【完結】いちばん小さな大魔王! 作:コントラポストは全てを解決する
アブゾーブクイーン
みんな大好きRoseliaのお姉さん達がお家に来た。僕おもてなすので忙しい。
「竜介、膝枕」
「はいはい」
「神楽君、Fコードというのは、指と手首を柔らかく──」
「紗夜先輩、状況見て」
「マカロンって作り方難しいなー……ねえ竜介」
「待ってリサ姉。今ちょっと無理」
ユキ姉は案の定。紗夜先輩は俺にギターのFコードの弾き方を説いてくれている。リサ姉はお菓子の作り方本を片手に俺の隣に座り、燐子はあこの部屋でフルスペックPCを堪能していた。同じ家にいて同年代が一人もいない悲劇。年上パラダイス。有咲が恋しい。助けてひまり。
動くな、俺はあこ好きだ。一応あこが年下なので、俺は年下好きという事にしておこう。ロリコン臭が半端ない。今あこをロリだと思ったそこのお前、後でCircleな。
「りゅう兄……鼻の下伸びてる……ばか」
あこの視線が痛い。違うんだあこ。俺は悪くない。悪いのはここにいるお姉さん達だ。俺は無罪を主張する。
リサ姉は俺の隣にぴったりくっつき、ユキ姉の後頭部には熱がこもって暖かい。ずっとこのままでも…………違うんです魔王様。清廉潔白を主張させて。
「神楽君、聞いているんですか」
「聞いてますともますとも。弦を切る時はペンチを使うんですよね」
「一回制裁が必要なようですね」
まずい。全く聞いてなかった。
まずい。Icing potatoプログライズキーに
「冷たい……」
「全く。神楽君は」
「あっはは!賑やかだね☆」
リサ姉も笑ってないで助けて欲しかった。
「竜介、撫でなさい」
「はいはい。ユキ姉はほんとお子様だねー」
ユキ姉氷河期の頃を思い出して欲しい。孤高の歌姫かもんかもん。最近のユキ姉はちょっとたるみ過ぎてると思う。たるんでるのはお腹だけに──
「竜介」
「なに、ユキ姉」
「それ以上はダメよ」
ユキ姉が珍しく闇のオーラを纏って、俺に警告して来た。あこに比べればユキ姉のオーラなんてへでもねえ。本場の闇オーラを見てみろ、今にも俺を視線で殺しそうだぞ。
「そう言えばさ、リサ姉には膝枕してあげた事なかったよね。というわけでユキ姉、下りて」
「嫌よ」
「たまには変わってあげなよ。いつも独り占めしてるじゃん」
昔から現代にかけて、リサ姉を膝枕してあげた記憶がない。ユキ姉ならたくさんあるんだけど。昔からユキ姉は甘えん坊でねぇ……なにかあるとすぐ俺かパパーってなって……。懐かしい。
たまにはリサ姉にもくつろいで欲しい。リサ姉どこいっても持て成す側だから。
「俺の姉を名乗るなら、たまには融通きく所を見せて欲しいよ」
「私がワガママみたいじゃない」
「ワガママじゃん。ね、リサ姉」
「いやー……あはは」
俺が話をふると、リサ姉は気まずそうに微笑む。ほら見ろ、俺の言った通りではないか。
「早く下りないと無理やり下ろすよ」
「やってみなさい。その時は貴方に最大の不幸が──」
「えい」
ユキ姉の頭が床に落ちる。ゴンッ!と鈍い音がなった。痛そう。
「貴方ね……もう少し女性の扱いを……」
「お姉ちゃんならいいでしょ。さ、リサ姉、カモンカモン」
「いやー……良いの?」
「良いよ。たまには甘えたって大丈夫さ」
普段お世話係に回っている人程甘やかしたくなるよね。さあさあリサ姉カモンカモン。ユキ姉お墨付き俺の膝枕にいらっしゃーい。
「じゃあ……ちょっとだけ……」
「ウェルカムかもーん」
リサ姉が俺の正座の上に自分の頭をそっと寝転がせる。とても満ち足りた顔をしていた。このまま寝落ちしよーぜ。きっと気持ちいいから。
眠れや眠れ。リサ姉の頭を撫でながら睡魔を誘う。リサ姉はしばらく俺に撫でられ、だんだんウトウトとして来た。ようこそ微睡みの世界へ。
そしてリサ姉は寝た。
「魔性ね」
「魔性ですね」
「りゅう兄のばか……」
俺は魔性らしい。
「湊さん、神楽君は……天然なのでしょうか」
「意図的よ。竜介はタラシだもの」
「おいコラそこの自称姉」
俺がたらしとはどういう事だ。俺は女のおの字も……普通にあるな、女のおの字。恋愛経験は普通にあるし……。あれ、俺って結構なクズ男なのでは(今更感)
いやいやまさか。俺は長年に渡りあこだけを愛し、あこだけに忠誠を誓って来た男。女の子をたらしこんだ事など一度もない。きっとそうだ、そうに決まっている。俺は断じてクズ男などではない。
「俺は純情男子だぞ。たらしなんかじゃない」
「竜介が純情男子?冗談を」
ユキ姉が珍しく喧嘩腰だ。なんだ、やんのかこら。
「貴方は昔から事ある事にリサを口説いて……そのくせしてリサが告白したら好きな人がいるなんて言って。ふざけないでちょうだい。少しは相手の気持ちを考えたらどうなの?」
「俺はリサ姉を口説いた事なんて一度たりともない。それにユキ姉なんかに分かるの?告白をフる側の気持ち。お子様なユキ姉には分かんないでしょ」
