【完結】いちばん小さな大魔王!   作:コントラポストは全てを解決する

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リサ姉編あと3話か4話ぐらいで終わりそう。ちょっと急ぎ足すぎた。反省。


バディーGO!


第82奏 魔王あこリング、エンゲージ

 彼と出会ってからしばらくが経った。随分彼と仲良くなった気がする。

 一緒に料理をするようになったし、お菓子作りをするようになった。そして、よくベースの練習を見学してくれるようになった。たまに指を怪我をしたりしたけど、その度に彼はリサの指に絆創膏を貼り、傷の手当をしてくれた。笑顔を一緒に添えて。

 彼はよく笑う。それも、優しそうに、穏やかに、子供とは思えない程澄んだ顔で。そして、どこか寂しそうに。

 

 そんな彼の笑顔が、リサの心を焚き付けた。

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

「りゅう兄、幕張メッセ行くよ!」

「幕張?」

 

 リサ姉に料理を教えてから一週間が経過した土曜日。俺はあこに誘われて幕張メッセに向かっていた。

 今日のあこは過去最高に顔が活き活きしている。目的地のイベントがさぞかし楽しいものなのだろう。一体なんだろうか。あこの事だからゲーム関連なのは確実として、NFOのイベントだろうか。そういえば、大型アップデート記念にイベントをやるとゲーム内告知で見た気がする。

 

 

 

 

 電車を乗り継ぎ無事目的地にも到着し、俺とあこはイベント会場にやってきた。NFOイベント会場はたくさんの人でごった返しており、気を抜けばあことはぐれてしまいそうだった。

 

「りゅう兄、手繋ぐよ。はぐれないように」

「あいよー」

 

 ココ最近大人しかったあこが珍しく攻めて来た。いや大人しくはないか。お風呂に突撃してきたし。思い出せば登山遠足から二週間が経っている。時が経つのは早い。

 

「色々あるなー。あ、VR体験コーナーだって。面白そうじゃん」

「ぶいあーる?」

 

 イベント施設内で特に人を集めていたのは、そこのNFOマップVR体験コーナーという場所だった。NFOのゲーム内マップを仮想現実に再現し、それをVRゴーグルを通じて体験する。ユーザーはスティック状コントローラーを持って、ゲーム内を移動する仕組みらしい。楽しそうだ。

 

「あこ、やってきたらどうだ?」

「りゅう兄は良いの?」

「俺はほら、見てるだけで十分っていうか」

 

 後ろからバッチリあこの勇姿を見れればそれでいいので。我が魔王のかっこいい所をカメラに納めたい。

 

「りゅう兄も一緒に行こうよ。あこ一人じゃ寂しい」

「……わかったよ。一緒に行こう」

 

 可愛い可愛い上目遣いしちゃって。俺がその目をしたあこの頼み事断れないのわかっているだろう。

 俺はあこに連れられ、VRコーナーで遊んだ。広大な自然マップがなんとも良い癒し空間になっていた。それにモンスターが可愛い。スライムとか家で飼いたい見た目してる。後でぬいぐるみを買おう。

 

 

 

 キャラクターフィギア展示場にやってきた。ステージではショーもやっている。

 

「楽しかったな。VR」

「だねー。またやりたい」

 

 あこと一緒にイベント会場限定ドリンクを飲みながら、俺はあこと一緒にイベントショーを見ていた。ショーの内容は、NFOゲーム内ストーリー第一章『始まりの街と青焔の龍』から。最近流行りのプロジェクションマッピングがいい味出してる。今度演劇部の新演出として提案してみるのもいいかもしれない。

 

 そう言えばふと気になったが、何故あこは俺と一緒に来たのだろうか。NFOイベントなら、燐子がいただろうに。俺は最近ゲーム内にログイン出来ていないし、燐子と来た方が楽しかったのではなかろうか。

 

「なあ、あこ」

「うん。なに?」

「一緒に来たのが俺で良かったのか?燐子とか紗夜先輩とか、誘う相手は他にいただろ」

 

 紗夜先輩だって最近はNFOにハマり出していると聞く。全然ゲームをやっていない俺より、紗夜先輩との方が楽しめそうだ。

 俺があこにそう問いかけると、あこは不機嫌そうな顔をしてしまった。なぜだ。俺は何を間違えた。

 

「りゅう兄……あこといるの嫌なの?」

「いや、全然そんな事はないが」

「じゃあいいじゃん。あこはりゅう兄といたいの」

「……そうか」

 

 一緒のお風呂を乗り超えてから、あこがグイグイ来るようになった気がする。

 あこの不機嫌顔が可愛い。今日一日あこといればこの顔を拝み続ける事が出来るのだろうか。俺の心は邪悪に染まる。

 なんて事をしながらショーを見ていたら、悪役のスタントマンにあこが攫われた。どうやら、あこを少し身長の高い小学生と見間違えたらしい。我が魔王の小柄な体型に目をつけた変態野郎め。恥を知れ恥を。まあでも、面白いからいいか。

