待ってた方いますかね…? こんな駄文…。
今回は、簪をタッグマッチのパートナーに誘う。
織斑マドカ。
千冬にあまりにもよく似た顔は、イヤでも脳に焼き付いた。
一夏と箒は、警戒しつつ帰り道の途中、今日は誕生日会だから水を差さぬよう翌日言おうと決めた。
そして翌日。食堂にて。
「襲われた!?」
「ああ。サイレント・ゼフィルスの装者にな。」
その人物が恐ろしく千冬にそっくりだったことと、織斑マドカと名乗っていたことは伏せた。
「だいじょうぶだったの!?」
「ああ、撃たれたけどな。」
「ダメじゃない! 怪我は!?」
「この鍛え抜いた大胸筋が防いでくれたさ。」
「…あっ、そう……。」
よくよく考えたISのミサイルでも無傷の男だ。銃弾ごときじゃ死なんだろう。
「なぜ、それを報告せん?」
そこへ、真那と共に千冬が夕食が乗ったトレーを持ってやってきた。
「すみません…。タイミング見逃して…。先生達忙しそうだったし…。」
「忙しかったのは事実だが、友人達に報告するよりも早く、そういうことは我々に報告すべきだぞ? 分かったな。食事が終わったら、あとで、来い。」
「はい。」
怒られたあと、そう返事をした一夏。
「私も行くぞ。当事者だからな。」
「ああ。」
箒も行くと言った。
***
職員室ではなく、千冬の部屋で報告となった。
それは、一夏が希望したことであり、何かを察した千冬は了承した。
「では、報告しろ。」
「はい。昨日の晩、俺の誕生日パーティーを催しましたが、その最中ジュースを買い足しに行った際に、箒と共に、サイレント・ゼフィルスの装者の襲撃を受けました。」
「そうか…、顔は見たのか?」
「はい…。」
途端、言いにくそうにする一夏と箒に、千冬は眉間にしわを寄せた。
「どうした? 言えないか?」
「千冬さんに……。」
「私に?」
「織斑先生に…そっくりでした。」
「!?」
「なにか心当たりが?」
「あ…、すまん。以上か?」
「はい。」
「そうか…。怪我がなくてよかった。他に思い出したことがあれば、すぐに言ってくれ。」
「分かりました。」
そう返事をしてから、一夏と箒は退室した。
椅子に座っていた千冬は、机の方に椅子を回し、机に肘を置いて、ハア…っとため息を吐いた。
***
「一夏くーん!」
「なんですか、先輩?」
部屋に帰るなり、いきなり楯無がとびつてきたので、頭を掴んで止めながら一夏は面倒くさそうに聞いた。箒はもう怒らない。一々怒っていては、身が持たないと分かったからだ。
「頼みがあるの!」
「だから、なんです? 俺も宿題とかあるから、忙しいんですけど。」
「手伝ってあげるから聞いて!」
「…はあ、分かりましたよ。なんです?」
「やったー! あのね! 妹のことを頼みたいの!」
「はあ?」
「なっ!」
さすがに箒は声を上げた。
「何を言ってるんですか!」
「あっ! 違うの! 頼みたいのはね…、今度の全学年合同タッグマッチのパートナーになって欲しいってこと!」
「はあ…。」
「なんだ…そんなことか。って、それでも問題だ! なぜ一夏に!?」
「だって…、一夏君のせいなんだもん…。」
「はっ?」
すると楯無が俯いて、ブツブツ説明した。
楯無の妹である、簪(かんざし)は、日本代表候補生なのだが、本来与えられる専用機がないのだという。
その原因は、簪の専用機を開発する企業であった倉持技研が、一夏が持つ白式の方に人員を回してしまい、結果簪の専用機が完成しないままになっているのだそうだ。
「クレームを入れるべきなのは、倉持技研ではないか! 一夏は専用機なぞ望んでいなかったのですよ!」
「そ、そうだね…。でも、一夏君がIS触らなかったら、こんなことにはならなかったよ?」
「…むっ。」
楯無の言い分に箒が噛みつくが、そもそも一夏がISに不用意に触らなければこんな事態にならなかったと指摘されて、一夏は腕組みして唸った。
「けど…、それですと、俺、きっと恨まれてませんか?」
「それは…。」
