【完結】いちばん小さな大魔王! 作:コントラポストは全てを解決する
イラスト描く時姿勢が悪くてすぐ腰が痛くなります。ヘルニア予備軍なので辛いです。でも描くんだ(ドM)
昨日あこがユキ姉達を連れてテーマパークに遊びに行ったらしい。なんでも、NFOとのコラボイベントをやっていたらしく、そこで貰える限定装備が目当てだったそうだ。俺も行ってみたかった気がしなくもないが、俺のNFOでの役職はアイテム生産職。レア装備などなくても務まるので行っても行かなくてもどちらでもと言った感じだ。
徒話はさておいて。
さて、俺のNFO事情は一旦置いておくとして。ここに用意するは昨日帰宅してからというもの覇気がなくなった我が魔王。異様にがっかりした佇まいで、昨日からずっとしょぼんとしている。
これは恋人兼未来の旦那である俺の出番だろう。ここでかっこよくババンと頼れる所を見せて、あこを惚れ直させてみせるのだ。
「あこ、どうした?昨日から元気ないけど」
「あ、りゅう兄……」
「俺で良かったら話聞くぞ?」
「うん……。あのね──」
そうしてあこが話してくれた事情によると、昨日Roseliaの皆で行ったテーマパークのイベントに参加し、難しい課題を何度もクリアして、ついにゴールまで辿り着いたは良いが、肝心のレア装備のコードがあこのネクロマンサーには使えないという事だった。なんでも、昨日まではナイト、タンク、ヒーラーの基本職種三種のレア装備を配布していたらしく、今日からネクロマンサーなどと言った職種の装備配布が始まるそうだ。
「あこはそのネクロマンサーの装備が欲しいけど、昨日以外皆の予定が合わないわけで、一人で挑むには難しい過ぎるし、日替わりで課題も変わっちゃうと」
「そうなんだ。でね、皆の予定が空くのを待ってるんだけど、やっぱりダメそうで……」
「なるほど」
その課題とやらが随分と難しいと。俺に頼ってこない辺り、二人でどうにかなる難易度ではないと見た。けれど、俺は今そのテーマパークとやらであことデートがしたくなったぞ。一回行ってみようか。
「じゃあ、一緒に行くか?」
「でも難しいよ?」
「任せろ。これでも頭は良い方だからな」
「……分かった」
あこは俺について来てくれる気になった。全力前進。突っ走ってやるぜ。
____
という訳で、俺たちは某テーマパークにやって来た。受付でイベント参加申請をし、何やらタブレットPCらしきものを授けられた。タブレットPC使うとかどんだけ込んだイベントなんだ。イベント経費が気になる。
それと、ネットで調べたらここのテーマパークはペットOKとの事だったのでニャン吉を連れて来た。今は俺の肩に乗っかっている。
「はえー、今どきのテーマパークってタブレット使うのか〜。洒落てるね〜」
「りゅう兄、言葉がおじさんみたいだよ」
「まあそう言わずに。お、なんか出てきた」
《1+1+1=142に、1を一つ足して解け。制限時間:2:00》
「だってさ。二分とは短い」
「1+1+1=142?どういう事?」
初っ端から飛ばして来たイベント問題に、あこと一緒に頭を捻る。ただでさえ数字が小さいのに、足せる数字も一だけと来た。どう頑張っても十三が限界だ。
「これは中々……うーむ……」
「難しいよー……」
三十秒が経過。大丈夫あと一分半あるし、何よりまだ最初だ。間違えたら最初からやり直しになるらしいが、まだ俺たちは最初にしかいないのでいくらでもやり直せる。日が暮れるまでどんと来いだ。
「一回適当に…………あっ、ダメだった。うーん」
時間内ならいくらでも間違えられる事が分かった。一歩前進……ではないか。まだ一歩も進んでいない。
「1+1+1だろー?うーん?」
「りゅう兄……やっぱりやめよう?皆がいないと分かんないよ……」
「まあ、後一分考えるぐらいなら良いだろ。面白いじゃん」
珍しくあこが弱気だ。まあでも、せっかく遠路はるばるやって来たのだ。もがくくらいはした方が良いだろう。だが、それはそれとして、普通に問題が分からない……。
『にゃー』
俺とあこが悩んでいると、ニャン吉がタブレットPCの画面をてしてしと叩き始めた。何やらニャン吉なりに意見を抗議しているらしい。お腹が空いたのだろうか。
いや違う。よく見るとニャン吉は数式の“+”をずっと連打している。これは、もしかしてここを使えというニャン吉先生からの教えなのだろうか。
+……+……+……………………ッ!
