IS? そんなことより筋肉だ!   作:蜜柑ブタ

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クラス代表になる一夏。


そして鈴との再会。


SS7 一夏と鈴と…

 

「では、クラス代表は、織斑で異論は無いな?」

 

 ……なぜこうなった?っと、一夏は思った。

 

 確かにセシリアには勝ったが、勝った後はセシリアに代表の座を譲る気でいた。

 なのだが、それをセシリアが辞退し、自分より強い者がやるべきだと高々に言ってのけ、他の生徒達は何も言えず、そして一夏が代表を務めなければならなくなったのだ。

 セシリアは、すっかり一夏のファンになっていた。熱狂的な。

 クラスメイトとは仲良くなりたいとは思っていたが、酔狂されたいと思っていたんじゃない。

「なぜこうなった…。」

「いいではないか、一夏。嫌われるよりは。」

「まあ…そうだけど…。」

「一夏さん! 聞きまして! 隣のクラスに転校生が来たそうですわよ!」

 そこへ問題のセシリアが駆け寄ってきた。

「ああ、そう…。」

「なんでも中国からの代表候補生だそうですわよ。」

「へえ…。」

 中国と聞くと、思い出す。

 小学校時代、中国人を親に持つからと虐められていた少女がいた。

 もちろん一夏は彼女を助けた。

 それ以来、仲良くなった。しかし、彼女はやがていなくなってしまった。

 いなくなる前……。

 

 『毎日、酢豚を作ってあげる』っという、言葉を自分に言っていたのを覚えている。

 

「あれって…。」

 その意味が分からないほど、一夏は鈍感ではなかった。

 しかし、なにもややこしく言わなくてもっと、今更ながら思う。

 ところで、話を変えるが、クラス代表トーナメント戦では、優勝クラスには、デザートの半年分のフリーパス券があるらしいのだ。

 甘味は嫌いじゃないが、体作りのため控えめにしている一夏は、そこまでデザートがいいのか?っと思うところだ。

 耳を澄ませば、クラスの女子生徒達が、織斑君なら勝てるかもっとか、一組と四組くらいしか専用機がないとか話しているのが聞こえる。

「一組と、四組くらいって…、専用機だからって勝てるとは限らないだろ?」

 そう一夏が独り言を呟き机に突っ伏していると。

 

「その情報。古いよ。」

 

 すると、教室の戸が開いて、ツインテールの髪型の少女が入って来た。

「誰だ?」

「だ、だ、誰だって!? あんた、私を忘れたの!?」

「ん?」

 言われれば、見覚えがある面影があり、そして華奢な肢体から香るこの匂いは……。

「鈴(りん)?」

「そうよ、一夏! 私よ、凰鈴音よ!」

「久しぶりだなー!」

 一夏は立ち上がり、鈴に駆け寄った。

 鈴は、一夏を前にして、下から上までジロジロと見た。

「う~ん。成長したわね~?」

「おう。お前も背ぇ伸びたじゃねぇか。」

「相変わらず、筋トレしてるわけ?」

「おう。」

「イギリスのニュース見てびっくりしたわよ。」

「あ、見てたのか?」

「これでも中国の代表候補生よ。他の国のことは気にしなくっちゃ。」

「あ、転校生ってお前のことか。」

「一夏…。」

「あら、そっちは誰?」

「俺の幼なじみで、俺の彼女の箒だ。」

「あ、ああ…。」

「……ふーん。二組で聞いたわよ。人目もはばからずイチャついてるって。」

「そうか? 一緒にいるだけだぜ?」

「……。」

「……。」

 首を傾げる一夏。

 一方、鈴は、箒をジーッと見た。箒は居心地悪そうに俯いた。

 やがて、チャイムが鳴り、鈴は二組に戻っていった。

「どうした? 箒。」

「いや…なんでもない。」

 一夏が怪訝そうに聞くと、箒は俯いたまま首を横に振った。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 そして、昼食時間になる。

