【完結】いちばん小さな大魔王!   作:コントラポストは全てを解決する

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第83奏 勝負

 彼を気にかけるようになってから、彼の事を少し理解する事が出来た。

 彼は誰もが認める寂しがり屋だった。しかも、それを隠そうとしない。けど、アピールするわけでもない。おもちゃで一人遊んでいれば、誰かを誘う事もなく、ただ一人寂しいそうに遊ぶ。そんな変わった人だった。そして、一緒に遊ぼうと誘うと、眩しそうにキラキラ笑う、面白い人でもあった。

 

 寂しがり屋な彼を見て、リサは心の中に不思議な感情を目覚めさせた。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

「竜介、一緒にご飯良い?」

「あいえ?」

 

 あこから指輪を貰った数日後の学校での事。蘭と一緒に屋上へ向かっている途中にリサ姉と遭遇した。なんでも、俺と一緒にお昼が食べたいとの事らしい。

 

「あー……まあ今日くらいはいいか。蘭、皆に伝言頼んでいいか?」

「わかった」

 

 俺が行けなくなったことは蘭に伝言を頼んで、俺はリサ姉の教室に向かった。

 

「珍しいね。一緒にお昼食べたいなんて」

「そうだねー。ちょっ〜と竜介に聞きたい事があってさ」

「何?」

 

 気になることとは何だろうか。マカロンとはまた別のお菓子のレシピとか?新しい料理でも思いついたのだろうか。それか、ユキ姉にあげるセーターのデザインとか。

 

「紗夜から聞いたんだけど、竜介、あこから指輪貰ったんだって?」

「えっ」

 

 嘘だろおい。情報が回るの早すぎる。なんで紗夜先輩はあこが俺に指輪渡した事知って…………そう言えば会場にいたなあの人。嘘やん。

 お願いリサ姉。命だけはご勘弁を……。

 

「命だけは、命だけはお願いします……」

「なんか竜介、アタシの事鬼か何かだと思ってない」

「ぶっちゃけ鬼より怖い──」

「怒るよ?」

「ごめんなさい」

 

 ちゃうねん。恐いやん。リサ姉最近怖いやん。こう……尻子玉と一緒に魂持って行きそう。違うんだリサ姉。その神をも殺しそうな目やめて。怖いから。可愛いお顔が台無しだよ。

 

「あーどうしようかなー連絡LINEで竜介に鬼って言われた事広めちゃおっかなー(棒)」

「やめて!俺死んじゃう!まだ死にたくない!せめて……せめてあこに好きって言わせてぇ……」

 

 リサ姉の発言に俺は必死の抵抗を見せた。

 いやだ殺さないで。まだだ、まだ死ぬわけにはいかぬ。俺にはあこに告白するって言う大事な大事な使命があるんだ。せっかくつぐみの突撃許可も貰ったのだ。まだ終われない。

 

「竜介ってさ、アタシの事病ませようとしてるの?」

「え、なんでさ」

「だって……アタシは竜介が好きなのに……竜介はずっとあこーあこーって。ずっとあこの事じゃん」

 

 要するにもっと自分の事も見ろと。そういう事だろうか。リサ姉が言いたいのは。

 

「ねえ竜介」

「どしたの」

「今日アタシの家来てよ」

 

 俗に言うお家デートというものですか。そう来ましたか。妻(予定)持ちの俺にお家デートを申し込みますか。そうかそうか。

 

「リサ姉、男の子は日々成長する生き物なんだよ?今まで危ない橋を渡って来た俺としては、リサ姉のお願いは聞けないね」

「まあそう言っても無理やり連れてくんだけどね☆」

 

 俺は負けんぞ(フラグ建設)

 

 

 

 

 

 ____

 

 

 

 

 

 負けました(フラグ回収)

 

「くっ、殺せ!」

「あはは!竜介はほんと面白いね」

 

 放課後の一幕。茜色の光が窓から差し込んでくる時間帯。俺はリサ姉の部屋にお持ち帰りされていた。助けてりみ俺このままじゃチョココロネになっちゃう。

 リサ姉の高笑いが悪役っぽい。

 

「俺はこのままリサ姉にいただかれちゃうのかな……」

「まだ食べないよ☆」

「まだ──なのか」

「うん。まだだよ」

 

 それはもう、いつか俺えお食う予定があるという事。くそ。筑前煮ギャルめ。純情ギャルじゃなかったのかよ。俺の前にいるリサ姉、ただのギャルびっちじゃんか。

 ちきしょう……まだ襲われる訳にはいかないんだ。何としてでも逃げ出して…………リサ姉?なんで部屋の鍵閉めてるの?

