空の死神と悪魔   作:MP4/6ゆっくり

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EP1 ~ Task03 三大英雄集結

【side: 水月】

 

「やっと見つけた! なんで置いてくの!?」

……なんでこいつがいるんだ?

俺と凛は本部棟に続く通路で足止めを喰っていた。理由として、凛の端末に通信が入ったこと。そして、俺の最もよく知る人物がそこにいたからである。

こいつは紅月 燐華。セジュールにいた時からちょくちょく絡んでくる奴だ。

あ、〈セジュール〉はノーザンディア北端にある田舎町でな。そこのハイスクールに燐華と通っていた。ついでに言うならこいつは元セジュール学園生徒会長だ。

っていうか置いていく!? ……後になってわかったことだが、こいつ何処からか俺がTP社にヘッドハントされたことを聞きつけてわざわざついてきたらしい。ってか同じ列車に乗ってたそうだ。全然わからんかったわ。

別に人が一人二人増えようが問題はないんだが……。こいつを除いてな。

色々と面倒なんだよなこいつ。特にセジュールにいたときなんかは酷かった。やれ学校に行けだの、やれ勉強しろだの、やれ夜更かしするなだの……なんだ? お前は俺のお袋か何かか?

まあ、それはどうでもいいとして、いや良くないか。

「お前なんでいるんだよ?」

まずはそれだ。はっきり言ってここは軍事施設。セキュリティレベルの高さは言うまでもないわ。

「だって、水月くん一人じゃ危ないでしょ? それに、元とは言え〈セジュール学園〉の生徒会長として、同じ学園の生徒が行くのに私だけ行かないなんて、他ならぬ私自身が許せないもの。」

やはり……理由はそれか。ならば答えは決まっている。

「……悪いことは言わん。さっさとセジュールに帰れ。」

「え!?」

俺は速攻で拒否した。

「なんで!? 私そんなに頼りないの!?」

「……あのな、行きたいなら素直に行きたいって言え。せめて出発前日までに言ってくれりゃ幾らか手は打てたってのに……。それから元生徒会長だとかそんな建前はいらんわ。」

「建前なんて……そんなこと……。」

「あるっての。……お前は昔っから何も変わっとらんな。」

はぁ、こりゃおっちゃんや中隊長に何を言われるかわかったもんじゃない。

「レ☆ミぜラヴル……アキラメロンとはよく言ったものだな……。」

「うん?」

……口に出してしまっていたか。ともあれ、こいつも同行することとなった。

丁度、凛が通信を終えたようだ。

「水月……その娘は誰だ?」

「紹介する。こいつは俺の幼馴染の紅月 燐華。何処で聞きつけたかは知らんが、俺がここに招聘されたってんでついてきたらしい。あと一級航空整備士の資格を持ってやがる。」

「一級航空整備士!? その娘が!?」

どうやら素で驚いているようだ。まあ、確かにそれはわかる。

「そういえば名乗ってなかったわね。紅月 燐華よ。」

「……ああ。アクィラ-2〈ダーカー〉、笛吹川 凛だ。よろしく。」

「ダーカー……何処かで聞いたことがあるわ。」

「こいつが四年前の〈南の悪魔〉だ。凛もここに招聘されたんだ。」

「え!? この人が……水月くんの、好敵手なの!?」

好敵手という表現は果たして正しいのだろうか?

「確かに四年前まではそうだったね。でも今は共に戦う仲間と捉えてほしいな。」

すると凛が徐に話を切上げ、俺に耳打ちしてきた。

「……さっきの通信の内容だ。どうやらスカージの部隊がやられてしまったらしい。」

「……何だと?」

スカージ……スカージ・ランブル。南北連合軍空挺部隊指揮官で、実力は空挺部隊間でナンバーツーと言われている。四年前、俺が敵機に追われている時にスカージは俺を助けてくれたのだ。……戦闘ヘリでな。それからだったかな。俺の所属してた部隊とスカージの部隊が共に戦うことが多くなったのは……。俺とスカージは共に助け合い、お互い盟友と認め合う関係となったわけだ。

お、噂をすればなんとやら。なんと、スカージがストレッチャーで運ばれてきたわ。

「お、おいスカージ! 大丈夫なのか!?」

「……す、すまぬ盟友よ! 不覚を取ったわ!」

「だから油断するなとあれ程……。」

凛……。怪我人にその言葉は無いだろ。

「……凛の、言った通りだったわ。奴ら……とんでもない新兵器を持っておったわ……!」

話を聞いたところ、スカージのヘリはあらかた敵の地上部隊を殲滅し終えたところをステルスタイプの対空機雷に引っかかり不時着したようだ。そして不時着したところを潜んでいた敵の新型ミサイルが直撃、スカージも負傷した。

