【艦これ】色んな鎮守府の日常【SS】   作:大キャバクラ

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一部胸糞かもです。
でもバッドでは無いですね


15話・危ない艦娘の居る鎮守府(電) ☆

 

提督「え、えらいところに着任してしまった…」

 

廃墟「」ヒュウゥゥ…

 

 

どうも、提督です。

先日無事に士官学校を卒業し、艦隊指揮の許可が降りました。

成績はそこまで良いと言うわけではありませんでしたが、課題や試験は余裕を持ってクリアしたはずです。

これで俺も夢の提督!

海の平和も艦娘の心も掴むぞ!…っと思っていましたが、どうやら大本営と運命は俺の事が嫌いみたいです。

鎮守府って学校の社会科見学や研修、テレビで見た感じだと、最新の設備が整っている素敵な赤レンガ造りの建物ばかりだと思ってましたけど…

こんな鎮守府もあるんですね。

 

提督「何だねこれは…まるで廃墟…ってか廃墟そのもじゃない…?」

 

提督「とりあえず中に入ってみるか…」ソーっ

 

 

ー提督が鎮守府に着任しましたー

 

 

提督「って自分で言っても虚しい…」

 

提督「あれー?先輩が鎮守府に入った時はそんな天の声が聞こえてたのに…」

 

提督「まさか俺、提督の許可出てない!?」

 

提督「ってそんなわけ…」

 

 

「誰なのです…?」

 

提督「」

 

 

多分お化けです。

こんな所に人がいる訳ありません。

それかお化けじゃなくてもまともな人じゃないです。

俺は、えらい所に足を踏み入れてしまいました。

 

 

電「起きてください…」ペチペチ

 

提督「うぅん…」

 

電「しょうがないのです…えいっ!」ツネ

 

提督「ひゃう!?」ガバッ

 

電「あ!やっと起きたのです!」

 

提督「お、俺の乳首…」ヒリヒリ

 

電「?人間もそこが起動スイッチなのです?」

 

何と言う事だ…

艦娘に起動スイッチがあったなんて…

それにまさか艦娘は乳首が起動ス「冗談なのです」

 

提督「!?」

 

電「起動スイッチなんて無いのです、ほぼ人間と同じなのです」にぱっ

 

提督「そ、そうだよな…」

 

提督「君は?」

 

電「はじめましてなのです!」

 

 

電「暁型四番艦、電なのです!」

 

電「あなたの初期艦なのです!」フンス

 

提督「え、初期艦って選べるんじゃ…?」

 

電「司令官さんは、電じゃ嫌なのです…?」ウルウル

 

提督「うっ…!」

 

提督「いや、よろしく頼むよ!」

 

電「はいなのです!」

 

 

どうやら初期艦はこの電ちゃんらしい。

着任前に叢雲を申請したはずだけど…?

 

 

提督「で、電ちゃん。」

 

電「はいなのです」

 

提督「ここは鎮守府…で合ってるよね…?」

 

電「もちろんなのです」

 

提督「そうか…いやてっきりただの廃墟かと…」

 

電「ご、ごめんなさいなのです!電がしっかりしてないから…」

 

提督「い、いや、電ちゃんは悪くない…と思うよ?」

 

 

電ちゃんが悪い?何を言っているんだ…

 

 

電「いいえ…電は司令官さんが来る前にしっかり掃除をしてお出迎えしようとしたのですが…」

 

電「ゴキさんが出てきて、つい艤装を出してしまったのです。」

 

電「あ、安心して下さいなのです!ゴキさんはこの通りなのです!」ぺしゃっ

 

ゴキさん「」しーん…

 

提督「」

 

 

なんてこった…えらい所にえらい艦娘が居ました…

多分この電ちゃんは激情に身を任せてしまう子だと思います…

電ちゃんや五月雨はドジっ子属性ありと学校で習ったけど…

これは度を越しているというか…

 

 

提督「い、いやぁ、電ちゃんは偉い…?なぁ…あはは…」ナデナデ

 

電「えへへ…司令官さんにもっと褒めてもらうよう頑張るのです!」フンス

 

提督「程々にな…?」

 

………

……

 

こうして俺たちの艦隊勤務が始まりました。

まずは鎮守府を立て直さないとな…

 

 

提督「さて電ちゃん、このままじゃ俺も君も寝る場所が無い」

 

提督「まずは執務室と寮をどうにかしようか」

 

電「了解っなのです!」びしっ

 

提督「うん、いい返事だ」

 

提督「建造妖精さんと家具職人さんの力を借りよう」

 

提督「妖精さーん!」パンパン

 

妖精「」ヨンダー?

