そして、セシリアとの接触。
原作とは異なる形での、決闘となります。
一夏は、ご機嫌だった。
箒もご機嫌だった。
あまりのニヤニヤと幸せオーラに、周りでヒソヒソ、近場にいる者は、砂糖吐きそうなほどゲンナリしていた。
二人の仲については、学園中に、すっかり知れ渡った。
元々、女子学園、異性との交際を禁じる罰則自体もなく、一夏は世界初の男性IS装者、箒は篠ノ之束の妹と二人とも重要人物であるため、下手に手も出せない。
ただ……。
「清いお付き合いをしろ。」
っと、千冬が唯一注意していた。
ま、ようするに男女間でのそういうアレやコレは卒業するまで禁止だということだ。
しかし、二人で一緒にいられれば幸せな二人はそれでもいいのであった。
しかし休憩時間となれば、人目もはばからず、ベッタリだ。ただしキスなどはしない。箒が一夏にもたれて、一緒にいるだけだ。だが、それだけでも、十分すぎるほど幸せオーラが満ちていて、あてられた側は砂糖吐きそうなほどゲンナリしていた。
「ふ、二人はどういう関係なの…?」
グループの中でジャンケンして、聞きに行かされた女子生徒が勇気を出して聞いた。
「へ? 幼なじみで、恋人だけど?」
ビクビクしながら聞いてきた女子生徒に、空気読んでない一夏が、なんてことないように言った。
箒は、耳まで赤くなり、キャーっという感じで顔を両手で覆いながら、グリグリっと一夏におでこをすり寄せていた。
「へー…。」
聞いた女子生徒は、そうとしか声を出せなかった。
そしてすごすごと去って行った。
そんなこんなで、休み時間終われば、授業が始まる。
「織斑君、分からないところはありますか?」
「えーと。このページの…。」
筋肉バカと呼ばれ、そう自認している一夏だが、頭が悪いわけではない。
ちょっとばかり、猪突猛進なところはあるが(主に筋肉関係で)、頭の柔軟さもある。
ここは、ISの専門学校ゆえ、元々普通の高校に行くために勉強していた一夏には、難しかった。しかし、世界に僅かなコアしかないパワードスーツの専門学校なだけあり、教員達の教える力も高く分かりやすい。だが、それでも分からんところはあるので、分からなかったところは素直に聞く。
筋肉だけが取り柄かと思い込んでいた女子生徒達は、一夏の勉強への姿勢に、少しばかり感心した。
「一夏! 相変わらずの頭の柔らかさだな!」
「ココ(頭)も大事だぜ? ココの強さも強さのひとつだからな。」
「私はほとんど分からなかったぞ!」
「おいおい、それは問題だぞ、箒。」
腰に手を当て、堂々と言う箒に、さすがに一夏もビシッとツッコミを入れた。
***
授業が半分終わり、昼食タイム。
さすが世界のIS学園。食事の質はとっても高い。日本国であるため、日本のメニューを支柱に、バラエティ豊かなメニューが揃っている。
「一夏。それでいいのか?」
「明日からなんだ。千冬姉が、上とかけ合って、俺専用の筋肉増強食を作ってもらえるの。」
筋肉増強食(?)ってなに!?
っと、周りの女子生徒達は、心の中で思った。
まさかアレ以上筋肉を付ける気か!?っと、同級生の女子生徒達は青ざめたりもした。
周りのことなど気にせず、気づきもせず、一夏は、日替わり定食を超特盛りで、箒は、きつねうどん(並)を注文し、一緒の席に座って仲良く食べていた。
「うめぇな、箒!」
「美味しいな、一夏!」
日本昔話よろしく凄まじい勢いでかっ込む一夏。箒はツルツルと普通のペースで食べている。
終いにゃ、お代わりまでしていて、ダイエット中の女子生徒達が、見ているだけで腹がいっぱいになるなどしていて、心の中で感謝されていた。
「ちょっと、よろしくて?」
「ん?」
金髪で、どこかのお嬢様であることを感じさせるしゃべり方をする女子生徒に話しかけられ、一夏は立ち止まった。
「なんだ、貴様は!」
「落ち着け、箒。で? なんだ?」
「まあ、なんですの、その態度は?」
「ん? 俺、別にあんたに変なことしてないだろ?」
「まあ…いいですわ。わたくしは、セシリア・オルコット。あなた達とは同じクラスですわよ。」
「ああ…、そっか、すまんかった。で、何の用だ?」
「あなた、ISについては、からっきしのようですわね?」
「そりゃ、日常で触れる機会がなかったからな。それが?」
「わたくしが勉強を教えて差し上げてもよろしくてよ?」
「はあ?」
「なんだと!」
