IS? そんなことより筋肉だ!   作:蜜柑ブタ

39 / 53
学園祭編。


数馬も登場。弾同様に、一夏の同志です。


SS38  IS学園祭 その1

 

 学園祭とはいえ、IS学園は特殊だ。それゆえに一般公開はしてはいない。なので来る客は上級生から下級生。そして教員、そして各国の国家関係者やIS関係のスポンサーなどの人々だ。あと、招待状のチケットを送ってもらった身内ぐらいだろう。

 一年一組。つまり一夏のクラスは、アジア風喫茶店と看板を出し、厨房で豆からひく美味しそうなバター焙煎のコーヒー豆もどきの匂いに釣られて客が殺到。

 また同じクラスメイトが案を出してたアジアっぽい手作りお菓子として、パイナップルケーキや、バナナココナッツ団子、コーヒー味羊羹など、一風変わったお菓子も好評で、ベトナムコーヒーと共に提供してお客さんに喜んでもらっていた。

 しかし忙しさ故に厨房は右往左往だ。

 また、このままじゃ自分達の分がなくなる!っと嘆くクラスメイトもいたりする。

「はいよ! ベトナムコーヒー五丁完成!」

 そんな中、一夏は汗ひとつかかず自分が出した案であるベトナムコーヒーを次から次に作って、コーヒーと食べるお菓子も綺麗に並べる。

「おい、一夏。」

「なんだ?」

 すると表でアジアン風なデザインのメイド服で料理提供をしていた箒が一夏を呼んだ。

「…クレームだ。」

「えっ? 不味かったか?」

「とにかく行ってくれるか?」

「分かった。あとのこと頼む。」

「いってらっしゃい。」

 他の厨房担当者達にあとのことを頼み、一夏はエプロン姿のまま表に出た。

 呼ばれた先に行くと、そこには、チャイナドレス姿の鈴が椅子に座っていた。

「おお、鈴。似合うじゃねぇか。」

「見せに来たわけじゃないの。」

「あっ、クレームってお前か。不味かった?」

「そうじゃなくて…、むしろ美味しすぎるぐらいよ。ってか、二組の真似したでしょ?」

「はっ?」

「私のクラスはね、中華喫茶やってんの! なのにアジア喫茶ってなによ! おかげで全然こっちに客が来ないのよ!」

「なんか売りになる料理でも出してるのか?」

「一応…、烏龍茶と、飲茶…。」

 しかしマジの烏龍茶はメッチャ高いので市販の烏龍茶だし、飲茶にいたっては、冷凍を温めただけだ。

「手作りのゴマ団子でも出しゃいいのに。」

「油が危ないからって、禁止されたのよ! 案は出したけど、実際作ったら爆発しちゃって…。」

「温度管理難しいからな。」

「むーーー! 悔しい!」

「悔しくて文句言いたかっただけか。」

「そうよ! …悪かったわね、忙しいのに。」

「いや、偶然とはいえ被って悪かったな。」

「真似じゃないならいいわ。じゃ、美味しかったわ。終わり頃また来るからお菓子取っといて。」

「はいよ。」

 鈴は、スクッと立ち上がり手拭き用に出されたナプキンで口元を拭いて出て行った。

 一夏はその後ろ姿を見送った後、厨房に帰った。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 一段落ついて、箒が休憩していると、同じく一段落ついた一夏がやってきた。

「箒。」

「一夏も休憩か?」

「弾達が来るってさ。」

「ん? ああ、あの時会った、一夏の同級生か。」

「招待状のチケット送っておいたんだ。数馬って奴も来ることになってんだ。」

 それを聞いた箒は、ハッとする。

 それすなわち、二人の友人に彼女である箒を紹介するということだ。

「一夏、一夏! この格好じゃ…。」

「可愛いじゃねぇかよ。」

 顔を赤らめて慌てる箒に、一夏がニヤニヤ笑いながら言う。

 アワアワする箒。

 そして…。

 廊下からキャーキャーいう女子生徒達の声が聞こえた。

「よお、一夏!」

「弾!」

「ひっさしぶりー!」

「数馬!」

 五反田弾と、御手洗数馬(みたらいかずま)が、女子生徒達をかき分けて教室に入って来た。

 一夏ほどではないが、いかにも運動部系な体格の良い二人組の男子の登場に、男っ気がないIS学園の女子生徒達は大騒ぎだ。

「箒さん、夏祭りぶりっすね。」

「おっ! 弾から聞いてた一夏の彼女か!?」

「紹介する。箒だ。」

 一夏が座ったままの箒の肩に手を置いて、ニヤ~っと笑った。

「ちきしょう! メッチャんこ可愛いじゃねぇか!! 死ね、リア充!」

「おおっと。甘いぜ。」

 一夏に殴りかかる数馬を、一夏が軽く応戦した。

「ハーハハハハ! 筋肉の鍛え方が甘いな、数馬!」

「仕方ねぇだろ! お前がいなくってから、ご教授できる相手がいないんだよぉ!」

「なら、今から相手してやるよ!」

 ただのふざけ合いとは思えない、完全に戦いが展開され、しかもあまりの激しさに見ていた女子生徒達は感じた。

 あの男達…、一夏と同類だと。

「他の客がいるのに暴れるな!」

「おう、すまん。やめる。」

「一夏…、彼女に甘いってマジなんだな?」

「今度、弾と一緒にご教授してやるよ。」

「約束だぞ?」

「おう。」

 箒が止めに入ったことでふざけ合いをやめた二人は約束を交わして拳をぶつけ合った。

 ああ…やっぱり同類だ…っと、さっきまで弾と数馬にキャーキャー言ってた女子生徒達は、大人しくなってしまった。

 その後、箒とイチャラブする一夏を見て、数馬はハンカチを噛んでキーッ!っと嫉妬し、その様子を見て弾は腹を押さえて笑い転げていた。

 

 その後、なぜか一夏と箒が楯無に呼び出された。

 

 呼ばれて来た先で、なぜか、王子の格好と、姫の格好をさせられた。

「なんです? これ?」

「分からない?」

「も、もしかして…。」

「ふふん。観客参加型、演劇よ!」

「俺ら強制参加!?」

「あなた達だけじゃないわよ~?」

「えっ?」

 すると、別の所から、鈴、セシリア、シャルロット、ラウラが箒と同じデザインのドレスを纏って現れた。

「…あの演目ってなんですか?」

 箒が恐る恐る聞くと、楯無は、持っていた扇子を開き、口元を隠してクスクス笑い、そして言った。

 

「シンデレラよ。」

 

 一夏達は、悪い予感しかせず顔を見合わせたのだった。

 

 




数馬も一夏と同志。体格も原作よりも良く、けれどモテてることに気づいてない残念さん。

次回は、シンデレラという名の箒の戦いかな?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。