【艦これ】色んな鎮守府の日常【SS】   作:大キャバクラ

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ギンギラギンのギンギラギン


昔話・はだかのおうさま

むかしむかし、あるところに、とても洋服好きの提督がいました。

 

 新しい洋服を内地で買っては、それを着て歩くのが提督の楽しみです。

 ある日の事、工作艦と兵装実験艦を名乗る二人のペテン師、いえ、艦娘がやって来て言いました。

 

「そう言えば私達、とても美しい生地を作る事も出来るんですよね。その布とても不思議な布で、それで作った洋服は、おろか者、つまり馬鹿には見えないのです」

 

「は?また性懲りも無く何言ってんだお前らは。いいから今度こそ改修成功させてくれ、頼むよ本当。」

 

提督は、またいつもの事かと2人を適当にあしらいました。

しかし実験艦の方は引き下がりません。

 

「ねー提督?本当に本当なんだってば!嘘じゃないよ?妖精さんと協力して作るんだから」

 

実験艦は、うれしそうに言いました。

 

「うーむ…」

 

(美しい生地か…確かに気になるっちゃ気になる…ただ本当にそんなバカには見えない布とか…裸の王様じゃないんだから…)

 

提督は2人を疑いましたが、嘘だと分かったらまた適当にあしらえば良いと、二人の申し出を受ける事にしました。

 

 二人の艦娘はそれを聞いて悦びました。そして二人の艦娘は服を作るのに必要だと言って、提督のたくさんの参考写真(あんな姿やこんな姿)を撮り、熱心に服を作り始めました。

妖精さんと協力して、本当に作っています。

 

「そういや、どんな服だろう?ジャケットか?ズボンか?」

提督は、その不思議な服がけっこう気になってきました。

 

そこで秘書艦の長門に言いつけて、服がどのくらい出来たかを見に行かせました。

 

 さて、服を見に行った長門ですが、布をおっている二人のそばへ行ってみてビックリです。

 

「???」

 

 何も、見えないのです。

 ゴシゴシ、ゴシゴシ。

 長門は目をこすってみましたが、やはり何も見えません。

 それに気づいた二人は手を休めると、長門に言いました。

 

「どうです、長門さん、見事な布でしょう。もうすぐ出来上がりますので、提督にふさわしい、立派な服に仕上げますよ」

 

「布など無いではないか!何を言っているのだ…!?」

 

 長門はそう言うと、机を叩きました。

 

パサッ!

 

「…!?」

 

「な、何だこれは…何か…ある…!?」コスコス

 

「ふふ、だから言ってるじゃないですか。もうすぐ完成ですよ、この

 

透け透け軍装は!」

 

「透け…透け…だと…!?」

 

しばらく硬直していましたが、二人の恍惚な顔を見た長門は二人の意図を察しました。

あぁ、その手があったかと。

 

「…早く完成させるように」

 

そう言うと長門は、二人には見せないよう振り向いた後に、二人と同じように不敵な笑みを浮かべたのでした。

 

そこで、提督の所へ帰ると、

「見事な布だった。もうすぐ出来上がって、じきにに縫い合わせるそうだ」

と、言いました。

 

「そうか、それほど見事な布か」

 長門が生真面目な艦娘で、嘘を言った事がないので、提督は長門の言葉を信じました。

 そして提督は、その不思議な布を自分でも見たくなり、あくる日、長門を連れて見に行く事にしたのです。

 

 二人が布をおっている部屋に着いた提督は、二人に声をかけました。

「おー二人ともごくろう。で、例の不思議な布は、どこにあるんだ?」

 すると二人は、大きな透明な布を持ち上げて言いました。

 

「提督ぅー!、これこれー!。どうです、なかなか見事な布でしょう!?ついさっき完成したんですよ〜!」

 

「へっ? ・・・」

 

 もちろん何も見えないので、提督は目をゴシゴシとこすりました。

 それを見た二人の艦娘は、少し意地悪く尋ねました。

 

「あの…、まさかとは思うけど、もしかして、この布が見えないなんて…」

 

(み、見えないぞ?長門は…)

 

長門の方を見ると、うむうむと何やらうなずき、何処がどう素晴らしいか二人と言い合っていました。

 

(な、長門には見えるのか…てことは俺は長門より愚か…!?いやバカな!)

 

「提督、実に良い生地だな、早くこれを着た提督の姿が見たいものだ」

 

 その言葉にビクッとして提督は、あわてて言いました。

「あ、あぁ!確かにこれは素晴らしい布だ。う、うん、気にいった!さあ、早くぬってくれ!」

 

 そして次の朝、二人の艦娘が完成した服を届けに来て言いました。

 

「さあ、わたしたちが服をお着せしますから、提督、脱いでくださいよ」

 

ですが提督の目にはやはり服は見えません。

提督はやはり騙されている、長門もグルなんだと冷静に考え三人を怒ろうとしたその時、

 

「ぽーい!提督さん!新しい服ってどれどれー!?あ、これですかー?」

 

駆逐艦が執務室に入ってきました。

駆逐艦はそこにあるらしき服を持つと、提督に近づけて

 

「へー!こうなるんだー!すっごく素敵っぽーい!」

 

と提督にあてがいました。

 

提督は

 

「いやだからな、そろそろいい加減に…!?」

 

言いかけたとき、何かが提督の腕に当たりました。

驚いた提督は、夕立が持っているであろう物をもう一度触ろうとしました。

そして呆然としました。

見えはしないですが、明らかに、夕立は服を持っているのです。

 

(こ、これ…本当に…!?)