「もしかして……こうか?」
ピンポーン!
正解のファンファーレがなった。
「おぉ……これがニャン吉の力……。あこ、やったよ!ニャン吉がやってくれたよ!」
「うん!」
今日のご飯にちゅーるが追加された。それとあこの笑顔が眩しい。今日も我が魔王は絶好調。
「さあ、次の問題だな」
「あこもう頭痛い……」
「まあそう言わずにさ」
《リンガジュースを手に入れよ。制限時間:1:00》
次の指示がやって来た。
「……リンガってなに?」
「あっ!あこ知ってるよ!リンガって言うのはね、ここに売ってるりんごの呼び方なんだ!」
「あこは物知りさんだな」
「にひひ♪」
あ、死ねる(可愛い)(天使)(その笑顔でご飯3杯いける)
____
リンガジュースを求めて一分弱。あこが昨日訪れたという果物屋にてそれは手に入った。そして、リンガジュースを手に入れたすぐあとにミッションクリアのファンファーレがなる。
「なんか、随分あっけないミッションだったな」
「昨日来た時はこんな簡単なのなかったよ?」
「今日はサービスデーなのかもな」
「そっか」
運営も粋な事をしてくれる。ミッションが早く進むのでありがたい。
「お、次のミッションだ」
《
“たえたたぬ”に迎え。制限時間:60:00》
「おいやべーぞ。めっちゃ意味不な問題来た」
「……帰る?」
「人生諦めも肝心だよな。でももうちょっと粘ろうぜ」
「りゅう兄、楽しい?」
「おう。楽しい楽しい」
「……じゃあ、頑張る」
ぶっちゃけるとあことのデートが目当てだが、まあ頭を使うのは嫌いじゃない。それにあこが可愛い。可愛いあこのためなら、たとえ火の中水の中。どんな場所へも行ってやる。
早く問題をとかなければ。
「で、たえたたぬって何?」
「あこも分かんない」
試しにニャン吉に視線を送ってみるが、当の本人はリンガジュースのラベルでじゃれてしまっている。
じゃれるニャン吉と、可愛らしく首を傾げるあこ。頼れるのは自分自身だけか。
「たえたたぬ……たえたたぬ……たえたたぬ?」
おたえの顔が頭を過ぎったが、NFO運営がおたえを知ってるはずは無く。またまた八方塞がりだ。
「うーむ……ノーヒントなのがまた辛い……」
さっきの問題のように一を足せとかの指示はない。ただ“たえたたぬ”に迎えと言う指示だけ。さっぱり分からない。
「これがレア装備限定イベントの激ムズ問題か……これ、ユキ姉分かるのか?仲間外れになってなかった?」
「友希那さん大活躍だったよ!」
「マジか。負けられん」
かつて英語の文法問題でIlive in Edoと答えたユキ姉が立派になって……。お兄ちゃん嬉しい。でもそれはそれとして早く問題を解かなければ。移動時間にどれだけ時間がかかるかを考えると、そろそろ答えなきゃダメな気がする。
「たえたたぬ……耐え立たぬ?耐久度がない建物って事か?」
「藁の屋根のお家ならあったよ」
「じゃあ、試しにそこに行ってみるか」
_____
試しに藁のお家にやって来てみたが、特にタブレットPCが反応する事はなかった。
「うーん……間違ってるって事かぁ……。結構歩いたから喉乾いたな」
「リンガジュースちょっとだけ残ってるよ?はい」
「あこは喉乾いてたりしないのか」
「大丈夫!」
「そっか。じゃあ頂いちゃうな」
未だにラベルでじゃれるニャン吉を他所に、俺はリンガジュースを飲んだ。爽やかな酸味と甘味が口の中にスパーキング。良き。
「あれ……りゅう兄、ニャン吉が持ってるラベルになんか書いてあるよ?」
「ん?どれどれ」
あこが抱えたニャン吉からそっとラベルを拝借し、その面を見てみた。そこには『Nyctereutes procyonoides』と言う文字が書いてある。
「にゃくてれ……りゅう兄、これなんて読むの?」
「Nyctereutes procyonoides。まあ簡単に言うとたぬき──あー……そういう事か」
「え、なになに?りゅう兄分かったの?」
「おう。まずな──」
これは昔からある簡単な文字遊び。
まず、この画像の文字には必ず平仮名の“た”が入っている。そしてたぬき。
そう。“た”ぬきである。
その法則に則り、画像から文字を抜くと、
こうなるわけだ。
「“えぬ”と“いー”と“えす”と“w”?りゅう兄、これなに?」
「これな、方角なんだよ」
「方角?」
