GL的な描写がありますので苦手な方は読まないことをおすすめ致します。
ストーリーに深く関係する話ではないので飛ばしても問題ないです。
「今日のプレーノ様のご予定は....」
僕はメモ帳を取り出して今日の日付が書かれたページを開く。そこは、白紙。予定は何も書かれていない。
「当然か」
僕の主人であるこのクラウズウォーム王国国王であるプレーノ・インドラ様は他種族を嫌う。なので他種族との交流をできるだけ避けているために、外交などの仕事は一切ない。
プレーノ様は人魚が最強の種族であるという誇りを持ち僕ら四人の従者、カリビナのメンバーも全員人魚だ。
最初は驚いたものだ。僕が召喚された時、一緒に召喚された他の二人の従者の首がプレーノ様の神器によって飛ばされた。召喚しては殺し、また召喚しては殺しを繰り返して精神力が尽きるギリギリまでやり続けたその行為の末、私達は揃ったのだ。
「僕達の為にあれほど無茶をするなんて....プレーノ様は本当に素晴らしい御方だ」
その気持ちに見合うだけの、いやそれ以上の誠意をお返ししなければと僕は再び心に誓い思いに浸って―
「ジーナちゃ〜ん!!」
「おわっ!!」
それを邪魔するものが私に飛びついてくる。いきなり背後から僕の胸を揉みしだくこの行動には覚えがある。
「ヴァリエラっ!!会う度に胸を揉むな!!」
「いーじゃん減るもんじゃないし!!逆に大きくなるんじゃない?」
「そう言う問題ではない」
ヴァリエラに強めのデコピンを食らわすと彼女は涙目で僕を見るが、それは演技だとわかっているので何も言わない。そうすると酷いよぉ〜と僕の胸に顔を埋めてグリグリと顔を押し付けてくるので今度は頭に強めのチョップをお見舞する。
「いたっ!!む〜、ヴァリエラちゃん怒ったぞ〜!!」
「怒りたいのは僕の方だ....」
適当に彼女を相手しながら城の見回りをしていると、今日は約束があったことを思い出す。なんで忘れていたんだろうと思い待ち合わせの場所に転移しようとすると、ヴァリエラも何故か展開した魔法陣の中に入る。
「何故君も来るんだ」
「いいじゃん!!ヴァリエラちゃん暇してるの〜」
しょうがないと溜息をつき、僕は図書室へ転移する。そこへ入りあるテーブルへ向かう。約束相手であるその人物は僕が気づくと軽く手をあげ挨拶し、そして後ろから着いて来るヴァリエラに呆れた顔を見せ読んでいた本を閉じた。
「ジーナ、遅いじゃない」
「すまない....正直に言うと忘れていた」
「シャルルちゃん、ちわ〜すっ!!」
図書室では静かになさいとシャルルに叱られるヴァリエラを見ながら、僕はシャルルの向かいの椅子に座る。
ちらりと視界に入った彼女の読んでいた本、「縛りの極意」という女性が何やら赤い紐でエロティックに縛られた表紙の本を見なかったことにしながら、僕は本題に入る。
「それで、悩みを相談したいとの事だったが」
「シャルルちゃん悩みあるの?ヴァリエラも聞きたい!!」
「貴方には別に聞かせたくないけど....まあいいわ」
シャルルは深刻そうな顔をして僕をじっと見つめる。そんなに重い話なのかと予想外の状況に僕は息を呑み、彼女の言葉を待った。
「実は....」
「きゃ〜、ヴァリエラちゃんドキドキ!!」
「うるさい。実は真面目な話、自分の戦闘力に疑問を持ったの」
場がしんと静まり変える、と思われたが空気の読めないヴァリエラは騒いでいる。僕にはシャルルが何故そう思ったのか、心当たりがあった。実際、自分も同じように考える出来事が最近あったのだ。
「あの人間とデュラハンの従者の事か?」
「....ええ」
「分かる〜、あの二人めちゃめちゃ強かったもんね〜!!」
名をスターシャ、ルナティスと言ったか....ムームア・シヴァのたった二人従者。最初見た時は圧勝だと笑みを浮かべたほど僕らは油断していた。この世界での運命に選ばれし王の従者の平均召喚人数は五~六人、歴代最高は十人。ムームア・シヴァの従者は二人だけの上、片方は僕達とまともに戦えるような戦闘力は持っていなかった。
「ヴァリエラちゃん知ってるよ、ああいうのチートって言うんだって!!」
「強い戦闘力を持つデュラハンに、的確な指示を出す人間....僕らは勝ったか負けたかで言うと勝ちなのだろうが....」
「試合に勝って勝負に負けたって感じね」
たしかに勝った、だがどうにもスッキリしない気持ちが僕らの中には確かにあったのだ。プレーノ様の従者である以上最強でなくてはならないのに、僕らはあの戦いでかなりの傷を負った。
「あたいも....もやもやする....」
「―っ!!びっくりした〜!!ファントちゃん気配消すのやめてよね!!」
「君もここに居たのか」
