【艦これ】色んな鎮守府の日常【SS】   作:大キャバクラ

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艦娘はあんま出ないかも?
一応ヤンこれで


26話・男達の鎮守府 ☆

ここは、様々な者から逃れた元提督達が力を合わせて生活する小さな小さな集落…

艦娘達から少しでも離れようと、山間部にひっそりと作られた所である…

彼等は自身の居場所に関する情報が一切漏れ出さないよう、外界との関わりを一切絶っているのである…

 

これは、そんな男達の物語である…

 

 

〜ある日〜

 

提督「よっ!」

 

提督2「ひぃぃっ!!」ザザザッ!

 

提督「うぉっ」ビク

 

提督2「て、てめぇ!脅かすんじゃねぇ!」

 

提督「そんな怒らなくても…」

 

提督3「未だに摩耶が怖いのか?」

 

提督2「当たり前だろっ!その名前二度と出すなよ!」

 

提督「すまんな…」

 

提督2「で、何だよ?」

 

提督「あぁ、そこの川で鮎が獲れたんだよ!」

 

提督3「鮎か…」

 

提督3「鯛にカレイ…マグロにカツオ…海の魚が食いたいな…」

 

提督「無理言うなよ…海に出たらこっちが獲られちまう…」

 

提督達「」ブルッ…

 

カンカンカンカンカンカン!!!

 

提督達「!?」

 

 

見張提督「人が来たぞー!!」カンカン

 

ザワザワ

 

「見つかったのか!?」 「ごめんなさいごめんなさい…」 「いやあぁぁぁ!!」

 

提督「お、落ち着けみんな!」

 

提督3「まだあいつらだとは限らんだろう!」

 

提督「おーい!男かー!?女かー!?」

 

 

見張「あれはー…男!男だー!!」

 

提督達「」ほっ…

 

「何だよ…」「ビビらせやがって…」「最上…」「ひぃっ!!」

 

 

 

〜外〜

 

男「はぁ…はぁ…」ボロボロ

 

男「ここまで来れば…もう…」ドサ

 

男「うぅ…zz」

 

 

ガサガサ

 

提督「おぉ、本当に人だ」

 

提督2「おい、こんなのほっとこうぜ?俺達の居場所がバレるリスクが…」

 

提督3「冷たいなぁ…」チラ

 

提督3「ん?」

 

提督「どうした?」

 

提督3「こいつ、随分と汚いが…」ツンツン

 

提督2「…あぁ、そういう事ね…」

 

提督「…士官用の二種軍装か…」

 

提督3「こいつも提督だったのか…」

 

提督2「しょうがねぇ、助けてやるかぁ…」

 

提督「そうだね…」ヨイショ

 

提督「随分軽いな…」

 

提督2「海からここに来るまで飲まず食わずだったんだろうよ」

 

提督「そんなに追い詰められて…」

 

提督3「あいつら…許せないな…」

 

提督「…行こう」

 

………

……

 

 

〜集落・提督の家〜

 

男「…zz」

 

提督「…zz」

 

男「…」パチ

 

男「ここは…?」

 

提督3「気が付いたか?」

 

男「!?」ビク

 

提督2「お前、提督だろ?誰から逃げてきた?」ニヤニヤ

 

男「あ、貴方達は誰ですか…?」

 

提督3「俺達も元は提督だよ」

 

提督2「今は無職だけどなー」ケラケラ

 

男「そうなんですか…」

 

男「…僕も提督なんです…」

 

提督2「そんなもん服見りゃ分かるよ、まぁきったねぇけどな」

 

提督3「それで、所属はどこだ?」

 

男「…呉の…第2鎮守府です…」

 

提督2「ん?呉の第2…」

 

提督3(…提督の鎮守府じゃないか?)

