【完結】いちばん小さな大魔王!   作:コントラポストは全てを解決する

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工藤晴香役氷川紗夜で一晩ツボってました。
次回で遠足編閉めます。


第72奏 トンビにご飯を攫われる所から始まるラブコメ

 りゅう兄にどうアピールをするか計画を練る事一時間半。りゅう兄を落とす作戦。作戦内容は「なんか行ける気がする」、「いけいけどんどん」に決定した。そして、決定した所で目的地に着いた。作戦が作戦じゃない気がするけど、まあ良いよね。あこ難しい事分かんない。

 

「それじゃあ、班員と逸れないようにしてくださいね〜」

 

 バスから下りて、担任の先生からの話を聞いた後、あこは班員と一緒にりゅう兄とお姉ちゃん達の所に向かった。

 

「竜介先輩、今日はよろしくお願いします!」

「うん。よろしく」

「可愛い子だね〜。リー君もそう思わな〜い?」

「俺には明日香って言う大事な大事な可愛い後輩がいるんだ。だから同意は出来ん」

 

 うちの班のリーダーが、お姉ちゃん達のリーダー役であるりゅう兄に挨拶している。一応言っておくと、あこの班のリーダーの子は可愛い。お胸もあこよりある。名前は田中聡美ちゃん。

 あこの班のリーダーにデレデレしなかったのは褒めて遣わす。でも、明日香ちゃんとなんか親密な関係になっている事について詳しく聞きたい。りゅう兄のうわき相手はこころ一人だけではなかったのか……。

 

「はぁ……竜介お姉様……今日も素敵……」

 

 ちなみにあこの班には、りゅう兄を女の子だと思ってる子が一人いる。名前は鈴木未来ちゃん。りゅう兄の写真を集めたり、りゅう兄の下駄箱にお手紙や差し入れをそっと置いていくのが趣味のちょっと変わった子。この間はりゅう兄の下駄箱に『にんしんけんさやく』を入れて来たと言っていた。あこ難しい事分かんない。

 

「意外と険しい道のりになりそうだね。疲れたら竜介におんぶして貰お」

「おい、勝手に俺を頼るな。俺はタクシーじゃない。それに、ひまりは少し動け。ケーキバイキングの時から体重増えてんだろ」

「ゔっ……」

 

 ひーちゃんは苦しみの表情でりゅう兄から目を逸らす。親友に遠慮なく体重の話を持ち出すのは優しさか、それともイタズラか。あこはまだ体重とか大丈夫……なはず。最近ちょっとずつお胸もおっきくなって来たし。目指せりんりんのおっぱい。

 

「よーしじゃあ、そろそろ出発するかー。全員はぐれないようになー」

『はーい』

 

 りゅう兄の掛け声に班の皆は返事をする。あこは黙って後ろからついて行った。

 頑張ればりゅう兄の手を握れそうな距離だ。どうしよう……アピールも兼ねて繋いじゃおうかな。皆の前だとちょっと恥ずかしいけど。悩ましいね。

 

「リー君〜疲れた〜おんぶして〜」

「出発して二分も経ってないぞ。もっと頑張れ」

「山道険しすぎるよ〜。足痛い〜」

「お前な……。後輩の前なんだから、もっとお手本になる態度を──」

 

 りゅう兄のお説教が始まった。

 言ってる事は最もな気がするけど、りゅう兄何モカちんと手を繋ごうとしてるの。甘やかす気満々じゃん。りゅう兄と手を繋いでいいのはあこだけなのに……。これは今日の夜、部屋でお説教だ。

 

「竜介ー、リュック持ってー」

「ひまりはなに俺を荷物持ちとして使おうとしてんだ。動けって言っただろ」

「だってー……」

「だってじゃありませんー」

 

 りゅう兄、そう口にしながらひーちゃんのリュックを持とうとしてる。口と行動が真逆だ。

 

「竜介、喉乾いた」

「水持って来なかったのか?蘭」

「バスに忘れて来ちゃった」

「俺の飲みかけしかないけど良いか?量少ないぞ」

「大丈夫」

 

 蘭ちゃんはりゅう兄から受け取ったスポーツドリンクを飲んだ。それ間接キスじゃ……。

 りゅう兄と蘭ちゃん、兄弟みたいに仲良いから間接キスなんて気にしないんだろうけど……なんだろう、凄いモヤモヤする。

 

「竜介先輩、皆に頼られててすごいねー」

「頼られてるって言うか……りゅう兄がただ甘やかしてるだけな気がするけど」

「……?機嫌悪そうだけど、どうしたの?」

「別に……」

 

 あこがりゅう兄を好きな事はまだ誰にも打ち明けてない。だから、この嫉妬も誰にも言えないのだ。

 

「あこちゃんって竜介先輩の家に泊まってるんだよね?やっぱり漫画みたいに迫られたりするの?」

「りゅう兄はそんな事しないよ。あこの事妹みたいなにしか見てないから」

「……残念そうだね。あこちゃんは竜介先輩の事好きなんだ」

「そ、そう言う訳じゃ……」

 

