【完結】いちばん小さな大魔王! 作:コントラポストは全てを解決する
正直これ書くのめっちゃ疲れるんだぜ。1回やってみ?
──おねーちゃん!お誕生日おめでとう!
数年前、姉に誕生日プレゼントでマグカップをあげた。頑張ってお小遣いを溜めて買った、紅色のマグカップ。
姉はとても喜んでくれた。一生大事にすると、大げさな事を言って。でも、言葉通り、一番のお気に入りにしてくれていた。
あこはそれが嬉しかった。憧れの姉に喜んで貰えた事。憧れの姉を笑顔に出来た事。全部全部嬉しかった。姉が母親にマグカップの事を自慢しているのを見た時は、何処か誇らしい気持ちにもなった。
それから時が経っても、姉はそのマグカップ使い続けていた。
でも、そのマグカップも壊れてしまった。いや、壊してしまった。
あこが皿洗いをしている時に、手を滑らして落としてしまったのだ。
大切にされていた姉の思い出は、パリンと言う軽い音と共に、あこの心も一緒に巻き込んで、簡単に壊れていった。
当然姉に謝った。姉は気にしなくて良いと許してくれたが、その顔は酷く悲しそうだった。一番大切にしていた物を壊されたのだ。悲しんで当然だ。
自分が許せなかった。姉の大切な物を壊し、それを咎められなかった事に安堵した自分を殴りたかった。
このままここにいたら、自分はまた姉の大切な物を壊してしまう。そう思い至り、中学三年生で身寄りも貯蓄も心もとないが家出を決意した。最低限の荷物を纏め、家を飛び出したのだ。
行く宛てもなくただフラフラと歩いていると、目の前に竜介の家があった。そして、その目の前でひまりにあったのだ。
どうやら巴に頼まれてやって来たらしかったが、何故あこが竜介の家に訪れた事を知っていたのかは分からなかった。
ひまりの事情は分からなかったが、もしかしたらしばらく会えなくなるかもしれないと思うと、相手の事情なんてどうでも良くなった。そして、一緒に竜介の家に行った。
勉強を教えて貰って、最後だからと目一杯に甘えて。そうして時間を潰して行く内に夕方になっていた。竜介が帰らないのかを問うて来たが、当然ながらNOと──いや、帰りたくないと答えた。そのまま話は進み、あこは竜介の家でしばらく寝泊りする事に。
行く宛てのないあこには、何とも都合のいい展開だった。けれど、それも当然である。あこが無意識に、こうなる事を望んで竜介の家に訪れたのだから。
竜介は何があっても自分の味方でいてくれる。あこはその想いを利用したのだ。
それから時は経ち、自分が犯した過ちも心が認め始め、姉と仲直りをした。仲直りをした後、姉に帰ってこいと言われたが断った。竜介の傍にいたかったのと恩返しがしたかったから。姉と仲直りするまで、竜介は面倒を見てくれた。あこはそのお礼がしたかったのだ。
けど、あこはいつの間にか竜介の色に染まっていたらしい。竜介が傍にいないと寂しさを覚えるようになっていたのだ。
竜介に会いたくて、竜介に触れて欲しくて、あこはまた過ちを犯した。
竜介があこのために作ってくれたお弁当を、あこはわざと忘れて行ったのだ。
あこは自分の味方でいてくれる竜介の想いをまた利用した。
思い返してみれば、あこは最低な事しかやって来ていない。
“大切”を壊し“大切”を利用し、また“大切”を壊す。
自分はワガママで、都合の悪い事から逃げる卑怯者で、何度も“大切”を壊す破壊者だ。
思い返してみて、やっと分かった。自分のすべき事が。
──あこは、誰とも居ない方がいい。
誰かと一緒にいたら、また何かを壊してしまう。最悪、その人自体を壊してしまうかもしれない。そう思い至ったら、誰かの隣が怖くなった。
自分の手で何かを壊して、それで嫌な思いをするのはもう懲り懲りだ。だったら、あこは未来永劫誰の傍にも近寄らず、一人でいる事を選ぶ。その方が安全で安心出来るから。
きっと皆も賛同してくれる筈だ。特に姉と竜介は顔色を良くして首を縦に振ってくれるだろう。だって、あこに大切な物を壊されているのだから。
そうと決まれば、早速家出の準備をしなければ。今度は誰の元にも行かず、一人でいられる場所に行こう。
リュックサックに衣類と財布と、思い出のドラムスティックと──必要な物を全部詰めて。心の中の寂しさと一緒に荷物をしまい込んで。あこは荷物を背中に背負った。自室のドアノブに手を掛けて、ドアを開ければ誰にも迷惑を掛ける事のない、自由な外の世界が──