 

「あのね竜介、女の子って言うのは、男の子が思ってる程いい子じゃないんだよ?特に竜介みたいな魅力的な男の子は、みんな欲しいがってるの」

 

 俺が魅力的?ご冗談を。俺を知らない女はみんな俺をステータス扱いする。どうせ俺のスキルしか見てないんだ。俺知ってるんだ。告白ゲームとか自分のステータス確保にしか興味が無い脳内真っピンクの女共を。

 

「どうせ俺は有能なだけのクソ女男ですよーだ。俺はあこが好きなんだ!あこだけが俺の事ちゃんと見てくれたんだ!可愛いもの好きの男の子としてな!ほかの皆は俺の料理だとか裁縫とかしか見てくれなかったもん!」

「あはは!竜介も大分病んでるねー」

 

 リサ姉は面白そうに笑っていた。

 

「竜介の事をちゃんと見てる女の子、ここにも一人いるんだけどなー?」

 

 リサ姉は楽しそうな笑顔のまま、俺の隣に座る。

 

「あこと違って、スタイルキープにも気をつけてるよ?家事だって全部出来るし。どう?自分で言うのもなんだけど、アタシ結構な優良物件だと思うなー」

「俺はあこの全部が好きなんだ。体型とか性格とか。それに、あこは不完全だからこそ良いんだ」

「ふーん……やっぱり、そう簡単にはなびかないかぁ……」

 

 俺の意思は硬いからな。そう簡単には取っかえ引っ変えしないのだ。

 俺があこを好きになって何年経ったと思っている。もう九年目だぞ。いい加減告白しないと神様からお急を添えられてしまう。俺は世界で一番の魔王好き。拗らせ片思い患者だ。

 

「色仕掛け……は通用しないか」

「当たり前だろ」

「それって、アタシに魅力を感じないから?」

 

 リサ姉は魅力的だと思うよ。トッポのチョコぐらいたっぷり魅力が詰まっている。でもそれだけじゃダメなんだよリサ姉。

 

「リサ姉はちょっと魅力的すぎるかなー。大事に思ってなかったらとっくの昔に襲ってるよ」

「ふーん……この期に及んでまだ大事とか言うか。竜介はおバカさんだね〜」

 

 俺の鼻の頭をリサ姉はチョンと小突いた。

 

「そっか、竜介がアタシを襲わないのは、大事にしてるからなんだ」

「まあな」

「じゃあ、竜介の大切じゃなくなれば良いんだね」

「……は?」

 

 俺の大切じゃなくなるとはどう言う事だ。俺に催眠でもかけるつもりか。

 

「あこに何かすれば、竜介はアタシを嫌ってくれるかな?」

「……何する気だ」

「うーんそうだな〜」

 

 リサ姉は自分の唇に手を当てながら、あこに何をするのか考える。リサ姉、一体何する気なんだ。

 

「あこが襲われてたら、竜介はどうするかな〜」

「ッ!り、リサ姉に出来ないだろ。そんな事……」

「出来るよ。知り合いにいるんだ〜。そういう人」

 

 危ない。リサ姉は本気であこを襲う気でいる。そうはさせるか。俺が何としてでもくい止めてみせる。あこは俺が守るのだ。

 

「あこは死んでも俺が守るからな。絶対に。俺が死んだらリサ姉だって困るだろ」

「……そうだね」

 

 リサ姉の悔しそうな顔。俺はあこを守りきった。

 

「あのさリサ姉、そんな事までして楽しいの?なんでそこまで俺を欲するのさ」

「だから、竜介が魅力的だからって言ってんじゃん。あこに言われた事ない?竜介は狙われる側だって」

「それはまぁ……あるけど」

 

 リサ姉の言葉に、俺はしぶしぶと言った様子で返事をする。確かにあこに気をつけろと警告された事があった。

 

「ねえ、竜介。勝負しよっか」

「勝負?」

「竜介とアタシ、それぞれバンドを組んでライブするの。メンバーは自由」

「それに勝ったら、リサ姉は俺を諦めてくれるのか?」

「うん。諦めるよ。でもその代わり、アタシが勝ったら……ね?」

「……わかった」

 

 俺が負けたら、リサ姉と強制的に付き合う事になる。でも、俺が勝ったらリサ姉は俺を諦めてくれる。だから俺は勝負に乗った。

 

「勝負の日はいつ?」

「そうだね……じゃあ、クリスマスパーティーの日にしよっか。交渉は全部アタシがしとく。竜介はその間に練習すればいいよ。アタシに勝てるかな~」

「のぞむところだ」

 

 絶対にリサ姉に勝つ。そして、あこに告白する。




病んだリサ姉が勝負を仕掛けて来た。
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