vsオータム。
最後は、またアイツ…。
2019/06/30
オータム戦のところを一部書き直し。
不安なまま、劇が開幕となった……。
『むか~し、むかし。あるところに、シンデレラという少女がいました。』
出だしは、まあ普通だが……、ここからが普通じゃなかった。
『否! それはもはや名前ではない! 幾多の舞踏会をくぐり抜け、群がる敵兵をなぎ倒し、灰燼をまとうことさえいとわぬ地上最強の兵士達! 彼女らを呼ぶにふさわしい称号! それが『シンデレラ(灰被り)』!』
予想以上であった。
『今宵もまた、血に飢えたシンデレラ達の夜が始まる。王子の冠に隠された隣国の軍事機密を狙い、舞踏会という名の死地に少女達が舞い踊る! 果たして真なるシンデレラの名は誰の手に!?』
なんじゃそのムチャ設定は!?っと思いながら押し出されるように舞台に出された一夏に向け、一人の姫が襲いかかる。
鈴だった。
「甘い!」
「チッ! 寄越しなさいよ!」
「ふっ…、その程度でシンデレラを名乗ろうとはおこがましいぜ!」
フンッ!ハッ!ホッ!っと繰り出される鈴の攻撃、中国の手裏剣・飛刀を躱していく一夏。なんか雰囲気で舞台設定にノッてみたりもしてみる。
「ふっ。」
ふいに立ち止まった一夏がクイッと首を横に曲げた。その瞬間、スナイパーライフルから放たれた弾丸が一夏の頭があった位置を通り過ぎていった。
「甘いな! シンデレラ、その2!」
「くっ!」
スナイパーライフルを構えていたセシリアが唇を噛んだ。
しかし負けてられんと、移動、狙撃というスナイパーの基本を使い、再び攻撃を開始する。
その間にも、鈴が接近戦も試みてきて特殊強化ガラス製のガラスの靴を振り上げてくる。
一夏がのけぞった瞬間を狙い、セシリアがライフルの照準を合わせて撃った。
「させるか!!」
放たれた弾丸が箒が手にする日本刀によって真っ二つにされ、防がれた。
「ようやく来てくれたか、我がシンデレラ!」
「わ、私が来たからには安心しろ、我が王子!」
ノリにノッている一夏に箒が合せた。
「い、いいいい、いいか! シンデレラの名は私のモノだ! 王子にふさわしいのは他でもない、私だけなのだ!!」
噛みつつも、楯無から教えられていた台詞を言う箒。
「さ~て、それはどうかしらねぇ? 今日こそはシンデレラの名は私のモノよ!」
「いいえ! わたくしのモノですわ!」
「ならば、来い!」
箒が刀を手に臨戦態勢になる。
「隙あり!」
「くっ!」
後方から襲ってきたシャルロットに対応しきれなかった箒。
「あまーい!」
「おっと!」
狙った一夏の背中が素早く振り返り、裏拳が来たのでシャルロットは飛び退いた。
「王子!」
「背中は任せろ! 我がシンデレラ!」
箒と背中合わせで臨戦態勢になる一夏。
『国を想う王子には、悲しくもそれ以上に想うシンデレラがいた! そしてそのシンデレラもまた、王子を誰よりも想っていた! 果たして二人の想いの行方は!?』
時々、楯無のこんな実況みたいなマイクが入る。
次の瞬間、一本のワイヤーでターザンのように高所から飛び降りてきたラウラが一夏の王冠を掴んだ。
その素早さに一夏が対応できなかったため、王冠が頭から少し離れた瞬間。
「あがあああああああああ!?」
「王子!?」
『王子にとって、国は思い人であるシンデレラと同じぐらい重たい全て。その重要機密がが隠された王冠を失うと、自責の念によって電流が流れます。』
「なんだと!?」
「ぴ、ぴぴぴぴぴぴ、ピストル拳!」
凄まじい電流が流れる中、ワイヤーを外して着地したラウラに向けて軽いピストル拳を放った。
ラウラの小さな体が軽く飛び、王冠が手放された。
箒は落ちてくる王冠を刀でキャッチし、慌てて一夏の頭に被せた。
プスプスと一夏が身に纏っている王子の服装から煙が出ている。
「あ、あんがと…。」
「だいじょうぶか!?」
「し、痺れた…。」
あの一夏をこれだけ痛めつけるほど電流だ。いったいどれくらいの電流が流れたのだろう。
倒れそうな一夏を箒が支え、そのままゆっくりと倒して膝に頭を乗せさせた。
「箒…。」
王冠の秘密を知って攻撃できなくなった鈴達がぼう然と箒の名を呼んだ。
「……シンデレラの名はくれてやる。だが王子の命のため、王冠だけは諦めてくれ…。」
「…負けたわ。」
「えっ?」
一夏の頭を抱きしめて涙を堪えている箒に、鈴が飛刀を手放して言った。
するとガシャンっとセシリアがスナイパーライフルを手放し、シャルロットもラウラも手にしていた武器を手放した。
「シンデレラの名は、他でもないあんたのモノよ。」
