IS? そんなことより筋肉だ!   作:蜜柑ブタ

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久しぶりの更新です。

申し訳ありませんでした。


今回は、タッグマッチトーナメント当日だが……?


そして、50話目です。終わる気がしない…。


SS50  簪の激情

 

 

「お、おはよう…。織斑…くん…。」

「おはよう。簪さん。」

 タッグマッチトーナメント当日、簪が駆け足で来て、耳まで赤くしてたどたどしい挨拶をしてきたので、一夏は気づかないフリして笑顔で挨拶を返した。

 簪は、モジモジとしながら、俯いている。

 一夏は、簪の様子を見て……、あっ、こりゃマズいっと思った。

 これは、完全に恋する乙女のアレだ……。

 恐らく、彼女の憧れの男性像とかヒーロー像とかそういうものに、一夏はドストライクなのだろう。

 好意は、普通に嬉しい。だが、一夏には将来を決めた相手がいる。友達としてならともかく、恋人としては……。

 もし、簪が告白をしてきたら、ごめんなさいをしないといけない。一夏は、箒一筋なのだから。

 まあ、まずは…。

「気を引き締めていこう。簪さん。」

「う…うん!」

 言われてハッとした簪が顔を上げて、コクコクと頷いた。

 

 そして、タッグマッチトーナメントの開会式が始まった。

 

 まず教頭先生が。

 次に、生徒会長の楯無が上がる。

 そして今回の企画として、優勝者ペア予想応援・食券争奪戦を提示した。

 賭事じゃねぇか…、っと生徒会副会長をやらされている一夏は、頭を抱えた。

 まあ、細かいことをツッコんでてても、この自由奔放な会長を止められないので、もう放っておく。

 それより大事なのは、タッグマッチだった。

 長話が終わり、やがて第1回戦の相手が分かる。

 しかし…。

「ウソだろ…。」

 あろうことか、篠ノ之箒と、楯無のタッグが第1回戦の相手だった。

 まさか…っと思い、一夏は、楯無をジロッと見る。だが楯無は、ブンブンっと必死に首を横に振っているので、どうやら偶然らしい。

 簪を見ると、簪は、モニターを見て、青ざめていた。

「簪さん。」

「……。」

「簪さん。」

「…へっ? あっ!」

 呼んでも反応がないため、肩をポンッと叩いて正気に戻させた。

「しかし…、聞くところによると、会長って、学園で唯一の国家代表だっていうしな。あのミステリアス・レイディのアクアナノマシンの攻撃も変幻自在だし、こーりゃ、いきなり強敵だ。俺の零天破甲で、ごり押しで行くか?」

「…た、たぶん…、だから…、一番、警戒する…はず。」

「えっ?」

「織斑くん…、あの攻撃…、あれなら水の盾も意味がない…。だから、一番に狙うはず。」

「…やっぱりなぁ。」

「分かってた…?」

「自覚はあるさ。俺、あの攻撃で、ウォーターワールドの50メートル四方のプールの水を四散させたことあるからな。先手必勝で、楯無先輩を潰すか…。」

「たぶん…それも、向こうは読んでるはず…。無駄にエネルギーを消費するのは、危険。」

「………なら、あれ行くか。」

「あれ?」

「本番で披露するから。」

「…それだと…困る。組んだ相手の手の内…知っとかないと……、援護できない…。」

「まあ…単純なことだ。ピストル拳…、あれ、足でもできんだよ。」

「足で?」

「隙が大きくて、ISの脚部的にやりにくいから、使わないでいただけだ。」

「…確かに…初見なら、ビックリするかも…。」

「……まあ、やったらたぶん白式の足が折れるな。」

「えぇ…?」

「第二形態もそうだけど、近接戦専門だからか知らないが、脚部がそれ相応に踏ん張れるようになってんだ。それで、キックなんてやってみろ、それに対応できるようになってないから確実に壊れる。最悪、白式を外して生身でやるつもりだ。」

