【完結】いちばん小さな大魔王! 作:コントラポストは全てを解決する
最終回でも良いと思う。更新止まったら察して。
絆、ネクサス。
思い返して見れば、出会いは恐ろしいほどに偶然だった。
かつて見た目も趣味も女の子ぽかった俺は、クラスの男子から弄られていた。それが嫌で仕方なかった。
そうやって嫌々に毎日を過ごしていたある日、いつも通り男子に弄られた俺は、気分転換のために偶々目に映った神社に立ち寄った。そこで彼女と出会ったのだ。
相変わらずこの頃から魔法陣やら、厨二発言やらをしていた彼女。今と違うのは、彼女の方が身長が高かった事だろうか。
変な口調で変な事をしている俺より背の高い女の子。
当時酷く心に傷を負っていた俺は、何故かその光景に元気を貰ったのを覚えている。
だから、俺は彼女に話し掛けた。
『こんな所で何してるの?』
『おねーちゃんみたいにカッコ良くなるためにとっくんしてるんだよ!』
『とっくん?』
『うん!』
女の子なのにカッコ良く……当時の俺は、俺と同じ彼女が分からなかった。
『ねえ、なんで君はカッコ良くなる事を隠さないの?クラスの人にバカにされないの?』
『うーん……たまに変なやつだーって言われるけど、気にしないよ』
『な、なんで?』
彼女は俺と同じだった。でも、同じだけど違った。
同じなのに眩しく笑っている彼女に、俺は必死に聞いた。どうしたらそう居られるのかを。そして返って来たのは、とても衝撃的な物だった。
『だって、ほかの人からどう言われたって、あこの好きは抑えられないもん。それに、好きなことを好きって言うのは、悪い事なの?』
その言葉を受けた俺は、身体に電流が走る感覚を覚えた。
『隠したって意味ないよ。だから、あこはあこの好きに全力をだすの』
『好きに……全力』
『うん!』
元気良く頷いて、彼女は眩しく笑って見せた。
『あ、あのね……僕、可愛いモノが好きなんだけど、その好きに全力になっても良いのかな……』
『大丈夫だよ!』
初めて真正面から俺を肯定してくれた彼女。
それから俺は、クラスの男子からの弄りを気にしなくなり、自分の好きな事をやり遂げていった。そうして行くうちに、俺は裁縫や家事を覚えて行ったのだ。
俺の考えを変えてくれた彼女とは、その時から何度も会うようになり、半年ほど経った時には互いの家に泊まり合う仲になっていた。
そして、もう何回目か分からないお泊まり会での事。
『ねえ、あこ』
『ん~?どうしたの?』
『僕、あこに出会えて良かったよ』
『漫画であった転校する時に言うセリフだ!……りゅうすけ転校しちゃうの!?』
驚きながら俺を見た彼女に、この時父性に近いモノを覚えたのは今でも忘れない。
『あはは……転校なんてしないよ』
『もお~びっくりさせないでよ。りゅうすけはもうあこのけんぞくなんだからね!』
『けんぞく……か』
あこの言う眷属と言うのは、親友とかそう言うなんだろうなと思って落ち込んだ。だが──
『けんぞくだよ。あこの一番たいせつな人なんだからね。いなくなっちゃダメだよ?』
『……うん、わかった』
その時の俺は酷く感動したのを覚えている。あこがそこまで俺の事を想っていてくれていたとは思っていなかったからだ。
『なんか、今怪しい間があった……。りゅうすけ、あことけいやくして!』
『け、契約?』
思い返せば、あこはこの頃から言葉の意味を把握するのが苦手だった。
『あこは……うたがわあこは、一生りゅうすけの手を離さないよ!絶対だからね!』
そして、この頃から俺を誑かすのが上手かった。
『……わかった。あこと契約するよ』
『うん!じゃあ、りゅうすけもけいやくの言葉言って!』
『うん』
ギュッと握られたあこの手を握り返し、俺は一生の誓いの覚悟であこと契約したのだ。
『僕は、神楽竜介は、一生あこの手を離さない。絶対。……これで良い?』
『うん!』