急に姿を表したファントに少々驚きつつも、いつもの事かと彼女に座るように促す。カリビナ全員が揃い、図書室に居た司書達が緊張しながらこちらを伺っているようにみえた。
「あたいは、みんなの事、守れた?」
「もっちろん!!ヴァリエラの事庇ってくれた時ちょーカッコ良かったよ!!」
「ファントは本当に自信が無いわね....」
ファントはそうなのかなと小さく呟くと自分の世界に入り込んで悩んでいるようだった。一度彼女がああなると何度話しかけても聞こえないようなのでとりあえず放置する。
「それで話を戻すが....シャルル、僕と戦闘訓練をするか?」
「え〜!!ジーナと戦うの?それやばくない!?」
「ヴァリエラうるさい。カリビナの最大戦力と言われる貴方と戦えるなんて、滅多にない機会だわ。その話....受けましょう」
シャルルはニヤリと笑い僕に手を差し出す。それを握り返し、僕も笑った。
「〈ライフ・ドレイン〉!!」
「―っ!!」
「....って、あれ?効いてない....?」
シャルルは体力を奪う魔法を使ったが、私は余裕の笑みを浮かべる。僕の体力は1ミリも減っていない。というのもそういうマジカルアイテムを身につけているというのが理由だが、僕は呆れた。
「仲間にどの魔法が効かないとか覚えておくべきだぞ」
「私、一聞いたら十忘れるタイプなの」
「え〜、眼鏡かけてるのに?」
「眼鏡っ子が全員頭いいなんて偏見よ!!」
流石に約千年ぐらいの付き合いなのだから覚えて欲しいものだと思いながら、僕は席を立つ。
「さぁ、僕と特別レッスンだ」
「特別レッスン!!なんか卑猥―」
「うるさいヴァリエラ」
わーわーうるさいヴァリエラとまだ自分の世界に入り込んでいるファントを置いて、僕は転移魔法でシャルルと訓練場へ向かった。
――
「ファントちゃん!!ねぇ、聞いてる!?」
「....ん、呼んだ?」
まだ自分の世界にこもっていたファントをヴァリェラは肩を掴んでぐわんぐわん何度か揺らして現実に戻させる。ジーナとシャルルが特別レッスンと言って模擬戦をしに行ってしまったので、暇になったヴァリエラの次の標的はファントに変わっていた。
「ねぇ〜、遊ぼうよ」
「何して?」
「ん〜?それから考えるのが遊びってもんだよ!!」
あははははと笑いながらファントの手を引き図書室を出たヴァリエラはそのまま中庭に走る。ファントは手を引かれながらそれに抵抗することをせずにただただヴァリエラの後をついて行った。
「ん〜っ!!ここは開放的できもちいーねっ!!」
「うん、気持ちいい」
2人で両手を繋ぎ、ぐるぐると回るとヴァリエラはまた楽しそうに笑う。ファントはいつも通りのジト目でヴァリエラを見ながらその回転を利用してぐるっと彼女を地面に押し倒した。
「いたぁっ!!も〜ファントちゃんどうし、んっ...んむっ!!」
「ん....ふ....」
ファントはヴァリエラの唇を奪うとそのまま深く口付ける。中庭のど真ん中、使用人がちらほら通るなか二人はお互いの口内を貪った。しかし使用人は誰一人驚いた様子を見せない。それはその光景がこの城内では多々ある事だからだ。
ファントとヴァリエラは別に交際している訳では無い。だが、そういう関係にはある。それはカリビナ全員に共通することだった。同じようにプレーノの従者となった仲間、いや姉妹のような存在である四人は仲が良すぎた。それだけだった。
「んっ、ぁ....どう、楽しかった?」
「も〜そういうの気分になっちゃったらどうするの!!」
「その時は、あたいが相手する」
今は普通に遊びたいの!!とファントを逆に押し倒すとヴァリエラはその頬にキスを落とす。それに頷いたファントはヴァリエラの手を取り起き上がってある一点を見つめた。つられてヴァリエラもそこを見る。
「戦闘音。ジーナのレッスン始まった」
「そーみたいだねっ!!」
金属のぶつかり合う音が遠くから聞こえる。ジーナとシャルルが模擬戦を始めたのだろう。ファントとヴァリエラは傍にあったベンチに座ると、手を繋ぎ他愛ない話をする。
〜〜
「ヴァリエラ普通にタチ専だから、普通に上になろうとしたらその時プレーノの様が―」
ヴァリエラが話しているとキーンッと音が聞こえ、次に目の前に何かが猛スピードで落ちてきた。自分達を襲う砂埃を腕で塞ぎながら、二人は落下してきたものを恐る恐る確認する。
「も〜、今いい所だったんだけど....って、シャルルちゃん!?」
「いたた....ジーナったらホント容赦ないわね....」
地面がえぐれるほどの強さで落下したはずだが 、それでも生きているところを見ると流石従者と言えるだろう。しかしその体は傷だらけで痛々しい。シャルルは手探りで何かを探すと、その探し物はまた空から飛んできて彼女の傍に刺さる。
