お好み焼きの作り方にはご家庭やお店で色々とあるでしょうが、正解はないと思う。
休日。
予定通りお好み焼き&たこ焼きパーティー開催となった。
「小麦粉、キャベツ、卵、豚肉…、お好み焼きってシンプルなんだね。」
「シンプルイズベストってやつさ。」
「まずは、関西風からだな。」
「なになに風って、色々とあるのか?」
「地方によってはな。まあ、大きく分けて混ぜて焼くタイプと、広島風って言われてる挟み焼きタイプとかが有名どころかな?」
「色々と作るから、小さく作って切り分けて食べよう。」
「この赤いのはなんですの?」
「紅ショウガだ。」
「しょうが…ジンジャーがなぜこんなに真っ赤なのです?」
「色付けてるからだな。」
「こっちのカスみたいなものはなんだ?」
「天かすだ。天ぷらの衣だけを揚げたものって思ってくれていい。」
「このひげの生えたような…ものは?」
「山芋だ。」
「こういうの入れると美味しくなるのよね~。」
卵と水で溶いた生地に粗みじん切りにしたキャベツと天かす、とろろにした山芋、みじん切りにした紅ショウガを少々入れて混ぜる。
それを、熱したホットプレートの鉄板の上で先に焼いた薄切りの豚バラ肉の上に広げ、丸く平たく焼く。
焼き上がったら、ソースとお好みで青のり、鰹節、マヨネーズをかけて頂く。
小さめに作った関西風お好み焼きをヘラで切り分け、みんなの分の皿に載せて渡す。
「あ、美味しい。キャベツが甘くて…、ふっくら、トロッとしてて、このソースが甘っ辛くていいね。」
「マヨネーズが合いますわ!」
「かけ過ぎよ。」
「豚肉のコクがちょうど良い。」
「んじゃ、次、広島風。」
ホットプレートの鉄板の上におたまで薄く広げた小麦粉の生地の上に、キャベツの千切りを…うわっ!っというほど乗せる。
「乗せすぎではないか?」
「これが広島風の特徴なんだよ。焼くと熱でキャベツがしんなりするから。」
その上にさらにモヤシ、豚肉、イカ天…。さらに小麦粉を溶いた生地も少々かける。
「広島風はここから難しい…。」
「どうしてですの?」
「ひっくり返すのがな。」
「なるほど。」
隣に焼きそばを焼く。
そこに一夏がヘラを二つ手にして、ふ~っと息を吐き、キャベツ盛りだくさんの方の下にヘラを突っ込む。
そして、タイミングを見計らってひっくり返しつつ、焼いた焼きそばの上にキャベツ盛りだくさんの方を乗せた。
「上手くいった!」
「わあ、上手上手!」
「あとは、卵を焼いて…。」
熱が通ってすっかり半分ぐらい高さが縮んだキャベツ盛りだくさんお好み焼きを最後に半熟に焼けた卵の上に乗せ、ソースを塗る。
そしてできあがり。切り分けてみんなで食べる。
「うわっ! こっちの方がキャベツの主張が強いって言うか、同じお好み焼きなのに全然違う。」
「見た目のボリュームの割に、キャベツとモヤシのおかげでさっぱりいけるな。」
「どっちが美味かった?」
「う~ん。これは、個人の好みじゃないかな?」
「技術が必要なのは、広島風で。簡単なのが関西風でしょうか。」
「たこ焼き器が温まったぞ。」
「じゃ、たこ焼きも始めるか。具は用意してるよな?」
各自持ち寄った具材がテーブルに置かれた。
「セシリア…。」
「なんですの?」
「なぜにそれなのかな~?」
鈴がヒクヒクと口元をひくつかせながら指差す。
「お好み焼きといいますから、お好みの具を使うのかと思って…。」
「だからって、なんでお菓子なのよ!?」
クッキー、ビスケット、チョコレート、飴……、色とりどりのお菓子がある。
鈴は無難にシーフード。シャルロットとラウラは、共同で購入したのか様々な種類のソーセージ類だった。
「いいじゃねぇか、たこ焼きに使おうぜ。」
「一夏!?」
「当たりを引いたらラッキーだ。」
「いやアンラッキーでしょ!」
「ホットケーキミックス生地なら、チョコレートも合うんじゃないか?」
「それは甘いのであって、普通のたこ焼き生地じゃ…。」
「よーし始めるぞ~。」
「ちょっと~~!」
鈴の訴え空しく、たこ焼きパーティー開催。
小麦粉をだし汁で溶き、卵も入れる。醤油と塩少々。
温まったガス火のたこ焼き器の穴にあふれるほどその液を流し込む。入れすぎのように見えるが丸めるときにこれじゃないといけない。
「具材はそれぞれ用意したの入れていけ。」
「ソーセージの美味しそう。」
「チーズを入れても美味いぞ。」
「それいいね! 入れよう入れよう!」
「エビも美味しそうですわね。」