 

提督「妖精さん、電ちゃんに付いて寮を立て直してくれ」

 

提督「こっちの妖精さんは俺と執務室を建てよう」

 

妖精「」ガッテンダー

 

電「はいなのです!」

 

提督「じゃあ散開っ!」

 

………

……

 

 

〜5時間後〜

 

提督「ふーっ、大工しに海軍入ったわけじゃないんだが…」

 

提督「それにしても妖精さんすごいなー!あっという間に執務室完成!?」

 

妖精「」マカセロッテンダー

 

提督「何かお礼は…」ゴソゴソ

 

提督「これしかない…」乾パン

 

妖精「」ヨコセー

 

提督「はいはい」ポイ

 

提督「電ちゃんの方は終わってるかなぁ」

 

提督「また大変な事になってないと良いけど…」

 

 

 

 

〜寮建設地〜

 

提督「」

 

電「はわわっ!司令官さん!」ガシャン

 

提督「ちょ、砲をむけるなっ!」アセアセ

 

電「ご、ごめんなさいなのです!」

 

提督「落ち着いて、艤装をしまって、な?」

 

電「はい…」シュウゥン…

 

提督「さて、これはまた…」

 

 

更地「」

 

 

提督「更地になっちゃった!」

 

電「電はダメダメなのです…」しゅん…

 

提督「流石にこれは…今度はどうしたんだい?」

 

電「ムカデさんが居たのです…」

 

提督「ム、ムカデ?」

 

電「はいなのです…あ、ちゃんと仕留めたのですっ」ポイ

 

ムカデさん「」ぺしゃっ

 

提督「ひぃっ」

 

電「これでもう安心なのです!」フンス

 

提督「で、でもこれじゃ電ちゃんの寝る所が…」チラ

 

 

夕日「やぁ」

 

 

提督「もう日も暮れるし…今日は執務室で一緒に寝るかい…?」

 

電「!」

 

電「はいなのです!」ニヤ

 

提督「…?」

 

提督「ま、まぁ、そんなに広くないけど…」

 

電「電は大丈夫なのです!」

 

提督「あ!そういえば!」

 

電「?」

 

提督「建造任務とかやらなきゃじゃないの!?」

 

電「炉も壊してしまったのです」

 

提督「え?」

 

 

電「炉も壊してしまったのです」

 

提督「」

 

………

……

 

 

まずい事になりました。

着任初日に建造施設を壊して、新しい設備を申請するなんて大本営から何言われるか分かったものではありません。

なのでしばらくは隠す事にします…

 

 

 

 

〜夜・執務室〜

 

提督「い、電ちゃん?くっつきすぎ…」

 

電「寒いのです…司令官さんは嫌なのです…?」ウルっ

 

提督「いや…でも…」

 

電「じゃあいいのです!えいっ」ギュウー

 

提督「電ちゃん!?」

 

……

 

 

艦娘は出会った時から人懐っこいとは習いましたが…ここまでとは…

やはり現場で働かないと分かることも分からないという事でしょうか?

 

 

 

〜次の日〜

 

提督「…本当にいいの?」

 

電「はいなのです!よろしくおねがいしますのです!」ぺこっ

 

提督「い、いやぁ…」

 

 

流石に出撃しないのはマズいという事で、今日は正面海域に練習航海する事になったんですが…

そうなると艦娘寮の建設も止まってしまうので、どうしようかと話して居た所

 

電『電は司令官さんのお部屋で大丈夫なのです!』

 

との事だったので、そういうことになりました。

でも流石に女の子が1人男の部屋って言うのは…

 

電「いいのですっ!」

 

提督「!?」

 

 

!?まさか心を…?ってそんなわけないか…

 

 

電「…」ニヤ

 

 

 

 

〜執務室〜

 

提督「うぅん…電ちゃん大丈夫かなぁ…」カリカリ

 

提督「また我を失ってないと良いけど…」

 

提督「まさかそれで隙を突かれて轟沈しちゃいましたっ…って事は流石に…」ブルっ

 

提督「まぁ無いよな…」カリカリ

 

提督「それに海域に出れば新しい子を連れてくるかもしれないし…」

 

 

ガチャ…

 

提督「ん?」くるっ

 

 

 

 

〜正面海域〜

 

電「…」ドォン!

