未来の彼に続き、遂にリボン輝とこの小説のキーアイテムが登場します。
それではEp.10どぞ!
「恋と愛」の違いはなんだろうか。
恋愛ーーーーそれはもう、書籍に関わらず多くのメディアに置いて重要視される、人類の究極の関心事、人類の永遠のテーマと言っても過言ではない。
多くの哲学者たちも恋愛について多くを語っているが、人類の歴史を掛けても解明できない謎。
(「恋と愛」の違いってなんだろう・・・・・・)
授業を聞きながら頬杖をつき、一花は外を見た。
そんな事を考えていると、ふと、ある人がこんなことを言っていたのを頭をよぎる。
「愛」は真ん中に「心」があるから「真心」
「恋」は下に「心」があるから「下心」
(でも愛人、恋人となると逆になるわけで・・・・・・・・・・)
『うーん』と頭を傾げ、眉に皺を寄せる。
ハッキリ言って、今の自分の頭では結論づけることは不可能だった。
「難しいなぁ・・・・・・・・」
はぁ、とため息をつき顔を前に向けまた授業を聞き始めた。
すると、隣のクラスーーーーー輝たちのクラスからまた担任の悲壮な声が上がっていた。
『田嶋くん!教科書を立てて携帯をいじるんじゃないよぉ!山田くん!机の上で暴れるんじゃない!小野寺くん!君はPS4をいい加減家に置いてきなさい!武田くん!教室で漫画を読むんじゃない!及川くん!変身ベルトを腰に巻くんじゃないよ!誰だ誰だ、教卓に花瓶を置いた奴は!』
(またやってる)
一花は心の中で笑った。
そんな日常が続き放課後と土日を使い、試験に向けただひたすら勉強漬けの毎日を送ること二週間。
試験前最後の日曜日も泊まり込みで教えた次の日の朝ーーーーー
七人の影が通学路を駆け抜ける。
「なんで時計がぶっ壊れてんのに気づかねんだよ!」
「俺に聞くな!早く、走れ・・・・・・・!」
「てめぇと三玖が一番遅れてんだよ!」
「ふ、不甲斐なし・・・・・・!」
「ま、待って・・・・・・!」
輝と四葉が最前線で走り、その後ろを一花、二乃、五月が追従する。最後尾は運動が出来ない三玖と風太郎。
「眠い〜」
「やば、やっぱスッピン見せたくないわ」
「他の奴らが見せてんだろ!」
「お、お腹が空いて力が・・・・・・・」
「燃費のわりぃ野郎だな!これでも食っとけ!」
バッグからおにぎり三つを五月めがけ投げる。それをタイミングよくキャッチし、目を輝かせた。
携帯で時間を確認すると、登校時間の8時半まで後、10分しか無かった。
「おい、四葉!お前は先に・・・・・・・・あぁぁぁあぁぁあ!?いねぇぇぇぇぇ!?」
先程まで隣にいた四葉が忽然と姿を消していた。
その後は老人の荷物を運んだり、外国人の幼い少年を病院に送り届けたりと『違う、今じゃない』感が満載の良い行いをした五姉妹と輝、風太郎は昇降口に仁王立ちで立っている生徒指導の教師を校門に隠れながら見ていた。
「クソが・・・・・!なんで今日に限ってアイツがいんだよ・・・・・・!」
「奮走虚しく、タイムオーバーだ。試験もじき始まる」
風太郎が携帯を見ながら苦々しい顔で言った。
「ど、どうしましょう・・・・・・」
「あんた、ご飯粒付いてるわよ」
「でも、学校はすぐそこだよ」
「生徒指導の先生は許してくれるかなぁ」
すると、風太郎は携帯の連絡先を開きある人物に電話をかけた。
「もしもし、四葉か?もう学校に着いているのか?ーーーーーいやいい、そのまま学校にいてくれ」
そう言って携帯をしまい、不敵な笑みを浮かべた。
「四葉が学校にいることは確認した。一度登校した生徒なら生徒指導も厳しく言えないだろう。お前たち全員・・・・・・四葉のドッペルゲンガーになれ!」
✦‧✧̣̥̇‧✲゚✧✽*✼✼✽*
「よし・・・・・後はお前だけだ。輝」
「ざけんなよ・・・・・・んなモン死んでも付けれっかよ・・・・・・・!くだらねぇ事やってねぇでさっさと行くぞ!」