出来る訳がなかった。
あこの頬に涙が伝う。薄暗い自室の締め切ったカーテンの隙間から雨が降る景色が視界に入る。
家出なんて、一人で生きていくなんて、中学三年生のあこには出来る筈がなかった。寂しくて、泣きたくて、怖くて、きっと暗い夜を何回も乗り切らなきゃ行けなくて。そんな世界に旅立つなんて、あこには無理な話であった。
でも、あこは現状をどうにか──いや、現状から逃げ出したかった。どこまで行っても卑怯者なあこは、今すぐに逃げ出したかった。
でも、今は部屋に籠る事しか出来ない。あこは、ドアの前で膝を抱え、蹲って震える事しか出来なかった。
魔王は──宇田川あこは臆病者である。
◇
あこが竜介の家に滞在する事が決まった時、竜介は心の底から喜んだ。あこと一緒に居られる喜び。同じ屋根の下で生活を共に出来る喜び。様々な喜びの感情が竜介の中に巡っていた。気を抜けば顔がにやけしまいそうな程だ。
毎朝起きればあこの笑顔が見れて、朝食を共に出来る。その後そのまま一緒に登校し、日常の他愛ない会話をしながらあこを送る。放課後は家であこの帰りを待ちながら夕飯の支度をし、帰って来たあことまた笑いながら夕飯を摂る。
そんな夢のような生活。文字通り、おはようからおやすみまでを共に出来る生活。気分が高揚しない方がおかしい話だった。だから、竜介は毎日を気にせず楽しんだ。
けれど、それが一つ目の過ち。
あこが何故竜介の家に訪れる事になったのか。あこが何を思って竜介の元に訪れたのか。それを竜介は何が何でも知っておかなければならなかった。しかし、竜介は理想の生活に現を抜かし、それを怠った。だから関係が壊れた。
竜介はあこの事情を無視し、弱っていたあこを利用したのだ。訳を認知していたいなかったとはいえ、最低な行いだった。
でも、それに気づいた時には全てが終わっていた。あこは家を飛び出し、家は真っ暗で空き家の様な寂しさ。自分一人しかいない家がそこにあった。
悲しい現実だ。人は失ってから初めて気付くとはよく言った物である。あことの生活を失って、あこの事を気にかけなければならなかった事に気付いた。そして、あこがいなければ自分は駄目な人間に落ちぶれてしまう事を思い出した。料理をすれば包丁で手を切り、裁縫をすれば縫い針を自分の肉に刺す。駄目駄目にも程がある。
竜介は、自分の落ち度に笑みを零した。もちろん嘲笑だ。何も出来ない自分自身に対しての。
一体、自分はどうすれば良かったのか。竜介は考える。
あこが家に初めて訪れた際、怒鳴ってでも良いから無理矢理事情を聞けば良かったのか。
それとも、巴と仲直りした際に家に送り返せば良かったのか。
全然分からなかった。でも、たった一つだけ、竜介はなさなければならない事があった。
それはあこの手を取ること。
あこが大切な物を壊してしまった時、竜介は隣であこの手を取らなければならなかった。
あこが飛び出した時、絶対に手を取らなければならなかった。
何が何でも、その手を掴まなければならなかったのだ。
それが少女と交わした約束──契約なのだから。
そしてこれが、二つ目の過ち。
竜介は締め切った薄暗い部屋で、今もずっと自分の手を見つめている。
誰も悪くなかった今回の件。でも、竜介だけは唯一罪を犯した。
大切な人との契約を破った。その事が竜介を歯噛みさせる。握った拳から血が出て来た。けど、そんな事どうだって良い。
今は、襲い来る懺悔の刻に身を委ねたかった。
あこちゃんは通りすがりの破壊者になりましたとさ。めでたしめでたし。カメンライドォ。
第7奏の裏側でっせー。これを機に第7奏もう一度見直そうや。きっと面白いから。全てを知ってから見るエグゼイドみたいにきっと面白いから。絶対ニヤけるぞ。僕はニヤけた。てか序盤の季節春設定にしてたの忘れてたわ。気づいたら夏休み終わってる。海水浴回やり忘れた……。
ぶっちゃけ竜介君から貰ったお金が有り余ってるからやろうと思えば数週間は出来るのよね家出。
今回は魔王と眷属君のダブルパンチ。
お互いに同じような事思ってるなーって。りゅうあこ可愛い。アスジクの次に推せる。
多分炎上すると思うけど、公式サイドで1回ストーリーに男をぶちこんで貰いたい。
そう言えばバンドリsideMってアプリ化するん?ずっと全裸待機してるんだけど。アルゴナビス(スペル知らん)かっこいいやんけ。個人的にはキー低めのダンディーバンドとか出てきて欲しい。