 

提督は色んな事が頭の中でぐるぐると回りました。

夕立に見えて俺には見えないのか、てか駆逐艦にすら見えるのに…

これは見えないとか言ったらバカにされるぞ…だって明らかに服あるし…!

 

長門、明石、夕張はその葛藤をニヤニヤしながら眺めています。

もちろん夕立もです。彼女は先程、ご飯を食べていた所この作戦を説明され、快く協力する事に承諾したのでした。

つまり夕立もグルなのです。

 

「さ、提督、早く早く!」

 

 促されるまま裸になった提督に、艦娘達は出来上がったその服を丁寧に着せました。

 着せ終わると、見物に来ていた艦娘たちは、

 

「はぇ〜…すっごい立派…」

 

「本当に。それにしても、見事ですね〜…ふひ…」

 

と、口々に褒め立てました。よだれを垂らしている者も居れば、一点を凝視している者も居ます。

 

「そ、そうか、そんなに良く似合うか。あはははははー」

 

提督は、恥ずかしそうに言いました。

 

「さあ、新しい軍装のうわさを聞いて、他の子達も早く見たがってますよ!すぐに行きましょう!」

 

「ち、ちょっと!待って!こんな格好で…!」

 

「へ?も、もしかして、気に入りませんでした…?」

 

明石が目を潤ませながら上目遣いで聞きます。

その様子を見た他の艦娘は口々に、今の格好すごい好き、だの、ずっとそのままで居て、だの言っています。

そのため提督は、恥ずかしいけど皆んなには見えてるなら、と

 

「す、すまんすまん!気に入ってるよ!さ、行くか!」

と言ってしまいました。

 

はだかの提督

 

 それを見た大勢の艦娘たちは、目を見張りながら、

 

「何て…おほ〜…。とても良くお似合ってますね〜」

 

「さす司令官〜!良くお似合いですね〜!」パシャッ

 

と、言っていました。

 本当は、みんなが見ているのは一糸まとわぬ提督の姿なのですが、そんな事を提督に知られたら、提督は二度とこの服を着ないどころか、皆の前に姿すら見せなくなってしまうかもしれないと思い、今の状況を目に焼き付けようとしました。中にはフィルムに焼き付けている子も居ますが…

 

 その時です。

 提督を見ていた曙は、言いました。

 

「ち、ちょっと!?何やってんのよ変態!!裸じゃないのよ!?何ぶら下げて…ってこっち見んなぁ!?見えてるんだからぁ!?み、皆んなもおかしいんじゃないの!?」

 

曙は遠征から帰ったばかりで、この状況を知らなかったのです。

 

「」

 

提督はプルプルと震え、目には涙が溜まっています。

 

 その様子を見た艦娘達は、これはマズイ、どうにかしないと、と思いました。

ですがそんな思いとは裏腹に、今の提督の姿は艦娘達の嗜虐心を煽ってしまいました。

いつもは頼りになる提督が目に涙を溜め、艦娘達に囲まれて裸で縮こまっている。

艦娘達は…

 

「やっぱり、そうだよな。提督は、どう見ても裸だよなぁ?」

 

「そうね。服着てるっぽいけど、どう見ても裸よね?」

 

「はぁ…可愛い…」ボソッ

 

提督は恥ずかしさのあまり、まっ赤になった顔のまま逃げる様に執務室へ帰ろうとしました。

 

しかし、提督の周りには既に50隻以上の艦娘達が集まってしまっています。どこをどう見ても抜け出せる隙間なんてありません。

それどころか、一人の艦娘が

 

「あぁっ!もう我慢できない!そんな格好して誘っているのかしら!!」

 

と後ろから羽交い締めにする様に襲いかかってしまいました。因みにこの艦娘は、普段はドイツ艦隊を取りまとめている規律に厳しい戦艦ですが、今はそんな面影はありません。

 

それを皮切りにドッと艦娘が雪崩れ込み、提督は艦娘達の波に呑まれてしまいました。

提督が解放されたのはそれから三日後だったそうです。

しかしそれは一時的なもので、その後も提督の意思とは裏腹に、廊下を歩けば誰かに拉致されてしまう状況となってしまいました。

 

自分を取り繕う事は悪い事ではないですが、時には身を滅ぼす事もあると言うお話です。

 

〜おしまい〜




うむ
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