そう言って昇降口へ歩みを進めようとする輝を風太郎が止める。
「待て待て!お願いだ、ヒーくん!」
「あぁ!?誰がヒーくんだ!」
「このリボンを付けるだけでいいんだからさ」
そう言って、四葉が付けているウサギ調のリボンを差し出す。
「お願い」
「ムリ」
「お願い」
「ムリ」
「お願い」
「やだ」
「なんで?」
「やだやだやだ」
「は?」
「やらない」
「やれ」
「やだやだやだやだやだやだ!」
「一花!」
「がってん!」
「やだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
一分後ーーーーーーーー
「へぇ、結構似合ってんじゃん」
風太郎の感想は確かに的を射ていた。容姿が整っているためか、決して似合ってない訳ではない。むしろ似合っていた。しかし、それとは裏腹にチェック柄のリボンを頭に強制的に付けられた輝の顔は怒りと羞恥がごちゃ混ぜになり、体は小刻みに震えている。
「後で覚えてろよ・・・・・・・・・ぶち殺してやる・・・・・・・・!!」
「大丈夫、似合ってるよ。ヒーくん」
「あんたもヒーくんを煽るんじゃないわよ」
「てめぇらその名前で呼ぶな!!」
「よし、ドッペルゲンガー作戦開始だ!」
「まず私が行く」
三玖が一番手を買って出る。
「おはようございまーす!」
いつもの三玖の口調とは違い、四葉同様テンション高めのハツラツとしていた。
「お前!遅刻だぞ!」
「おーっと、このリボンに見覚えありませんか?」
四葉に化けた三玖が頭のリボンを指さす。生徒指導の先生もそれを見つめ、
「ふーむ・・・・・その顔、そのリボン・・・・・・確かに数分前に見たような・・・・・・」
「先生の手伝いでまた外に出たんです」
「そうか。始業のチャイムはもう鳴っている。試験までに着席するんだぞ!」
「はーい」
やはりと言うべきか、わかっていたと言うべきか。最早見分けはつかないらしい。
三玖はそのまま昇降口に入り、一息ついた。
「ふぅ・・・・・・知りがたきこと陰の如く」
「よし、三玖が入った!次々行け!」
風太郎が合図を出し、一花、二乃、五月が続く。
「おっはようございまーす!」
「ぬ・・・・・お、おはよう」
三分後ーーーーー
「おはようございまーす」
「ぬぬ・・・・・・!?」
そしてまた三分後ーーーー
「お、おはようございます!」
「ぬぬぬ・・・・・・!?」
(この生徒、何周も何してるんだ・・・・・・・?)
四葉に化けた一花、二乃、五月も無事、生徒指導の目を欺き校舎の中に入ることが出来た。
「せ、先生を騙すなんて・・・・・私はなんて無礼を・・・・・・」
「あんた真面目すぎ」
「あ!良かった!みんな入れたんだね!」
「「「「あ、本物だ」」」」
全員が校舎に入ったのを遠くで確認した風太郎が次に送り出すのはーーーーーー
「あれっ?天宮さんと上杉さんは?」
「え?あー、お二人は・・・・・・・・」
五月が目線を送る方へ全員が顔を向けるとそこには、物凄い怒気を持ちながら歩いてくる輝が映った。
「ぬ・・・・・お前、ちこーーーーひっ!?」
(リボン付いてるのに顔こえぇ・・・・・!)
「おはよーございまーーす」
「お、おう。は、早めに教室に行けよ」
たった一睨みで教師を竦ませる生徒がいてもいいのだろうか。なんのお咎めもなく校舎に入るなり、リボンを乱暴に取った。
「このリボン、なんの必要もねぇじゃねぇか!」
「まあまあ、いい経験も出来たんじゃない?」
「要らねぇ恥かかせやがって・・・・・・!」
リボン付きの輝を写メで撮った事は、墓まで持って行こうと一花は心に決めた。
え?なんでかって?そりゃあ、バレたら間違いなく殺されるからねっ。ま、みんなには見せちゃうんだけどね当然だよね!
