もう一人の家庭教師が口悪いです   作:メルフェン

13 / 17
今回から林間学校編スターツです!

Ep.13どうぞ!


Ep.13 結びの伝説〜2000日後の君へ〜 初日

「一組の生徒の皆さんはこちらのバスになりまーす」

 

学校の駐車場に、二学年全生徒を乗せるバスが連なる。各バスの乗り口には各クラスの実行委員が名簿でクラスの人数を確認しながら誘導していた。もちろん輝も自分のクラスが乗るバスの前で名簿に丸をつけながら誘導していた。

 

「バスん中は静かに騒げよー」

「静かに騒ぐとはこれいかに」

「天宮くん、お菓子持ってっていいー?」

「好きにしろー」

「この子酔いやすいんだけど、席前でいいかな」

「わかった」

 

クラスメイトからの質問に受け答えしながら手元の名簿にマークをしていく。

 

「輝、おはよう!」

「お、おう」

 

挨拶をした風太郎はいつもの落ち着いた雰囲気はなく、どこかはしゃいでいるような感じだ。あまりにいつもと違うため少したじろいでしまった。

 

「おはようございます」

「ん、五月で最後だな」

 

『中野 五月』にチェックを入れ、担任の教師に手渡した。

 

「各クラス全員オッケーです」

「目的地の宿に着いたら明日の肝試しの打ち合わせのためまた集合しましょう。皆さん、林間学校がいい思い出になるように頑張ってくれるかなー?」

 

実行委員長の女の子のその言葉に『いいともー』とやる気があるのかないのかわからない声で応えた。

何も面倒事が起きない事を祈るばかりである。

そして3泊4日の林間学校が幕を上げた。

 

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

 

 

「うぉ、すげぇ雪だな・・・・・・前が見えねぇぞ」

「やっぱ山奥となると雪ふんのかな。でもまだ十月だぞ?」

「今年は異常気象だってニュースで言ってたぜ」

 

もう一時間くらい足止めを食らっている。

しかし、バスの中はそんな事お構い無しに賑やかだった。

 

「雪!雪ですよ!天宮くん!」

「あぁ。頼むから座りながら暴れんじゃねぇ。さっきから脛に蹴りがーーーー」

「雪!!」

「もういい・・・・・・・」

 

バスの窓にへばりつくようにくっつき、雪を見ながら感嘆の声を上げている五月にため息を吐きながら項垂れた。

 

 

✦‧✧̣̥̇‧✲゚✧✽*✼✼✽*

 

 

「降雪が酷いので、今日はここの旅館で一拍します。一部屋五人、部屋割りは各クラスの実行委員がして下さいねー」

「うーし、お前ら部屋割りすっから集まれー」

 

輝の言葉にクラス『アマゾン』が集まり出す。

 

(天宮、分かってんだろーな・・・・・・・五月ちゃんと同じ部屋にしろ。いやせめて女子一人だけでも・・・・・・・・)

(バカめ、五月ちゃんは俺と同じ部屋になる運命なのさ・・・・・・・)

(相部屋相部屋相部屋相部屋相部屋相部屋相部屋相部屋相部屋相部屋相部屋相部屋)

 

分かってる。分かってるぞ、お前たちーーーーーー

 

「女子は女子で決めてくれ」

「はーい」

「「「裏切り者めぇぇぇぇぇえい!!」」」

「ざまァみろ!!今日はお前らの不幸でさぞ飯が美味いんだろうな!バァァァカ!!」

「「「ちくしょぉぉぉおぉぉおお!!」」」

 

 

かくして部屋割りも終わり、明日に備えて旅館の中へと入って行った。

 

「非リアに優しくない部屋最低だな」

「同感だ」

「ずべこべ言うなっつーの」

 

荷物を置くと、一息つきながら体操着に着替える。

部屋割りの結果、輝、風太郎、田嶋、小野寺、山田の五人になった。

 