「やはり、貴女にこそふさわしいですわ。」
「そうそう。」
「うむ。」
鈴達が降参だと手を上げた。
『こうして、シンデレラの名は、王子の思い人のシンデレラだけのモノになりましたとさ。めでたしめでたし…。』
そして劇の幕が下りていき、大歓声と拍手が起こった。
楯無主催のムチャクチャな演劇は、こうして終わったのだった。
***
「ごくろうさまー!」
「はあ!!」
「やん。危ない。」
担架で運ばれ、更衣室で休まされていた一夏と箒の所に楯無が来たので、箒は刀を振るったが、楯無しは難なく躱した。
「なんてことをーーー!!」
「ごめんごめん。ちょっと電流の圧の加減を間違えちゃった。」
「ちょっとどころじゃない!」
「あー、だいじょうぶだ、箒。」
「無理するな一夏!」
一夏がベンチの上から起き上がったので箒が振り返った。
「本当だ。俺は死なんから。」
「けど!」
「箒を置いて、逝けるかよ。」
「一夏…。」
「……本当にごめんね。」
楯無は、そう本当に申し訳なさそうに謝罪をして、更衣室から退室した。
立ち上がろうとした一夏だがふらついた。それを箒が慌てて支えた。
「馬鹿! 無理するな!」
「ごめん…。」
「謝るな。」
「………ところで、いつからそこに?」
「はっ?」
一夏が誰かに向かってそう言った。
すると、ロッカーの陰から一人の美しい女性が現れた。
「ただのガキってわけじゃなそうだねぇ?」
凶悪な笑みを浮かべた女性は、挑発的に言う。
「貴様、何者だ!?」
「亡国機業(ファントム・タスク)…。」
「!?」
「こんなしょんべん臭い小娘が、あの篠ノ之の妹か。少しは私を楽しませてみな!」
次の瞬間、女の背中から伸びてきた蜘蛛の足のようなISの足が伸びてきて、箒を狙う。それが当たる直後、一夏が庇って肩に突き刺さった。
「ぐっ…。」
「一夏!」
「そっちのガキは、さっさと白式をだしな。そしたら命ぐらいは助けてやってもいい。」
「それはつまり…、命さえあれば、手足を千切ろうが、骨を折ろうとするってこったろ?」
「…フンッ!」
「紅椿!」
一夏にもう一本の足が迫ろうとしたとき、箒が紅椿を展開して装甲展開を行い防いだ。
「ほう? 見たことない機体だね。ついでだ、そいつも頂かせてもらおうか。」
「箒…!」
「一夏、逃げろ!」
「ああ、ついでだ。織斑一夏! 第二回モンド・グロッソでてめぇを誘拐したのは、あたしら亡国機業だよ! 感動の再会だね!」
「なにぃ?」
「一夏!」
「小娘は邪魔だ。」
「ああ!」
気を取られた箒を、女が蹴って吹っ飛ばした。
一夏は、ロッカーに叩き付けられた箒を見て、女を睨み拳を振りかぶろうとした。
「あ? なにしようってんだい? さっさとびゃくし…。」
「ピストル拳!」
「ごっ…。」
生身の一夏によるコンマ一秒もせず放たれた怒りの一撃を食らい、女がロッカールームの端に吹っ飛んで壁にめり込んだ。
「箒…、箒!」
「うぅ、だいじょうぶだ…。それより、肩の傷…。」
「これくらいだいじょうぶだ!」
「ぐっ、くっ! てめぇええええええええええええ!!」
「この野郎…、まだ!?」
「オータム様だ、クソガキ!!」
完全にISを展開したオータムと名乗った女は、八本の装甲脚から八門の集中砲火を放った。それを一夏は瞬時に展開した白式の拳にシールドエネルギーを纏わせてすべて弾く。
オータムのISは、まさに蜘蛛。人型のISではなく、八本の装甲脚を持っており、かなりの大型だ。
狭いロッカールームだというのに、小回りが利くらしく、接近戦を得意としているのか凄まじい接近戦を行ってきた。
一夏は、器用に動く八本足と互角に応戦する。
「おらぁ!!」
振り上げられた足を掴み、ジャイアントスイングでロッカーに叩き付ける。
だが叩き付ける間にいつの間にかエネルギー状の糸が絡みついていた。
「やるじゃねぇか、クソガキが…だが…遊びは終わりだ!」
雁字搦めにされ、倒れ込んだ一夏の上にオータムが四本足の装置を乗せた。
「ぐっ、あああああああああ!?」
次の瞬間、電流のようなエネルギーが流れる。だが劇の最中にあった電流の比では無い。全身を引き裂かれるような奇妙な感覚。
やがて装置のロックが解除され、オータムがどいた。
「…! おま…え…!」
一夏は、気づいた。いつの間にか白式が強制的に解除されていたこと。
そして……、白式のコアがオータムの手にあったことに。
「ついでだ。そっちの篠ノ之の妹のISもいただいておくか。」
「や、めろ…!」
「邪魔だよ。」
床を這いずろうとした一夏を、オータムが脚部で蹴った。