「フータローは?」
「あ?ガリ勉ならそこにいんだろ」
輝が指さした方には同じくリボンを付けた風太郎がそこにいた。
「おはようございまーす」
「・・・・・・・・・」
そのまま生徒指導の教師の横を通り過ぎようとしたが、
「遅刻した上にふざけてんのか?」
「ですよね。俺もそう思います」
無理だったようだ。
「生徒指導室に来い!」
首根っこを引っ張られながら連れ去られていく風太郎は輝に向けて叫んだ。
「輝!早くソイツらを連れて行け!」
「わーってるよ」
「頑張れよー!お前らー!」
「お前は一人で何を言ってるんだ!」
✦‧✧̣̥̇‧✲゚✧✽*✼✼✽*
「残り10分」
(こんなもんか・・・・・・・)
シャーペンを置き、軽く欠伸をする。
『一人でも赤点を取ったら家庭教師を辞めてもらう』
(やれる事は全部やった。後はアイツら次第か・・・・・)
社会
三玖は問題を見ながらシャーペンを走らせていく。
『歴史に関して俺から教えてやれることはもうねぇ。テストん時は自信持っていけよ』
(難しい問題ばっか・・・・・・・・でも歴史なら分かる。ヒカルよりいい点取ったらどんな顔するかな)
国語
四葉は腕組をしながら唸っていた。
「う〜〜〜ん」
『五択問題は大体四番目の確率が高ぇ。どうしてもわかんなくなったら四番目を書け』
(よし・・・・・・!)
英語
(討論、討論・・・・・・・・わかんないや、次)
二乃は空白が目立つ答案用紙に更に空白を作ろうとしたが、
『討論は英語で『debate』だ。ローマ字読みで『でばて』と覚えればいい。難しく考えすぎんなよ』
(わかってるわよ・・・・・・・・・)
数学
(終わった〜。こんなもんかな、おやすみー)
一花は机に突っ伏すように倒れるが、
『いいか、数学は特に見直しが必要だ。式はあってんのに計算が間違ってることはよくある。最低でも一回は見直しをしろ』
(・・・・・・・・まぁ、それくらいならしてもいいかな)
理科
(お二人を辞めさせはしません)
五月は二週間前の夜を思い出した。
『一人でも赤点なら辞めてもらうと先程伝えたんだ』
『本当、ですか・・・・・・?お父さん・・・・・・・』
父の無慈悲の言葉を聞いてから、人一倍努力してきた自負はある。
足りない頭に、色んなことを叩き込んだ。
(絶対に、赤点だけは・・・・・・!)
風太郎は右斜め前に座る輝を見た。
『お前だけは家庭教師を続けられるように俺が親父さんを説得する』
(俺は、どうすれば・・・・・・・・)
こうして、中間試験は順調に進み無事終わりを迎えた。
テストの返却は明日、今日は部活動もなしのため、全校生徒がこぞって下校を開始する。
輝もその中に混ざり、自宅へ帰る。今日はカテキョーがオフの日。
家の玄関を開けると、流石に輝以外はいなかった。
リビングに入ると、机に乱雑にアルバムが二冊置いてあった。
「ったく、片付けぐらいしろっての」
昨日の夜に閲覧したのであろうアルバムを持った瞬間、一枚の写真が宙を緩やかに舞いながら床に落ちた。
「あ?」
拾い上げ、裏返すとそこには小学生の頃の自分が、年相応の無邪気な笑顔で映っていた。
「修学旅行のやつか。確か、京都に行ったんだっけか」
懐かしさに思わず笑みが零れる。
その写真を眺めていると、角の隅に見覚えのない一人の少女が此方を見ていた。
「あ?誰だコイツ・・・・・・・・・」
桜色の長い髪に、蒼い大きな瞳。白いワンピースが良く似合う少女だった。
「こんなヤツ、小学の時いたか・・・・・・?」
自分の記憶を遡ってみても確かにこの少女はいなかった。
仮にいたとしたら、恐らく忘れることはしないだろう。
「まあいいか」
考えれば考えるほど頭が痛くなる気がした。その時は気にもとめず、そのままアルバムに挟み戸棚にしまう。
「ひと眠りすっか・・・・・・・」
明日の結果次第で自分と風太郎のこれからが決まる。
だが今はそんな事を考えたくなかった。制服を着たまま逃げるようにベッドに寝そべり、目を閉じた。
体は正直なもので、相当疲れていたようである。目を閉じるなり直ぐに意識は手を離れていく。
(今日はもう、疲れた・・・・・・・・)
そのまま深い眠りの底へと落ちていった。
五等分の花嫁、五月も本格的に姉妹バトルに参戦しそうな感じで盛り上がってきましたね!