ。しかも、俺の容姿は女寄り。見方によっては百合も狙える、そんな状況なのだ。

 一体誰の意向でこんな事になっているのか。神か悪魔かはたまた魔王か。

 取りあえず、俺は男友達が欲しいのだ。

 

「てなわけで、どうにか男を増やせないでしょうか。生徒会様」

「えっと……私に言われても……」

 

 取りあえず生徒会の目安箱とつぐみに訴えかけてみたは良いものの、如何せん反応がよろしくない。俺は男友達が欲しいだけなのに、どうして誰も答えてくれないのだろう。やはり理事長に問いかけるべきだったか。

 

「彩先輩にも言ったんだけどさ、俺は一緒に部活で切磋琢磨したり、原付で男だけの一夜走りとかをしたいわけなのよ。どうにかして増やせないものかね」

「うーんと……取りあえず会議が終わってからで良いかな?」

 

 ほんの少し威圧の篭った声で、つぐみが登山遠足係員会議と書かれた資料を見ながら言った。そう言えば俺もお茶汲み役で生徒会室(ここ)に呼ばれていたんだった。

 登山遠足──二週間後に控えた山岳行事。一泊二日を予定しており、高等部一年と中等部三年が班を組んで挑むことになっている。今回はその係員会議を行っているのだ。

 各クラス学外行事係りと生徒会が集まり、人数バランスだとか、登山ルートを下見する日程などを話し合っている。その中でも、一番進みの悪い議題と言うのがあって──

 

「さて、第三回まで引き伸ばしになっている神楽君の宿泊部屋についてですが……」

 

 それは、俺と言うイレギュラーの部屋をどうするかである。

 羽丘が共学化して半年。俺の代から男子が少なからず入学する……予定だったこの学校では、男子は男子で固めてしまおうと踏んでいたらしい。だが、生憎様に男は俺一人。このままだと俺がボッチになってしまうと生徒会長が気遣い、俺の部屋当てに会議を三回分犠牲にしてくれているのだ。

 

「やっぱ今からでも男子拉致って来るか、男教師と相部屋にしましょう?俺別にそれで良いっすよ。生徒会長」

「さすがにそれはあんまりだと思うのですが……」

「じゃあ、先生にお任せします?」

 

 生徒会執行部顧問の先生に視線を送るが、お前らに一任すると視線を返されてしまう。

 

「じゃあ、やっぱり巴辺りと部屋一緒にします?」

「それが一番妥当なのですが……」

 

 今度は視線をつぐみへと送る。理由はシンプルで、俺が巴と部屋を一緒になろうとすると、何故かつぐみが俺と相部屋になろうと立候補してくるのだ。何でも、俺が巴を襲うかもしれないから代わりに自分が……とそう言う事らしい。俺の信頼がまあ低い事低い事。どちらかと言えば襲われる側な気もするが。まさかつぐみは俺と相部屋になった後、俺を襲う気なのだろうか。さすがむっつぐ。

 

「竜介君?」

「さーせん」

 

 さすがのつぐみもそのつもりは無いらしい。

 

「つぐみの中で、俺ってそんな信頼ないものなのか?」

「別に、そう言うわけじゃないけど。なんかずるい……

「いやずるいって言われても」

 

 何がどうしてずるいのだろうか。俺には良く分からないが、俺と巴が同じ部屋になると何か不都合があるのかもしれない。では、不都合とはなんなのだろうか……分からない。

 

「もう公平にくじ引きで相手決めません?」

「それしかないですね」

 

 生徒会長もこの反応。やはり困った時は運頼み。

 生徒会長曰く、範囲は中等部三年限定。くじ引きを引いて、その相手の了承が取れたら班決定との事らしい。範囲が中等部限定なのは、元々この企画が中等部と高等部の親睦を目的としているかららしい。何にせよ、これで長きに渡る俺の班決め会議が終わった。やっとお茶汲み役から開放される。

 

 

 ___

 

 

 

「──そう言うわけで、明日俺の相部屋相手を決めるためのくじ引きが一学年単位で行われます」

「それは……儚いね」

 

 夕日が見える放課後の事。俺は演劇部部室にてポテチを食べながら、昼休みに起こった出来事を薫先輩に話していた。

 勢いとその場のノリで可決したくじ引き案だが、いざ事細やかに紐解いてみると、中々ぶっとんだ試みだった事が分かった。まず、中等部三年全てに向けたくじ引き用紙の発行と、くじを引く際不正がないようにと選挙で使うあのクソデカ銀ボックスを使うらしく、今その使用申請を生徒会が出しているらしい。スケールが壮大すぎる。

 

「ロミオが狙うのは、やはり魔姫一択なのかい?」

「当たり前じゃないですか。いやー最初は巴を誘うか新しく男子生徒を迎え入れるかで会議してたんですけど、まさかこんな事になるとは……」

「嬉しそうじゃないか」

「当然です」

 

 知らない人より知っている人と組んだ方が絶対楽しい。学外行事の常識。

 

