IS? そんなことより筋肉だ!   作:蜜柑ブタ

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サブタイトル通り。

触りたがりだから、実は…って単純な理由。


SS18 ラウラの失恋

 

 ラウラは、目を覚ました。

「ここは…。」

「目が覚めたか?」

「きょうか…。」

「織斑先生だ。」

「…織斑先生。私は…、っ!」

「無理に動くな。体に相当な負担がかかっている。打撲と筋肉疲労…。二、三日は安静にしてろ。」

「はい…。あっ。」

 ラウラは、離れた位置にある隣のベットに、一夏が寝ているのに気づいた。ここは、保健室だった。

「なぜ彼が?」

「ああ…。日頃の寝不足と疲労が溜まっていたらしくてな。あの後、眠ってしまって、今休ませてる。」

「なにが…あったんですか?」

「……本来は機密だが…。」

 それから千冬は、大きな声で言えないことをラウラに説明した。

 シュヴァルツェア・レーゲンに、条約で禁止されている技術であるVTシステムが積まれていたらしく、それが発動してラウラが支配され、暴走したが、それを一夏が止めたのだと。

「そうですか…。」

「このことでドイツは責任を追及されるだろう。シュヴァルツェア・レーゲンも、最悪凍結されるかもしれん。」

「…仕方ありません。」

 ラウラは、ふうっと息を吐いた。

「そうなれば、私は除隊でしょうか?」

「そうはならんだろう。お前は何も知らなかったのだ。」

「ですが…。」

「お前じゃなく、VTシステムの研究者と研究所の首が飛ぶだろうがな。」

 それを指揮していたであろう、ドイツ国家機関も逃れられんだろうなと、千冬は腕組みして言った。

 

「う~ん…、箒~、めし~。」

 

