あぁぁぁぁぁぁああああ!!ごめんなさい!
お気に入りが300を超えていて本当にビックリしました。こんな駄文だらけの作品を読んでいただきありがとうございます!
Ep.06に天宮 輝の絵を掲載しているので良かったら見てください。それで少しはイメージしやすくなると嬉しいです。(絵が下手とは言わないでくだい)
それではEp.07どうぞ!
(そういやアイツ、オーディションどうなったんだ)
昨日の余韻はすっかり収まり、また同じ日常が戻ってきた。花火大会の喧騒がまるで嘘のように静まり返った開催場所は、朝のランニングをする人やペットの散歩をする人がちらほら伺える。
手に持った牛乳パックを啜り、今日も同じ通学路を歩く。
今日も馬鹿みたいに騒がしい奴らを拝まなければならないことに頭が痛くなりそうだ。
「・・・・・・・・・」
昨日と同じ交差点で赤く光る信号機を眺めていると、後ろから軽く背中を叩かれた。
「おはよ、ヒカルくん」
「あ?んだよ、カマトト野郎か」
「カマトトって・・・・・・・」
こちらも昨日と同じく、振り向くと一花がそこにいた。
笑顔を浮かべているが、若干疲れの色が出ているのが分かった。
「・・・・・・昨日は、ありがとね」
「昨日?ーーーあぁ、あの事か。別に、気にすんな。お前こそ大丈夫かよ、目の下」
「目の下?」
「クマ。化粧で誤魔化せてねぇぞ」
「え!?うそ!?」
「嘘だよバーカ」
「〜〜〜〜〜っ!嘘つかないでよ!」
「けっ」
信号機が青く光り、一人むくれている一花を置いて歩き出す。後ろからの視線が何やら背中に刺さるがとりあえず無視を貫いた。
「ヒカルくんでも人をからかうんだね。お姉さん知らなかったぞ?」
「姉貴ぶんな、殴んぞ」
「はいはい」
クスクス笑う一花を一瞥し、小さくため息をつく。すると、徐ろに一花が口を開いた。
「昨日、あの後みんなに私の仕事のこと打ち明けたんだ」
「んー、なんか言われたのか?」
「ううん、特には。みんなびっくりしてたなー」
「そりゃあな」
「でも、スッキリした!」
「てこたぁ、オーディションは受かったのか?」
「まぁね!」
腰に手を置いてドヤ顔で言ってくる一花に少しイラッときたが、ぐっと堪えてやった。
「ガリ勉野郎に何言われっか楽しみだな、ポンコツ」
「そこなんだよね〜、問題は」
「まあ、背中を押しちまったのは俺だしな。言い訳の一つや二つくらいは考えてやんよ」
「そうだよ!背中を押したのはヒカルくんだよ。これはもう共犯だよね!」
「頼りねぇ共犯者でクソも笑えねぇけどな。留年だけはすんじゃねぇぞ」
「大丈夫!留年しない程度には勉強頑張るから。勉強会してるんでしょ?放課後、また連絡するね。はい」
そう言って携帯を差し出す。
「あ?ぶっ壊してほしいのか?」
「違う、そうじゃない」
メアド交換をと思って差し出したのだが、それはどうやら伝わらなかったようだ。
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学校に着くなり早々二学年のクラスが並ぶ廊下は賑わっていた。
輝は一花と別れ、自分の教室へと入るとやはりいつものヤツらに絡まれた。
「ちょぉぉぉい!天宮!」
「んだよ朝っぱらから」
「一緒に登校してた女子、あれ隣のクラスの一花ちゃんだろ!」
「それがなんだよ」
「いつ知り合ったんだよ!」
田嶋が鬼気迫る勢いで輝に顔を近づける。
「んな事どうだっていいだろ」
「いいや!良くねぇ!一緒に魔法使いを目指すって約束しただろぉ!?」
「してねぇよタコ」
「じゃ、じゃあ兄弟の杯は!?」
「それもしてねぇよ。お前、いつにも増して気持ちわりぃな」
「そこはご愛嬌ってことで」
「てめぇに愛嬌なんざねぇだろ、クソが」
「今日も『クソ』頂きましたー」
ホームルームまでまだ時間がある事を確認すると、携帯が鈴を転がしたような音を発した。メッセージの着信音だ。
画面を開くと、案の定奴からだった。
『やっほー!一花でーす!』
『クソが、何の用だよ』
『ううん!用はないけど送ってみただけ!』
『そうかよ』
『うん!じゃあ、また放課後にね!』
その会話文が送られてから、本当に用がなかったらしくそれ以降送られてくることはなかった。
メアド交換なんてするんじゃなかった、と内心思いながらチャイムが鳴り、教壇に担任が上がり耳を傾けた。