「でも、今一緒の家に住んでるのと、中等部と高等部の親睦って意味では薄いんですよねー。そう言う意味では他の人の方が良いのかなーと。でも、見ず知らずの俺を受け入れる子なんていますかね?」

「大丈夫さ。ロミオは私が見込んだ儚い演者。君のために聖戦さえ開幕してしまう。嗚呼、なんて儚いんだ……」

 

 薫先輩曰く、俺は人気の演劇部員だから、皆から避けられるなんて事態にはならないとの事。と言うか、ワンチャン俺を巡って争いが起きるかもしれないらしい。俺を巡って争いとはこれ如何に。穏やかじゃないですね。

 もしかすると、大人しく巴かつぐみとペアを組むのが最適解だったりしたのだろうか。くじ引きに当選するために皆が争いを起こす……なんて事になったら、俺はどう責任を取れば良いのだろう。

 

「大人しくつぐみと相部屋になっとけば良かったかなぁ……」

「ふふっ。儚いね……」

 

 どうしよう。薫先輩が儚いとしか言ってくれない。よく見たら顔が引きつっている。本当にやばいかもしれない。

 明日血みどろの殺し合いが起きるんだ。薫先輩似の演劇部員との相部屋を狙って、女同士の血みどろバトルファイトが開催されるんだ。統制者が黙ってないぞ。

 俺はなんとしてもあこの隣を引き当てなくてなくてはならない。運命と戦うのだ。

 しかし、俺が相手をするのは中等部三年と言う一つの軍隊。一クラス三十六人が四セット……百四四人が相手と来た。百四四分の一とか確率が低すぎる。負ける気しかしねぇ。

 

「うぉー……今から手汗がやばい……。緊張して来た」

「なんか面白そうなお話してますね」

「麻弥さん……」

 

 俺が手に汗握って緊張を抑えていると、機材メンテをしていた麻弥さんがひょっこり現れた。右手にレンチ、左手にドライバーを握り締めており、頬には黒煤が付いていて大変ベリーキュートだった。

 

「何の話してたんですか?」

「お泊り遠足の俺の相部屋相手の話です。明日くじ引きで決めます」

「それはまた荒れそうっすね」

「やっぱり荒れちゃいますか」

 

 どう足掻いても荒れるのは確実らしい。麻弥さんの呆れた目が全てを語っていた。やはり巴か男かで悩んでた俺に間違いはなかったようだ。

 

「良いっすね、神楽さんとの相部屋。お菓子くれそうっす」

「お菓子あげるだけで良い人基準なんて、麻弥さん尻軽っすね」

「お説教が必要っすかね?」

「冗談です」

 

 可愛い可愛い竜介君ジョークを言っただけなのに麻弥さんが怖い。お説教とか言いながら思いっきりレンチ振りかぶってる。下手すれば千聖先輩より……いや、千聖先輩はそこまで怖くない。壁ドンすれば大人しくなる。

 隣で笑ってる薫先輩には今度魔法少女の衣装を着せようと思った。

 

「落ち着いてください麻弥さん。麻弥さんのファンである俺がそんな事思ってるわけないじゃないですか」

「信用ならないっす」

「わぁお」

 

 かつて偉い人は言った。信用と信頼は違うと。

 信用は物として信じてるだけで、人を心から信じている信頼とは別であると。つまり俺は物としても利用価値がないらしい。

 麻弥さんにとって俺は、グッズとライブに貢いでくれる金馬でしかないのだ。

 

「麻弥さんほんと悪じょ──すいません冗談ですからその無言で振りかぶってるレンチを下げて。あとジリジリ近寄って…………助けて薫先輩!」

「儚い」

「レンチこそ正義。正義こそルール。ルールこそジブンっす」

 

 頭の片隅にどり〜む☆かおるんの主題歌が思い浮かんだ。走馬灯がこれとか悲しすぎる。

 それと麻弥さんが世紀末めいた事を言い始めた。レンチは正義なのだろうか。

 

「戦略的撤退ッ!」

 

 これ以上ここに居たらやられてしまう。なので俺は逃げる事にした。

 ちなみにこの後麻弥さんに土下座した。ショッピングモールにある、あの少しお高い喫茶店のケーキで許して貰える事となった。お財布にダメージ。でも麻弥さんは天使。

 

 




ネタとノリと勢いとメタで出来た回。そろそろ薫君をどり〜む☆かおるんにしたい。絶対似合うから。プリキュアのイケメン枠に絶対合うから。
きーらーめーくー、ほーしーのーちからでー、あこがーれーのー、わーたーしーえがくよー。
ティンクル、ティンクールプリキュア。
ティンクル、ティンクールプリキュア。
スータァーティンクールー、スータァーティンクールプリキュッーアーアァー。


消されたらごめん(泣)

最近絵を描く時に使ってたタッチペンが壊れました。もう挿絵描けない……。百均のディスク型タッチペン……お気に入りだったのに……。悲しみ。

いちばん小さな大魔王!今日の格言。

レンチは正義
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。