今回は、ISの実技の授業。
ISの実技授業。
まあ、言葉通りだ。
ISを実際に使い、実技の授業を行うのだが……。
「えーっと…、織斑君の専用機は、今現在、開発元に返却して調整中なのでありません。なので、皆さんと同じ量産機のISを使います。」
っという、ことである。
なので、現在進行形で一夏は丸腰だ。しかし、丸腰だからこそ恐ろしいことはもう周知の知だ。
「あの~、先生。」
「なんですか?」
「織斑君…、なんで水着なんですか?」
そう、今、一夏は、今短パン型の水着一丁だ。
「ISスーツが間に合わなかったのだ。」
千冬がそう言った。
「うむ、やはり、一夏の筋肉は美しいな!」
「自重しようぜ、織斑先生…。」
「はい、そうですね、教官!」
「織斑先生だ。馬鹿者!」
ラウラまで加わり、腕組むしていた一夏が、ヤレヤレとため息を吐いた。
箒とシャルロット、セシリア以外の女子生徒達が息を飲む。
言われて改めて見れば、確かにすごい。
無駄なく鍛えられた筋肉は美しく隆起していて、リミッター解除をして無駄なぐらい膨張させなければ美術品も脱兎で逃げ出しそうなほどの美しさだ。
手足の体毛も薄く、太すぎず、だが細すぎない手足も割れた腹筋も、そんじょそこらの男にはない、つい見惚れてしまいそうなほどの代物だ。
顔立ちだってもとより千冬によく似ているため、イケメンだ。だが、付きすぎた体の筋肉がバランスを悪くしている。
これが細マッチョだったなら、最高だっただろうな…っと、多くの女子達は思っていた。
しかし、一夏は妥協しない男。それは無理な話であった。
そうして実技の授業が始まるが、問題が発生する。それは、一夏がいる班で、ISを立たせたまま解除してしまい、ISが直立状態になってしまったことだ。こうなってしまっては、誰かに運んで貰うしかないのだが…。
「織斑君のISがあればね。」
「こんなもん、こうすりゃいいだろ?」
「えっ?」
一夏の専用機があれば、一夏に運んでもらうことでなんとかなったのだがと口にした女子生徒の言葉に一夏が急に、こうすればいいと言い出した。
すると、一夏は、宙を飛んだ。
いや、跳んだのだ。
空気を蹴って。
「できるかーーーーー!!」
っと、同じ班の女子生徒達が総ツッコミした。
「織斑! お前の班が一番遅れているぞ!」
「おっと、じゃあ、俺がこうやって運んでやるから一人ずつ来いよ。」
「えー…。」
結局、一夏が空気を蹴って跳ぶことで打鉄に一人ずつ乗せることで実技が行われたのだった。
「…どうだった?」
「胸板、硬かったよ…。」
「汗臭くなかった?」
「ううん。全然。むしろ……、なんか良い匂いした。」
「えっ? 嘘…。」
などと抱っこされて運ばれた女子生徒が、ヒソヒソと別の班の女子生徒に話をしていたのだった。そして、その姿を見つけた千冬に授業に集中しろと怒られていた。
そんなこんなで、ISを使った実技の授業は進んだ。
「一夏。窮屈だろうが我慢しろ。」
「分かってますって。」
ISを使った空を飛ぶ実習になる。
セシリアが自身の専用機・ブルー・ティアーズを展開し空へ飛んで見本を見せる。
それに習って一夏も打鉄を展開して、窮屈さを我慢しながら空へと飛ぶ。
「行きすぎだ馬鹿者!」
「うぉっととと!」
無線で怒られ、慌てて降下するが、今度は降下速度が速すぎて一夏は地面に激突した。
「馬鹿者! 地面に激突するな! 空いた穴はお前が埋めろ! 篠ノ之も手助けはするな!」
「へ~い。」
「一夏…。」
地面に空いた大穴から這い出てきた一夏がケロっとした顔でそう返事をし、箒はヒヤヒヤ状態で見ていた。
「それで? やはり窮屈か?」
「うん…。空気を蹴って跳ぶのとまるで違うからな。」
当たり前だろ!
