「あんたたちー!いい加減起きなさぁぁぁい!」
天宮一家の朝は、この怒鳴り声から始まる。小さい頃から聞き慣れた、母の声が寝ぼけた頭に響いた。
「うっせぇ!朝っぱらから大声出すんじゃねぇよ!」
天宮 輝
本作の主人公。高校二年生。
血液型 O型
「あんたたちが起きないからでしょうが!」
天宮 遥 母。
年齢の割には美貌が衰えない悪魔。
「ふぁぁ・・・・・・おはよ〜、お母さん」
天宮 凛
天宮家 長女。大学一年生。
血液型 O型
美人、非常にけしからん身体。
「おい、クソ姉貴!なんで真っ裸なんだよ!服着ろっつってんだろ!クソが!」
「クソクソうっさいわね!この格好が一番楽なのよ!大体、この洗練され尽くされた美躯を毎日見れてるだけでも感謝しなさいよ!貢げ!千円ぐらい貢げ!」
「貢がねぇよ!てめぇには羞恥がねぇのかよ!」
「ないわ!」
「そうか」
「うん」
「勝手に納得すな!凛は早くシャワー浴びる!輝は制服に着替えてさっさと下に行ってご飯食べる!」
輝は制服に着替え、階段を降り、テーブルに置いてあるパンを咥え鏡の前で寝癖を治す。
「お兄、行儀悪いよ」
天宮 優
天宮家 妹。中学三年生
血液型 O型
美少女、絶賛発育中らしい。
「うるせー」
するとバスルームの方から凛の声が響く。
「優ぅ〜、ボディソープ貸してぇ〜」
「いい加減にしてよ、お姉!自分で買ってきてよ!」
「ケチんぼぉ〜」
「だぁぁぁ!寝癖治んねぇ!クソがぁ!」
「なんでこの子達は毎朝毎朝・・・・・・」
「賑やかでいいじゃないか、熱ッ」
天宮 透 父
母に押し切られ結婚したらしい。
猫舌。
この一連の出来事が、天宮家の一日の始まりである。
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高校 昼休み
「あーまーみーやーくーん」
「あぁ?」
「ッ!?」
親友1 田嶋 周助
バカ
「おま、その髪・・・・・ぶふぉ」
「おーい!田嶋、天宮!こっちで飯くお・・・・・ふへ」
親友2 小野寺 弘樹
アホ
「なァんだよその頭はよぉ!」
絶賛、二名のバカとアホは食堂で大笑いしていた。輝の髪型は、朝の寝癖が治らなかったため、母の遥が無理やり七三分けにしてしまったのだ。
「うるせぇ、笑うな!クセがついちまって洗っても治んねぇんだ!おい、笑うな!ぶっ殺すぞ!」
「やってみろよ七三坊や!」
「てめぇ!」
『まぁたやってるよ、あの三人』
『いいぞ!もっとやれ!』
「お前らも黙ってろ!」
外野が囃し立てるのを一喝し、小野寺が取っていた席に座り三人で食事を始める。
「なぁ、テストどうだった?」
「クソムズだったな」
「授業聞いてりゃわかんだろうがよ」
「大体、なんでお前みたいな口が悪いくせにイケメンなやつが頭いいんだよ。クソが」
「ぶっ飛ばすぞ」
「なぁなぁ!あの数学のテストにあった円グラフ!あれなんかに見えなかったか?」
「何って、円しかねぇだろ。なあ、天宮」
「おう」
「甘いな、お前ら。あの円に俺はな、中心に点を書いて提出したんだ」
「へぇ、それでなんて書いたんだ?」
「おっぱい!案の定、0点でした!」
「お前、気持ち悪ぃな」
「はげどう」
二人の非難の目線を浴び、完璧に心が折れてしまったらしくテーブルに突っ伏した。
「天宮に言われんのはいいけど、田嶋にだけは言われたくなかった」
「はー?」
「はーじゃねぇよ。お前はどうだったんだよ」
「俺か?聞いて驚け、名前の欄に『お前を因数分解してやる』って書いて提出したぜ」
「お前、頭腐ってんだろ」
「俺のおっぱいよりひでぇじゃん」
「遺伝子からやり直せよ」
「それ、俺もさっき気づいた」
とんでもないバカ話を聞いていると、目の前を一人の生徒が歩いて行った。
「焼き肉定食、焼き肉抜きで」
「はいよ」
食堂の人からお膳をもらい、歩いて行った。
「なんだ、あいつ」
「んぁ?ああ、同じクラスの上杉じゃん」
「あいつ、毎日焼き肉定食頼むのに焼き肉抜くんだよな」
「天宮、お前知ってるか?学年一位になれない理由」
「あぁ?知らね。興味ねぇからよ」
「上杉が学年首席なんだよ。お前を差し置いてだから相当頭いいんだろうなぁ」
「ふーん。見た感じ、頭良さそうだもんな」
「きっと、俺たちとは見てる世界が違うんだろうさ」
「バカ共二人に俺を含めるな」
「「え!?」」
少しだべってから席を立ち、返却口へ歩いていると横から歩いてきた人影にぶつかってしまった。
「おっと・・・・・悪ぃ、大丈夫か?」
「す、すみませんでした」
「ここ人多いから、ちゃんと前向いて歩けよ」
再度お辞儀すると、そそくさと逃げるように行ってしまった。
「あーあ、振られたな」
「その口の悪さなんとかしろよ。イケメンのくせに」
「あぁ!?うっせぇよ!」
「「そーゆーとこ」」
「ッ・・・・・・けっ」
乱暴に返却口にお膳を返し、食堂を後にしようとした所に声がかけられた。
「あ、きみきみ!」
「・・・・・・・あ?」
声をかけた人物はアシメントリー調のショートヘアと右耳に填めたピアスが特徴的な美少女だった。胸元が危なっかしい気がするが、まあいいだろう。
「何の用だよ」
「ほら、さっき私の妹がぶつかりそうになってたでしょ?大丈夫かなって」
「別に何ともねぇよ」
「おーい、天宮ァ。教室戻ろうぜー」
「おおー。今行くー。悪ぃな、俺行くわ」
そう言って輝は踵を返し、田嶋と小野寺の方へ行き、食堂から消えた。
「へぇー、天宮くん、か」
その少女は意味深な笑みを浮かべていた事を輝は知らない。