「えー、今日はカリキュラムの変更により、二学年全組対抗のバスケットボール大会をする事になりました」
担任の声にクラスの中で僅かにどよめきが起きる。カリキュラムの変更なんて、入学してから一度もなかった。
「この件は理事長からの提案でして、『いつも勉学に励んでいる生徒達に息抜きを設けてはどうか』という言葉から、私たち教師陣がカリキュラムを変更させてもらいました」
『へぇ!理事長も粋なことをしやがる!』
『ウチは私立校じゃねぇし、勉強第一って訳でもねぇからな』
『二学年全組かー。バスケでいい所を見せれたら彼女できっかな』
『一度鏡を見てから発言して欲しいね』
「この好機を逃す訳にはいかない!今まで『アマゾン』と呼ばれていたこのクラスの汚名返上をかけて、全クラスを踏み台にするいい機会だ!みんな、ケツの穴締めていけよ!」
(((((そっちが本音か)))))
教師らしかぬ言動に一同は顔を引きつらせた。
『てめぇら!五月ちゃんのためにぜってぇ勝つぞおらぁぁぁ!』
『五月ちゃんのためなら俺は、天下に股間を晒そうが恥もなければ怯みもねぇ!』
『パーティーの始まりだ』
『俺の拳が光って唸る時が来たようだなぁ!』
『熱盛でいくぜぇぇぇえ!』
五月コールが沸き起こる教室内は、まさに本能を覚醒させた野蛮人の雄叫びで満ちていた。
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広大な体育館を使用して行われるバスケットボール大会。野蛮の集団、もといクラス『アマゾン』と言うチーム名の輝のクラスは最早圧勝だった。
「死ねぇぇぇぇええええ!!」
田嶋からのパスを受けた輝がダンクを決め、そこで試合終了の笛が鳴った。
50ー0
ワンサイドゲームもいい所である。
「ナイシュー、天宮!」
「けっ、雑魚が」
対戦相手が青ざめてるのを他所に、ギャラリーで観戦している他のクラスの女子から黄色い歓声が上がる。
『天宮くーん!かっこいいー!』
『次も勝ってねー!』
「うっせぇんだよ!黙ってろ!」
『『キャー!こわぁーい!』』
「クソ女どもが・・・・・・・!」
「お前がクソだ、天宮」
「あぁ!?」
田嶋の言葉に小野寺、武田、山田が頷く。
「てめぇらも頷くんじゃねぇ!」
「女心もわからん貴様に負ける俺じゃねぇんだよ!ボンクラめ!」
「殺せるもんなら殺してみろよ!七三坊っちやんよぉ!」
「今は七三じゃねぇだろ!」
「女子からキャッキャウフフされてるお前を、屋上から突き落とすことで頭がいっぱいだ」
「死なすッ!!」
試合が終わったにも関わらず、コート内で鬼ごっこが開始され、生徒指導の教師の拳骨が入り程なく終了した。
『アマゾン』の次の試合までかなり時間があるため、輝は水道で汗で濡れた髪を洗う。
「田嶋ァ、タオル取ってくんね?」
「はい」
「ん、わりぃな」
「気にしなくていいよ、ヒカル」
「・・・・・・あ?」
振り向くとそこには田嶋ではなく三玖がいた。
「なんでお前がいんだよ」
「私のクラスは次だから」
「そうか」
「凄かったね、さっきの試合」
「別にそこまでじゃねぇだろ」
タオルで濡れた髪を拭き、一息ついた。
「一花のこと、ありがとう」
「おう」
「ヒカルって案外優しいんだね」
「急になんだよ、気持ちわりぃな」
壁に寄りかかる輝の隣に移動し、同じように壁に背を預けた。居心地の良さに目を瞑ると、
「あ、天宮!見つけたわよ!」
「次から次へとなんなんだよ、お前ら」
両手でタッパーを持った二乃が走ってきたのか、肩で息をしていた。
「レモンのハチミツ漬け作ったんだけど・・・・・食べる?」
「あ?いいのか?」
「べ、別にあんたのために作ったわけじゃないんだから!」
「じゃあ何のために作ったんだよ」
「う、うっさいわね!さっさと食べなさいよ!」
『はぁ?』と首を傾げながら、一枚のレモンを摘み口に運んだ。
「ど、どう・・・・・・?」
「美味い、ふつーに」
「ほ、ほんと!?よかった〜・・・・・・」
二乃がふと三玖を見ると、頬を膨らましてこちらを睨んでいた。ふふん、とドヤ顔をすれば更に頬を膨らませる。
すると今度は、
「あ!天宮くん!」
「あ!ヒカルくんだ!」
「わー!天宮さーん!」
「輝!こんな所にいたのか!」
ポンコツ三人衆とガリ勉野郎も参戦し、いよいよ三玖の機嫌がさらに悪くなり、二乃の顔が引きつり出す。
「なぁんであんたもいんのよ!上杉!」
