茨木童子の腕を見たとき……勃起……しちゃいましてね   作:トマトルテ

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前回あらすじ
渡辺「え? その腕捨てちゃうんですか!?」


3話:平安の怪異

 時は平安。

 街灯などあるはずもなく、夜の闇に人が怯えるしかなかった時代。

 数多の怪異が跋扈(ばっこ)し、また人の畏れから多くの妖が生まれた時代でもある。

 

 宇治の橋姫に土蜘蛛、鵺に九尾。

 果てには、現代でもなお祟り神として畏れられる平将門と、その娘である滝夜叉姫。

 そして、酒吞童子に代表される鬼達。

 

 その多くは頼光四天王や、安倍一族の陰陽師により討伐されている。

 しかしながら、それで人々の畏れが消えるわけではない。

 

 自らが天皇になろうとした将門ですら、神として奉られた。

 例え、晒された首を見ようとも人間は祟りを恐れ、忘れることをしなかった。

 そんな時代だからこそ。

 

 新たな怪異も簡単に産み落とされる。

 

 

 

 

「ねえ? 『女腕(おんなうで)』の噂はもう聞いた?」

「『女腕』? 何なのかしら、それは?」

「京の町に現れた新しい妖怪よ」

「妖怪……それはどんな?」

 

 女三人寄れば(かしま)しい。その言葉は井戸端だろうが、宮中だろうが変わりない。

 十二単の美女達は、その身分など関係なく噂話に花を咲かせる。

 

「何でも体は顔を隠した男、右腕は女の腕という妖怪らしいわ」

「夜な夜な京の町を練り歩いては、女の腕に何やら語りかけているみたい」

「まあ、怖い。でも、それだけならそこまで怖がる必要は無いんでなくて?」

 

 友人から説明に、1人の美女が気持ちが悪いとばかりに顔を顰めさせる。

 しかし、聞いた情報から考えれば、気持ちが悪いものの、恐ろしいものではない。

 だが、妖怪だと言われている以上、それで終わるわけもない。

 

「もちろん、それだけじゃないわ。『女腕』は基本は顔を隠している。でも、時折顔を覆う布を取ることがあるらしいわ。そして、その顔を見たものは……」

「見た者は…?」

 

 ゴクリと唾を飲んで次の言葉を待つ美少女。

 そんな、美少女に対して友人は。

 

「分からないわ」

 

 思わず、ズッコケてしまうような言葉を吐くのだった。

 

「ちょっとー、ここでそれはないでしょう?」

「でも、本当に分からないのだから仕方がないじゃない。だって」

 

「―――『女腕』の顔を見た人間はこの世に居ないんだから」

 

 空気が冷たくなるとは、こういう事だろう。

 先程までの呆れた空気が消え去り、背中に冷たいものが流れる。

 

「見た人間が居ないというのは……つまり」

「喰われたのか、地獄に引きずり込まれたのか、はたまた……」

「くわばら、くわばら」

 

 ブルリと身を震わして、怖い怖いと肩をすくめる友人2人。

 現代であれば、そんなことは迷信だと言える事柄。

 しかし、平安時代には妖怪は真な脅威。笑い事では済まない。

 だというのに噂を聞いた美少女の顔には、恐れというものが無かった。

 

「でも、心配する必要はないわよ」

「必要ないって……貴方何を言ってるの?」

 

 余りの危険意識のなさに、若干戸惑ったような声を出す友人達。

 そんな、友人達に美少女は胡散臭そうな笑みと共に説明を始める。

 

「私達が仕えているお方は、藤原(ふじわらの)道長(みちなが)様。そして、同じように道長様に仕えているのが―――頼光様とその四天王」

 

 頼光と四天王。

 言うまでもなく道長が持つ、否、朝廷が誇る最強の破邪の剣である。

 