「体操着に着替えてどこ行くんだよ」

「実行委員の集まりがあんだよ」

 

各々荷物を置き終えると、畳の上に寝転がった。

 

「あーあ、五月ちゃんと同じ部屋が良かったなー」

「いやぁ、多分っていうか絶対倫理の守護者(せんせい)たちは許さないんだろうな」

 

小野寺と山田の会話に田嶋も加わる。

 

「五月ちゃんマジ天使。てか中野さん姉妹全員聖女案件」

「いやいや、あのおっぱいで聖女は無理でしょ」

「くはっ!」

 

下劣な会話を始めた三人に輝と風太郎はため息を吐いた。

 

「夕飯までは自由だからな」

「へーい」

 

部屋のドアを開けると同時に目の前の部屋のドアも開き、その本人と目が合う。

 

「あ?」

「あら、天宮じゃない」

 

すると今度は右隣の部屋のドアが開いた。

 

「うわー!天宮さんお隣だったんですね!二乃達の部屋も近くだー!」

「え?」

 

今度は左の部屋のドアが開いた。

 

「うるさいですよ、四葉・・・・・・って天宮くん!?なんで隣なんですか!?」

「はい?」

 

はたまた今度は輝から見て右斜め前の部屋のドアが開く。

 

「あ、ヒカルだ。隣は二乃なんだ」

「そうね」

「なんで?」

 

次は左斜め前の部屋のドアが開く。頼む。頼むから違うと言ってくれ。

 

「残念!一花ちゃんでしたー!」

 

あぁーーーー何となくそんな気は、してたよーーーーー

 

「五人集合ですね!」

「奇遇だねー」

 

五人が談笑を始めるのと同時に輝は自身の部屋のドアを閉じた。

 

「あれ?天宮、行ったんじゃなかったのか?」

「・・・・・・・・・・・」

 

小刻みに震える輝を見ながら風太郎、田嶋、小野寺、山田が首を傾げる。

 

「なァァァァんでだァァァァァァ!!!!」

「なになに!?どうした天宮!?」

「輝、落ち着け・・・・・・・!」

「悪夢だ・・・・・・何かの悪夢に違いねぇ・・・・・!」

 

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

 

ほほ^〜

 

輝から発狂した理由聞いた瞬間、田嶋、小野寺、山田の三人はそんな気持ちの悪い声を上げた。

 

「五月ちゃんだけでなく、他のクラスの中野さん達まで部屋が近くだとはな!」

「でかしたぞ!天宮!」

「どうやらこの戦い、俺たちの勝利のようだ!」

 

どんちゃん騒ぎを始めた三人を風太郎が宥めるのを見ながら実行委員の集まりを思い出した輝は、また再度ドアを開ける。

と、そこには二乃仁王立ちで構えていた。

 

「あ!やっと出てきた!なんで急に部屋に戻ったのよ!少しくらい話し相手になりなさいよ!」

「んな時間ねぇんだよ!」

 

逃げるようにその場を立ち去ろうとした輝の背中に重い衝撃が走った。

 

「四葉ターックル!」

「おぶっ!?」

 

盛大に転倒した輝を見ながらタックルをかました当の本人は悪びれる様子もなくキャッキャッ笑っていた。

 

「ゲホッ・・・・・!四葉、てめぇ・・・・・・・!」

 

噎せる胸を叩きながら、何とか起き上がる。

 

「だ、大丈夫ですか?天宮くん」

「こっちは急いでんだよ・・・・・!構って欲しいならガリ勉のとこに行け・・・・・・!ゲホッ」

 

すると、携帯に着信が入った。

 

(うげ、佐藤・・・・・・・)

 

佐藤とは実行委員の委員長を務める女の子である。

 

「もしもしーーー」

『もしもしじゃなーーい!!天宮くん今どこにいるの!?』

 

スピーカーをオンにしていないにも関わらず、その檄は携帯のスピーカーをつんざいた。

 