『……』
ユキ姉と俺の間に火花が散る。バチバチと誰かが火傷しそうな熱い火花だ。喧嘩だ喧嘩だバトルファイトだ。統制者カモン。
「喧嘩をするなら他所でしてください。それに、少しは宇田川さんを見習ったらどうですか。先程からずっと静かにしていますよ」
『だってユキ姉(竜介)が──』
「はぁ……」
紗夜先輩のクソデカため息。違うんです紗夜先輩全部ユキ姉が悪いんです。俺をたらしなんて言うから。
そうだ。あこを頼ろう。こんな時のための主様だ。きっとあこは俺の味方についてくれる。だって主様だもん。
「あこ、助けて……」
「全部りゅう兄が悪い」
「うそん……」
おいそこの自称姉。今鼻で笑ったか。
なんでだ。なんであこはユキ姉の肩を持つの。あこブラコンでしょ?だったら俺の味方についてよ……。俺を甘やかして(クズ男並感)
「そうよ。全部竜介が悪いのよ」
「うっ……」
反論したいけどできない。あこの言うことは絶対だから反論出来ない。
「俺が……悪かったです……」
「最初からそうしてれば良かったのよ」
ちくしょう。ユキ姉の済ました顔がムカつく。過去一でムカつく顔してやがる。バールがあったら全力で殴ってる顔してる。そのきめ細かい白い肌を赤色に染めたい。殴りてぇ……殴りてぇよォ(クズ男並感)
あこが味方についていてくれれば……。どうしてあこはさっきからずっと不機嫌顔なんだ。俺が何したって言うんだ。ユキ姉とリサ姉に膝枕したぐらいじゃんか。あこはそんな事ぐらいじゃ怒らなかったじゃん……。どうしちゃったの。
「はぁ……世話が焼けますね」
「紗夜先輩、俺は悪くないですよね」
「今井さんを口説いていたとの事ですが、今の神楽君の状態が一番説得力ありますよ」
「俺の状態?」
リサ姉に膝枕している状況が、何故リサ姉を口説く事に繋がるのか。俺にはさっぱりわからない。
「やっぱり天然じゃないですか」
「たらしよ。竜介は」
「では天然たらしですね」
Roseliaの中に俺の味方はいない。今日俺はそれを学んだ。燐子に泣きついてやる。燐子ママに甘やかして貰うんだ。
◇
友希那さん達が家に来た。皆りゅう兄にベッタリで、りゅう兄と喧嘩してた友希那さんでさえりゅう兄にベッタリだった。皆りゅう兄の半径一メートル以内にいる。あこは少し離れてるのに。
りゅう兄はあこのものだ。皆にはもっと距離感と言うものを覚えて欲しい。
「燐子助けて!皆が俺を悪者扱いする!」
「そ、そっか……」
色々あって、りゅう兄は今あこの部屋にいるりんりんに泣きついている。りんりんに抱きついて、りんりんのおっぱいを頭に乗せて、りんりんのお腹に顔を埋めて、泣いている。そして、あこはそれを隠れて見ている。
りんりんも何嬉しそうな顔してるの。りゅう兄はあこのだよ。
「みんな俺の事天然たらしって言うんだ……。俺そんなんじゃないのに……。もうヤダお家帰る……」
「よしよし、大変だったね……。りゅっ君は天然たらしなんかじゃないよ……」
今、あこの目の前にはりゅう兄のうわき現場が広がっている。あこの事好きって言ったのに……愛してるって言ったくせに……。りゅう兄のうわき者。
「もう……。あんまり私の所にいると、あこちゃんに怒られちゃうよ……?」
「今は燐子がいい……」
「もう……りゅっ君はおバカさんだなぁ……」
りんりん、何嬉しそうな顔してるの。
まずい。このままじゃりんりんにりゅう兄を取られちゃう。早くなんとかしないと。りんりんにりゅう兄を取られたら、あこに勝ち目はない。あのおっぱいに勝つなんて無理だ。
「あこなら俺の味方についてくれると思ったんだ……。でも、『りゅう兄が悪い』って言って、俺の事捨てたんだ……。好きなのに……ちょー愛してるのに……昔からずっと好きだったのに……。もうヤダ燐子の家行く……」
「はいはい……。りゅっ君頑張ったね……」
…………もしかして、これあこが悪い?というより、今りゅう兄あこの事昔から好きって言った?嘘だよね、だってりゅう兄、昔はお兄ちゃんみたいに……え?え?嘘だよねりゅう兄。あこの事ずっとそういう目で見てたの?あこ全然気づかなかった。
「りゅ、りゅう兄!」
「へ?……あこ?」
あこは我慢できずにりゅう兄の前に飛び出した。あこを見つけたりゅう兄は、泣いていた目を擦って、必死にそれを隠そうとする。
「あ、あのね、ごめんなさい……。あこ、りゅう兄の気持ち全然知らないくて」
「……俺の事嫌いになってない?」
「なってない!なってないよ!あこりゅう兄が大好きだからね!」
「……分かった」
許してくれたのかな。わかんないけど、りゅう兄が泣き止んだし……。
あこ難しい事はわからないよ……。
リサ姉編(最終章)、始動!
死闘、渾身、全霊、これが最期の、祭りだあああぁぁッ!!!!