俺の手を潰す勢いであこは手を握り、契約をした後に“けいやくの歌”と言うのを、あこは口ずさんだ。
____
大粒の雨が俺の身体に打ち付けてくる。
あこを探し始めてまだ一時間弱しか経っていないが、何故か何時間も経った様に感じる。
「あこ……どこに言ったんだ」
巴からの話であこが家から飛び出したと言う事を聞いてから、俺は思い当たる場所を手当たり次第に探していた。蘭やモカの各家、燐子の家、羽丘学園中等部校舎。全部探したがいなかった。
そうして街の中を駆け回るうちに、俺はとある神社の石階段の前に来ていた。
段数はさほどないが神社や寺特有の傾斜を持っており、上り切った先には赤い鳥居がある。何の変哲もない小さな神社だ。
しかし、俺にとってこの場所は──
「……もしかして」
心の中に希望が生まれた。
何故、今までこの場所が思い当たらかったのだろう。そう心の中で愚痴を吐きつつ、確信を持って石階段を一歩ずつ駆け上がって行く。
この場所は、この小さな神社は、
「……いた」
──俺とあこが出会った場所だ。
社の屋根の下で雨宿りをしているあこに、地面の石を鳴らしながら近づく。
遠目からでも、あこがずぶ濡れなのが分かった。
俺はどうすれば良いのか分からず、なげやりにあこの頭を撫でた。
「あこ、大丈夫か?」
涙で目元が赤くしながら俺を見るあこに、そう言ってみた。
「りゅう……にい……?」
「ああ、俺だよ」
「なんで……」
「あこを探してたらここに来ちまった」
俺はあこの隣に座る。
改めて空の景色を見るが、酷い雨の降りようだった。これでは上がる気分も上がらないだろう。
「ダメだよ……あこに近づいちゃ……」
虚ろで荒んだ、今にも死んでしまいそうな目であこは言った。
「あこ、壊しちゃうから……。大切な物……。それにりゅう兄にたくさん迷惑掛けちゃったし……」
あこは話した。
姉の大切な物を壊したことや、その事から逃げたくて俺の下に来た事。
終いには、俺とあこの”大切”を壊した事。
その全部を話した。
「あこはね、ずるい人なんだ……。だから、人に迷惑をかけちゃいけないの。でも、あこはりゅう兄やみんなにたくさん迷惑かけた」
淡々とした口調であこは言う。
あこの傷つき過ぎた心が、今にも閉じそうになっているのが分かった。
声にも目にも雰囲気にも、宇田川あこらしさを全く感じない。それはまるで人形のようだった。
「りゅう兄にもお姉ちゃんにも迷惑を掛けないために、あこは一人でいるって決めたんだ。だからねりゅう兄……」
光の無い真っ黒な目で俺を見つめ、あこは言った。
「今まで迷惑かけてごめんなさい。もうあこの傍に──」
「あこ」
全く感情のこもっていない、けれど震えた声で発せれたあこの頼み事を、俺は遮った。全て言わせてしまったら、取り返しのつかない事になりそうな気がしたから。
「無理するな。俺は迷惑だなんて思ってないから」
「うん」
「大丈夫、俺がいるから」
「うん」
俺の声は、あこに届いていなかった。
何処を目指して声を掛ければ良いのか分からない。八方塞がりなどではなく、無限に広がる闇が俺の前に突きつけられているようだった。
何も出来ず、俺はあこの隣で胡座をかく。
「どうしたもんかなぁ……」
頭をかきながら、これからの事を模索する。
考えたくないが、このままあこが元に戻らなかった場合、俺はどうするだろうか。
まあ、絶対一緒にいるだろう。
「あこがいなくなったら寂しくなるな」
「……大丈夫だよ。りゅう兄には友達がたくさんいるもん……」
「そうだな。でも、あこだって大切な友達だぞ?」
「うん。ありがと」
礼を言いながら、あこは笑った。その笑顔は、本当にあこが作ったものなのか分からない程無機質で、全く惹かれなかった。
もしかしたら、俺は叩いてでもあこを正気に戻さなくちゃ行けないのかもしれない。だが生憎、そんな度胸は持ち合わせていない。
「かっこ悪いなー……俺」