『もう皆集まってるんだけど!!後は君だけなんだけど!!』

「い、今行く!」

『早く来てよね!』

 

ブツリ、と切れてしまった。

 

「と、とにかくまた後でな!」

「あ、ちょっと!」

 

逃げるように走っていく輝を二乃呼び止めようとしたがその声は届かなかった。

 

 

✦‧✧̣̥̇‧✲゚✧✽*✼✼✽*

 

 

「悪ぃ・・・・・・!遅れた・・・・・!」

 

肩で息をしながら集合場所に辿り着いた。

 

「遅ーーーーーい!」

「まあまあ、大目に見てあげようよ。天宮くんだって色々事情があるだろうし」

「相変わらず堅物よね。カルシウム足りてる?あ、そうか!摂取してるけどそのほとんどが頭に行ってるからそんなに堅物なのね?どうりでペッタンコなわけか、ペッタンコ」

「黙って聞いてれば舐め腐ってからに・・・・・・!」

「落ち着けよ、天宮も困ってんだろー?」

 

この個性が強すぎるメンバーが実行委員だと事実に頭が痛くなる。

言われ放題言われた佐藤という女の子は反論し始めた。

 

「残念でしたー!ペッタンコじゃありませんー!Bありますー!BよりのAですぅ!」

「Bないんじゃない。元々Bあったというのがあなたの妄想なんでしょ?お空から何かを受信して自分を魔法使いだと思い込んでる人みたいな」

「はぅ・・・・・!」

「うわぁ・・・・・・・・・・」

「キッついな、相変わらず・・・・・・・・・」

 

委員会の女の子の一人からクリティカルヒットを受けてしまった佐藤は完璧にいじけてしまった。

 

言われなくてもそんな気はしてたよ。わかってるもん。同じクラスの四葉ちゃんの方がおっぱい大きことぐらい・・・・・・あ、でも別に羨ましくはないよ?こうなったら逆に開き直ってやるんだから。・・・・・・・はぁ、私って、ほんとバカ

「おい、委員長がアレでどうすんだよ」

「言ってくれるな、天宮。今はそっとしてやってくれ」

「うん。開き直ってやるって言ってるし。そのうち復帰するよ」

 

絶賛いじけ中の委員長を置いといて、明日の肝試しの打ち合わせは滞りなく進み、終わりを迎えた。

 

「それじゃあ、また明日ねー」

 

佐藤と同じ部屋の女の子が佐藤を引きずりながら手を振る。

輝も自分の部屋に戻るため、前に来た廊下を歩く。

廊下のガラスの窓からは空から舞い落ちる雪がライトに当てられ幻想的な風景を作っていた。

横目でそれを見ていると、自分の部屋にたどり着きそのドアノブを捻り開けた。

 

「お前らそろそろ飯だぞ」

「お、お帰り。天宮」

「飯だ飯!」

 

するといつの間にか輝の後ろにいた一花が肩を叩く。

 

「あ?んだよ、お前かよ」

「これからヒカルくんたちもご飯?」

「あぁ」

「よかったら一緒にどう?みんなで」

 

すると今度は横から四葉が顔を出す。

 

「今なら私も一緒ですよ!」

「私も」

 

三玖に続き、二乃、五月と次々顔を出す。

 

「いや、でも・・・・・・・」

 

少し難色を示すが後ろの男共が黙っていなかった。

 

「FF外から失礼するゾ〜☆アリかナシかで言えば一緒にご飯食べるのは拙者的にアリアリのアリでござるゾ〜」

「話は聞かせてもらった!自分もご一緒いいっすか?」

「俺もご一緒させてください!なんでもしますから!」

「だそうだ、輝」

「んじゃ、一緒に食うか・・・・・・?」

 

何やらガッツポーズをしている二乃らしき人物がいたが見なかったことにしよう。

既に前途多難な林間学校に思えてしまい、輝は深い溜息を吐いた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。