「それだと…。」

「死にゃしないからだいじょうぶだって。」

「でも…。」

「なんだ? 俺が簡単に死ぬって思ってるのか?」

「う、ううん…。」

「……ただ、一番の心配は……。」

「えっ?」

「…邪魔が入らなきゃいいがな。」

 それが一番の問題だった。

 今までだって、イベントのたびに、邪魔が入り、その都度、イベントが潰れる事態になっているのだ。

 スポンサーを得て、筋肉を宣伝したい一夏としては、本当にイヤでしょうがない。

 スポンサーを得られないもあるが……。

「……アイツが関わってこなきゃ…いいがな。」

 

 あの別宇宙からの攻撃。それが一番の問題だ。

 

 厳戒令が敷かれているため、知らない簪は、首を傾げたのだった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 IS学園の屋上で、金色の混じった赤毛を風で揺らしているひとりの男がいたて、クスクスと笑っていた。

 

 そして、まるで体重がないかのように、宙を飛び、遙か空の彼方から、飛んでくる飛行物体に、吸い込まれるように憑依したのだった。

 

 途端、先頭を飛んでいた飛行物体の一体が、ピタッと止まり、それに合わせて、他の機体も止まる。

 

 

『あれ? あれ? あれぇぇぇ!?』

 

 

 遙か彼方、潜伏場所で束は必死になって飛行物体、ゴーレムⅢの操作を取り戻そうとしていた。

 だが、何かに上書きされたようにゴーレムⅢのシステムは、束の操作を離れていた。

 

『やれやれ…懲りないねぇ…。』

『!? おま…っ。』

『じゃ、貰うね。』

『待てよ!!』

 束が叫ぶより早く、ゴーレムⅢは、飛行を再び開始し、IS学園の上空まで来て、同じ4体の機体を引き連れて、IS学園へと舞い降りた。

 

 

 別宇宙からの攻撃を解析、感知するレーダーが反応し、凄まじい警報音を学園中に鳴らした。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 その警報音に、一夏の何かが切れた音がした気がした。

「っっっざっけなーーーーー!!」

「お、織斑くん…!」

 ピットから飛び出した一夏。

 ピットから飛び出したところに、ゴーレムⅢ達が舞い降りてきた。

「……無人機か…?」

『ご名答。その発展型ってところかな?』

 異形の無人機・ゴーレムⅢが、道化師のように、だが優雅に一礼した。

「てめぇら…、そこまで…。」

『違うよ。これは、この世界の無人機。それをちょっともらっただけ。』

「なに?」

 それを聞いた一夏の脳裏に、ある人物が思い浮かぶ。

 ISの発明家、篠ノ之束……。

 有人でないと動かせないISに無人機という技術を使えるのは、その発明家でないとできないだろう。

「…あんにゃろう…。次会ったら…、ド突く!」

『まあまあまあまあ。それより、……戦おうよ。』

 

「一夏ーーー!」

 

 そこへ、箒達が飛んできた。

「織斑くん!」

 そこへ、打鉄弐式を装備した簪がピットから飛び出してきた。

『さてさて…、楽しくなりそうだ。』

「てめぇは、黙れ!」

 一夏は、白式を纏い、先頭に立つゴーレムⅢに殴りかかった。

 その一撃をゴレームⅢが片手で受け止め、他の4機が宙へ飛んでいく。その4機に、箒達が戦いを挑む。

 一夏は、左手でも殴ろうと拳を振るうと、その左手も受け止められた。

『ふふふ…、この程度?』

「……なんか、不快なんだよな…。」

『ん?』

「あんたの、声がなぁ!!」

 次の瞬間、一夏は、右足を振り上げ、ピストルキックを放った。

 白式の脚部が砕けると同時に、ゴーレムⅢも砕け散った。

「す…すごい…!」

 見ていた簪は、ただただ驚いた。

 だがしかし……。

 

 砕け散ったゴレームⅢが、一瞬にしてまるで再生映像を戻したかのごとく元通りの姿になった。

 

