もう一人の家庭教師が口悪いです   作:メルフェン

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二期制作おめです!

ずっと四葉のターン!嵐の予感!ワクワク

Ep.14 どうぞ!


Ep.14 結びの伝説〜2000日後の君へ〜 2日目

「今日は肝試しがあります!夕飯は全クラスでカレーを作るから実行委員はよろしくね」

 

学年主任の言葉を最後に、ルートの下見と案内の看板設置を任された輝と委員会の女子は

林の中を入っていく。

 

「案外足場は悪くないんだな」

「そうだね。これなら転ばなくても大丈夫そう。あ、そうだ!天宮くん!」

「あ?」

 

おもむろに委員会の女子が後ろを振り向き尋ねた。

 

「キャンプファイヤー誰かと踊るの?」

「いや、踊んねぇけど」

「そうなの?天宮くんモテるのになんか意外だなぁ」

「それ関係あんのか?」

「実際どうなのさ〜」

 

うりうりと肘で小突いて来るのを払い除けため息を着きながら、

 

「生憎そうゆうの信じねぇタチでな。あー、なんだっけ。キャンプファイヤーのアレ」

「うわぁ、冷めてるー」

「うっせぇな」

 

やいのやいのと話しているうちに林を抜け、開けた場所に出た。

 

「うわぁ・・・・・崖だ」

「こっちに来れねぇようになんか立てとくか」

「そうだね」

「そう言うお前の方はどうなんだよ。誰かと踊んのか?」

 

立ち入り禁止の看板を立てながらそんな事を聞くと、少し考えた後笑顔を浮かべた。

 

「居ないんだよねぇ」

「ふーん」

「あ、聞いてきたのに大して興味ない感じ?」

「おう」

「酷すぎる」

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

 

喧騒が響くコテージの傍にある炊事場。全クラスを収容できるスペースがある程広い。

 

「じゃあ、私たちでカレー作るから男子は飯盒炊さんよろしくね」

「うーい」

 

二乃の指示に同じ班の男子が気だるけに返事を返す。それを見届けたあと、袖を捲り気合を入れた。

 

「わっ、二乃野菜切るの速っ」

「家事やってるだけの事はあるね」

「これくらい楽勝よ」

 

クラスメイトの感嘆の声に気を良くしたのかその顔は微笑んでいた。

 

(ついに始まったわね、林間学校)

 

ふと、二乃の脳裏に他の姉妹たちが過った。事実、家事は二乃が負担しているため他の姉妹たちはからっきしなのだ。

 

「あの子たち、上手くやってるかしら」

「天宮ー、野菜どーするー!?」

「適当にぶつ切りで放り込め!カレーなんざ何入れても変わりやしねぇんだからよ!」

「ヒャッハーー!!」

「天宮くんたちの所、随分テンションが高いね・・・・・・・・」

「そうね・・・・・・」

 

 

一花

 

 

「この計量カップもう使った?片付けておくね」

「は、はい!」

 

後ろ姿の一花を見ながら男子は小声で話し合った。

 

「中野さん、美人で気が利いて完璧超人かよ」

「俺の部屋を片付けて欲しいぜ」

 

余計汚くなるのでやめたほうがいいですよ。

 

 

四葉

 

 

次々と火起こしの薪を割っていく四葉を班の人が止めに入る。

 

「いや、割りすぎ!」

「あはは、これ楽しいですね!」

 

すると、四葉の元に輝と同じ班の田島と小野寺がやって来た。

 

「カレーといったらもう役割論理以外ありえないwww」

「ありえませんなwww」

「このボケナス共が!訳わかんねぇこと言ってねぇでさっさと薪持ってこい!」

 

遠くから輝の罵倒が飛び、肩をすくませる。

 

「へいへい。四葉ちゃん、薪貰ってくよ」

「はい!」

 

 

五月

 

 

「そろそろ煮込めてきたかな」

「待ってください!15分まであと3秒です・・・・・・!」

 

鍋の前で携帯とにらめっこしながら真剣な顔で言った。

 

「細かすぎだよ・・・・・・・」

 

 

三玖

 

 

「三玖ちゃん!?何入れようとしてるの!?」

「お味噌。隠し味」

「カレーに味噌なんて入れないよ!?」

 

輝は米の炊き具合を見に来たが、思わぬ人物に遭遇した。

極力目を合わせないように隣にしゃがみ、沈黙を貫いていたのだが、

 

「おいコラ」

「うし、飯はいいな」

「気づかないフリしてんじゃねぇぞコラ。俺を忘れたとは言わせねぇコラ」

「コラコラうっせぇな。前澤だろ?」

「前田だよ!」

 