「悪いことは言わねぇ。二週間は安静にしてやがれ。」

「……本当にすまぬ。盟友よ。」

スカージは担架で医療施設へ搬送された。

「スカージがやられたってことは、奴らもいよいよ本腰入れて攻めてくるかね。」

「そうだろうね。イリアからも聞いているけど、奴らは大量に新兵器を配備している。」

「……何処からそんな資金が?」

「さぁね。」

どうやら話している最中に本部棟に到着したようだ。

……何か入った途端に喧嘩でもしてんのか? ってくらいデカい声が聞こえるんだが……。そのままコマンドルームに繋がる通路に入ったときだった。

「……だから、我らは連合軍ではない! ビッグ隊だ!! 我らは我ら独自に動く!」

あのオッサン……。ビッグ隊とか言ったか。それにあと二名いるようだな。一人は女か。

「イリッチ大尉! まずはお前の部隊が出撃し、反政府軍を迎撃せよ!」

「……了解ですよ。」

イリッチ……あの女のことか。ビッグ隊のオッサンと違いイリッチ大尉は半分呆れ返ってんな。……こっちに向かって来たわ。

「おや? おやおや? 凛ちゃんじゃない! それにそこの人たちは?」

「イリア……。」

イリッチ大尉が、〈血の怪鳥〉なのか……?

「どうも、今日付けで配属されたアクィラ-1〈シザーズ〉、河島 水月だ。」

「おやおや、あなたが〈北陸の死神〉ですか。私はブロードバッド-1〈シュガー〉、イリア・イリッチよ。」

「会えて光栄だな〈血の怪鳥〉殿。」

「あなたには四年前に助けられたからね。一杯奢らなきゃいけないわね。」

四年前、俺はノーザンディア空軍ジョーカー-4としてサウザンディア空軍の〈南の悪魔〉〈血の怪鳥〉と共に武装組織テレジアの航空部隊を撃ち落としていた。あらかた片付いた所に、奴らは現れた。テレジアの増援としてザック隊が戦場に乱入してきたのだ。ザック隊は手始めに〈血の怪鳥〉を集中攻撃した。〈南の悪魔〉が通信回線で〈血の怪鳥〉が危機不調に陥ったことを教えてくれたことから、俺の中で何かがキレた。〈南の悪魔〉が〈血の怪鳥〉の援護に向かったが、ザック隊は〈南の悪魔〉を無視。〈血の怪鳥〉ばかり狙った。そこから先はあまり、覚えていない。

「悪い。四年前のことに関してはあまり覚えてないんだ。」

「え!?」

「……あの時は凄まじい勢いだったからね。記憶が一部飛んだのかもね。」

「そうなんだ……。」

「凛、アンタ何か知ってるな?」

「さぁて……何だろうねぇ? ……本人もこう言ってるし、俺が奢ることにする。」

「無理無理。凛ちゃんじゃとても割に合わないわよ!」

そう言うと、イリッチ大尉は笑いながら去って行った。何というか、パワフルなお姉ちゃんって感じだったな。しかし、それではあのオッサンに呆れ返る理由がわからん。中隊長もいることだし、ついでに話でも聞いてみるか。

……何かオッサンの方から近づいてきたんだが。

「……おめぇみたいなのが一番機だと? 笑わせんのもたいがいにしろよ。」

開口一番それか。というか今のでイリッチ大尉がオッサンに呆れ返ってた理由がわかったわ。

「何でおめぇが一番機に据えられたかわかるか?」

「さぁな。そいつは俺の方が知りたい。ってかアンタ誰だ?」

「俺はビッグ-1〈ザク〉、仲井 浩平だ。さっきの質問だが、教えてやる! おめぇが全然使えねぇ無能パイロットだからだよバーカ!!」

オッサンはそう言うと俺を押しのけて去って行った。

「……何よあのオッサン。イリッチ大尉にもあの態度だし……。」

わかる。燐華はああいうタイプの奴を嫌うからな。すると、凛が再び耳打ちしてきた。

「奴は、四年前に俺たちが落とした〈ザック隊〉の一番機だ。」

「何だと?」

「テレジアのデータは既に連合軍の手にあるんだ。調べれば閲覧も可能だ。それに……、あの一番機を落としたのは他でもないキミだからね。」

……完全な逆恨みじゃねーか。厄介なのに因縁付けられたもんだ。

おっと、ここに来た目的を忘れるところだった。中隊長に挨拶に行かねぇと。

 

「今日付けで配属となりましたアクィラ-1〈シザーズ〉、河島 水月です。」

一応、相手は上司だからな。これくらいはしないとな。だが、まさか中隊長まで俺の知っている奴とは思わんかったわ。

「待っていたぞ水月君。」

「ロベルト……爺さんなのか……?」

「ああ。親父さんは息災か?」

「お陰様でな。だがまさか爺さんが指揮官とは思わなかったわ。」

「ワシも元軍人でな。ようこそトラピスティア社へ。君の到着を歓迎する。」

「光栄なこったな。」

「そして、燐華ちゃんもようこそ。話は恭介から聞いたよ。」

何処まで気が利くんだよおっちゃん。既に根回しは完了していたのだそうだ。

「さて、早速本題に入ろう。水月君、タスクフォースTP13と、再び君たちの力が必要になった。」

 




〈セジュール〉
ノーザンディア共和国北端の田舎町。

〈セジュール学園〉
セジュールに存在する総合学園。初等部から高等部まである。

〈アキラメロン〉
ネタ。元ネタはマクロスの早乙女アルトのセリフ。「諦めろ!」が空耳で「アキラメロン」と聞こえることから。
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