 

イ級「オワァ!」critical!342!

 

電「…」スイーっ…

 

パァ…キラキラ…

 

電「これは…」

 

響の艤装「」キラキラ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電「こんなもの要らないのです」ポイっ

 

電「早く司令官さんの所に帰るのですっ♪」スイーっ…

 

 

 

 

 

〜執務室〜

 

提督「き、君は…!?」

 

 

叢雲「あ、あんたが司令官…?」ボロっ…

 

提督「あ、あぁそうだが…って君はまさか叢雲…?」

 

叢雲「そうよ…」ドサ…

 

提督「!?」

 

提督「だ、大丈夫か!?どうしてこんなに…?」アセアセ

 

叢雲「っ…わ、悪い事は…言わないわ…はやく…はやくここから逃げなさい…?」

 

提督「ど、どうして…」

 

叢雲「…」ガクッ

 

提督「む、叢雲っ!?おいっ…」ユサユサ

 

叢雲「…」

 

提督「息はしてる…」

 

提督「待ってろ!今ドックに連れてくからっ!」オンブ

 

タッタッタッ…

 

 

 

 

 

〜港〜

 

電「帰投したのです〜♪」

 

電「はやく会いたいのです〜♪」

 

 

 

 

 

〜執務室前〜

 

コンコン

電「艦隊が母港に帰投したのです!」

 

シーン…

 

電「…?」

 

電「司令官さん…?」ガチャ…

 

電「ど、どこ行ったのでしょう?」

 

 

電「っ!?」スンスン

 

 

 

 

 

 

 

電「あの女の臭いがするのです」

 

電「仕留めきれてなかったのですか」スゥ…

 

 

 

 

 

 

〜ドック〜

 

提督「そんな…ドックまで…?」

 

叢雲「…ん…」パチ

 

提督「お、起きたか!すまん!入居施設に来たんだが…」

 

叢雲「無駄よ…あいつが…壊して…いなづ「あぁ、こんな所に居たのです。」

 

叢雲「っ…」

 

電「司令官さん、ダメなのです。勝手にどこか行っちゃ」

【挿絵表示】

 

 

提督「い、電ちゃん!大変なんだ!ほら!叢雲がこんなに怪我して…」

 

叢雲「は、はやく逃げなさいっ!」

 

提督「!?」

 

電「司令官さん、残念ながらその子はもう大破してるのです」

 

提督「え…?」

 

電「大破した子はもう治らないのです。解体しなければいけないのです。」

 

叢雲「アンタ…好き勝手言ってくれるわね…っ!」ムクっ…

 

提督「い、電ちゃん…俺も一応軍学校を出ているんだ…」

 

提督「大破した艦は入渠させなきゃ…」

 

 

電「ダメなのです。」

 

電「ここには電と司令官さんしか居ちゃダメなのです。」

 

電「その子は不純物なのです。ゴキさんやムカデさんと一緒なのです。」

 

電「だから司令官さん」

 

 

 

 

 

電「はやく電の所に来るのです」にこ

 

 

提督「っ」ゾク

 

提督「いや…ダメだ…大破した艦を捨て置く事はできない…」

 

提督「それに電ちゃん、君は少し頭を冷やした方がいい」

 

提督「さ、叢雲、背中に

 

ドォンッ!!

 

提督「!?」

 

電「電の所に来るのです」にこ

 

叢雲「アンタさっきから…やりたい放題ね…」スクっ…

 

提督「む、叢雲っ、大丈夫なのか…」

 

叢雲「ちょっと…肩借りるわね…」すっ…

 

電「っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

電「気安く電の司令官さんに触るなッ!!!」ダン!

