【完結】いちばん小さな大魔王!   作:コントラポストは全てを解決する

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最近ピアノでロングロングアゴーを練習し始めました。指の間接が固くて引きにくい。
うずら飼いたい。


第56奏 対乙女的盗撮卿最終兵器:ドラゴンネイト・ゴッドバスター

 清々しい程真っ赤に染まる空。屋上を突き抜ける爽やかな風。青春を生きるに相応しいシチュエーションだった。だが、そんな青春の一幕には似つかわしくない気迫を纏った少女が二人。

 

「蘭〜話ってなに〜?」

 

 対峙する少女の一人、青葉モカは相手の少女に向かって質問を投げかける。本当は呼び出された理由など分かっているが、蘭を怒らせてしまった事から逃げたくて、本題に入るまでの時間を出来るだけ稼いだ。

 

「……今日、ずっと写真探してたでしょ。」

 

 片やもう一人の少女、美竹蘭は『本当は全部分かってるでしょ』と視線で訴えながら、モカに写真の真相を問う。

 

「写真〜?何のこと〜?」

 

 モカの思い(病み)を暴かれたくなくて、苦し紛れの白を切る行為を取るが、蘭はそれをため息で一蹴した。

 

「写真、いらないなら捨てちゃうけど」

「ッ!?」

 

 目に見て分かる反応をモカは蘭に返してしまう。

 

「……怒ってる〜?」

「怒ってる」

 

 蘭は何ともないように言うが、その瞳の奥には怒りの青焔がしっかりと燃えていた。

 やはり、竜介の写真を勝手に撮った事を怒っているらしい。だがそれもそうだろう。盗撮なんて気持ち悪い事この上ない。

 モカも自分自身が異常者だと言う自覚はあった。ただ、それでも竜介の存在は必要なのだ。

 

 小学五年生の頃、竜介が好きでたくさんアプローチを掛けた。自分自身が可愛い可愛いと冗談混じりに竜介に言い聞かせ、楽しく毎日を過ごしていた。

 でも、それを良く思わない人もいたらしく、その人達から軽い弄りを……いや、イジメと言う名の軽犯罪を受けた。物を隠されたり、悪口を言われたり、それが書いてあるノートを見つけたり。一番酷い時は、分かりやすく無視をされたりもした。

 しばらくそれが続いて、そしてイジメが先生に見つかって、クラス会議にまで発展した。それから時間が経っても、クラスの人とはあまり話せずじまい。

 女子からも男子からも、異質な物を見る目を向けられる様になった。もちろん例外も数人いたが。

 そんな息苦しい状況のクラス内で、竜介の隣だけが憩いの場所だった。幸いな事に席も隣同士だったし、竜介も周りに流されない性格だったので、まともな日々を送る事が出来た。

 自分の味方だったのだ。竜介だけが、

 

「りー君はさ、あたしにとって、心の安息地帯なんだ」

「じゃあ、竜介の隣にずっといればいいじゃん。なんでわざわざ写真撮るの?」

「だって、迷惑になっちゃうでしょ」

 

 竜介の隣を陣取る事はせず、写真を撮るだけにする。それがモカの中での規則だった。

 

「……ごめん。気持ち悪いよねー……あはは……」

「モカ」

 

 蘭がそうモカの名前を呼びながら、ゆっくりモカの方に歩いて来る。

 きっとぶたれるんだとモカは悟り、キュッと目を閉じた。

 

「──ッ」

 

 次の瞬間、モカは誰かに頭を撫でられた。

 そっと目を開け、自分の頭を撫でる幼馴染の顔を見る。

 

「……蘭?」

「なに」

「怒ってるんじゃないの?」

「怒ってる」

 

 訳が分からなかった。蘭は竜介を盗撮された事に怒ってる筈だ。そしてその犯人が目の前にいる。何故ぶつのではなく撫でるのか。

 自分がおかしいのは自覚している。自分のやった行動が蘭に嫌悪感を抱かせたのも理解した。でも、蘭の行動だけは真意が分からなかった。

 

「なんで……」

「元気ないとき、こうされると元気出るから。あたしも竜介にされてる。最近してくれないけど」

「そうじゃなくて……。蘭は、あたしがリー君の写真撮ってた事を気持ち悪いって思ってたんじゃないの?」

「え、全然」

 

 蘭の返答に思わず「えっ……」と声が漏れた。

 

「竜介から、小五の時の事全部聞いた。なんで頼ってくれなかったの?皆いたのに。あたしはその事に怒ってる」

「蘭……」

 

 そう言う事だったのかと、モカは心の中で理解した。

 

「言えないよ……。だって、全部あたしが悪かったんだし」

「いじめた方に全責任押し付けて良いって竜介が言ってた」

「それは、そうかもしれないけどさー……」

 

