ソンチョーがいく 作:すとーぶ
あれから、しずえさんに役場で【村長】の仕事を教えられ、広場で木の苗を植える就任式が開かれた。 それから、狸のどうぶつに家のローンを契約させられ、なんやかんやしている間に時間は過ぎていった。
いつまで経っても覚めない夢だと思っていたけれど、なかなか僕の知っている現実に戻らない。駅のお猿に汽車に乗りたいと言ったら、商店街でソパカの写真を撮ってきてと言われる始末。
それでも僕が今でもここにいるのは、この村の住民たちが思いの外、イイヤツだったから。お人好しの連中なのか、「石にスコップ当てたら鉱石が出てくるんだぜ」とか、「今日は釣り大会だな!がんばろうね」とか、ことあるごとに僕に話しかけてくる。この村で生活するための助言をたくさん教えてくれる。だから、彼らのお願いは叶えるようにしている。
......魚をとってきてほしいとか、条例をつくろうだとか......ただ、彼らはウワサ話が大好きなようで、ハチに刺された顔でうろついていたら、次の日、村の住民みんなが僕のことの顛末を知っていた、なんて、しょっちゅうある。
気が付いたら、この村に僕は馴染んでいた。イベントでどうぶつたちとワイワイばか騒ぎしたり、日々の記録をつけ忘れてリセットさんに叱られたり......そんな日常が楽しいと思ってしまった。
それはともかく。
家のローンを返すため。公共事業の資金を集めるため。今日も僕はお金を稼がなければならない。釣りざおを手に持ち、浜辺へ向かった。かっぺいさんと世間話しながら、獲物を待った。
浮きが沈んだのを手で感じとり、すぐさま、竿をひく。いつもより手ごたえがある。これは大物か......!?
バシャンッ......と水しぶきとともに釣れたのは、久々にみる
麦わら帽子を被った少年だった。
少年は海に流されていたせいか、ぐったりとしている。それでも僕の釣りざおの餌を口から外すことはない。食に餓えているのだろうか。ここまで遭難していたのか......
ひとまず、少年を背負って、どうぶつたちに助けをあおぐ。
「わぁぁぁぁぁあ!人が釣れたァ!!」
「ど、どうしよう。生きてるかな?この子」
「村長!【おくすり】持ってきましたぁ!」
【おくすり】を受け取り、なんとか少年に飲ませる。僕たちが慌てふためいていると、少年は僅かに身動ぎした。じっと用水路を観察すると、全身をバネにして起きあがり、万歳するように両腕を伸ばして、グッと背伸びしている。
「にしし!やっぱ生きてた」
ケロッとした様子で死にかけていたのにそんなことを言う。
ぐるんっと勢いよく首を回し、ぱっちりとした大きな瞳が僕をとらえた。僕はチラッとどうぶつたちと顔を見あわせ、しずえさんが「せーの」とみんなに目配せする。
「コウコウ村へようこそ~」
キョロキョロと周りを見回し、どうぶつたちに気づいた少年は目をキラキラさせている。
これが、僕とその少年――モンキー・D・ルフィ――の摩訶不思議な冒険と旅路のはじめての出会いだった。