漫画の様な主人公になりたかったと、俺は少しおちゃらけた風に愚痴ってみる。だが、なにも変わらない。
そこに、あこがボソッと呟いて来た。
「りゅう兄は、かっこいいよ……。あこなんかとは、全然違う……」
自分なんか──俺が一番聞きたく無かった言葉。
誰が悪いでも無いのに一人で抱え込んで、罪の意識に埋もれて潰れそうになっているあこ。
あこの事を何も知らず、知ろうともせず、いつまでも自分にとって都合のいい幸福だけを見ていた俺。
本当に本当に──
「かっこ悪い」
俺もあこも最高にダサい。
「よし決めた。あこ、俺と一緒に来い」
「え……ちょっと待って──」
あこの意見は聞かず、俺はあこの手を引いて歩き出した。打ち付ける冷たい雨が、まるで心に刺さる様に沁みた。
あこの手を引いて、少し時間を掛けて歩き、俺はCircleにやって来た。
まりなさんに無理を承知でギターと機材と空きスタジオを貸して貰い、びしょ濡れのままセッティングをする。
エレキーギターの弦の弾く音をチューナーに掛けながら正音にし、穏やかなメロディーを弾く。
奏でる歌は決まってる。
永久不変、絶対の誓約。俺とあこの繋がり。
そう。“けいやくの歌”だ。
「一緒に歌おうぜ。元気がない時こそ、声を張るんだ」
もうある程度慣れたギターを奏で、ポロンポロンと穏やかで優しい音を出す。
俺が控えめに声を出して歌い出すと、あこも小さくだが一緒に歌ってくれた。
その表情には、ちょっとだけあこらしさが戻っていた。
「あこ、あこが出ていってからさ、俺ずっと考えてたんだ。なんで、あの時あこの手を掴まなかったんだろうって」
あこに向かって、俺の中に残っていた後悔を打ち明ける。あこがマグカップを壊してしまった時、どうしてあこの手を掴まなかったのか。俺はずっと悔やんでいた。
「あこの手を離さないって誓った筈なのに、俺は走ってくあこを見ている事しか出来なかった」
「ち、違うよりゅう兄。手を離したのはあこの方だよ。あこが……あこがりゅう兄から逃げたんだよ……」
俺が、あこが──終わりそうのない言い争いが始まり、しばらく黙り込んだ。
先に口を開いたのは俺だった。
「あこ、契約を破った俺が言うのも何だけど……帰って来てくれないか?そしたら、また一緒にご飯作ってさ、それを一緒に食べよう。また、一緒に暮らそうよ。きっと楽しいからさ」
俺は微笑みながらそう尋ねて見る。が、あこは首を横に振った。
「ダメだよりゅう兄……あこと居たら、りゅう兄に迷惑かけて……」
「迷惑なんて上等だよ。てか、俺もよく人に迷惑かけてるし──」
「ダメッ!」
あこは目一杯に俺へと叫んだ。心を張り詰めさせて、精一杯に俺に向かって訴えた。その顔には涙が伝っている。
「ダメなの……一緒にいたら……あこと一緒にいたら……りゅう兄が嫌な思いをしちゃう……」
「嫌になんかならないよ。絶対に」
俺はそう声を掛けるが、あこの涙は止まらなかった。
「俺は、あこにどんな事をされても良いって思ってる。あこが隣にいてくれれば」
「やめて……やめてッ!」
傍に寄った俺を、あこは両手で突き飛ばした。
思わぬ行動に俺が唖然としていると、あこが片手で頭を抑えながら、苦しそうに訴えた。
「あこだって、ほんとはりゅう兄といたいよ!?でも怖いんだよ……また壊しちゃいそうで……今度は、りゅう兄を傷つけちゃいそうで……ッ!」
瞳に涙をいっぱい溜めて、咳止めていたダムが崩壊する様に、あこは精一杯に叫んでいた。
やっと本音を言ってくれたあこに、俺は口角が上がったのが分かった。
「あこ」
「──ッ!?」
あこの全力の訴え。
俺を傷つけたくなくて、壊したくなくて出した、全力の答え。
その想いがとても愛おしくて。その優しさが嬉しくて。
俺は優しくあこの手を取り、屈する様に肩ひざを付く。その様子に、あこは目を見開いて酷く驚いていた。
「あこ、聞いて欲しい」