「いっちかー!」

「鈴か。」

 鈴が手にしているお盆にラーメンを乗せた状態でやってきた。

「聞いたわよ。クラス代表になったんでしょ?」

「ああ…。そのことか…。」

「なに? 不本意なの?」

「本当はセシリアに譲るつもりだったんだ。だって、俺、ISについてはド素人だぜ?」

「けど、勝ったんでしょ? 勝ったんならやるっきゃないじゃない?」

「そうなんだよな…。」

「ねえ、……ソレ…、どうしたの?」

「ああ、俺専用の筋肉増強食(?)だ。」

「相変わらずねぇ。」

 一夏専用に作られた筋肉増強食(?)なる食事に、周りの生徒達の注目が集まっていた。

 一夏の前の席で、箒は、モソモソっときつねうどんの揚げを食んでいた。

「じゃあ、負けられないわね。」

「ん?」

「私、二組のクラス代表になったの。」

「そうか。おめでとう。」

「うふふー、当然でしょ!」

「け、けど…、一夏が勝つ!」

 ずっと黙っていた箒が言った。

「それは分からないわよ?」

「一夏が勝つ!」

「本人は、ド素人だって認めてるのに?」

「勝つと言ったら勝つんだ!」

「落ち着けよ、箒。」

「一夏…、お前は…。」

「箒?」

 ワナワナと震えた箒は、食べかけのきつねうどんを残して走り去って行ってしまった。

「箒!」

「別にいいじゃない。頭冷やさせなさいよ。」

「けど!」

「はあ……、相変わらずね。」

 鈴は、ヤレヤレと肩をすくめ、ため息を吐いた。

 一夏は、箒を探しに行ってしまった。

 その後ろ姿を見送り、鈴は再びため息を吐いたのだった。

「……つけいる隙…全然なさそうね。」

 そう呟いたのだった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 箒を探して、寮の部屋に入った一夏は、ベットの上で、布団を被って丸くなっている箒を見つけた。

「箒? どうしたんだよ?」

「来るな!」

「おい…。」

「私なんかより…、アイツと仲良くしてれば良い。」

「鈴とか? なんでだよ?」

「だって…。お前は、アイツのこと好き…。」

「ああ、好きだぜ。」

「っ!」

「けど、友達としてだ。箒への好きとは違う。」

「い…一夏…。」

 ゴソゴソっと、箒が涙でグシャグシャになった顔を出した。

「怖かったんだ…。」

「うん。」

「私…、ずっと怖かったんだ。」

「うん。」

「六年間…不安だった。」

「そうだったのか…。」

「国家機関によって、私の身柄が監視下に置かれて……、一夏が他の女に目移ししているかもって不安だった。」

「そうか…。」

「だから、ずっと不安だった。IS学園で一夏と再会するまで不安だったんだ…。けど再会できて、一夏も私を想っててくれていて、安心してたら…。」

「鈴が転校してきて、不安が爆発したってわけか。」

「怖かった…、怖かったんだ! ごめん、ごめんなさい…!」

「バカだなぁ…。」

「ば…!?」

「俺がそんな移り変わりするような男だと思ってたのか? 俺の方こそ、不安にさせてたのに気づいてやれなくて、ごめんな。お前の彼氏失格だよ。」

「そ、そんなことない!」

 ガバッと箒が飛び起きた。

「一夏は、最高の男だ! 私にはあまりにも、もったいない、男だ!」

「俺にとって、箒はもったいないくらい、一番だよ。」

「い、一夏ぁ…。」

「よしよーし。」

 泣きじゃくる箒を一夏が抱きしめ慰めた。

 

 

 




六年間も離ればなれになってたら、それも大人達の身勝手とかに振り回されりゃ、精神的にも不安定になるわなって、思って。それも思春期に。

このネタの一夏は、鈍感じゃない。
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