 

提督2「なぁ、提督3よ?」

 

提督3「あぁ、起こすか」

 

男「…?」

 

提督3「おい、提督、起きろ」ユサユサ

 

提督「うぅん…」

 

提督2「ラッパ鳴らすべ」

 

提督3「やめとけ、鎮守府中がパニックになる」

 

提督2「おいっ!起きろ提督っ!」ゲシ

 

提督「いってぇ!」ガバ

 

提督「お?」キョロキョロ

 

提督「おぉ!君起きたんだね!」

 

男「は、はい…」

 

提督「良かった良かった、じゃあとりあえず寝ようか」

 

提督3「こいつ、呉の第2だってさ」

 

提督「…」ピタ

 

提督2「お前もそこの出身だよなぁ?」

 

男「え…!?そうなんですか!?」

 

提督「…昔の話だ、今はここが俺の居場所さ」

 

男「まさか…◯◯提督って…」

 

提督「あぁ…俺だな…」

 

提督3「そんなに有名人なのか?」

 

男「有名人も何も…貴方のせいで…僕は…」ガタガタ

 

提督2「おいおい、ここには怖いもんなんて誰も居ないぜ?」

 

提督「…」

 

男「あ、貴方を連れて帰らないと…」ブルブル

 

提督「すまないね、新米君」

 

提督「俺は戻るつもりなんて無い」

 

男「そんな…」

 

提督「…」

 

男「は、榛名さんに殺される…」ポロポロ

 

提督「…」ビク

 

提督(…まだ…執着するのか…榛名…)

 

提督3「…きみ、一体何をされたのだ…?」

 

男「…◯◯さんの後に僕が着任して…でも皆僕を提督だなんて認めないと迫害され続けて…」ジワ

 

提督「…」

 

男「いよいよ…殺される位虐められて…でも…榛名さんが…」

 

提督2「…」ゴクリ…

 

男「◯◯さんを連れて帰ったら…生きていても良いって…」ボロボロ

 

提督(すぐに逃げ出せば良かったものの…それ程恐怖を抱いていたのだな…)

 

男「うぅ…」

 

提督「…大丈夫さ、ここは理由は違えど君のように艦娘から逃れてきた者達が集っている…」

 

男「…」

 

提督3「あぁ、はぐれ者ばっかりの場所さ」

 

提督2「見つかるわけ無いぜ!ここに居ればなぁ!」バシッ

 

男「いでっ!」

 

提督「今日からここは君の居場所だ、ゆっくりすると良いよ」

 

男「は、はい!」

 

 

テテテ

 

提督「?」

 

妖精「」テテテ

 

提督(妖精さんか…久しく見て…な…!?)

 

 

提督2「お!ダズル砲の妖精さんじゃねぇか!」

 

提督2「妖精さんなんて久しぶりに見たよなー!」

 

提督3「…!?」チラ

 

提督2「ほら、おいでー!羊羹だぞー」

 

妖精「」プイッ

 

テテテ…

 

提督2「あぁ、行っちまっ…」

 

提督「逃すなッ!!」ダダダ

 

提督2「」ビク

 

提督3「追え!あいつだけは逃すな!」

 

提督2「んだよ妖精相手に…」

 

提督「バカ言ってんじゃねぇ!何で装備も無いのにダズル砲の妖精が居るか考えろッ!!」

 

提督3「おい!見失うぞ!」

 

提督2「…?」

 

提督2「…あぁーーーっ!!!」

 

男「」ビク

 

提督2「やべぇよ提督っ!あいつはやべぇよ!!」

 

提督「だからさっきから…」

 

提督3「行ってしまったな…」

 

男「あ、あの…」

 

提督「…」

 

提督3(こいつに付いて来たのか…)

 

提督2「…会議だな」

 

提督「あぁ…」

 

 

…………

……

 

 

「うん、うん…まぁ!榛名、感激です!」

 

「ありがとうございます、妖精さん!」

 

「あんなクズでも少しは榛名達の役に立つのですね!」

 

「取り敢えず許してあげましょうか!」にこ

 

「え…他にも男の人たちが…?どういう事でしょう…?」

 

………

……

 

 

〜集落〜

 

ザワザワ…

 

「悪魔だ…」 「疫病神め…」 「チッ…」

 

提督「皆んな、この新米君に罪は無い、当たるのはお門違いだぞ」

 

男「ごめんなさい…ごめんなさい…」ブルブル

 

提督2「お前ら男の癖にグチグチうっせーよ!」

 