 

提督「!?」

 

叢雲「…」

 

 

電「司令官さんに触っていいのは電だけなのです。命令を聞いていいのも電だけ…ケ、ケッコンしていいのも電だけなのです!」

 

提督「電ちゃん、さっきから何を…」

 

叢雲「…」

 

叢雲「…!」

 

叢雲「その艤装番号…あ、貴女まさか…」

 

電「…」

 

提督「…?」

 

叢雲「よく見るのよ…アンタも学校出たんでしょ…」

 

提督「…」

 

提督「っ!?」

 

提督「い、電ちゃん…電ちゃんの艤装番号…何で赤枠なの…?轟沈した艦娘の艤装にしか…登録抹消の印は出ないはずだぞ…?」

 

提督「ま、まさか幽霊…?」

 

電「…」

 

 

 

 

電「幽霊では無いのです。でも電は確かに轟沈“したこと”になってるのです。」

 

提督・叢雲「!?」

 

 

電「司令官さん、電のこと、覚えてませんか…?」

 

提督「えっ…」

 

電「覚えてる訳無いのです…電は数ある電の中の1人に過ぎないのですから…」

 

提督「ち、ちょっと待ってくれ…君は一体…」

 

電「電の元の所属は…柱島第12鎮守府なのです…」

 

叢雲「柱島第12鎮守府ですって…?」

 

提督「…?」

 

提督「あっ!君は…」

 

………

……

 

 

 

 

 

〜提督・学生時代〜

 

提督「うぉ!俺柱島の鎮守府かよ!」

 

友達「うわぁ気の毒ぅー!俺呉だわぁー!」

 

友達2「お前だけずりぃよ!俺も柱島…魔窟じゃんよ〜!」

 

友達「日頃の行いがモノを言うんだな!」

 

提督「ま、まぁ研修だしそこまでしごかれねぇよ!」

 

友達2「だといいけど…」

 

 

 

 

〜柱島研修〜

 

黒提督「ま、学校でも厳しくされてるだろう?ここでは休暇…という訳にはいかないが、それなりにくつろいでくれ」

 

提督「ありがとうございますっ!」ビシ

 

提督(大当たりだぜおい!)

 

 

コンコンガチャ

 

 

 

電「し、司令官さん…遠征の報告書なのです…」ビクビク

 

黒提督「あぁ、そこに置いとけ」にこ

 

電「っ…」ほっ

 

電「じ、じゃあ電は、これで…」ササッ

 

バタン

 

 

 

黒提督「ふむ…」ヨミヨミ

 

 

 

黒提督「提督くん、ここで待って居てはくれないかな?ちょっと用事が出来たのでな」

 

提督「?、分かりました!」

 

黒提督「助かるよ」ニコ

 

バタン

 

 

 

提督「艦娘かぁ〜、初めて見た…普通の女の子じゃん!」

 

提督「プルプル震えてチワワみたいで可愛かったなぁー!」

 

 

 

 

 

 

〜30分後〜

 

提督「え、先輩遅くね?」

 

ガチャっ

 

 

黒提督「提督くん、待たせたね、ちょっと立て込んでしまって」

 

提督「いえいえそんな!って先輩!その手…」

 

黒提督「?」

 

 

 

黒提督「あ、あぁ!ちょっとそこで転んでしまってね!」カクシ

 

黒提督「いやぁ、無様な所見られてしまったな!」

 

提督「そんな事無いですよ!大丈夫ですか!?」

 

黒提督「手当をするから、その間は鎮守府を好きに回るといい!」

 

提督「は、はい…?」

 

 

黒提督「ほらほら、たくさん学びなさいっ」シッシッ

 

提督「じゃあ失礼しますっ!」

 

バタン

 

 

 

 

 

黒提督「くそ…」フキフキ

 

 

 

 

 

〜廊下〜

 

提督「すげ〜!鎮守府ってマジで綺麗ー!流石ハイテクが集結する施設だなぁ…」

 

 

 

グスっ…グス…

 

提督「おん?」キョロキョロ

 

電「ごめんなさい…ごめんなさい…」グスグス

 

提督「ど、どうしたの…?」

 

電「っ!!」ビク

 

提督「ちょ、君、その顔…」

 

電「こ、これは電が自分で転んじゃっただけなのです!」グシグシ

 

提督「それにしては顔ばっかり…」

 

電「電はドジだから顔から転んじゃうのですっ」

 

提督「で、でも入渠しないとダメだよ!」

 

電「!?いいのです!電が自分でやったことなのです!」

 

提督「いや、俺先輩に言ってくるよ!」タッタッタッ

 

電「あ…そんな…ダメなのです…」ブルブル

 

 

 

〜執務室〜

 

ガチャ!