今のあこが、俺をどう見ているのかは分からない。けど、俺から見たあこはやっぱりあこなのだ。だから、もしかしたらだけど、いつもの俺を見せれば、あこも戻ってくれるんじゃないかと、そう思えた。
「あこ、俺はさ、あこがいないと満足にご飯も作れないダメ眷属なんだ。包丁を握ると手を血だらけにしちゃうし、裁縫針を手に取れば手に針を刺しちゃう。あこが壊す壊さないの前にさ、俺はもうぶっ壊れてるんだ。だから、一緒にいて欲しい」
「……でも、もしかしたらあこがもっと酷い事しちゃうかもしれないよ?」
「別に良いよ。それであこが隣にいてくれるなら」
俺がそう了承すると、あこは更にポロポロと泣き出してしまった。
「あこ、悪いこともたくさんしたんだよ?お姉ちゃんの大切な物壊しちゃったし、りゅう兄のお弁当わざと忘れたりした……。そんなあこが、りゅう兄の所に戻っていいの?」
「いいよ。全部俺が許す」
以前あこが三日連続で弁当を忘れた事があった。それがわざとだったと言う事はモカから聞いている。学校で俺に会えない寂しさから、あんな事をしてしまったと言う事も後で巴から聞いた。事情はどうあれ、あこは悪路に着いた。
だが、俺はそんな事をされたぐらいじゃあこを嫌いになれないし、何より、あこがこうやって自分から謝罪して悔いているのだ。甘いと言われるかもしれないが、許してあげてしまうのが俺の性質。きっと悪いところなのだろう。
それに巴も、あこの事を許している。だから、後は俺が許してあげるだけ。
「あこ、ずるい人だよ?逃げる事しかしないんだよ?戦おうとしてもすぐ逃げちゃって……」
「じゃあ、次逃げる時は俺も誘ってくれ。俺、寂しがり屋だからさ、一人にされたら泣いちまう」
「で、でも……」
きっとあこが聞きたい答えは、「逃げてはいけないよ」だとか、「一緒に戦ってやる」とかだろう。でも、ダサい俺はそんなカッコイイ答えを出せない。
あこはしばらく戸惑いを見せた後、恐る恐ると言った様子で俺に聞いて来た。
「あこ、りゅう兄の隣にいて良いの?」
「ああ、良いよ」
「また、一緒にご飯食べられる?」
「おう。また一緒にご飯食べようぜ」
あこが自分の悪事を打ち明けて、後悔して、でも……それでもなお俺の隣にいて良いのかを尋ねてくる。俺は何度も相槌をうって、あこの質問にイエスを返した。
「また、何か壊しちゃうかもしれないよ?」
「そしたら、また一緒に買いに行こう。それで全部解決だ」
「……分かった」
「おう」
気まずそうに、でも決意が固まった目であこは言った。
「りゅう兄の所に戻る……」
「おう。おかえり」
俺は、あこの頭をそっと撫でた。雨で濡れていたからびちゃびちゃだ。まあ、それは俺もだけど。
やっと、あこが戻って来てくれる気になった。俺の中では万々歳ものだ。
このままあこの手を引いて一緒に家に帰っても良い。でも、俺にはたった一つだけやらなければならない事がある。
「なあ、あこ」
「な、何?」
「あことの契約さ、一回切れちまったから、もう一回しても良いか?もう絶対離れ離れにならないように」
「う、うん」
あこの答えを聞いた後、俺は一度あこから離した。でも、手はしっかりと繋いだままだ。
「りゅ、りゅう兄……」
──あの時から十数年経った。
気弱な少年を導いた元気な女の子は、小柄で愛らしい少女に成長した。
「あ、あこは……宇田川あこは、りゅう兄の手を離さない……。それで、今度こそ……りゅう兄から離れない……」
「おう」
女の子より気弱な少年は、背の高い青年に成長した。しかし、好きな子はずっと変わらなかった。
好きな子がカッコイイもの好きだったのもあるが、何より男としてカッコつけたくて、色々とやんちゃや黒歴史を作った。
そう、二人とも変わったのだ。
だから、これはただの再契約ではなく、青年と少女としての新たな契約。
「──俺は……神楽竜介は、あこの手を一生離さない。そんで、もう二度とあこから離れない!」