「貴女はすっこんでなさい。で? どうします? 頭を下げれば教えて差し上げますわよ。なにせ、わたくしはイギリスの代表候補生なのですから。」
「だいひょうこうほせいか…。うーん。」
「……なぜ悩みますの? こんな機会普通はありませんわよ?」
「いや、代表だったら即決だったけど、代表候補生でっとなると、先生に聞きに行った方が良さそうだなって思っちまって。」
「まあ! なんですの!?」
「いや…、別にオルコットさんが、悪いわけじゃないけど…先生達の方が経歴は上だし…。」
「そ、それは…。」
「一夏、チャイムが鳴ったぞ! 行くぞ!」
「あ、うん。悪いな、オルコットさん。」
「あ! お待ちになりなさい!」
一夏は箒に引っ張られ、セシリアは、二人を追いかける形で教室に入った。
***
千冬が教卓の前に来て、これからの行事について話をした。
クラス代表戦という、ISを使った実践でのトーナメント戦をやるので、クラス代表を決めるということだった。
途端、生徒達がざわつく。
「はい! 私は、一夏を推すぞ!」
「待て待て、箒。興味はあるが、俺はまだISについてはド素人だぜ? そんな奴が代表になったら大変だ。」
「しかし! おまえは、ずっと学校でいつも学級委員だのと代表をして来たじゃないか!」
「だから、代表戦は、そういう小学校のソレとは比べちゃいけないって。」
「その通りですわ!」
「なんだと!?」
セシリアが立ち上がり、箒をビシっと指差した。
「ISによる神聖なるクラス代表戦の代表となることを、たかが小学校の代表と同じに見られてはたまりませんわ!」
「おまえに一夏の強さの何が分かる!」
「はっ、たかが筋肉モリモリで、それしか取り柄がないような筋肉ダルマではありませんか。」
「貴様!」
「……ちょいと待ってくれるか、オルコットさん?」
「な、なんですの?」
一夏の静かな声に、セシリアは、本能的にビクッとなり、クラス全体が静まりかえった。
ゆっくりと立ち上がった一夏は微笑んでいた。しかし、その笑みが怖い! ものすごく怖い!
「たかが筋肉って言ったか?」
「え、ええ…。た、たた、たかが筋肉を鍛えたからといって…、強さには繋がらないと…。」
「本当にそうか?」
「えっ?」
「今、この場で証明できるか?」
「は、はい…?」
「だ・か・ら。お前は…俺より…強いのかって言ってんだよ!!」
一夏は、上半身の制服を破るほど筋肉を膨張させ、ガツンッと両の拳をぶつけ合わせた。
その迫力に、セシリアは圧倒され、椅子をずらしてしまい、ヘナヘナと尻餅をついた。
「け、けど、男が強かったのなんて、昔の話だよ!」
「そうだよ、そうだよ! ISを付けてたらいくら筋肉がすごくっても…。」
迫力に圧倒されながらも、勇気を出した一部の女子生徒達の訴えにより、他の女子生徒達も賛同し、そうだそうだと声を上げだした。
涙目だったセシリアは、皆さん…っと声を漏らし感激した。
「じゃあ、試してみりゃいいだろ。」
「へっ?」
それは、誰の声だったか分からない。
「なあ、織斑先生!」
「うむ!」
一夏が千冬に話を振ると、千冬が腕組みして力強く頷いた。
「貴様らが納得できないというのならば、ISを装着した上で、一夏に勝ってみるがいい! もし! ISが使える女だからという理由だけで、強くなった気でいたのならば、先ほどまでの言葉を撤回しろ!」
途端、騒いでいた女子生徒達が押し黙った。
「どうした!? 何も言えんのか!?」
千冬の怒声に、ますます女子生徒達は、縮こまる。
「ならば、勝負ですわ!」
へたり込んでいたセシリアが回復して、立ち上がり、挙手した。
「おう! その喧嘩、買った!」
「その代わり…、わたくしが勝ちましたら、一生奴隷にしますわよ!」
「き、貴様!」
「落ち着け、箒。」
「しかし!」
「俺が負けると思ってるのか?」
「!」
心配する箒に、一夏はそう言って微笑んだのだった。
「では、クラス代表戦の代表決定戦を、十日後に執り行うとする! 以上!」
こうして、一夏とセシリアの戦いが決定した。
ここでの一夏は、さすがに他国の飯の味を貶したりはしません。
ただ、基本、筋肉バカなので、筋肉のことになると……ちょっとばかり、アレですが。
千冬の台詞は、インフィニット・ストラトスを読んでて感じた、女尊男卑思考の人達への筆者の問いかけですね。数百個しかない、コアの威光だけで強くなった気でいるのかって。
次回は、一夏と箒の、ルームシェア。
ちょっと甘い展開かも。