IS? そんなことより筋肉だ!   作:蜜柑ブタ

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前回、さすがに箒の鼻血は彼女らしくないなって思ったので、こういう理由付けをしました。

今回は、それを含めた事件。


SS43  敵からのちょっかい

 

 結局、誕生日プレゼントは決まらず、お開きとなり、IS学園に帰った。

「今日の夕飯…、レバーとかほうれん草とかマグロの赤身の刺身とか食おうぜ。」

「うん…。」

 一夏の背中に背負われた箒が鼻にティッシュを詰めた状態で頷いた。

 一夏の背中の上で箒は…。

 情けない! 情けないぞ私!っと自己嫌悪に陥っていた。

 今までだって二人っきりになる機会はなんぼでもあったじゃないか!っとも思うが、最近、無理矢理同居してきた楯無に邪魔されたりと二人っきりになる機会がめっきり減ってしまった反動だろうか。まあ、とにかく今日の箒は色々とおかしかったっと箒自身が自覚していた。

 そして夕飯は、ほうれん草のおひたし、レバニラ、マグロの赤身の刺身っとなった。一夏が食堂のおばちゃんに血を増やす食べ物をと頼んで出してもらったのだ。

 意気消沈している箒は、モソモソと元気なく、それらを食べる。

「元気出したら? 箒。」

 鈴が励まそうとする。

「しかし、おかしいことだ。」

「ラウラ?」

「いくら興奮したとはいえ、あれだけ血を流して貧血どころかむしろ血が多そうに顔色が赤いではないか。逆に血が多すぎるんじゃないのか?」

「そんな風に急に血なんて増えるわけありませんわ。」

「……ぅ…。」

「箒?」

 なにやら箒の様子がおかしかった。

 すると、ティッシュを詰めていた鼻からぽたりぽたりっと血が垂れ始めた。

「ちょっ…! いくらなんでもおかしいじゃない!」

「篠ノ之さん、しっかり!」

「箒、箒ぃ!」

 箒の意識は、そこで途絶えた。

 

 

 

『あれ? 量間違えちゃったかな? ま、死んでないし、成功?』

 

 

 

 意識を失う直後、あの不快な、あの別の宇宙からの敵の男の声が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

「微量の細胞検出!?」

 箒が倒れたので慌てた一夏達だったが、間もなく同じく食堂にいて食事を摂っていた女子生徒達の何人かが鼻血を出すなどして倒れる事態になり、医者がすぐに駆けつけ、担架で運ばれる事態になった。

 その後、すぐに食事内容の確認と食堂の調理場の検査が行われ、そこから……。

「型から見て…、間違いなく、あの別宇宙からの敵の細胞で間違いないとのことだ。」

 千冬がそう説明した。

「それが食堂の貯水タンクから出たって事かよ!?」

 箒の様子を見るため食事に手をつけていなかった一夏達は無事だったのだ。

「そ、それで…篠ノ之さんは…?」

 セシリアが蒼白した顔で聞いた。

「他の者達と合わせて検査した結果から見ると…、血液循環が良くなりすぎていただけだ。」

「……………はっ?」

 思わず間抜けな声が出てしまった。

 それは、毒物による異常というより……。

「ハッキリ言えば…、いつもより健康な状態だ。」

「あれだけ鼻血出して!?」

「それが、まったく貧血も起こっていない。血液濃度から見ても、普段から貧血気味だった者もいたのだが、標準値になっていた。……不可解だが、健康状態が良くなっていることを抜けば、ある意味で劇物であることには変わりないが…、こんな劇物があり得るのかと検査担当者も首を傾げている。」

「体内に入ったその細胞は!?」

「精密検査結果から見て言えば、体内に細胞は欠片も残っていない。だが経過を見てみないことにはな……。」

「……隔離…ですね。教官。」

「織斑先生だ。馬鹿者。…ボーデヴィッヒの言うとおり、少しの間だが経過を見ることとなるだろう。それと、他の貯水タンクも調査している。あと、寮の部屋内にある冷蔵庫内の食物も調べることになるだろう。」

「なぜです?」

「出かけ先でかなりの鼻血を出したのだろう? もしかしたら箒が事前に口にしてしまった物に敵の細胞が混入していた可能性も無きにしろ非ずだ。」

「ですが、織斑先生! 別の宇宙からの敵の転移については、レーダーが反応するはずですよね!?」

「その件については、あくまで憶測だが、学園祭のあの襲撃時に同時に行われていた可能性がある。レーダーは、まだ開発して間もないものだ。同時に数カ所の転移には対応できてはいない。それに、あくまでもレーダーは、転移の際のエネルギーに反応する物であって、すでに送り込まれた物には反応しない。」

 亡国機業のISの装甲を再生させたうえに、増殖まで行った敵の細胞だ。もしかしたら、どこかで増殖していて、それがナメクジのように移動して貯水タンクなどに入ったという想像もできる。

 うっかり想像して、全員の背筋がゾワッとなった。

「無論、増殖している可能性は否定ができん以上、このIS学園のある人工島全土を調べ上げてひとかけらもないことを確認が出来るまで授業も中止だ。最悪、キャノンボール・ファストも中止となる可能性もある! 以上!」

「…箒。」

 一夏は、何より箒のことを心配していた。

 そんな一夏を鈴達は心配そうに見ていた。

 

 

 そして検査と調査という名の厳戒態勢が敷かれ、寮内の部屋もくまなく調べられるなどプライベートもあったものじゃない状況となったが、隔離されていた生徒達が解放されたのは、わずか二日後だった。

 なぜここまで早く調査が終わったのか……、それは、ある研究機関に送られた敵の細胞を調べていた研究チームがラットを使った実験を行い、そしてラットがとんでもなく健康状態が良くなるが、量によっては完全な健康と引き換えに死ぬという実験結果と、なぜか体内に入ったその細胞は完全に燃え尽きるように消えるという実験結果を報告し、今回生徒達の体内入ったであろう量と、貯水タンクから検出された量が照合された結果、症状が出た時点で体内にある敵の細胞は消えていると判断されたからだった。

 生徒達の隔離の解除と共に、IS学園がある人工島の全土の調査が集中的に行われ、こんなに早く調査が終わったのである。

 おそらく政府や国家機関がキャノンボール・ファストという一大イベントのために、支障が出ないよう調査チームを強化したためだろうと考えられるが、敵の細胞が独自に動いていて今なお増殖しているという最悪は免れたのはIS学園にとっては大きかった。特に精神的に。

 ちなみに、一夏と箒と楯無が住んでいる寮の部屋の冷蔵庫にあった箒が飲んでいたジュースのペットボトル内から極微量の敵の細胞が見つかり、箒自身からの証言で、出かける前に一口飲んでいたことが明らかになった。

 

 一夏達の知らぬ事だが、今回の事件を機に、敵の細胞に興味を抱いた科学者達が、こぞってその細胞を研究したがり、そこに不老不死の可能性を見いだそうとする者さえいたとか……。

 




血圧が上がりすぎると鼻血が出るんでしたっけ? ピーナッツとか食べ過ぎるとかで。

アイツの細胞は、元々の登場作品では、体内に注入すると超健康になる代わりに死ぬという設定だったので、超微量が入ると一時的に血圧が急激に上がって鼻血に繋がったということにしました。ただし体は健康なってます。
箒の場合は、出かけたときに知らぬ間に直接ちょっかいかけられているので効果が出るのが多少遅れたということで。そして食堂の貯水タンクの事件で追い打ちかけられて倒れる。

なお、研究したところで、思うような研究結果は出せないんですけどね……。(ゴジラ対エヴァンゲリオン(仮)にて)
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