あこの手を少し強く握り返し、俺に作れる精一杯の笑顔を作った。あこがもう迷わないように、今度は俺が引っ張っていけるように。そう願って。
だが、あこはそっぽを向いてしまう。どうしたのだろうか。
「あ、あこ?どうした?」
「……ずるいよ……りゅう兄は……」
「え、何がだ?」
「……なんでも無い」
何かおかしな所があったのだろうか。もしかしたら緊張で変顔でもしていたのかもしれない。
色んな不安に俺は駆られたが、Circleの外が晴れ模様だったので気にしない事にした。これは励ましたいのだろうか、それとも煽っているのだろうか。
「あこ、ハグして良い?」
「ど、どうして?」
「なんか、今凄くあこを抱きしめたくて仕方がない」
「……い、いいよ。はい」
両手を伸ばし、あこがハグの準備態勢に入った事を知らせてくれる。
俺は迷わずあこを強く抱きしめた。この胸に頭が来る身長の高さと、少し高い体温の温もりが凄く安心できるのだ。帰って来てくれた事を実感出来る。
……何か、やたらあこの心臓が早く脈打っているが、大丈夫なのだろうか。
あこにその事を聞いてみたが、「平気だから大丈夫」との事。絶対大丈夫じゃなさそうだが、俺は本人の言葉を信じる事にした。
____
勢いよく玄関のドアが開いた。
雨で濡れた少女は、髪の先から雨粒をポタポタと流し、念のためにと渡された青年が買ったビニール傘をギュッと抱きしめていた。
「お帰りあこ。竜介とは……上手く行ったみたいだな」
「……うん、ありがと。あ、あと……ごめんなさい、お姉ちゃん……」
「良いよ。風呂沸かしてあるから早く入っとけ。風邪引くなよ?」
「わかった……。着替え取ってくる」
姉にそう言った後、急ぎ足で階段を上る。
自分の部屋に辿り着き、ドアを閉めた後、その場にペタりと座りこんだ。
そして、自分の頬に両手を当てながら──
「なにこれ……なにこれッ……」
熱い顔と収まらない心臓の鼓動に困惑を感じていた。
いや、本当は分かっている。友人から借りた漫画で幾度となく見た光景だ。ただ、
「漫画と全然違うよ……ひーちゃん……」
聞いていた話と全然違った。
縁起でもないが、車に轢かれそうになったりだとか、不良に絡まれたりしない限り、突発的には起こらないものだと思っていた。けれど、それが違うと言う事を今日知った。
「そっか……そうだったんだ……」
竜介が他の子と仲良くしていると、何故かモヤモヤした気持ちになってしまう理由がわかった。
竜介に迫られると、何故かドキドキして顔が赤くなってしまう理由が分かった。
竜介とすれ違うと、無意識に目で追ってしまう理由が分かった。
全部……全部……この一つの感情のせいだったのだ。
「……かっこよかったな、りゅう兄……」
手を握られて、一緒に歌を歌って、かっこいい誓いをして、抱きしめられて、真っ直ぐ透き通った目で見つめられて。
「うぅ……顔が熱いよ……」
手を握っていた感触や、ハグの温もり、見つめられた時の特別な高揚感がまだ残っていた。
思い出しただけで、また顔が熱くなってしまう。
そんな頬を外で冷えた手で冷ましながら、あこはボソッと呟いた──
「──そっか……あこ、りゅう兄の事が“好き”だったんだ……」
魔王は──……宇田川あこは“恋”を知った。
女の子なのにカッコよくなろうとする魔王様と、男の子なのに可愛かった眷族っていう対比が出会う最高にエモい瞬間。こう……主人公とライバルが共闘する時みたいな熱さがある。
頑張って作詞しました。頑張りました。在り来りな歌詞だけどゆるして。頑張って音楽絡ませたらこうなっちゃったの。
喧嘩って良いな。病んでるっていいな。
これからしばらくイチャイチャタイムだ!止まらない恋の駆け引き合戦!魔王様の嫉妬ポイントを稼ぐぜ!
綺麗に収まったから最終回にしてぇ……。ここで更新停めれば……事実上の最終回に……。