提督2「しょうがねぇだろうが付いて来ちまったもんはよぉ!」

 

提督3「少し抑えろ」パシッ

 

提督3「皆んな、ただ付いて来ただけの可能性もある」

 

提督3「彼女達は気まぐれだからな、本当にこの男にくっついていただけかもしれん」

 

「でも装備妖精だぞ…」 「最悪提督を生贄に…」 「おい、聞こえるぞ…!」

 

 

提督「…俺は構わん」

 

提督達「!」

 

提督「けじめを付けろという事かもしれんな…」

 

提督「恐らく狙いは俺1人だ…俺だけでも…」

 

提督2「バカ、俺達は仲間だろ?」

 

提督3「ここを捨てて移動でもするか?」クスッ

 

「そろそろそんな時期ですね…」「俺も付いて行こうかな…」

 

ザワザワ

 

提督3「…皆んなの反応は悪くないな」

 

提督2「けっ…調子の良い奴らだぜ」

 

提督「それくらいが丁度良いだろ?」

 

提督「じゃあ皆んな、明日だ」

 

提督「明日にはここの集落を捨てる」

 

提督達「…」

 

提督「各自、用意せよ」

 

提督達「」ビシ

 

………

……

 

 

 

〜その日の夜〜

 

提督2「うぅ〜あぢー…」

 

提督2「んで俺が重いもんばっかりよぉ〜…」

 

「よっ!」

 

提督2「…」イラァ

 

提督2「おい提督よぉ…俺をからかいに来るほどてめぇの作業は楽なんかよ!?あぁ!?」くるっ

 

 

 

 

 

摩耶「よっ、提督!」にこ

 

提督2「…っ」

 

 

提督2「…お、お前っ……!」

 

摩耶「…」ツカツカ

 

提督2「な、何で…ここ、ここに…っ!?」ガタガタ

 

摩耶「あぁ、呉の榛名が教えてくれてな?」

 

摩耶「嘘みてーな話だなーって思いながら来たら」

 

摩耶「本当に提督が居たからアタシもびっくりしてんだよな〜」ズイッ

 

提督2「っ…!」ブンッ!

 

摩耶「ん?」パシッ

 

提督2「くっ…」

 

摩耶「お前、相変わらず手がはえーなー?」ケラケラ

 

提督2「は、離せ…」ぐぐぐ…

 

摩耶「あっはは!離すわけねーだろうが!」ぐぐぐっ!

 

提督2(だ、ダメだっ…敵わねぇ…!)

 

提督2「頼む…帰ってくれ…」

 

摩耶「ん?いいぜ?」

 

摩耶「お前も一緒になぁ?」

 

提督2「俺はお前達の所には…帰らねぇ…!」

 

摩耶「やれやれ…分からず屋だなぁ、お前は」

 

摩耶「なぁ?」ボッ

 

ドムっ

 

提督2「あぅっ…」フラ…

 

提督2「てめぇ…!」

 

摩耶「お!こんな山ん中で過ごしてたから少しはタフになったんじゃねぇか!?」ブン

 

バキっ

 

摩耶「おい!」ボゴッ!

 

提督2「」

 

ドサ…

 

摩耶「ったくよー…」ぐいっ

 

摩耶「もっと部屋の鍵を頑丈に…」ブツブツ

 

提督2(すまねぇ…!提督達…!警報も出せずに…)ズルズル…

 

摩耶「じゃ、帰るか、提督!」にこっ

 

ー提督2、轟沈ー

 

 

 

 

 

〜畑〜

 

提督3「まだ花も咲いてないか…」

 

提督3「…最後まで育ててやれなくてごめんな…」

 

提督3「…」

 

提督3「…なぁ、居るんだろう?」

 

提督3「お前達は何で俺達に執着するんだ?」

 

 

 

 

武蔵「ふ…流石に気付いていたか…」

 

武蔵「…そうだな、提督ならば誰でも良いと言うわけでは無い」

 

提督3「…」

 

武蔵「惚れた男がお前だったという事、それだけだな、相棒よ」

 

提督3「俺をどうする気だ?」

 

武蔵「?」

 

武蔵「おかしな事を聞くのだな?わざわざ言う事か?」

 

