【完結】いちばん小さな大魔王!   作:コントラポストは全てを解決する

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第86奏 ライブ

 クリスマスパーティー当日。即ち、俺のライブ日。この日のために猛練習した。手が痛くなったし、弦で指を何回も切った。血が何度も出たが、元々自傷癖があるメンヘラなのでそれは問題ない。

 

「いよいよ本番だねー。竜君はどう?緊張してる」

「緊張してる暇ないんで」

「なんだっけ、これで負けたら竜君はリサちーと付き合わなきゃいけないんだよね。良いなー」

「そんな良いもんじゃないっすよ。俺好きじゃない人には冷たいんで」

「またまた」

 

 俺が作ったライブ衣装を来た日菜先輩が、ここぞばかりに冗談を言ってくる。

 

「それにしても、竜介も一ヶ月でよくやったよねー。まさかオリジナル曲作っちゃうなんて」

「まあ、日菜先輩がいてこそだけどな」

 

 ひまりがベースの最終調整を施しながら、俺と日菜先輩の曲を褒め称える。正直言うとかなり苦労した。作詞なんてした事がなかったから。

 

「ふえぇ……緊張してきたよぉ……」

「大丈夫ですよ花音先輩。いっぱい練習したじゃないですか」

 

 緊張で震えていた花音先輩の手をそっと握る。暖かい。

 

「負けたら竜介に恋人ができるのか……あれ?そっちの方が良くね?キリいいじゃん」

「やめてお願い裏切らないで有咲」

 

 リサ姉の後に出番が控えてるのに、有咲が怪しいモーションを見せた。やめてお願い、有咲に抜けられると俺のパワーが半減しちゃう。娘大事。

 

「ねえねえ、竜君。決着ってどうやってつけるの?」

「観客の投票だな。票が多い方の勝ち」

 

 リサ姉が花咲川羽丘合同クリスマスパーティーの交渉で決まったのは、そういうルールだ。お互いにライブをし、観客によりウケた方が勝つ。単純明快。シンプルイズベスト。

 

『さあ、クリスマスパーティーもいよいよ大詰め!トリを飾るのは、合同バンド対決だ!』

 

 司会の女の子が場を盛り上げる。会場は熱気に包まれていた。気が早い人は、もうサイリウムを準備していた。

 

『それでは始めましょう。最初に歌っていただくのは──』

 

 前座ライブが始まった。観客を盛り上げて、テンションをあげてくれる。

 そして、いよいよだ。リサ姉が俺に対抗するために組んだバンド。俺を諦めきれなくて作ったバンド。その実力が今、わかる。

 リサ姉のバンドのメンバーは、紗夜先輩、つぐみ、沙綾、美咲だった。送って貰った情報通り。

 

「皆さんこんにちは。エキシヴィーブのリーダー、今井リサです。突然ですが皆さんにお聞きします。皆さんには、好きな人がいますか?アタシは、アタシの好きな人にこの気持ちを知って欲しくて、このバンドを組みました──」

 

 リサ姉の真剣な表情。場が一瞬で静まり返った。

 

 

 

『これは、アタシの大好きな人に送る歌です。聞いてください。

 

──フィラン・スロフィーア──

 

 

 

 

覚えていますか、出会った時を

 覚えていますか、紡いだ刻(思い出)を

 貴方だけが見てる景色は

 きっと私には分からないでしょう

 

 

 

貴方という深い蜜は

 私をゆっくり狂わせていった

 誰も届かない、暗い暗い底に

 貴方は私を堕としていった

 

 

 

嗚呼、貴方は残酷です

 何処までも私を狂わせる

 嗚呼、貴方が欲しいです

 想いは貴方に届かない

 

 

温かさに包まれた場所で

 一緒に暮らしましょう?