吹っ飛んだ一夏を、柔らかい何かが受け止め、ふわりと床に降ろした。
「!?」
「遅くなってごめんね。」
IS・ミステリアス・レイディを展開した楯無し、水のクッションで一夏を救ったのだ。
「てめぇ、どこから入った! この部屋は全システムのロックがかかってんだよ!?」
「さてね。」
「まあいい、お前から殺してやるよ!」
「一夏君! 念じるのよ! そうすれば、ISは答えてくれる!」
「えっ?」
「はんっ。そのガキにゃもう何もできやしない! コアはこっちにあるんだからね!」
「それはどうかな?」
楯無がアクア・ナノマシンを使っているミステリアス・レイディの水を使ってマントを形成しつつ、ドリルのようなブレードを形成する。
水は攻防一体となって、蜘蛛のような足を持つオータムの攻撃を防ぎつつ攻撃を行う。
「ところで、この部屋って、湿度高くない?」
「? …まさか!?」
「その、ま・さ・か。」
クスッと笑った楯無がパチンッと指を鳴らした瞬間、オータムの体が爆発に飲まれた。
一夏は、起き上がりながら、念じた。
「……来い…。白式!」
一夏がそう強く念じた瞬間、オータムの手から白式のコアが消え、一夏の白式が輝いた。
「くっ…、なっ…、そんな馬鹿な!? てめぇ、白式をどこに…。」
「あそこ。」
楯無が指差した先には、今まさに零天破甲を最大出力で放とうとする一夏がいた。
オータムは、ゾッとし大慌てで全ての脚部でガードしようとした。
一夏は、そのまま零天破甲を放ち、その足を粉砕した。
装甲がどんどん破壊される中、蜘蛛のようなISが突如光り輝いた。
「一夏君!」
「うわっ!」
次の瞬間、オータムのISが爆発した。
最大出力で作られた水のマントを使い、楯無は、一夏と箒を庇っていた。
「じ、自爆?」
「ええ。直前に本体とコアを切り離してのね。」
「アイツ…逃げたのか…。」
「だいじょうぶ。追撃は他の子達がするから。あなたはすぐに治療しないと出血が…。」
「俺はいいから、箒を…。」
「箒ちゃんは気絶してるだけ。怪我をしてるのはあなたの方よ?」
その後、救出しに来た教員により、一夏はまた担架で運ばれ、肩の傷の治療を受けた。箒の方は気絶していただけで、怪我はなかった。
そして、オータムが亡国機業の仲間と思しき者の援護を受けて逃げていったことが告げられたのだった。
更に、更識の家が、対暗部用暗部の家柄で、事前に妙な組織が動いていたことを察しており、そして狙いが一夏であったこと、その予防策として楯無が同居していたことを説明された。
「それならそうと言ってくれたらよかったのに…。」
「敵を欺くには、まず味方からよ。」
「そうですか…。」
「それに、いつまた別宇宙からの攻撃もあるかも分からなかったし、もし同時攻撃があったら、さすがの私でも…。」
「アクア・ナノマシンですね…。」
「そう。もしウォーターワールドで起こったアレと同じモノがまた来たら、私のミステリアス・レイディじゃ相手に出来なかったと思うの。」
「ですよね。」
「しかし、これで当面は……。」
その時、凄まじい警報音がIS学園中に鳴った。
「この音は…。」
「うそ…。」
「えっ、まさか…。」
「そのまさか…。」
「行かなきゃ…!」
「待って! あなたは怪我人よ!」
「けど、狙いは俺って可能性がある!」
一夏は、制止を聞かずに走り、遅れて目を覚ました箒が、事態について行けず混乱していた。
一夏が外に出ると、屋台が並んでいたIS学園の庭は、大パニックになっており、その中心に自爆したはずのオータムの蜘蛛のようなISが立っていた。
一夏が来たことに気づいたのか、蜘蛛のようなISが振り向く。
よく見ると……、その体の中心である人間の部分は、赤黒い細胞組織によって形成されており、自爆によってバラバラになった機体を支えるように全身に血管のように細胞が浸食した異形となっていた。
『やあ、一夏…。久しぶり?』
あの不快な男の声が蜘蛛のようなISから聞こえた。
ほぼ原作通りっぽくしてみた。
けど、一夏が箒と好き合っていることは周知の知なので、鈴達はあくまで箒を引き立てる役として頑張ってました。けど電流は予想外で固まる。
筋肉一夏をダウンさせるほどの電流ってどれくらいかな?っと思いつつ、ダウンさせるほどの電流が来たということにしました。
最後に、アイツが壊れたアラクネの機体(コア無し)に細胞を与えて再形成しました。
次回は、バトルかも。
2019/06/30
どこを書き直したかと言うと、一夏が白式を展開せず、まずピストル拳でオータムを吹っ飛ばしたところです。