今回は、ひっさしぶりのギャグっぽい展開?
楯無が不憫です。注意!!
簪は、日本政府から異次元からの敵の存在、そしてこれまでの攻撃から得られた情報と、IS学園に新しく設置されたレーダー塔の真実を知らされ愕然とした。
この世界のどこにも存在しない、該当しない存在からの攻撃。
簪の姉である楯無を瀕死に追いやったゴーレムⅢという無人機を操っていたのも。そしてアメリカとの秘密の情報共有で、攻撃の始まりがIS学園の臨海学校の時期に起こったアメリカの銀の福音というISが操られてしまったことであることも聞いた。
また篠ノ之束が銀の福音を使ったマッチポンプをやらかそうとして隙を突かれたことや、謎の異次元からの敵の証拠となる謎の細胞のようなブツも盗んでいまだに音沙汰がないことなども知った。
アクアナノマシンを主力とするIS・ミステリアル・レイディの装者である楯無は、異次元の敵が同じアクアナノマシンを使っていることからまったく太刀打ちできないということがゴーレムⅢの事件でハッキリとし、異次元からの敵との戦いへの介入そのものを禁じられ、次に異次元の敵が襲来した際には増殖する能力を持たされていたゴーレムⅢを倒した功績から妹の簪が代わりに戦いをと要請された。
これに対し妹を死地に送りたくない楯無は異を唱えたものの、覆せるわけも無く、逆に学園祭での一件とゴーレムⅢの事件でまったく役立たなかったことを突きつけられ黙らせられたのだった。
あと、一夏本人が強すぎて護衛も必要ないんじゃないかってレベルなため、今後の楯無の護衛についても疑問視する声が上がっており、楯無いらない説が楯無本人の耳入るのはほどなくであったとか?
「それで、朝からどんよりしてるわけですか?」
「………うん。」
学園のトレーニングルームで頭からキノコ生えそうほどどんより状態の楯無に、一夏達は話を聞いて若干唖然とした。
「生徒会長は、学園最強の称号なのに……なのになのに…。あのやろ~~~。」
「敵が異常なんですよ。」
「そうそう。」
「……みんな優しいね。嬉しいよ、私…。」
一夏の言葉にウンウンと賛同する箒達に、楯無はダバ~と泣き出した。相当ショックだったことが伺え、同情のまなざしが向けられる。
「しっかし、簪があの野郎(異次元からの敵)との戦いに参加することになったわけだけど…。簪的にはどうなんだ?」
「私は…、力になれるなら構わない。むしろ…嬉しいかも。臨海学校で何も出来なかったし…。」
「あの時は専用機持ちだけが呼ばれたからね。簪はその時はまだ専用機組み立て中だったわけだし? しょうがないじゃない。」
落ち込む簪を鈴が励ました。
「これからは仲間ですわね。よろしくお願いしますわ。簪さん。」
「う、うん…。」
セシリアが笑顔で握手を求めてきたため、簪は、緊張でドキドキしながらその手を握った。
「簪ちゃーーーん…、お姉ちゃん本当は簪ちゃんにはアイツ(異次元からの敵)とは戦って欲しくないよ…。」
「お姉ちゃんは、あの敵にはまったく役に立てない状況だから仕方ないよ。」
「ガーーーーン!!」
楯無の胸にグサリッと刺さる言葉のトゲ。役立たずという言葉は今の楯無には禁句だったうえに、実の妹に言われてしまって楯無は床に倒れて床を涙で濡らした。
そんな楯無に目もくれず、簪は、フッフッと呼吸しながらダンベルで筋トレをしている一夏をジッと見ていた。
トレーニングで血流が良くなったことでほんのり赤らんだ皮膚、隆起した筋肉。
「…すごい。」
「すごいよね。あの筋肉。」
「うむ! 最高の筋肉だな!」
特にラウラが過剰反応。
「そういえば…聞いた…。一夏君…筋肉で世の中を変えたいって言ってるって…。本当?」
「ああ、そうだぜ。」
一夏は、ダンベルを置き、ムキッと力こぶを作る。
「この女尊男卑の世の中を変えるにゃ、ISに並ぶほどの力が必要だぜ。」
「それが筋肉?」
「おおよ!」
「知ってる…。オルコットさん…素手で倒してる。」
「そうですわね。あれは、完敗でしたわ。」
「……きっと…、上手くいくと思う。応援してる…。」
「ありがとな!」
簪がそういうと一夏は歯を見せて笑ってお礼を言った。簪は、ポッと頬を染めて恥じらった。
「けど世の中にゃ、筋肉付けたくてもつかない体質(ガリガリ)って人間もいるだろうから、そこら辺もちゃんと考えていかないといけねーよな。」
「伸ばせる長所は人それぞれだ。」
「おお、良いこと言うな箒。」
「それに男の権威が上がったところで、それで男尊女卑の世の中が増長しても良くはない。何事もバランスだと思う。」
「難しいところだよな~。」
箒と一夏は、それぞれ腕組みしてウ~んっと悩んだ。
「……なんか似てるね?」
「そうですわね。そういえば夫婦というのは、お互いに似てくるとどこかで聞いたことがありますわ。」
「夫婦じゃないけどね。まだ。ま、もう事実婚よね。あの二人。」
「やっぱり価値観を共有するからかな?」
「なんであれお似合いだ。」
「同意見…です。」
「私のこと無視しないで~~~……。」
さっきからずっとほっとかれていた楯無が床の上で倒れたまま、し~くしくしくと泣き崩れていた。
えーと、夫婦はお互いに似てくるってのは、どこかで見たような、聞いたような……。価値観とかが。
鈴達は、一夏と箒のカップルを見守る友人達です。簪はヒーローとして一夏のことが好きなだけで箒から奪おうという気はありません。年頃の娘だしね。
そして楯無、ある意味でピンチ! さあ、どうしようかな?(自分で書いといて…)