 

提督「先輩っ!」

 

黒提督「っ!?」

 

睦月「っ」グス

 

 

提督「?」

 

黒提督「ど、どうした提督くん」

 

睦月「む、睦月はこれで…」ササッ

 

ガチャン

 

 

 

提督「あっ、先輩!駆逐艦の…茶髪のちっちゃい子が転んで顔に怪我してますよ!入渠の必要があると考えます!」

 

黒提督「っそうか…よし、許可しよう」ニコ

 

黒提督「君が連れて行ってあげてくれ」

 

提督「了解しました!」

 

提督「失礼しました!」

 

バタン

 

 

 

 

 

黒提督「どいつもこいつも…だが俺ももうすぐ…」ニヤ

 

 

 

 

 

〜廊下〜

 

提督「えっと…あ!いたいた!」

 

電「っ!」

 

提督「えっと…君の名前なんだっけ?」

 

電「…電なのです…」

 

提督「そうか、電ちゃん、入渠の許可が出たよ!さぁ行こう!」グイッ

 

電「そんな、電なんが入渠しちゃダメなのです…」

 

提督「大丈夫大丈夫、許可は出てるからさ、ほら!」ギュ…

 

電「あっ…」

 

艦娘達「…」

いいなぁ… いたいよ… 私も…

 

電「っ…」フルフル

 

……

 

柱島の第12鎮守府はまさにブラック鎮守府を絵に描いたような所だったのです。

出撃や遠征で少しでも司令官の期待通りの戦果を挙げられないと殴られたり、補給も入渠もさせてもらえなかったり…大型艦の方達は夜の相手をさせられる事もあったそうなのです…

そんな時に研修に来た学生の司令官さんは、まさに電にとって白馬の王子様みたいだったのです…

地獄みたいな日々の中で、電は少しだけ救われた気がしたのです…

学生の司令官さんが居る間は電達は暴力を振るわれなかったり、ご飯も補給ももらえたり…電は少しだけ幸せだったのです。

何より、人間として、女の子として電達を扱ってくれたのが、とてもとても嬉しかったのです。

そしてある日…

 

………

……

 

提督「電ちゃんは可愛いなぁ!」ナデナデ

 

電「ほ、褒めすぎなのです///」

 

提督「俺も鎮守府を持ったら、電ちゃんみたいな子を初期艦にするよ!」ニコ

 

電「っ…」ズキ

 

電「その時は、その電にもよろしくなのです!」にこ

 

……

 

電は悔しかったのです。こんな所にいるより貴方の鎮守府に行きたかった、貴方の下で戦いたかった…

でもそれは絶対に叶わない願いなのです。なら、この日々をたくさん楽しもう…電はそう思ったのです。

ですがある日、電達の司令官さんは悪い事がバレて憲兵さんに連れていかれました。

司令官さんも覚えているのです?

研修はそこで中止になりましたよね?

そうなのです、そんな事があったのです…

鎮守府は解体されて、電も違う鎮守府に転属になりました。

電の新しい司令官さんは優しい人でした。

ですけど電は…貴方の優しさに触れた電はどうしても貴方の鎮守府に行きたかったのです…

そこで電は皆に頼んで、轟沈した事にしてもらいました…

新しい司令官さんが本当に悲しんでくれた事については申し訳ないと思っていますが…

その鎮守府の大淀さんはずっと反対していましたが、最後にはちゃんと分かってくれました。

電は大淀さんに頼んで、貴方の着任予定の鎮守府を聞いて…電もそこの鎮守府の初期艦として希望を出させてもらいました。

ですが…

 

 

 

 

 

〜現在〜

 