「いちゃ悪いのかよ!」
「ヒカルのたらし」
「あぁ!?俺なんもしてねぇだろ!」
三玖が珍しくジト目で睨んでくるが、輝が睨み返すとぷいっとそっぽを向く。
「三玖ちゃーん!そろそろ試合だよー!」
「あ、うん」
クラスメイトの女子が遠くから呼ぶ声に応じ、三玖は走って行った。
「なんなんだ、アイツ」
首を傾げながらまた一枚、レモンを口に運んだ。
結果、輝たちのクラスの圧倒的勝利によりバスケットボール大会は幕を閉じた。五月を胴上げしようとした者達がいたが輝の制裁により、不発に終わったのは想像にかたくない。
「五月、ささっさと行くぞ」
「あ、はい!」
放課後の廊下を五月と輝は並んで歩く。欠伸をしながら目を擦る輝はなんだが子供っぽく見えてしまい、思わず笑いそうになるがなんとか堪えた。言ったら殺される。間違いなく。確かに疲れるのは無理もない。
『死ねぇぇぇえええ!』
と言い、周りをビビらせながら動き回っていたのだから。
「今日もよろしくお願いしますね」
「おう」
「天宮さーん!遅いですよー!」
「いつまで待たせんのよ!」
「てめぇらが早ぇんだよ」
今日もいつものメンバーで朝と同じ道を歩いて帰る。
五月はこの光景がいつまでも続いたらーーーと思ったがそんなことは絶対ない。輝と風太郎は雇われの身。卒業したらこの光景はもう二度と戻ってこない。輝自身は自分たちを生徒としてしか見てないが、少なくとも一花や二乃、三玖はそれ以上の何かを少なからず輝に抱いてる。熱情や愛情ーーーーもしかしたら依存にも似た何かを。五月自身もないと言ったら嘘になる。無意識に彼に何かを抱いてるのは明白だった。だが、その正体がまだ分からない。
「五月、何してやがる!置いてくぞ!」
「は、はい!」
考え込んでしまったのか、前方の集団と相当距離が空いていた。まだ時間はある。じっくり考えるのもいいだろう。モヤモヤは晴れないが、時間が解決してくれることを祈る事にした。
「ほら!ヒカルくん携帯だして」
「なんでだよ」
「みんなとメアド交換しないと!」
半ば強制的に五姉妹と風太郎とメアド交換させられ辟易してしまう。
それからはいつも通り小休憩込みで三時間程度の勉強し、今日の業務も完了した。
流石にバスケットボール大会の疲れがあるのか、今すぐに帰りたいところ。
「よし、俺らは帰るけどちゃんと復習しとけよ?」
「あれ?もう帰っちゃうんですかー?」
「ああ」
「え?今日は二人とも泊まってくんじゃないの?」
「・・・・・・・は?」
「おいカマトト女、何をほざいてやがる」
すると、五月の携帯に着信が入った。
「もしもしーーーー」
「おい、泊まるなんて一言も言ってねぇぞ!次から次へと面倒ごとを増やしやがって!」
「そんなに怒らなくてもいいじゃんー」
「泊まってってくださいよー」
「・・・・・・天宮くん」
「ふざけたこと抜かすのもーーーーーあぁ?」
「電話をあなたに取り次げとのことです」
「ーーーー?」
五月から携帯を受け取った。
「もしもし」
『天宮くん。娘たちが世話になってるね』
「あ?誰だあんた、このポンコツ共の親父か?」
『その通りだよ。初めましてだね』
「そうか。んで、何の用だよ」
『中々顔を出せなくて済まないね。本来ならばきちんと君と顔を合わせて話をしたいところだが、少し立て込んでいてね』
「気にすんなよ。あんたも大変そうだからな」
『そう言ってもらえるとこちらも嬉しいよ。どうだい?家庭教師の方は上手くやっているかい?』
「まぁ、それなりに」
『それはよかった。二週間後に中間試験があると聞いたが、順調そうで何よりだ』
(クソが・・・・・・・!ガッツリ忘れてた・・・・・・!)
『少々酷だが・・・・ここで君たちの成果を見せてもらいたい。二週間後の中間試験、五人のうち一人でも赤点を取ったら君と上杉くんには家庭教師を辞めてもらう』
「はぁ!?お、おい!待てよ!卒業まであと一年半もあんだぞ!?いくら何でもーーーー」
『この程度の条件を達成出来なければ安心して娘たちを任せておけないよ。ここでハードルを設けさせてくれたまえ』
「・・・・・・っ」
『それでは健闘を祈る。いい結果を期待しているよ』
そこで通話が途切れた。
「一花」
「ん?」
「やっぱ泊まってくわ」
「ほんとーー!?」
(健闘を祈るだぁ?上等じゃねぇか・・・・・・・!)
輝は静かに闘志を燃やした。