「ちょっと、一夏! 飴を入れないで!」
「ロシアンルーレットたこ焼きなんだからいいだろ?」
そして串を全員に渡し、焼けてきたところからひっくり返していく。
「こう?」
「そうだ。上手いぞ。」
「ふん、ほっ。」
「おお、ラウラ、達人だな。」
一夏が褒めるとラウラは、自信満々そうに笑顔になり鼻を鳴らした。
焼けたのからボールに入れていき、全部が入ると……。
一夏はその上に皿にボールを被せて蓋をした。そしてそれを両手で持ち、シェイクする。
そして、ボールを外し、大皿にたこ焼きを乗せた。
「んじゃ、ロシアンルーレットたこ焼き始めるか。」
「普通に食べさせてよー!」
鈴の絶叫空しく一夏は、ソースをたこ焼きの表面に塗った。
全員が箸、あるいはスプーンを手に息をのんだ。なぜスプーンなのか? 理由は、真ん中を指した感触でなにが入ってるか分からないようにするためだ。
「よし、ジャンケンだ!」
一夏の一言で食べる順番を決めることに。
そして決まった順番。
一夏、セシリア、シャルロット、鈴、箒、ラウラとなった。
「んじゃ、いただきます。」
一夏が手を合せてから、たこ焼きのひとつを箸で摘まんで迷いもなく口に入れた。
注目が集まる中…。
「エビだ。美味い。」
「オーソドックスね。」
「では…次はわたくしですわね…。怖いですわ…。」
セシリアは、スプーンでたこ焼きのひとつを掬い、恐る恐る口に運んだ。
「ん…? これは、プリプリっと…歯ごたえが…。もしかして、これはたこ?」
「普通ね。」
「たこって美味しいのですね! 噛めば噛むほど味が出ますわ。」
「次は僕だね…。うーん。これ!」
シャルロットは、もう迷っていてもしかたないと、すぐに口に入れた。
「ん…。なにこれ、食感は良いけど、なんか味が…。」
「たぶんコンニャクだな。ローカロリーだし、いいと思って入れたんだが。」
「煮物で食べたことあるよ。食感のおかげで悪くないね。」
「次は私ね…。あ~、怖っ。」
鈴は、ため息を吐きつつ箸で摘まんで、クンクンと匂いを嗅ぐ。だが匂うのはソースの強い匂いばかりで中身は分からない。
鈴は、ふ~っと息を吸って吐き、意を決して食べた。
「……んん!? なにコレ…!」
「味は?」
「鉄の味が…。」
「ああ、ブラッドソーセージか。」
「ぶら…。」
「血のソーセージって奴か。そんなのも入れてたのか。」
「うぅ~!」
「無理するな、ほら、ティッシュ。」
涙目の鈴は口を押さえ、けれど、必死に噛んで飲み込んだ。
「こんなハズレがあったなんて…、飴を警戒しすぎてたわ…。」
「好みは分かれるが伝統あるソーセージだ。」
「それは分かるけど…。」
残るは、ラウラと箒。
「ねえ、いっそのこと、せーので食べたら? その方が面白くない? これだけあるんだし。」
「うむ。」
「そうだな。じゃあ…、せーの。」
ラウラと箒がスプーンと箸でたこ焼きを口に運んだ。
そして、モグモグっと咀嚼する。
「…………………どう?」
「………………チーズ入りソーセージ?」
「箒は?」
「……………何もない。」
「あ、それ天かすか。」
「天かすってアリ!?」
「結局、誰も飴は取らなかったね。」
「ならいっそここからは全員で、せーので食べていこうぜ。それなら恨みっこ無しだろ?」
一夏の提案でそうなった。
そして、せーので食べる。せーので食べる。せーので……。
ガリッ
三回目でなんか音が鳴った。
音がした方を見ると、ラウラだった。ラウラは、しかめっ面でガリゴリっと、飴入りたこ焼きを噛んでいた。
「あ、味は?」
「いや、味とかじゃないでしょ…。」
心配を余所にラウラはリアクションもなく、飲み込んだ。
「吐いても良かったんだよ?」
「いや、食べ物を無駄にしてはいけないと軍で…。」
「たこ焼きもなくなったことだし、デザートいくか。」
「暢気ね~。」
しかし、鈴はハッとした。
「ねえ、一夏。あんた、鼻がきくんだったわよね?」
「ん? ああ。」
「もしかして…どれが飴か分かってたとか?」
「……。」
「黙るな!」
一夏が目をそらしたことで、不正発覚。この後、こってり怒られたのだった。
そんなこんなで、お好み焼き&たこ焼きパーティーは、楽しく終わったのだった。
一夏、不正発覚。咄嗟に嘘もつけない。
もっとカオスにすればよかったかな? しかし私の技量ではこの程度……。
お好み焼きは家で作るときはいつも関西風。それでいて魚肉ソーセージを使ったり(漫画で見て参考にした)。