 今日の蘭は強い。竜介から助言と言う名のバフを授かっている。

 本当はモカが蘭を追い詰めてる筈だったのに、気づけば立場が逆転していた。蘭にパンを奢らせようとしていた昨晩がもう懐かしい。

 結局、蘭の強さにモカは言葉を返すことが出来なかった。

 そんなモカに蘭が微笑みながら言う。

 

「モカは何も悪くない。全部相手のせい。それに、写真だったらいつでもプリクラ撮ってやるって竜介も言ってた。だから、モカがコソコソ何かする必要もない」

「……そっか」

 

 蘭の言葉に、心の枷が外れていく感覚を覚えた。

 竜介に写真の事はバレてしまったが、黒歴史と言う事にして後で写真は処理をしておこうと、モカは心の中で固く誓う。

 

「蘭がそこまで言うなら~、モカちゃんもリー君を撮るのをやめようかな~。でもいいの~?モカちゃん、結構面倒くさいよ~」

「いいよ。今更だし」

「え~酷~い」

 

 小学校からの付き合いである幼馴染が冗談交じりにそう笑って言った。モカも緩い笑顔を返す。そうした後に、思い切り蘭に抱きついた。ギターで少し鍛えられた腕の感触が心地いい。

 

「そう言えばさ~蘭はモカちゃんの写真を何処に隠したのかな~」

「竜介に渡した」

「……えっ」

 

 この幼馴染、とんでもない事をしてくれた。竜介に盗撮がバレてしまったのは仕方ないとモカは思っていたが、その現物を渡されたとなると話が違って来る。

 

「明日回収しなきゃね~」

「あたしが貰ってこようか?」

「大丈夫~」

 

 明日、特大ミッションをこなさなければならなくなった。

 最終兵器に値する竜介から、どう写真を取り返そうかとモカは頭の中で作戦を練るが、如何せん勝てる気がしない。はたして写真は取り返せるのだろうか。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 十月、某火曜日の夕暮れ時。あこがハートの描かれたオムライスを作って俺の所に持ってきた。いや、ハートはいかんでしょ。そうやってすぐ男子を勘違いさせに行くの良くない。本当に良くない。この笑顔が可愛い魔王様め。

 まあそれにしても見事なハートだこと。一瞬頭の中で小四の時に起こったハートチョコバー○ヤン事件が過ぎったが、これは仕返しのチャンスなのだろうか。正解は否だ。そんな事した暁には、びんたとぱんちを貰った後、ゲーミングPCと共にあこが引きこもるバッドエンドが訪れることだろう。

 

 最近、あこのためにデスクップ型ゲーミングPCをグーでグルなサイトとアキバの力を借りて作ったが、あこはどう思ってるのだろうか。一応金に物を言わせ、店員おススメの最新パーツをフル投入したのだが。グラフィックも音も処理能力も、我が家にあるインターネット端末の中ではぴか一の性能を誇っている。正に魔王の玉座に相応しい逸品。玉座と言うか、ゲーミングチェアだけども。

 ゲーミングヘッドセットにゲーミングチェア、最新スペックのゲーミングPC。バイト代溜めてた口座の金が半分消し飛んだが、まあ……あこのためだし(馬鹿)

 取り敢えず何でもゲーミング付ければ良いって物ではない。

 

 徒話はさておいて(フル装備した魔王は最強)

 

 このオムライスを俺に食せと言うのだろうか。写真撮ってラップして一週間は飾っておきたくなるこの宝物を、今此処で食せと言うのだろうか。

 

「りゅう兄、食べないの?」

 

 純粋の中の純粋、ピュアオブザピュアな目で俺を見てくるあこ。魔眼が俺にスプーンを握らせる。

 

「いた、だきます……」

 

 オムライスを一口。当然ながら美味しい。何故ならあこはポテンシャルの塊だから。

 正直言ってこの上達速度はずるいと思う。天は人にニ物を与えない筈では。

 

「美味しいです」

「やった!」

 

 あこの笑顔と料理の美味しさが、俺の目と胃を掴んで離さない。がっちりホールドされている。プロレスラーもびっくりな程に。

 俺に褒められたあこは、喜びの気持ちを胸にマグカップの中の紅茶を飲んだ。そのカップはやはりイルカの取っ手の物だった。

 




イジメじゃなくてさ、恐喝とか窃盗とか、名誉毀損って言う罪名で教育したほうが良いと思うんだよね。いじめって、なんか言葉の重みが軽いじゃん?
「○君も謝ったんだから許してあげなさい」って言う先生は一回修行して来た方が良いと思う。許すかどうか決めるのはこっちじゃいボケィ。
なんか凄い久しぶりに真面目な話をした。イジメはいかんよ。絶対に。
肉(団子)のお兄さんとの約束だぞ!

蘭モカええなー。あこりん派だけど心変わりしそうになる。

ゲーミングのゲシュタルト崩壊。

あこ姫の待遇が良すぎて一家に一台神楽竜介の文字を掲げたくなった。わっしょいわっしょい。
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