『あー、びっくりした。足でもできるのかー。』

「なっ…。」

『同じ手ばかりじゃ…、つまらないでしょ?』

 次の瞬間、超高密圧縮熱線が、一夏の顔めがけて至近距離で放たれようとした。

「織斑くん!」

『おっと。』

 発射直後に、ミサイルが飛んできて、ゴーレムⅢが飛び退いた。

「簪さん! 下がってくれ! コイツは、俺が…。」

「私だって…戦える!」

 簪が後方から、マルチロックオンシステムによる、ミサイルの砲門を開いた。

「砕いても戻るなら…、一片たりとも残さない!」

『おー、いいね、着眼点は丸だよ。』

「へー、そうかよ…。なら、零天破甲!」

『おっと!』

 放たれた拳のエネルギー攻撃を、スイ~っと、高速でゴーレムⅢが横へずれて避けた。

「簪さん! 俺がまた砕くから、砕けた端からミサイルで微塵にしてくれ!」

「わ、分かったわ…!」

『さて…さてさてさて、そんな見え据えた手が上手くいくかな?』

 すると、宙で箒達と戦っていた別個体のゴーレムⅢの破片が落ちてきた。

 その破片が生き物のように蠢き、ゴーレムⅢに生物が混じったような異形となって増えて再生した。

『さあさあ、早くしないと増えるばかりだよ?』

「おまえは、プラナリアか!? もしくはヒトデか!?」

『や~ん、そんな図鑑で切ってみようだなんて書いてある生き物と一緒にしないでぇん。』

「キモいんだよ!!」

 一夏は叫びながら、殴る殴る。

 クラス対抗戦で現れた無人機と違い、巨体ではなく、全体的にシャープであるため素早く、それでいて小回りが利くため格闘能力も高い。

 一体を捕まえ、頭を掴んで握りつぶそうとすると、後ろから横から蹴りや拳が来て妨害される。

 それでも構わず一夏は捕まえた一体の頭を握りしめたまま、引きちぎり簪の方へ投げた。

 ハッとした簪がミサイルを放ち、一夏が破壊したゴーレムⅢを粉みじんに粉砕した。あまりにも細かく粉砕されると再生しないらしい。

『ほっほ~、やるね。自分で組み立てたにしちゃ、たいした物だよ。お姉さんも鼻高々じゃないかな?』

「っ…。」

 簪は、そう言われてドキッとした。なぜそんなことを知っているんだと思ったからだ。

「簪さん!」

「あっ…。」

 相手の言葉に気を取られた直後、背後に回っていたゴーレムⅢが簪に近距離から超高密圧縮熱線を放とうとした。

 

「簪ちゃーーーーん!」

 

 直後、簪を突き飛ばした存在がいた。

 ミステリアス・レイディを装備した楯無だった。

 簪を突き飛ばしたことで、ゴーレムⅢの超高密圧縮熱線の射程距離に入った楯無に、容赦なく熱線が放たれた。

「お…ねぇちゃ…。」

 熱線の中に消えた楯無の姿に、簪は愕然とした。

 

『あらら…、君に無能でいなさいって言った人がいなくなっちゃった。』

 

 別宇宙の敵の憑依により底上げされたゴーレムⅢの能力と、アクアナノマシンを無力化されたことで、楯無は、全身を焼かれて倒れた。

 

『……よかったじゃん?』

 

「ああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

 簪は、あらんばかりに絶叫し、薙刀型のブレードを展開し、楯無を攻撃したゴーレムⅢに斬りかかった。

 

 

 

 




束が性懲りも無く襲撃させるために行かせたゴーレムⅢを、別宇宙の敵が乗っ取り、奪う。
全体的に能力が底上げされ、プラナリアのごとく砕かれると再生・増殖する。また、アクアナノマシンを無効化する能力も備えた。

姉の重傷と、敵の挑発に激情を爆発させた簪。


次…、いつ更新できるかな……。
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