IS? そんなことより筋肉だ!   作:蜜柑ブタ

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白式、涙目な展開かも……。


ISは、一夏にとって拘束具です。


SS5 白式と一夏

 

 翌日、教室に行き、朝のSRの後、千冬が……。

「織斑。お前に、日本政府から専用機が配られることとなった。」

 途端、クラスの生徒達がざわついた。

 それを聞いて一夏は目を丸くした。

 専用機とは、その国の代表など、ある程度実力のある者にしか与えられることがない、数少ないISコアを使って開発された、文字通りの専用の機体のことだ。

 例えば、このクラスでなら、セシリアが持つ、ブルー・ティアーズなどが挙げられる。

「ただし…、あくまでも実験体としてだ。」

「…受け取らないって選択肢は?」

「ない。」

「なんか、そんな好待遇受けて良いのか、俺…。」

「お前は世界初の男のIS装者なのだから、この待遇も致し方ない。受け取れる物は受け取っておけ。」

「あー…。」

 周りからの羨む目を受けながら、一夏は、椅子にダラリッと背中を預けた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 一夏の専用機であるが、何やら準備が整っておらず、おそらくはセシリアとの決闘まで届かないという通達を受けた。

「だいじょうぶなのか?」

「すまんな…。今急ピッチで準備をしているそうだが…。」

「いや、織斑先生は悪くないって。それより、ISの特訓のことだけど……。」

「一夏! 私が相手をしてやる!」

「いやそれは止めとくよ。」

「なぜだ!?」

「いくら特訓って言ったって、箒を傷つけたくない。」

「い、一夏…。」

「では、放課後ならば、私が直々に指南してやろう。それでどうだ?」

「それって贔屓にならないか?」

「問題はない。あくまで私は教師。お前は生徒だ。ISの指導を求めるのならば、お前はどちらにせよ教師に頼んでいただろう?」

「……うん!」

 千冬がそう言って微笑んだのを見て、一夏は力強く頷いた。

「ただし! 手加減はせん!」

「それでいい! それが一番だ!」

「よく言った!」

 力強い一夏の言葉に、千冬はまた感激し、感涙した。

「泣きすぎだぜ、織斑先生……。」

 一々泣く千冬に、一夏は力が抜けたように言った。

 

 

 その後、体育館や、練習用アリーナなどで、破壊音が何度も響き渡ったり、地響きがしたりと……なんやかんやあったが、十日が過ぎた。

 

 

 そして、セシリアとの決闘の日を迎える。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 そして、当日。

 ついに、一夏の専用機が届いた。

 本当にギリッギリッで。

「普通なら開発元にクレーム入れても不思議じゃないけどな…。」

「すまん、一夏…。」

「いや、だから織斑先生のせいじゃないって。」

「うむ…。とにかく時間がない、急いで装着し、フォーマットを始める。」

「間に合うのか?」

「…おそらく試合開始時間までに終わらんだろう。」

「試合開始時間を延ばすのは?」

「試合会場の貸し出し時間は決まっている。」

「そうか…。」

「すまん、一夏…。」

「だから、謝らないでくれよ。」

「まさか、フォーマットもせずに戦うのですか?」

 この場に来ていた箒が声を上げた。

「……仕方がないのだ。」

「それじゃあ一夏があまりにも不利だ!」

「けど、喧嘩を買った以上、ここで棄権するわけにはいかない。このまま行く。」

「そうか…。じゃあ、装着を始めろ。」

「分かった。」

 スタッフ達の力も借り、白き機体・白式を装着した。

 だが……。

「うわっ、窮屈!」

「我慢しろ。」

「打鉄をうっかり装備したときもそうだけど、ISってなんでこんな邪魔な感じなわけ!?」

「そう感じるのは、世界でお前だけだ…。」

 そして、装着が終わり、フォーマット処理を始めた状態で、一夏は、試合会場に出た。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「あら? 逃げずに来ましたのね?」

「あー、早く終わらせてぇ…。」

「まあ! なんですの! わたくしと戦うのがそこまでイヤですの!?」

「いや、そうじゃなくて…。」

 

『今回のルールは、特別ルールを開設! IS無しでも試合続行可能! ただし、生命の危険を判断した場合、速やかに試合中止とする!』

 

「な、なんですの!? そのルールは!」

「もしも、俺がISが邪魔すぎた場合、外してもいいってことだ。」

「あなた…、本気で?」

「おおよ!」

 

 そして、試合開始のブザーが鳴った。

 

「お別れですわ! 踊りなさい、ブルー・ティアーズ!」

「ふんっ!」

「なっ!?」

 放たれたレーザーを、一夏は気合い一発で弾き無効化した。

「あーもう! 邪魔くせぇ! 筋肉が締め付けられる感じだ!」

「ISに対してそこまで文句を言うのは、世界であなただけですわよ!」

「シッ!」

「きゃっ!」

 鋭い拳の一撃がセシリアのブルー・ティアーズのひとつを破壊した。

「す、素手で…。」

「くっそ…。力の半分も出ねぇ…。」

「これで!?」

 一夏の呟きに、セシリアが驚愕する。

 やがて、白式のフォーマットが完了した。

 一夏のセンサーに、武器の表示がされたが、一夏は無視した。

「あたたたたたたたたたたたたた!!」

「きゃあああああああああああ!」

 連続で繰り出される、拳の突きに、セシリアのブルー・ティアーズがどんどん破壊されていった。

「ぶ、ブルー・ティアーズは、六機あってよ!」

「それがどうしたーーー!」

「くっ!」

 一夏が拳を握りしめ、迫ったときだった。

 急に、一夏がグッと苦しげに声を漏らし、へたり込んだ。

「?」

 セシリアが怪訝に思ったときだった。

「やっぱ、邪魔!」

 途端、一夏は、白式を解除して放り捨てた。

「なっ!?」

 セシリアのみならず、観客席の生徒達も教師達も驚愕した。

 次の瞬間、一夏は、筋肉を膨張させ、ISスーツの上半身を破った。

「見せてやるよ……。俺が目指す、男の強さの象徴を!」

「し、死にたいのですか!?」

「行くぜ…。」

 一夏が拳を握りしめ構える。

 セシリアは、本能的にヤバいと感じて、下がった。

 そして、ミサイルを発射し、その衝撃で一夏を気絶させようとした。

 

「必殺………………ピストル拳!」

 

「えっ?」

 次の瞬間、放たれた巨大な拳の圧は、発射されたミサイルを打ち砕くだけじゃなく、セシリアに迫り、そしてセシリアは、吹き飛ばされた。

 吹き飛ばされる最中、セシリアはセンサーで、自分のシールドエネルギーの残量があっという間にゼロになっていくのを見て、そしてブルー・ティアーズが解除されたのを感じた後、試合会場のステージに投げ出され気絶した。

 

 

『勝者! 織斑一夏!』

 

「っしゃあ!!」

 一夏が両拳をあげて笑った。

 なお、試合終了のブザーと共に、放送席から勝者が誰かを告げる声が聞こえるまで、観客席はシーンっと静まりかえっていたのだった。

 

 




雪片使わず、拳のみで戦った一夏でした。

次回は、セシリアに変化が?
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