 

 

いつまでも一緒に

いつまでも穏やかに

いつまでもゆっくりと

 

 

貴方にあげる、慈愛の詩(フィラン・スロフィーア)

 

 

 

 

 

 

 _______

 

 

 

「なんか、リサちーっぽくないねー」

「きっと、それだけ焦ってるんだと思うんです」

「リサちゃん、怖かったな」

「ですね」

 

 ライブ会場は静まり返ったまま。そしてリサ姉は、そんな空気にしたままステージを後にした。

 いよいよ俺たちの番だ。

 

「行こう、皆。全力全開、突っ走ろう」

「う〜ん!なんかるんって来たー!」

「ふえぇ……で、でも……頑張るよ」

「まあ、いっちょやったろーじゃない」

「えい、えい、おー!」

 

 みんなの活気いい声を聞きながら、俺はマイクのスイッチをオンにした。

 

 

 

 

『スゥ…………盛り上がってますかあああああぁぁぁッ!!!!

 

 

 

 数秒の沈黙、それは一瞬で歓声に変わる。

 

 

 

『細かな挨拶は苦手なので飛ばします!聞いてください!

 

──Connection RLoad──

 

 

 

 

あの日初めてみた太陽の笑顔

 一緒に笑うのが幸せだった

 想いも気持ちも繋がっていて

 そう信じてまっすぐ突き進んだ

 

 

けれど、あの日涙を流した君は見えず

 置いてしまった罪は胸(ここ)にある

 許されなくていい 恨まれてもいい

 だからどうか隣にいさせて

 

 

隠した想い(Feelings Lord)──全部ぶつけて

 暗い歴史(Dark past king)──打ち明けて

 怖がらずに笑おう、僕が傍にいるから

 涙なら一緒に流そう、寂しいなら手を繋ごう

 

 

きっと君は一人じゃないから

きっとその心は繋がっているから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

The rload I connection(僕が全てを、繋いでみせるから)




竜介君達のライブ衣装です。リサ姉の方は間に合わなかったぜ(てへぺろ)
ツギハギ人形(マリオネット)という事でくるみ割り人形をイメージして兵隊。繋ぐツギハギ、繋ぐは虹の掛橋なり、という事で虹のツギハギマントをつけています。オシャンティー。ぶっちゃけ服のデザイン考えてる時が一番楽しかった。


【挿絵表示】



竜介のバンド──マリオネット(ツギハギ人形)。ポピパのような絆もなく、アフグロのようなイメージもなければ、パスパレのような知名度もなく、Roseliaのような技術力もなければ、ハロハピのようなたいそれた目標もない、全てが中途半端にできた急場凌ぎのツギハギバンド。急場凌ぎのライダーシステム大好き。熱い。

リサ姉のバンド──エキシヴィーブ(ΕκδίκηάπVE)。
慈愛のギリシャ語をなんやかんやした単語に、愛のLoveをくっつけただけの簡単なバンド名です。Roselia方式を採用しました。オシャンティー。リサ姉の愛がトッポのチョコより詰まってる。恋の蜜に溺れ、暴走した慈愛の女神が組んだバンド。愛の暴走列車は止まらない。

この日のために作詞しました。作曲もやろうと思ったけど、やった事ないのでダメでした。電子ピアノしか家にありません。きらきら星しか弾けない。

Connection rload。作詞:竜介 作曲:日菜の曲となっております。竜介の過去、皆への繋がり、想いを込めた歌。皆とか抜かしてますが、ちゃっかり曲名にload(魔王)が入っています。我が魔王が最強なんだよ。

フィラン・スロフィーア。作詞作曲:リサ姉。よく頑張った。竜介にあげる、竜介のための詩。そしてリサ姉の心情と願い。リサ姉の愛は重い。そして怖い。バンドで1番大切なコンビネーションを無視し、竜介と恋人になりたい私欲をビシビシ詰めて独走した曲。怖い。重い。

多分次回が最終回。
あとがきが長くなっちまった。それでは次回。アデュー。
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