 あこはこの後、勇者役に救助された。俺は笑いを堪えるのに必死になっていたため、その辺の記憶が薄い。

 

 

 

「あこ子供じゃないのに……」

 

 ショーを見終わえたあこが落ち込んでいる。悪者に誘拐された事を気にしているらしい。可愛い。

 俺は先程からずっと笑いを堪えていた。

 

「りゅう兄……何笑ってるの……」

「いや……だって、あははは!」

「むぅ。りゅう兄嫌い」

「いやーごめんって」

 

 あこが膨れてそっぽを向いてしまった。これは機嫌を蘇生するのに魔法のポーション百本は必要になりそうだ。

 俺はあこのご機嫌をとれそうなものはないかと、周囲を見渡した。

 

「あ、紗夜先輩だ」

 

 先程のVRコーナーに紗夜先輩を見つけた。VRゴーグルを頭につけている。なんか、真面目な紗夜先輩がああやって遊んでいるとホンワカするな。人間やっぱり娯楽は必要なんだね。

 

「あこ、どうする?紗夜先輩に声掛けてくか?」

「……いい。」

「え、どうしてだ」

「いいの!」

「あ、はい」

 

 あこの力強い拒否。紗夜先輩と喧嘩でもしているのだろうか。珍しい組み合わせだな。あこと紗夜先輩の喧嘩って。

 

「りゅう兄、もっと女の子の心わかってよ」

「俺は男だ。すなわちそれは無理」

 

 タダでさえ見た目が女の子っぽいと言われるのに、心まで女の子を知ってしまったら、俺はただの女の子になってしまうではないか。ええんか、タツミちゃんになってもええんか。モロッコ行くぞオラ。

 

「あこだって、男の心理解しろって言われて、出来るのか?」

「男の人はおっぱいがあれば良いんでしょ。ネットにそう書いてあった」

「そう簡単にネットの情報を信じちゃ行けません」

 

 まったく。これだから最近の若い衆は……。

 

「りゅう兄だってりんりんのおっぱいにデレデレしてるじゃん」

「俺がか?ないない。だっておっぱいなんかに興味ないもん。それにあこは知らないだろうけど、俺が好きなのは割かし小柄な体型なんだぞ。だから俺は乳なんかに興味ない。わかったか?」

「それは……そうだけど……」

 

 あこはむず痒そうな声を出した。俺が好きなのはあこで、あこは小柄な体型。だから俺は小柄な体型が好き。決してロリコンではない。

 

『会場の皆様にお知らせします。まもなく当会場限定、ネオファンタジーオンライン、エンゲージリングセットの販売を──』

 

 俺とあこがちょっとした言い合いをしていると、会場内にそんなアナウンスが流れた。その途端に、あこが慌て出す。どうしたのだろうか。

 

「りゅう兄、行くよ!」

「え、ちょっ……どこに」

 

 あこに手を引っ張られ、俺は謎の列へと向かっていた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 りゅう兄と一緒にNFOイベントに来た。人がいっぱいいて、迷子になりそうな程人がいる。それに便乗してりゅう兄と手を繋いだ。暖かかった。

 今日の目標はりゅう兄に結婚指輪をプレゼントする事。右手の薬指に指輪をはめてあげるのだ。待っててりゅう兄。あこが夫婦になりたいって夢叶えてあげる。

 

 

 

 ショーを見てたら、あこが攫われた。あこを子供だと思った悪者の人に攫われた。あこが子供体型だからってそれはないと思う。せくはらで訴えてあげてもいいのだ。魔王をなめるな。

 攫われたあこを見たりゅう兄は、ずっと笑っていた。お腹を抱えそうな勢いで笑っていたのだ。酷い。

 

 

 

 

 イベント会場内アナウンスで、指輪の販売が開始された事が告知された。あこは早くりゅう兄に指輪をあげたいから、りゅう兄の手を引いて列に並んだ。

 

「なああこ、結局何買ったんだ?あと俺の見間違いかもしれないけど、万札飛ばしてなかったか?」

「そんな事どうでも良いよ!りゅう兄!」

「は、はい」

 

 今は指輪を買って、それをりゅう兄にプレゼントする所だ。

 

「りゅう兄にこれあげる」

「それって、さっき買った……良いのか?こんな高そうな指輪……」

「うん!あっ、あこがつけてあげるね!」

 

 

 あこはりゅう兄の薬指に指輪をつけた。ミッションコンプリート。

 

 

 

 




NFO結婚イベント流行れ。
リサ姉が怖い。
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