【完結】いちばん小さな大魔王!   作:コントラポストは全てを解決する

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第85奏 バンド

「──ああ、そういうわけだ。うん。ありがとな」

 

 リサ姉と対バンライブする事になってから二日が経った。俺はライブをしなきゃいけない。だから、急場凌ぎだがバンドメンバーを集めた。メンバーは日菜先輩、ひまり、有咲、花音先輩だ。とある情報網からリサ姉のバンドメンバーを仕入れ、それを元に俺に出来る限りの対抗メンバーでバンドを組んだ。日菜先輩がバンドリーダーであり、このバンドに入れた意味が一番大きい人。

 そして、今から諸々の事情をあこに打ち明ける。決心するのに二日かかってしまった。

 

「あこ、聞いて欲しい」

「な、なにりゅう兄。顔が怖いよ?」

「大事な話なんだ」

「わ、わかった」

 

 リサ姉に勝負を持ちかけられた。リサ姉と対バンライブするだけの簡単で難しい勝負。負けたらリサ姉と付き合い、勝ったらリサ姉が俺を諦める。そんな闘いだ。

 

「リサ姉と対バンライブする事になった。詳しい事情は言えないけど、俺が負けるとリサ姉と付き合う事になるから、あこはその事を知っておいて欲しい」

「…………え?」

 

 あこの拍子が抜けた顔。どうやら一回で理解してくれたらしい。話が早くて助かる。

 

「というわけだ。俺はこれからメンバーと日程調整するから、晩御飯いらない。そういうわけでよろしく」

「ま、待ってりゅう兄」

 

 そそくさとあこから逃げようとしたら止められた。そりゃ止められるか。眷属が勝手に決闘を受けて来たんだ。主として物を言わない訳にはいかないだろう。

 

「なんで、リサ姉と付き合わなきゃいけないの?リサ姉、りゅう兄が好きなの?」

「ああ、そうだ。一回告白もされてる。そんで、リサ姉が諦めきれないっていうから勝負受けた」

「で、でもりゅう兄、楽器初心者だよね?か、勝てるの?」

「正直厳しい。まあ、リサ姉もそれを見越してのライブなんだろうな」

 

 ギター歴四ヶ月に何が出来るのかって話だ。こないだFコードを習ったばかりなのに。

 リサ姉も頭が良い。楽器がそこそこ出来る俺の弱点をついて勝負を仕掛けて来たんだから。伊達に私立の進学校通ってねぇな。

 

「というわけだ。俺はこれからライブをしなきゃいけない。そんで勝つ必要がある。つまり時間が惜しい。ちょっとバンドメンバーに連絡してくるわ」

「ま、待って!」

「まだ何か?」

「何か?じゃないよ!そんな勝負受けちゃダメ!今すぐ取り消して来て!」

 

 そういうと思っていた。まあ仕方ないよな。大事な眷属が奪われかけてるんだから。

 

「取り消す訳にはいかない。これからのためにも」

「な、なんで?りゅう兄、リサ姉が好きなの?」

「あこの好きっていう意味では好きじゃない。まあ、そういう事さ」

「あこにもわかるように言ってよ!」

 

 あこは怒っていた。仲間はずれにされているのが許せないのだろう。俺もあこに蚊帳の外にされたら悲しい。

 

「そうだな……なんというべきか……。この勝負を受けなかったら、リサ姉はこの先ずっと俺に依存しなきゃいけなくなる。だから俺はリサ姉を、神楽竜介っていう呪縛から解放しなきゃいけないんだ。だからあこ、分かってくれ」

「りゅう兄は呪いなんかじゃないもん……」

「うん。ありがと」

 

 あこにとってはそうかもしれないが、リサ姉にとって俺は呪いでしかないはずだ。だって、俺がいなければ優しいお姉さんのままだったんだし。

 だからこそ、俺が責任を持ってリサ姉を元に戻す必要がある。

 

「俺が絶対なんとかする。だから、あこは待っていて欲しい」

「やだ。あこもりゅう兄のバンドに入る」

「それは……ダメだ」

「な、なんで?」

 

 これは俺とリサ姉の真剣勝負。俺はあこが好きで、きっとあこのために勝とうとしてしまうだろう。けどそれじゃダメなのだ。リサ姉のために勝つことにこそ意味がある。あこという存在は、俺とリサ姉の間にいてはいけない。あこには申し訳ないが、それをわかって欲しい。

 

「この勝負にあこは入れない。仲間はずれにしてごめんな。でも、これだけはわかって欲しい。俺は、あこの事を世界で一番大切にしてるから」

「そ、そんな事言われたって……あこ、やだよ……りゅう兄と一緒にいられなくなっちゃうかもしれないんでしょ?」

「かもな」

 

 俺が負けたら、リサ姉と付き合う事になる。そうなったら申し訳ないけど、あこをここに置くわけにはいかない。きっとリサ姉が許さないし、俺もそうする事を選択するはずだから。ケジメはつけなければならない。

 

 

「りゅう兄は、それで良いの?やっぱり、あこはいない方が良かったの?」

 

 

 あこが、顔を寂しさ一色に染めて言ってきた。

 

 

「それは違う!」

 

 

 俺はあこの肩を力強くつかんで、あこの発言を否定する。あこがいなければ良かったなんて、そんな残忍な事思うものか。

 

「俺は、あこと一緒にいられて良かったと思ってる。過ごした時間だって、俺の最高の宝物だ。それに俺はあこが──」

 

 

 好きだ。

 

 

 その言葉は出せなかった。まだ、俺の想いを知られる訳にはいかない。俺が負けた時、あこが俺から離れやすいように。

 

 

「……信じて欲しい」

「…………わかった。で、でも、絶対勝ってね……。約束だよ」

「おう。約束する」

 

 あこと指切りげんまんを交わした。絶対リサ姉に勝つために。

 まだバンド名も決まってない俺のバンドだけど、俺は絶対勝ってみせるのだ。あことの約束のために。繋ぐ契約に誓って。

 

 




竜介君はここから猛練習してサイドギターを出来るようになります。僕には描写力がないので、次回ライブします。すまぬ

小説終わったら絵を描く練習するんだ。あこちゃん描くんだ。美術の成績2だけど。あとYouTuberやりたい。ベイブレード回すんだ。
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