しばしの沈黙ーーーーー

 

「お前、一花に振られた見てぇじゃねぇか」

「ふ、振られてねぇよ!てかお前、なんで中野さんを下の名前で呼んでんだよ」

「お前も呼べばいいじゃねぇか」

「お、畏れ多いだろ!」

「何が畏れ多いんだよ、あんなドン・ズボラの」

「え、ズボラ・・・・・?」

「ヒーカールーくーん?」

「お前知らねぇのか?アイツの部屋はもう汚いのなん・・・・・の・・・・・・・」

 

後ろを振り返れば、いつもヘラヘラした顔の一花ではなく、顔は羞恥と怒りが入り混ざった顔で見下ろしていた。

 

「一・・・・花・・・・さん・・・・・・」

「ごめんね、前田くん。ちょっとこの人借りてくね」

「あ、はい・・・・・・」

 

首根っこを掴まれながら引きづられていく輝を見ながら前田は目線を戻した。

 

「ご飯、まだかな」

 

 

✦‧✧̣̥̇‧✲゚✧✽*✼✼✽*

 

 

次第に日も落ち、いよいよ今日の目玉の肝試しが始まる。実行委員は衣装に着替え、ルートの要所に隠れ、脅かす係も担っている。

 

「イチャコラしてるカップルの仲を裂くが如く遠慮なく驚かせ!分かったか野郎ども!」

「委員長気合い入ってんな」

「ちっさい女ね」

「そこ!私語を慎め!あ、今日の肝試しの助っ人を連れてきました」

「そっちが後回しなのね」

 

全員がため息をつく。

 

「私が来たからには百馬力です!」

「ここ一番で一番頼りにならなそうなやつが来たか。しかも馬力ってなんだよ、車か」

「んな!酷いですよ!天宮さん!」

 

何やら抗議してくるリボンバカを無視し、変装に着替える。

 

「うし、行くか」

「皆さん、行っちゃいましたよ?」

「え?」

「天宮さんは私とペアです!行きますよぉ!」

 

四葉に腕を引っ張られ、林の中に入っていく。さすがに山奥だけあって、日が沈むのも早い。

 

「おい、四葉。あんまりはしゃぐな、転けんぞ」

「大丈夫ですよ!」

 

と言っているそばから木の根に躓き、前のめりになるのを腰と手を掴み若干イナバウアーの姿勢になってしまったが、許して欲しい。

 

「言わんこっちゃねぇ。気ぃつけろっつったろ、アホ」

「ご、ごめんなさい・・・・・・・」

「立てっか?」

「は、はい」

 

さっきと打って変わってしおらしくなった四葉に疑問が残るが今は深く考えずにしておいた。

 

「ここが俺らの持ち場か」

「結構不気味ですね」

「ここ出るらしいしな」

「ホントですか!?」

「ウソです」

「ウソなんですか!?」

「ホントです」

「えー!ホントなんですか!?」

「お前忙しいな」

 

百面相の如く色々な表情をする四葉に思わず笑ってしまった。

 

「あ!なんで笑うんですか!」

「いや、お前面白いから」

 

『わりぃわりぃ』とむくれている四葉をなだめ、持ち場である場所の木陰に身を隠した。

遠くから生徒の絶叫が聞こえているあたり、既に肝試しは始まっているらしい。

 

「あの、天宮さん」

「んぁ?」

 

おもむろに話しかけてきた四葉に顔を向ける。

 

「キャンプファイヤー踊る人、見つかりました?」

「いや?」

「き、ききき奇遇ですネ!私もです!」

「それがどうしたんだよ」

 

妙に歯切れの悪い四葉に眉をひそめ、ある事に気づいた。

 

「踊る人探してんのか?」

「ま、まぁ、そんなとこです・・・・・・」

「大変だな、お前も」

 

しばしの沈黙の後、四葉が静寂を切り裂いた。

 

「天宮さん」

「ん?」

「私と・・・・・・踊ってくれませんか?」

 

月下で四葉と目が合う。

いつもと違う真剣な顔でこちらを見つめる彼女に輝は言葉を失った。

 

 




ヒカルくんのプロフィール無いことに気づいた

天宮 輝 17歳

本作の主人公。文武両道、容姿端麗でありながら口を開けば出てくるのは悪口の数々。『悪口製造機』『悪口を愛し悪口に愛された男』と不名誉なあだ名までつけられる始末。現在五姉妹の家庭教師としてアルバイト中。バイトの給料の殆どを上杉くんに上げているらしい。
※案外優しい
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