筆者の技量では、この程度です。
「一夏。これから、寮で暮らしてもらう。コレが鍵だ。」
授業が全て終わり、千冬に呼ばれて職員室に行くとそう言われて、鍵を渡された。
「荷物はもう搬入したのか?」
「ああ。そのことについてだが、部屋の広さの都合で、おまえのトレーニング機器については、無理だった…。より最新の物がこの学園にあるので確認してくれ。」
「やっぱりな。そうだと思った。」
けど最新機器があるのは嬉しいと、一夏はウキウキした。
「すまん。本当は使い慣れた物がいいだろうが……、お前のルームメイトの荷物もあるのでな。」
「あれ? 一人部屋じゃないんだ。」
「すまん…。上とはかけ合ったんだが、おまえの入学は想定外だったので、空き部屋がない……。」
「いや、いいよ。織斑先生。それで、誰がルームメイトなんだ?」
「……篠ノ之だ。」
「箒が?」
「不服か?」
「いやとんでもない! むしろ、一緒にいられるなら願ったり叶ったりだ!」
IS学園に来てよかったー!っと、跳びはねる一夏に、一夏と箒の仲についてすでに知っている教師達が苦笑していた。
「ただし!」
「分かってるって。清いお付き合いだろ?」
はしゃぐのを止めて、千冬をまっすぐ見て、真面目に言う一夏。
「きちんとした準備が全部整ってから、嫁にもらうから。」
「さすが、我が弟だ!」
男女間のそういうアレやコレに真面目な一夏に、感激した千冬が泣いた。
一夏は慌てた。
おそらく千冬は、社会ではクールビューティーで通っているだろう。だから本当は、ブラコンで弟のあれこれに一々過剰反応する姿はあり得ないだろう。
「と、とにかく、部屋! 行ってくる!」
「そ、そうか。」
あっという間に泣き止んだ千冬がキリッとして言った。それを見て一夏は、ホッとした。
***
これから箒とルームシェアする部屋を前に、一夏は、ウロウロしていた。
箒との同居は、きちんと準備をしてからと決めていたのに、まさこんな形で早く実現するとは思わなかったので、ガラにもなく慌てていたのだ。
「スーハー…スーハー……、おっし!」
落ち着こうと、呼吸を繰り返し、やっと踏ん切りが付いた一夏は、部屋をノックしした。
『い…今開ける!』
その声の後、ドタンバタンっと、こける音が聞こえ、少ししてドアが開いた。
「い、一夏…!」
「箒…。」
部屋着姿の箒が出てきて、箒はカーッと顔を赤くした。
すでに千冬から一夏とルームシェアすることになったことは聞いていたのだろう。
「は、入れ…。」
「ああ。」
二人はやっと部屋に入った。
離れて並んだベットに向かい合う形で座り、二人とも黙った。
「あのさ、箒…。」
「な、なんだ!」
「こういう同棲っての? 本当は、もっと準備してからちゃんとしたかったんだよな。」
「あ…ああ…、そうか…。もしかして、イヤだったか?」
「とんでもない!」
俯く箒に、一夏がビックリしてそう否定した。
「ただ…、こんな早く実現するとは思わなくってな…。俺が迎えに行くつもりだったんだけど。」
「一夏…!」
顔を上げた箒の目からポロッと涙がこぼれた。
「箒?」
「ふえ~ん…。」
箒は、子供のように泣き出した。
一夏は慌てて箒の傍に来て、箒を泣き止ませようとした。
「どうした? なんかイヤだったか?」
「ちがう~…。うれしくって…!」
箒は嬉しさのあまりに泣いたのだ。
「私は今世界一幸せだ~!」
「おいおい、今そんなこと言ってたら、結婚したときどうすんだよ?」
「け、けけけけけ、結婚だと? そそそれは、幸せすぎて…死ぬ!」
「こら、死ぬなんて言うな!」
一夏がかる~~~~く、ペシーンッと箒の頭を叩いた。
「箒が死んだら、俺が死ぬ!」
「それはダメだ!」
「じゃあ、お互いに死なない方向で。」
「う、うん!」
「いいな?」
「ああ…! もちろんだとも!」
「箒…。」
「っ…、い、一夏…。」
一夏に抱きしめられ、箒は、一夏に身を寄せた。
箒は、六年ぶりに取り戻せた幸せを噛みしめた。
箒アンチは、よく見かけるけど、一夏とラブラブな箒ってほとんど見たことがない気がする。私が見つけてないだけかもしれないが……。
次回は、セシリアとの決闘。