電「司令官さんが選んだのは、そこにいる叢雲ちゃんだったのです。」

 

提督「そんな…事が…」

 

叢雲「…」

 

電「…司令官さん、どうして電を選んでくれなかったのですか?」

 

提督「…」

 

電「電は司令官さんが叢雲ちゃんを選んだと知った時、胸の中にどす黒いモノが生まれてきた感覚になったのです…」

 

電「だから司令官さんがここに来る前に、叢雲ちゃんを…」

 

叢雲「随分おっかない訪問者だったわ…」ヨロ…

 

提督「電ちゃん…」

 

 

電「でも、もうバレちゃったのです…こんな悪い事をした電はスパイじゃないか拷問された後に解体か、実験に使われるだけなのです…」

 

電「だけど電は…司令官さんを好きな電のままで終わりたいのです」にこ

 

提督「っ…」

 

 

 

電「司令官さん、電は、司令官さんの事が大好きだったのです!」にこ

 

電「こんな電にも優しくしてくれて、ありがとうございましたなのです!」ジャキッ

 

 

提督「っ!!」

 

提督「馬鹿な事は止めるんだ電ちゃん!」

 

提督「そんなことしたら…」

 

 

電「こんな電にもまだ優しいのですね、最期まで、ありがとうなのです…」スッ…

 

提督「電ちゃ ズドォン!!

 

提督「っ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電「」ドサッ…

 

提督「あ…そ、そんな…電ちゃん…」

 

提督「電ちゃん…」ジワ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

叢雲「はぁ…馬鹿な子ね…」シュゥゥ…

 

提督「!」

 

提督「ど、どういう…」

 

 

ジャキン…

叢雲「安心しなさい…急所は外したわ…艦娘だから簡単には死なないはずよ…」

 

叢雲「それとドック…はやく…作りなさい…」ドサッ

 

提督「っ」

 

 

提督「妖精さん!ここに来て!」

 

妖精「」ドシター

 

提督「妖精さん!ここ!ドック作るよ!」

 

妖精「」ガッテンダー

 

提督「他の妖精さんは2人の応急処置を!それから…」

 

…………

……

 

 

 

 

 

〜2日後〜

 

電「…」ぱち

 

提督「あっ!電ちゃん!分かる!?」

 

電「…」むく…

 

提督「電ちゃん…?」

 

電「司令官さん…?」

 

提督「あぁ!そうだぞ!分かるか!?」

 

電「…きっと…これは夢なのです…」

 

電「じゃないと司令官さんも死んでしまった事になってしまうのです…!」

 

 

提督「夢じゃないよ電ちゃん…司令官はここにいるよ…」ギュ…

 

電「っ…」ジワ

 

電「ダメなのです…電は悪い子なのです…司令官さんに抱きしめてもらえる価値なんて無いのです…」ポロポロ

 

提督「いや、良いんだよ…」ナデナデ

 

提督「元はと言えば俺と先輩のせいで電ちゃんが苦しんでしまったんだから…」

 

電「そんなっ…でも電は叢雲ちゃんを…」

 

 

 

 

 

叢雲「本当よ、全く…」

 

電「…」グスっ

 

叢雲「いくら事情があったって、同士討ちはご法度よ?」

 

電「ごめんなさいなのです…!」ポロポロ

 

提督「まぁ叢雲…」オロオロ

 

叢雲「アンタも司令官なら、そこの所はキッチリしなさい?」

 

提督「う…」

 

電「っ…っ…」グスグス

 

叢雲「…」

 

 

叢雲「はぁ…貴女、一体練度いくつよ?私が手も足も出ないなんて相当じゃないの?」

 

電「…」グスっ

 

 

 

 

電「…99なのです…」

 

提督「!?」

 

叢雲「は、はぁ!?そんな子がここにいたらチートじゃない!」

 

提督「ほ、本当かい電ちゃん!?」ガシッ

 

電「っ…」コクリ

 

 

提督「…なぁ叢雲…」

 

叢雲「な、何よ…?」

 

提督「設備もない資材もない…」

 

 

 

提督「こんな鎮守府、初期からハンデ抱えすぎじゃないか?」

 

叢雲「アンタまさか…」

 

 