っと、女子生徒達は心の中でツッコんだ。
***
その後、白式が返ってきた。
一夏の肉体に対応できるよう処理速度を上げるよう調整したらしいが、相変わらず刀一本しか使えないらしく、欠陥機であることには変わりないらしい。
「刀に容量が取られてるなら、刀無しにすりゃいいだろ?」
「それができないから困っているのですよ…。」
「俺、刀使わないし。」
「それはそれで困りますよ。」
っと、開発元の企業・倉持技研のスタッフが困った顔で言う。
「実験機とはいえ、なんでこんな代物を俺に?」
「それは…、申し訳ありません。」
「…まあ、世の中に467個しかないコアだ。その貴重な1個を俺みたいなペーペーに貸してくれただけでもとんでもないことだからな。贅沢は言えないな。」
「いえいえ、本当に申し訳ないです。」
「とりあえず、試してみたらどうだ? それを装備してリミッター解除ができるならば、問題はないだろう。」
「ああ。やってみる。」
千冬に促されて、一夏は、白式を展開した。
そして、感じた。
「うん? 確かに窮屈さはだいぶ無くなったな…けど…。」
「どうした?」
「リミッター解除したいが…、ギチギチいってる…。」
「ああ! やめてください! このままじゃ内部崩壊を起こしてしまいます!」
「まったく問題が解決していないじゃないか!」
「そうは言われましても…。」
千冬にガーッと怒られ、スタッフは萎縮した。
結局、問題は解決せず、一夏が倉持技研に直接いくことで、肉体のデータを取って、それで調整しようということになった。
***
後日行われることになった実技の授業は、二組との合同だった。
一夏は、前日と変わらず水着一丁。二組の女子生徒達からの視線がメッチャ集まる。
幼なじみで、初恋を清算し友人となった鈴はメッチャ自慢していた。
「どいてくださ~~~い!」
そこにIS・打鉄と同様の量産機のIS・ラファールを身につけた山田が飛んできた。暴走してしまっているようだ。
一斉に逃げる生徒達。だが一夏は逃げず、相撲取りみたいに構えて、突進してきた山田を受け止めた。もちろんISを使わず、生身で。
「だいじょうぶですか?」
「あ、ありがとう。織斑君。」
「気をつけてくださいよ。貴女は仮にも生徒の見本となる教師なのですから。」
「は、はいぃ…。」
一夏からの言葉に、山田は落ち込んだ。
そして、千冬が山田が元代表候補生だから、試しに戦ってみろと、セシリアと鈴を指名した。
さすがに現役の代表候補生を二人相手には、分が悪いのでは?っと誰もが思ったが、、すぐにその考えは覆された。
さすが世界のIS学園。教師のISの実技力の極めて高い。
もとよりクラスも違い、かつ所属国も違う専用機持ち同士。連携が取れるはずがなく、それを利用されて相打ちを狙われ、山田一人に二人は負けた。
戦いを見ていた女子生徒達が、ぼう然とする中、一夏はウズウズしていた。
「一夏…、悪いことは言わない。やめろ。」
察した箒が思わず止めた。
「山田先生!」
「は、はひぃ!?」
「ぜひ、俺と戦ってくれ!」
「えっ!? それは、ちょっ…。」
箒の制止を振り切り、山田に戦ってくれと鼻息荒く言う一夏に、山田は青ざめてオロオロとした。
ラファールの性能が良いとはいえ、セシリアを生身で倒し、クラス対抗戦で現れた謎のISの無人機を一撃で破壊した一夏だ。いくら技量が高くても勝てるビジョンが見えない。
山田は、千冬に助けを求めて視線を向けた。
「うまく飛べるようなったら許可せんことはない。」
「! くっそー!」
ISで空を飛べることが条件だと言われ、一夏は悔しがった。
とりあえず一夏と戦わずにすみ、山田は安堵したのだった。
ポイント。許可はせんことはない。するとは言っていない。
空気蹴って跳ぶのは、滞空時間がないので一夏は空中戦は不得意かも。
けど、順応性は高いから……。うん。