「たぶん、俺が誘ったとしても乗らないんじゃないですか?」
「けど、簪ちゃんの性格じゃ、タッグを組んでくれる人なんて…。だ、だからね…! お願いしてるの!」
「一夏。聞く必要は無い。」
「…けどな。」
「お願い!」
「……分かりました。あなたの頼みだってことで言ってみます。」
「あ、あの…、できたら、私の名前は出さないで…。」
「あん?」
それを聞いた一夏は、なんとなく察した。
どうやら楯無と簪は、あまり仲が良くないようだと。
「…分かりましたよ。じゃあ、名前は伏せておきます。」
「ありがとう! 大好き!」
「ああああああああ!」
楯無が、嬉し泣きの顔で一夏にガバッと抱きついたので、さすがに怒った箒であった。
***
後日、一夏は、簪がいる四組へ向かった。
「あれ、織斑君?」
クラスの女子生徒がやってきた一夏に話しかけてきた。
「更識さんっている?」
「えっ、いるよ?」
あそこ。っと女子生徒が指差した。
そこには、楯無と同じ色の、けれどセミロングの長さもある髪の毛に、眼鏡をかけた少女がいた。
簪は、宙に映し出されているディスプレイをジッと見つめたまま、カタカタとキーボードをタイピングしていた。
「失礼しま~す。こんにちは。」
一夏は、急に話しかけるのもあれかと思い、社交辞令として挨拶した。
しかし、簪は微動だにしない。
「…初めまして。織斑一夏だ。」
すると、簪がピクッと止まった。
すると簪は、椅子から立ち上がり、右手を握って振り上げる動作をしたが、すぐに腕を降ろしてまた座った。
それが簪が一夏を殴ろうとしたのだと一夏は察した。だが、殴ってこなかったのは、おそらく殴っても無意味だと分かっているのか、それとも単に面倒くさかっただけかと思った。
「……話は、聞いてるよ。」
「……そう。」
会話が続かない。
「……用件は?」
「今度のタッグマッチ、俺と組んでくれないか?」
「イヤ…。」
即答で返された。
「専用機が未完成って点を抜いて妥協してもらえないか?」
「あなた…、組む相手、困っていない…。」
「確かに候補はいるっちゃいる。けど、アイツらは友人であり、ライバルだ。ここは、ライバルとして、ぶつかりたいんだ。」
すると、キーボードを叩いていたふいに止まる。
「…いる…。」
「ん?」
「あなた…、彼女…いる。私といると…嫉妬される…。」
「アイツがこんなことで嫉妬するほど脆い奴じゃねぇよ。俺とアイツの仲なんだから。それに、俺から誘ったとしても、アイツの方からきっと断る。」
「……どうして?」
「アイツは、アイツなりに、俺と肩を並べられるようなりたがってるからさ。前の、タッグトーナメントでも、俺とは組まなかった。あとキャノンボール・ファストの時だって、一時的に離れてただろ? それが証拠だ。」
「……どうして…、私?」
「日本代表候補生なんだろ? 俺の友人達は、外国の代表候補生ばっかだけど、日本の代表候補生の実力だって知っておきたいって思って悪いか?」
そういうと、簪は俯き、タイピングをやめて、腿の上に手を置いて両手の拳を握った。
まるで何かに耐えるような、何か言い訳を探しているようにも思えた。
「……いいの?」
「ん?」
「ん、…じゃない…、私で…本当に…いいの?」
「おう!」
一夏は輝かんばかりに笑った。
「……分かった…。よろしく。」
「おう、よろしくな、更識さん。」
一夏が笑顔で握手しようと手を出し出すと、簪は、ビクッとなり、一夏をチラッと見上げて、やがて恐る恐るといった様子で自分も手を出し、一夏の手を握って握手した。
「…おっきい、手…。」
っと、僅かに赤面して俯いてポツリッと呟いていたのだが、一夏は、ハテナっと思った。
こうして、一夏は、簪をタッグマッチのパートナーに出来たのだった。
割とあっさりと誘いに成功してますが、原作と違って、唐変木のハーレム状態じゃないのと、一夏の実力と、箒との関係を知ってるからこそ、うまく事が運びました。
ここからは、たぶん、ほぼオリジナル展開かも。