提督「少しくらい…アドバンテージがあっても…ねぇ?」

 

叢雲「じ、冗談じゃないわ!?そこの電は私を殺そうとしたのよ!?」

 

電「っ…」

 

叢雲「そんな奴と一緒だなんて、いつまた寝首を掻かれるか…!」

 

提督「大丈夫だって!電ちゃんは俺がずっと見張ってるから!」

 

 

 

 

提督「電ちゃん!これからずっと俺の部屋で過ごしてもらうけど、大丈夫!?」

 

電「そんな…///」

 

電「ダメなのです!そんな事…///」

 

提督「電ちゃん!お願い…」ギュ…

 

電「あっ…///」

 

電「…」ちら…

 

叢雲「…」

 

提督「む、叢雲ぉ…」ウルウル

 

叢雲「はぁ…えらい所に着任したわね…好きになさい…」

 

提督「や、やったー!電ちゃん!これからよろしくね!」にこ

 

電「そんな…電には…電にはもったいない幸せなのです…」ぐす

 

叢雲「えぇそうよ、しっかり反省なさい!」

 

叢雲「今度私に何かしようとしたら…」

 

叢雲「許さないわよ?」ギロ

 

電「っ…はいなのです…」コクリ

 

 

叢雲「はぁ…馬鹿みたい…私はまた休むわよ」

 

叢雲「司令官、アンタその子、ちゃんと見張っててよね」

 

バタン

 

 

 

 

提督「…」

 

電「…司令官さん…」

 

提督「…何かな?」

 

電「電は…ここに…司令官さんと一緒に居ても良いのです…?」

 

提督「あぁ…大丈夫だよ…たださっきも言った通り、しばらくは俺の部屋で過ごしてもらう事になってしまうが…」

 

電「そんな事…」グスグス

 

提督「そ、そんなに嫌だったか…?」

 

電「違うのです…ぐすっ…そんな幸せを受けてしまったら…きっと…」ポロポロ

 

提督「…?」

 

………

……

 

司令官さんはこんな電にも優しく居場所をくれたのです。

轟沈した事についても、この海域の大将さんにしっかりと事情を説明する事になりました。その時は…

 

大将「そうか…電ちゃんは沈んだわけじゃなかったんだね…」グスグス

 

提督「はい、あの、大将、私がしっかりと管理しますので、電ちゃんはどうか…」

 

大将「馬鹿者っ!」ピシャ

 

提督「あだっ!」

 

大将「管理するなどと…電ちゃんはモノでは無く艦娘だ!その様な言葉はだめだよ?」

 

提督「は、はい!」

 

大将「うん、分かったら良いよ、後のことは大淀がやっておくから。電ちゃんの事は…頼んだよ?」

 

提督「了解です!」ピシ

 

大将「あ、そうだ、この後鎮守府マラソン大会があるんだが電ちゃんも…」

 

大淀「提督?」

 

………

……

 

こんな事があったそうです。

やっぱり電の選んだ司令官さんは優しくて素敵な人なのです。

あんなに悪い事をした電がこんな所にいたら、いつかバチが当たってしまうのです。なら、その時まで精一杯この幸せをもらうのです。

あ、そういえば…

 

 

 

 

電「何で司令官さんは、電を選ばなかったのですか?あの時は電みたいな子を選ぶって…」

 

提督「えっ?」ギク

 

提督(い、言えない…報告書で見た叢雲改二の写真で素直に主砲が反応しただなんて…)

 

提督「い、電ちゃんを選んでしまったら、君を思い出して寂しくなってしまうと思ったからだよ…」

 

提督「君より素敵な電ちゃんは他には居ないと思ったからね…」ナデナデ

 

電「ふぁ…司令官さん…」ギュ…

 

電「…」

 

提督「電ちゃん…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電「電、嘘は嫌いなのです」ニコ

 

提督「」

 

 

えらい所に着任してしまいました。

廃墟みたいな鎮守府だったり暴走する艦娘だったり…

大本営と運命は俺の事が嫌いみたいです。

あ、でも…

電ちゃんだけは、俺の事が好きみたいです。

 

ー完ー




皆さんの選んだ初期艦は本当にその子でしたか?

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