一夏と箒が仲違いしたという噂が広まり…、そしてその後、仲直りしたという噂がすぐに広まった。
生徒達からしたら、なんやねん?って感じだ。
噂の真相は、廊下を一緒に、仲良く手を繋いで歩いている一夏と箒を見ればすぐに分かる。
箒がメッチャ鼻歌歌っている。
「箒。メッチャご機嫌だな。」
「当たり前だ! 私は改めて、一夏に恥じぬ妻になるべくだな…。」
「これが…三年も続くの?」
「もういや…。」
「ああもう……。」
彼氏欲しい!!
それは、年頃の女子達の切実な思いだった。
そしたら、この幸せバカップルオーラを相殺できるのに…っと、涙ぐむのであった。
関係ない話だが、三年生の卒業を控えている生徒達や、未婚の女性教師達による、結婚相談所への足運びや、出会い系サイトへのアクセスが急増したらしい。
***
「一夏~。」
放課後、練習用に貸し出されたアリーナに、鈴が来た。
「どうした、鈴?」
「またお前か。」
「なによ、その反応は? あんた、ド素人でしょ? ISの動かし方教えてあげようかなって。」
「ああ、そのことなんだけど…。俺、それ必要ないわ。」
「ええっ!」
さすがの鈴も驚いた。
「だって、邪魔なんだもん。」
「なによ、私は、親切で…。」
「そうじゃなくて、俺にとって、ISは拘束具みたいなもんなんだよ。筋肉の動きを邪魔して、マジで動きにくくてな。」
「そういえば…、動画で見たわよ。素手で倒したんでしょ?」
「わりぃな。せっかくの親切なのに。」
「けど、そしたらどうするの? どうやって特訓するわけ?」
「こうする。」
「行きますわ、一夏さん!」
「えっ?」
「おらあ、来いやぁぁぁあああ!!」
筋肉を膨張させた一夏に向け、セシリアが、ブルー・ティアーズからミサイルを発射した。
ドカーンボカーンっと、爆発が起こり、一夏が爆風に飲まれる。
「い、いいいい、一夏ーーーーーーーーーー!?」
「………………ふう…。」
驚愕する鈴とは裏腹に、爆風が晴れると、ケロッとした一夏がいた。
「うっそぉ…。」
「すごいぞ、一夏!」
愕然とする鈴とは反対に、目をキラキラさせて応援する箒。
「ふーむ…。やっと慣れてきたぜ…。」
「なれ…!?」
「では、お次はレーザー行きますわよ!」
「おう! 頼むぜ、セシリア!」
「ちょっ…。」
鈴が止めるよりも早く、ブルー・ティアーズからレーザーが発射された。
それを一夏は、ステップを踏みながらすべて避けていく。
さらに散弾も避け、接近武器による攻撃も白羽取りで止めるなどの芸当を見せた。
「な、ななななな…。」
一夏の特訓を見ていた鈴は、ただただ驚くしかなかった。
「ふう…。いい汗かいたぜ。ありがとな、セシリア。」
「お安いご用ですわ。」
セシリアは、微笑みブルー・ティアーズを解除した。
ぼう然と立ち尽くしている鈴の横を通り過ぎ、一夏は箒と共にアリーナから出て行った。
「どうしましたの?」
「……アレ…いつもやってんの?」
「ええ。クラス代表になってからですわ。」
「………………そう…。」
鈴は、あの動画を思い出した。
目の前にいるセシリアと戦っている映像。
一夏は、邪魔だとISを解除して捨て、素手から放った巨大な拳の圧の一撃で専用機を倒しているのだ。
どうしよう…っと、鈴は、だくっと汗をかいた。
絶対に負ける気はないが、勝てるビジョンが薄れてきてしまった……。
拳の圧と言えば、自分の専用機である、甲龍(シェンロン)の必殺武器である衝撃砲と被るところがある。
空気圧でも、あっという間にブルー・ティアーズのシールドエネルギーを奪ったあの一撃の威力は、圧倒的に一夏の方が上なのは間違いない。あんなの喰らったら、IS無しだと確実に死ねる自信がある。
ISのミサイルで無傷でいられる、あの強靱な筋力を誇る一夏の肉体に、どう対抗すればと…っと、鈴は思考の袋小路に入った。それは、アリーナの貸し出し時間が終わり、管理者から出て行くよう声をかけられるまで続いた。
その後、別の練習用のアリーナで、鈴がクラスメイトを相手に、必死になって猛特訓している姿があったとか?
セシリアが協力。
鈴、勝てるビジョンが見えなくなる。
次回は、クラス対抗戦。