「探しているのはこれか?」
緑色の柄をした三叉槍、それを起き上がって抜き取るとシャルルはそれを軽くふって土を落とした。そしてズレた眼鏡を正すと、飛行魔法で飛び自分を見下ろしている人物に抗議する。
「ジーナ、ちょっと休憩しましょうよ....」
「何を言う、まだまだこれからだろう」
シャルルが傷だらけなのに対してジーナは頬にかすり傷1つという一見しただけで実力差の分かる状況。ファントとヴァリエラはそれを見つめ小さくうわぁと声を上げる。
「特別レッスンってただのスパルタじゃん!!」
「うるさいぞヴァリエラ、これも愛ゆえだ」
赤い柄の三叉槍を持ったジーナは胸を張り堂々と言った。その槍の先端には血が少しついており、愛とはなんだ....とヴァリエラはぼんやり考えるが、ファントが二人の間に入り手を広げたのを見て考えるのをやめる。
「もう休憩。シャルル、キツそう」
「む....そうだな、僕も良い運動になったしな」
「ありがとね、ジーナ」
ジーナは魔法を解き地面に降りる。そして互いにマジカルボックスに武器をしまい軽くキスを交わす。それを見たヴァリエラはムッと頬を膨らませダメダメ〜とシャルルとジーナの間に入る。
「シャルルちゃんはヴァリエラのもの!!ジーナちゃんもヴァリエラの!!」
「でた、ヴァリエラの独り占め攻撃」
「あたいは?」
「勿論ヴァリエラの!!」
ヴァリエラは三人を引き寄せ強く抱きしめるとニコニコと嬉しそうに笑った。それに釣られ皆が笑顔になると、ゆったりとした可愛らしい声が聞こえた。
「あらぁ、ワタシも混ぜてぇ」
「―っ!!プレーノ様!!」
何処からかプレーノが姿を見せ柔らかな笑顔でこちらを見ているのに気づき、四人はすぐさま跪く。プレーノは笑顔のまま中庭の一部が悲惨な有様になっているのを見るとさらに笑顔になる。
「これはぁ、誰がやったのかしらぁ?」
「も、申し訳ございません。僕とシャルルが戦闘訓練の際に不注意で....」
顔を上げ許しを乞うジーナに、プレーノは首を傾げながら謝られたことを疑問に思っていた。
「いいのよぉ、このぐらい。ちょっと遊んだだけよねぇ」
プレーノにとって中庭が荒れたとしても、例え城が破壊されようと自分の心から愛している可愛い従者、子供達のやることであればなんだって許せる。それが当たり前だった。
「嗚呼、可愛いワタシの子供達....もっと傍にきてぇ」
腕を広げ迎えるようにするプレーノに、従者達は立ち上がり彼女に抱きついた。プレーノはそれに心からの喜びを感じ満面の笑みを浮かべる。
「プレーノ様大好き〜!!」
「ワタシも大好きよぉ、ヴァリエラ」
ヴァリエラが言えば他の皆もプレーノに愛を伝える。
家族愛。幸せな光景に周りはさぞ和むだろう。しかしそう思うものは彼女達の奥深くを知らない者。幸せには違いない、違いはないのだが―
「今日の夜伽は誰に頼もうかしらぁ....」
「僕と遊んでくれますか?」
「あたいもプレーノ様と遊びたい」
「私だって!!」
「え〜、ヴァリエラも〜!!」
ただ、彼女達の家族愛は少しズレていた。
今回はプレーノ・インドラの従者であるカリビナの話でした。
1部でもそれぞれの従者チームの話は挟んでいたので、今回もエレムスト側の従者の話は書きたかったので。
プレーノの従者は全員女性と決まった時点で、「あ、こいつらGLな感じになるな」って決まったので女の子同士でわちゃわちゃしてます。可愛い。
自分はGLは見れるってだけで特に好きってわけじゃなかったのですが妙な扉を開きそうです。(頑張って閉じてます)
エレムストの人魚は皆クラウズウォームで暮らしています。
人魚は陸上では人と同じ足で、水に浸かるとヒレに変えることが出来ます。なので下半身の衣服は脱ぎやすくなっている事が多いです。
実際プレーノもカリビナのメンバーも下はワンタッチで脱げる水着のようなものを着ています。見た目ほぼパンツ....
1話一万文字という縛りを付けてこれまで書いていたのですが(ノーネームの時は約九千ぐらいだったけど)今回は五千という短めになってます。
キーパーソンの時みたいに一人一人の日常を書いてもいいかなと思ったのですがなんかそれだとぐだぐだしそうというの、絡みを書きたいという理由でこんな感じになりました。あと私の想像力不足です。(多分それが一番の理由)
その割には後書きが長くなってますね。話し出すと止まらない。
次回はジュデリカの従者の話になると思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました!!