IS? そんなことより筋肉だ!   作:蜜柑ブタ

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ウォーターワールド編。


ほとんどオリジナル展開かも。


そして、最後に……。


SS26  いざ! 障害物レース!

 

 

 箒は、ドキドキしていた。

 隣には、一夏。今、ウォーターワールドへの道中だ。

 箒は、自分の胸を押さえ、とにかく落ち着け!っと自分に言い聞かせていた。

 臨海学校と違い、ここには千冬という監視役がいない。自分を関している、政府の息がかかった監視役が一般人に混じってはいるが…、彼らはあくまで箒に危機が及んだり、逃げたりしたときのための存在でしかない。つまり箒が一夏とナニをしようと手を出しては来ない。

 鈴のサプライズで思わぬ遠出となったが、許可が下り、一夏とこうしてデートできるわけで。箒は、臨海学校で約束したデート以上の緊張感を感じていた。

 臨海学校の自由行動の時は、千冬の眼光があったため、何も進展はなかったが……、今千冬は今ここにはいない!

 

『箒…。』

『一夏…。』

 

 って、感じで……、ファーストキスを捧げるぞぉおおおおおおおお!!

 

 学校卒業までは清いお付き合いをしろと命令されてたものの、箒だって飢えていたのだ。

 いや、今の環境に不満があるわけじゃないが、箒とてお盛んな年頃の女子。好きな相手と進展したい気持ちは大いにある。なので、ちょっとでもいいからコレをきっかけに進展したいところなのだ。

「…箒? 箒。」

「ハッ! な、なんだ?」

「さっきから話しかけてたぞ。どうした?」

「あ、いや…別に。ごめん、ボーッとしてた。」

「そうか。喫茶店があるみたいだし、軽く食ってから泳ぐか?」

「そ、そうだな。」

 ウォーターワールドに入っている喫茶店で、軽食を摂ることにし、二人は入店した。

 席に通され、着席し、メニューを広げると、そこには水をイメージしたドリンクや、南の島国を連想させるメニューがあった。まあいわゆるハワイアンっぽいアレ。

 頼んだオリジナルドリンクも、水色だったり、縁にフルーツ刺さってたり、南国フルーツ色だったりした。

 頼んだご飯モノは、無難にロコモコと、グリルフィッシュサンド……だったのだが、グリルフィッシュサンドが見た目ハンバーガー。

「バンズに焼き魚が挟まってるからじゃね?」

「ハンバーガーの定義とは…。」

 味は、美味しかった。ロコモコは野菜たっぷりで、肉汁がジューシーで卵も半熟。グリルフィッシュサンドは、食べてみたらサバだったりして、それトルコ名物サバサンドじゃね?ってなって、二人で笑った。

 

 

 そして、いざウォーターワールド。

 更衣室に行く途中、こんな放送が聞こえた。

『本日のメインイベント、水上ペア障害物レースは、午後一時より開始いたします! 参加希望の方は、十二時までにフロントへお届けください! 優勝者には、優勝賞品として、なんと! 沖縄五泊六日の旅をペアでご招待!』

「…聞いたか?」

「ああ。」

「行くぞ!」

「ああ!」

 踵を返した二人は、フロントの受付に駆け込んだ。

 受付からの、空気読めよ…っという空気のせいで他の男性参加希望者はスゴスゴと去って行くのを見て、一夏にも空気読めよ?っという視線が来たが、一夏は、その場でシャツを脱ぎ、筋肉を膨張させて見せた。

「どうよ? これでも見世物にならないか?」

「……こ、こちらに記入を…。」

 一瞬固まった受付だったが、すぐに我に返って記入用紙を出したのだった。

 こうして、参加チームの中で、唯一、男女のペアとなったのだった。

 

 しかし、一夏達は気づいていなかった。

 フロントの柱の影に、人の形っぽい影のような揺らいでいるモノが一夏達を見ていた。やがて、その影は消えた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 一夏以外の参加者は女だ。別にこれは女尊男卑の風潮のせいではない。単純に水のイベントには、女性参加者の方が受けが良いからだからだ。