「一夏。何を寝ぼけている?」

「う? 千冬姉?」

 一夏が起き上がり、ぼんやり顔で周りを見回した。

 一夏は、ラウラが自分を見ているのに気づいた。

「おう。ボーデヴィッヒ。だいじょうぶか?」

「ああ…。体が痛むが問題ない。」

「ラウラのことを心配するのはいいが。一夏、お前もいい加減自分の身を省みろ。」

「えっ?」

「疲れが溜まっているだろう? あの後、すぐに寝たのを忘れたのか?」

「あ…う…。」

「己を鍛えるのはいいが、加減を知れ。体を壊してしまっては意味がない。」

「ごめん…。」

 一夏は、シュンッと落ち込んだ。

「織斑一夏…。ありがとう…。私を助けてくれて。」

「ん? ああ。」

「これからは、ラウラと呼んでくれないか?」

「分かった。俺のことも、一夏って呼んでくれていい。」

「いいのか?」

「織斑先生と被るだろ?」

「分かった…。」

 ラウラは、嬉しそうに微笑んだ。

「一夏ーーー!」

 そこへバーンッと保健室の扉が開かれて、箒が入って来た。

 すかさず千冬が出席簿でスパーンと箒を叩いた。

「他に休んでいる生徒がいたら、どうする気だったんだ?」

「す、すみません。」

「おう、箒。」

「一夏! だいじょうぶか!?」

「ああ。ぐっすり寝たら治った。」

「胸の傷は!?」

「これくらいかすり傷だって。」

「バイ菌が入ったら大変だぞ!」

「安心しろ。ちゃんと消毒して治療した。それに切られたと言っても、ほんの皮膚の表面だ。血も出ていない。」

 心配する箒に、千冬が言った。

 千冬の言葉を聞き、そして、一夏の胸の傷の具合を見て、箒はホッとした。

 ラウラは、ジーッと箒を見ていた。

「ラウラ。」

 千冬が言った。

 ラウラは、ハッとして千冬を見た。千冬は首を横に振る。

 ラウラは、再度箒を見た。箒は泣きそうな顔で一夏と会話している。一夏はそんな箒を慰め、そして豪快に笑った。実に仲が良さそうだ。羨ましくなるほどに…。

 気がつくとラウラの目に涙が浮かんでいた。

「ラウラ…。お前にもいつか春が来るだろう。」

「はい…。」

「あ、そうだラウラ。」

「な、なんだ?」

 一夏から急に話を振られてラウラは戸惑った。

「お触りの件だが…、まあ別にいいぜ。触るぐらいなら。」

「ほ…本当か!? ぐぉ!」

 それを聞いて目を見開き飛び起きたラウラは、全身の痛みに呻いた。

「ただし触るだけだぞ。それ以上はダメだからな?」

「う…。」

 言われてラウラは、ドキッとした。少しでも一夏とお近づきなれればなんて…少しだけ夢見なかったと言ったら嘘になるのだから。

 だが一夏にはすでに箒という存在がいる。自分が入り込む余地はないのだ。そう思い知った。

 一夏は、そんなラウラを見て、苦笑する。

 ラウラは、自分の気持ちを見透かされてしまったと思い、顔を赤くした。

 箒は二人の様子を見て首を傾げていた。

 

 そして、二、三日後、体の痛みが取れたラウラは、復帰する。

 それと、ラウラの専用機、シュヴァルツェア・レーゲンのことだが、コアは無事だったため、IS学園にある部品で補強して再び使うことが許された。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 学年別タッグトーナメント戦は、事故(※ドイツの条約違反によるもの)により中止。

 だが今後の個別の能力値を計るため、一回戦だけはやるということになった。

「私は、結局何も出来なかった…。」

「ん?」

「お前と戦い、私が守られてばかりの女でないことを示したかったのだが、結局はボーデヴィッヒの足を引っ張っただけだった。」

「今回はタッグなんだから、仕方ねぇよ。」

「しかし、あの一撃は本当に凄まじいな。」

「ピストル拳のことか?」

「まともに受けなかったとはいえ、シールドエネルギーの半分以上は削られた。生身で受けたら確実に死ぬぞ。アレは。」

「だろうな。」

「まさか…実際に人間を粉砕したとか…?」

「してない。まだやってねぇよ。」

「やるな!」

「車ぐらいは粉砕はしたけどな。追っかけられたから。」

「そうか…。って、まさか命を?」

「分からねぇ。ただ良くない気配を感じたんでな、誘い込んでぶっ壊してやった。」

「そ、その後は!?」

「別に咎められたりはしなかったぜ。たぶん、女性権利団体か、IS関連の過激派だったかもな。」

「無事で、よかった…。」

「殺されてたまるかよ。でも…、ま、ここ(IS学園)も安全地帯とは言えないかも知れねぇけど。」

「どういうことだ?」

「ほら。」

 一夏が顎をしゃくって示す。

 箒がそちらを見ると、数名の女子生徒と教員が慌てて逃げていったのが見えた。

「過激派ってのは、どこにでもいるもんだろうな。」

「!?」

「落ち着け、箒。」

「しかし!」

「ああいうのは、向こうから手を出してきたら反撃すればいい。こっちが手を出したら思うつぼだ。」

「…分かった。」

「よしよし。」

 俯き拳を握る箒の頭を、よしよしっと一夏が撫でた。

 

「一夏ーーーー!」

 

 すごい速度で走ってきたラウラが、一夏に後ろから抱きついた。

 そしてグリグリとほっぺたを一夏の背中に擦りつける。

「ああ…、素晴らしい背筋だ…。」

「こら、ボーデヴィッヒ! 一夏が許したからって、図々しいぞ!」

「触るだけだ。それ以上はせん。」

「む、ぐぐ!」

 そう言われたらそれ以上言えなくなる箒。

「箒。」

「い、一夏。」

「俺は、お前のモノだ。」

「!」

 背中にラウラをくっつけた状態で真顔でハッキリと、一夏がそう言った瞬間、箒は目を見開いてダーッと泣いた。

「泣くことないだろ?」

「だ、だってぇ…。」

 えっぐえぐと、子供のように泣く箒の頭を、一夏はよしよしと撫でたのだった。

 

 




でも結局は、一夏と箒の当て馬?
箒、第一、一夏さんです。
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