「そっ。つまり、こういう事だ──」
「じゃあ、たえたたぬに行けって言うのは……」
「北に迎えって事だな」
やっと問題が解けた。けど、ここで問題が発生。俺たちが今いるのは、移動前より南に進んだ方向。でも、指示が出ているのは来た。制限時間は十五分──
「……ちょっと走るか」
「だね」
「ついて来れそうか?」
「大丈夫」
なら、軽くジョギングに洒落こもう。
_____
北の教会にやって来た。そこに辿る着くと、タブレットPCからミッションクリアのファンファーレがなる。やった。三問目もクリアだ。こういうイベントからして、問題はあと一つか二つほどだろうか。
「結構移動したな。あこは大丈夫か?」
「うん。大丈夫だよ」
軽く息切れを起こしているが、あこはピンピンしていた。俺もちょっと汗をかいたぐらいで、まだまだ動ける。
汗を拭った後、俺は一度目の前の教会を見た。キリストの十字架が絵柄のステンドグラスがある立派な教会だ。
「中、入ってみるか」
「うん。何があるかな」
教会の扉をギギギっと開き、俺達は中に入った。そこには聖典を広げる神父の姿が。
「あなた達は、様々な試練を乗り越えてここにやって来ました。さあ、残る挑戦は三つ。受けますか?」
「望むとことろです。どんとこーい」
「あこ頑張るよ!」
挑戦を受ける。そういう旨で返事をした瞬間、ピコンと言う音とともに新しいミッションが送られて来た。
《愛を誓え。制限時間00:30》
『……え?』
シンプルだがまた難易度の高いものを……。思わず声を漏らしてしまった。あこも驚いた様子でタブレットPCを見ている。
愛を誓えとの事だが、ここは教会、そして誓うは愛。そう。まるで結婚式のようだ。という事は、これは──
「病める時も健やかなる時も、貴方達二人はお互いを支え合い、未来永劫苦楽を共にする事を誓えますか?」
神父の言葉に、俺とあこは互いを見た。
「俺と一生一緒にいれるか、だってさ?」
「そんなの当前だよ。あことりゅう兄はずっと一緒。繋いだ手は離さないんだから」
「俺もあこの手を離す気はないよ」
タブレットPCからミッションクリアのファンファーレがなった。
《指輪を交換せよ。制限時間00:30》
指輪、普通なら持ってる人は少ないだろうが、俺達には付き合う前からつけている誓いの指輪がある。
「あこ、俺が絶対幸せにするからな」
「うん。あこもりゅう兄の事幸せにする」
指輪を交換した。そしてまたファンファーレがなる。
《LAST MISSION──誓いのキス──制限時間:∞》
「……だってさ。どうする?時間無制限らしいけど」
「する。最近りゅう兄からしてくれないからりゅう兄からして」
「そうだったけか。じゃあ、目瞑ってくれ」
「うん。…………んッ」
俺とあこは誓いのキスをした。
_____
「やったー!限定コードだー!」
あこが盛大にはしゃいでいる。NFOネクロマンサー限定装備のコードが手に入って上機嫌だ。ぴょんぴょん飛び跳ねてて可愛い。
このコードを手に入れるためにあこと結婚式の予行演習みたいな事をしたが、これはイベントとしてどうなのだろうか。素で難易度の高いミッションに、こういった変化球で難易度の高いミッションもある。もし仮に、男性グループがやってきたら……そう考えると少しおぞましい気持ちになってくる。それに、誓いの指輪に使ったあのNFOエンゲージリング。最近は再販もされたと聞く。それをイベントに持ってくるとは、なんと商魂の逞しい事だろうか。
一度運営とじっくり話し合ってみたい。
「りゅう兄、今日はありがと。りゅう兄のおかげで限定装備貰う事が出来た」
「おう。俺も限定装備貰えたし、お互い様な」
「うん!ありがと!」
あこの眩しい笑顔。ニャン吉がいることを忘れてしまう。模擬結婚式からちょっと不貞腐れているニャン吉。帰ったらちゅーるあげるから許して欲しい。
「りゅう兄、大好き!愛してる!」
「俺も愛してる」
あー我が魔王が可愛いんじゃー(思考停止)
謎解きは皆も楽しめたらと思い、昔自分が解いた問題を使いました。竜介の肩に乗ったニャン吉が唯一のリゼロ要素。
ゼロに咲く花の後日談みたいな感じで書きました。
NFO結婚指輪はこの時のためにあったんだ。ありがとう運営。指輪の出番をくれて。
僕はりゅうあこが大好きです。こころの底からILoveYou