武蔵「それとも…」

 

武蔵「また1から教えてやらねばダメか?」

 

提督3「…いや、分かったよ」

 

提督3「帰ろうか…武蔵」

 

武蔵「あぁ」にこ

 

闇夜に悠然と立つ武蔵は、まさに鬼の形相を浮かべて佇んで居たのだろう。

口調こそ穏やかだが、それは確かに怒気を孕んでいた。

自分の意志と反する返答があれば、どうなってしまうか分からない…

そんな気配を漂わせながら問答を繰り返した結果…

俺は武蔵と共に闇に消えた。

 

ー提督3、轟沈ー

 

 

 

 

〜提督の家〜

 

提督「さて、新しい場所だが君も来るかい?」

 

男「も、もちろんです!僕はまだ死にたく無い…」

 

提督「…すまないな、俺の所為で…」

 

提督「君にまでコソコソ逃げ隠れするような生活を…」

 

男「そんな…」

 

提督「…明日に備えて今日はもう眠ろう…」

 

提督「君はこのままこの部屋で眠ると良い…」

 

提督「俺は少し夜風に当たってから眠るとするよ」

 

男「はい、ありがとうございます…」

 

提督「じゃ、またな」

 

バタン

 

 

提督「ふぅ…提督2は荷造りは終えたのかな…」

 

……

 

提督「…」

 

荒れた部屋「」

 

提督「…」

 

提督「すまない…友よ…」

 

 

 

提督「…!?」ゾッ…

 

 

榛名「提督っ!」

 

提督「…」

 

提督「やはり来ていたか…」

 

榛名「はいっ!あのクズに榛名の妖精さんを付けたら見事提督を発見しました♪」

 

榛名「既に交流のある鎮守府の艦娘には連絡済みなのですが、その他の鎮守府には連絡してません!」

 

榛名「どうしますか?提督?」にこ

 

提督「…」

 

提督「なぁ、もし俺がこのまま帰ると言ったら…」

 

提督「ここに居る他の奴らは見逃してくれるのか?」

 

榛名「はい!もちろんですっ!榛名は見逃します!」

 

提督「…そうか」

 

提督「なら…仕方ない…」

 

榛名「!」ぱあぁ

 

榛名「そうと決まれば早く帰りましょうっ!提督っ!」ぎゅっ

 

提督「あぁ…」

 

提督(新人君…艦娘との付き合い方は…よく考えろよ…)

 

〜〜〜〜

〜〜

 

 

〜〜

〜〜

 

 

〜5年後〜

 

提督「…」カリカリ

 

提督「ふぅ…」

 

この頃僕は思い出す…あの日消えて行った提督達を…百鬼夜行のように襲撃して来た艦娘たちの事を…

あの後、艦娘達が集落に押し掛け他の提督達を1人残らず攫って行った…

提督達の断末魔のような叫びに反して、艦娘達の黄色い叫びはまさに異様な状況を生み出していた…

 

僕は提督を辞めようとしたけど、1人では生きて行ける筈もなく街に繰り出した所を憲兵に見つかり海軍に連れ戻されてしまった。

そして再び提督として海を守る仕事をしている。

僕はあの日、艦娘の怖さを嫌という程知ってしまった…

過度に近づき過ぎないよう、あの提督達のようになってしまわないよう、心掛けて日々艦隊指揮を執っている…

 

コンコン

 

提督「…どうぞ」

 

ガチャ…

 

名取「提督さん…あの…」

 

提督「どうしたのかな?」

 

名取「あ、あの…その…」カァ〜!

 

提督「…」

 

名取「ひゃぁぁ…し、失礼しますっ!」バタン!

 

外「」どうだったのよ名取! 恥ずかしくて何も言えないよう…

キャッキャッ…

 

 

提督「…はぁ…」カリカリ

 

どうやら、こちらが近付かなくても向こうから近づいてくるようだ。

僕が彼等のようになってしまうのは…時間の問題かもしれない…

 

 

〜名取の部屋〜

 

隠しカメラ「」ジー…

 

名取「提督さぁん…」ぼー…

 

 

ー完ー




いやだねぇ…

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