 まずい。りゅう兄を好きな事がバレてしまった。このままバラされたりしちゃうのかな……。

 

「大丈夫、誰にも言わないよ」

「ぜ、絶対だからね!」

「うん♪」

 

 リーダー、とてもホクホクした顔してる。やっぱり女の子だから恋愛が好きなのかな。あこにはそう言う事よく分からないや。

 

 

 

 ____

 

 

 

 

 リーダーと、恋愛についてあれやこれやと話していたら山頂についた。聡美ちゃんと話していて分かったが、この子かなりの恋愛脳だ。頭の中がひーちゃんが持ってる漫画みたいな展開で埋め尽くされている。壁ドンとかが大好きらしい。

 一方、未来ちゃんの方はと言うと、相変わらずりゅう兄にお熱のようだった。ずっと写真を撮っている。頼めば写真くれたりするのかな。あこもりゅう兄の写真欲しい。

 

「レジャーシートどこに敷こうか。どこも眺めが良いなー」

 

 りゅう兄がひーちゃんのリュックサックを持ちながら、レジャーシートの敷き場を求めて辺りをウロウロする。結局リュックサック持ってあげてるんだ。優しい。

 

「竜介先輩、こっちに良い場所ありますよ!」

「お、ほんとだ。サンキュー田中さん」

「いえいえ」

 

 りゅう兄が選んだのは見晴らしの良い開けた場所。教えた聡美ちゃんはりゅう兄と一緒にレジャーシートを敷き始めていた。

 気づけばりゅう兄が作ってきたお弁当が並べて、あっという間にランチ状態へ。聡美ちゃんはちゃっかりりゅう兄の隣に座っていた。ずるい。

 

「よーし皆ー、食べてくれ!」

『いただきまーす』

 

 皆が自分の分のお弁当とりゅう兄の作ったサンドイッチを食べ始める。サンドイッチはお重にたくさん作って来たけど、この人数で足りるかな……。モカちんもいるし。

 

「竜介お姉様の手料理……嗚呼ッ……!」

 

 未来ちゃんが荒ぶってる。大丈夫かな。一応あこが一緒に作った事は言わないでおこう。

 

「リー君のパンおいひ〜」

「モカ、食べながら喋るな。行儀悪いぞ」

「は〜い。リー君もお説教ばっかしてないで、ちゃんと食べるんだよ〜」

「わかってる」

「じゃあはい、あ〜ん」

「あーん」

 

 モカちんずるい。あこもりゅう兄にあーんしたい。ついでにあーんして貰いたい。

 

モカちゃんに負けてられない……。わ、私だって!りゅ、竜介君!」

「お、なんだ?」

「あ、あーん……」

「つぐみもか。あーん」

 

 りゅう兄の左隣に居座っていたつぐちゃんがりゅう兄にあーんしてた。りゅう兄、何嬉しそうな顔してるの。りゅう兄にはあこがいれば良いでしょ。りゅう兄のうわき者。

 

「リー君モテモテだね〜。嬉しい〜?」

「うん、まあ。複雑」

「でも嬉しそうな顔してるよ〜」

「そうか?」

 

 そんなニヤニヤ顔しながら何が「そうか?」だ。りゅう兄は一回今の自分の顔を鏡で見た方がいいよ。それともあこがりゅう兄の顔を写真に収めて見せてあげようか。

 あこは嫉妬に燃え狂いながら、サンドイッチに手を伸ばす。

 

 その時、あこの目の前を何かが物凄いスピードで通り過ぎた。

 

「痛っ……」

 

 痛みを覚えてサンドイッチを取ろうとした右手を見てみると、手の甲から血が出ていた。どうやらトンビに手を引っかかれたらしい。

 

『あこ!?』

 

 お姉ちゃんとりゅう兄が同時に声を上げる。そこまで大袈裟な反応されるとは思わなかった。

 

「竜介、救急箱!」

「あいさ!」

 

 りゅう兄がリュックの中から少し大きめの救急箱を取り出して向かい側に座るあこの元までやってきた。なんでリュックの中から救急箱が出てくるんだろう。

 

「大丈夫か?痛くないか?」

「もう、大袈裟だよ。りゅう兄」

「馬鹿言え。女の子のなんだから傷残っちゃ大変だろ。ちょっと沁みるぞ」

「ッ……」

 

 りゅう兄のつけた消毒液が傷口に沁みる。大袈裟だと謳ってみたが、意外と傷は深かったらしい。

 

「ありがと、りゅう兄」

「お礼は治ってからにしろ。取り敢えず消毒はしたし……後は大きめの絆創膏貼って……」

 

 りゅう兄は手際よくあこの手の傷を処置してくれる。

 りゅう兄の優しさが心に沁みた。りゅう兄大好き。

 




登山遠足で遭難ネタは見飽きたと天のお声を聞いたので、トンビにご飯を攫わせました。この展開流行れ。

あこちゃんの班員はこの回限りの使い捨てです。あまり深く気にしないでね。
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