 実際、先に入場した女性ペア達に、主に男性達の歓声と拍手が多かった。そして、一夏が箒と共に入ると、びっくりしたような声が上がり、一夏が調子に乗って筋肉を膨張させてポージングを取ってみせると、ギャーっとかキャーっとかいう悲鳴に近い声が上がっていた。

「なんか、入学したての頃を思い出すな。」

 あの時も、こんな悲鳴を浴びた記憶がある。

「一夏のこの肉体美を理解せんとは、軟弱モノ共め!」

「いや、そういうことじゃないと思うぞ。」

 箒が憤慨しているので、一夏がそうビシッとツッコミを入れた。

『さあ! 第一回ウォーターワールド水上ペア障害物レース、開催です!』

 っという、司会のマイクの声と共に、司会のお姉さんが素晴らしいスタイルを強調したビキニ姿で大きくジャンプし、その豊満なバストを揺らしたせいか大歓声が上がった(主に男性から)。

『さあ、皆さん! 参加者の皆様に、今一度大きな拍手を!』

 そのマイクの声と共に再度拍手と歓声が巻き上がる。

 参加者達は、手を振ったり、お辞儀をしたりしていた。

 そんな中、入念に一夏は、箒と共に準備体操していた。

『ありがとうございます! では、参観者の皆さん! 優勝ペアには、優勝賞品として、南国沖縄旅行五泊六日の旅が贈られます! 皆さん、頑張ってください! 特にそちらの男女のお二人方! 期待してますよ!』

「おおよ! 彼女のコイツと一緒に行くぜ!」

『おおっとぉ! なんとカップルでした! これは、ぜひ頑張って欲しいですね!』

「優勝は俺達のもんだ! なあ?」

「もちろんだ!」

 気合いを入れる一夏に同意を求められ、箒は力強く頷いた。

『では! ルール説明です!』

 

 50×50メートルの巨大プールの中心に設置された島に渡り、そしてそこにあるフラッグを取ったペアが優勝だということ。

 コースは、円を描くように中央の島に続いていて、その途中に設置された障害物は、基本的にペアでなければ越えられないようなっていること。

 そのためペアの協力は必須であり、二人の相性と友情が試されること。

 

 しかしこれが中々厄介そうだ。

 なぜなら島が空に浮いているのである。ワイヤーで宙づりになっているので問題はないし、下はプールだ。落ちたと問題はない。だが落ちたらコースのスタートから始めなければならないので、落ちないようにする必要性がある。

 そして、このイベント参加者……にも注意が必要だ。

 なぜなら、先行逃げ切りを目指す真面目組と、妨害上等のお遊び組と完全に分かれているのだ。それは、雰囲気で分かった。

「箒…。」

「…うむ。分かった。」

 一夏が箒にヒソヒソと話し、箒は頷いた。

 そして、レース開始の合図と共に、競技用のピストルが鳴った。

 次の瞬間、一夏と箒の足を狙って妨害上等組が足払いをかけてきた。

 それを瞬時に跳んで避け。

「お先に!」

 二人は、特に箒はべーっと舌を出して足払いを狙ってきた者達を挑発した。

 ただでさえリア充オーラ出しまくりの二人である。それだけでも悪目立ちし、他の女ペア達には忌々しいと思われているのだろう。雰囲気で彼女らの怒りを感じた。

「ほいよっと。」

 妨害してこようとする者達を片っ端からプールに落とし、その容赦のなさから開場からブーイングと歓声が上がる。

 だが真面目組の一部が妨害上等組と組んでいるらしく、すぐにプールから上がってきて妨害をしてこようとする。

 しかし、それを繰り返していると体力的に圧倒的に差があるため、やがて妨害組の動きが悪くなっていく。

 妨害組の動きが鈍くなると、一夏は、箒と共に、浮いている小島へと向かう。

 小さな島であるため、体格のある一夏では飛び移るのが難しそうだが、一夏は箒を抱えると、小島の上をまったくそんな気配などさせずにターザンもびっくりの動きで飛び移って行く。

 一夏の体格からは想像も出来ない小回りとスピードに、ブーイングが歓声へと変わる。

『こ、これはすごい! あのカップルさんは、高校生ということですが、何か特別な練習でもしているのでしょうか!? ああっと! 彼氏さん、彼女さんを抱っこしたまま第二の障害へ! これは、もはや持ち運び競争!? ルール的にはいいのでしょうか!? えっ…、ああ、いいみたいです! しかし、最後の島まで体力が続くのかーー!?』

「問題ねぇよ!! これぐらい!」

 司会の声に、一夏がそう叫ぶ。

 様々な障害物をほぼ力業で突っ切っていく。

 そんなこんなで、第三、第四の島をクリアしていくと…、先行していたペアが突然振り返って、一夏と箒に向かってきた。

 一夏の体格に負けないマッチョ・ウーマンという単語が似合いそうな、立派な筋肉の二人組である。

『ああーっと、ここで、トップの木崎・岸本ペア! ここで得意の格闘技に持ち込むようです!』

「きざき…、きしもと? まさか…。」

「そのまさかだ!」

 二人が構える。それはレスリングと柔道の構えだった。

『ご存じの通り! 二人は先のオリンピックでレスリング金メダル、柔道銀メダルの武闘派です! 仲が良いというのか聞いていましたが、競技が違えど、息はぴったりですね!』

「やっぱりか!」

「どうする、一夏!?」

「俺がやる! 箒は下がっ…。」

 

 その時だった。

 

 

 屋内プールであるウォーターワールドの天井付近に、バチンッと黒い稲妻が走り、そこから、バレーボールサイズの赤黒い球体がプールに落ちた。

 

 

「えっ…?」

 その異変に開場がシンッとなった時。

 下のプールの水がウネウネと不自然に蠢きだし、ついに一本の太い触手となって天井に向かって伸び、一夏達の方へ振り下ろされてきた。

「なっ!?」

「箒!」

 一夏が箒を抱えて跳び、直後、一夏達がいた場所に水の触手が振り下ろされてコースを破壊した。木崎ペアも後ろへ跳んで逃げていて攻撃を免れていたが、コースが破壊されたことで、一夏と箒も、木崎ペアもプールに落下した。

 一夏は、水の中で箒を抱え水面に一緒に顔を出した。

「プハッ! な、なにが…?」

 箒が必死に息をして、周りを見回す、すると、先ほどコースを破壊した一本の太い水の触手がウネウネと動き、一夏達の方を向くように動く。

「! マズい、逃げるぞ!」

 一夏は、アレが自分達を狙っていると気づいて箒を抱えたままプールの端まで急いで泳ごうとした。木崎ペアも急いで別方向のプールの端を目指し泳いでいた。

 その間に、触手はシュルシュルと水面へ消え、途端、まるで海のようにプールの表面が波打ちだした。

 プールの端に手を掛けかけた一夏と箒が波によって再びプールへ戻された。

「箒!」

「うあ! 一夏!」

 一夏が波に攫われかけながら、箒をプールの端の陸に放り投げた。そして、投げた後、一夏は波に飲まれた。

 一夏は、必死に口を押さえて空気を漏らさないようにしながら、水の中で目を開いた。

 そして、メチャクチャに動く水の中に、バレーボールサイズの赤黒い球体のようなモノを見つけた。

 それは、まるで血管のようなものが浮いており、かなりグロテスクな見た目だった。

 ソレが、まるで一夏と目が合ったかのようにニヤリッと笑った気がした……。

 




イメージとしては、ゼルダの伝説・時のオカリナだっけ? で、出てきた水のボスですね。
水を触媒にしている、核が弱点です。それを潰さない限り倒せません。


原作だと好調だった鈴とセシリアが、途中で木崎ペアに負けそうになったので、鈴がセシリアを使ってフラッグを取り、セシリアがキレますけど、一夏と箒のペアならどうするか考えて……、銀の福音を乗っ取ったアイツが別の形で襲撃してきたということにしました。


次回は、vs異次元の敵。
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