「今までも数多の妖怪を討ち取ってきたあの方達なら、きっと新しい妖怪も打ち破ってくれるはずよ」

「……確かに、言われてみればそうかもしれませんね」

「源頼光様を筆頭として渡辺綱様に坂田金時様、さらに碓井(うすい)貞光(さだみつ)様、卜部(うらべの)季武(すえたけ)様。これだけのお方達が居れば恐れる必要はないのかもしれませんね」

 

 彼女達の身近にいる英雄達の存在。

 それが彼女達の心に良い意味で安心感を、悪い意味で慢心を与えていた。

 

「だめだめだめだめ! 妖怪を甘く見たらいけないよ」

「あ、貴方様は…!」

 

 しかし、そこに釘を刺す存在が現れる。

 

「渡辺綱様!」

「いいかい? 妖怪は殺せる存在だ。でも、決して油断していい存在じゃない。だから、決して『女腕』を探そうなんてしてはいけないし、その顔を見てもならない。死にたくないなら、夜は大人しく家の中に居るんだよ」

 

 現れたのは件の人物、渡辺綱。

 綱は現れると同時に、怒涛の勢いで3人に警告を行っていく。

 普段は情熱のない男が、懸命に妖怪に近づいてはならないと説く姿に、最初は呆気にとられていた3人だったが、流石に軽率な発言だったかと恥じ入る。

 

「申し訳ございません。不用心に過ぎましたわ」

「分かってくれたらいい。私達も必ず妖怪を倒せるというわけではないからね」

 

 綱からの警告に3人を代表して、言い出しっぺの美少女が頭を下げる。

 そんな彼女に対して、綱は話はこれで終わりだと去ろうとして―――彼女の右手を見る。

 

「……すまないが、君の名前を教えてくれないか?」

「…? (むらさき)です」

(むらさき)…君が……」

「私がどうかされましたか?」

「いや、なんでもない。夜道には気を付けるんだよ」

 

 綱は彼女の名前を聞くと、それに満足したのかすぐに手から目を離し、今度こそ歩き去っていくのだった。

 

「美しい腕だった。だが、まあ―――君には劣るけどね」

 

 やはり自分の右腕(よめ)こそが、最も美しいと再確認しながら。

 

 

 だからこそ、気づかなかった。

 

「渡辺綱…女腕…フフフ……もっと話してみたいわね」

 

 紫と名乗った美少女が、とてつもなく胡散臭い笑みを浮かべていることに。

 

 

 

 

 

 草木も眠る丑三つ時。

 人の姿はなく、動物の姿もない。

 そんな闇が支配する時間に歩く男の姿が1つ。

 

「良い夜だ。空には青白く輝く月と星々。何より、隣には君が居る。ああ……やはり、こうして逢瀬を重ねるのは良いものだ。家で君と共に過ごすのも悪くはないが、外の景色を見るのもまた格別だ」

 

 誰にも見られぬように布で顔を覆った男が、キザッたらしい台詞を吐きながら歩いている。

 当然、隣にはその言葉を受ける女性がいるはず。

 多く者はそう思い、男の隣を見てみるがそこには誰も居ない。

 

 では、男はありもせぬ虚像に向けて言葉を吐いているのか。

 否。男は確かに実在する者に甘い言葉を吐いているのだ。

 

「フフフ……本当に月が綺麗だね。君の―――白い腕が良く映える」

 

 自らの右腕があるはずの場所についた女の腕に向けて。

 

「ああ…本当に美しい……ダメだ、我慢が出来ない。頬擦りをしても? その綺麗な手に!」

 

 そう、この男の正体こそが京の町の新たなる怪異。

 『女腕』である。

 

 『女腕』は何やら興奮したように息を荒げながら、顔を覆う布を解いていく。

 顔を見られてはならないと理解している。

 しかし、愛する女と直に触れ合いたいという欲望が抑えきれないのだ。

 

 そして、顔をさらけ出して女の腕に頬ずりをしようとした時。

 

「―――誰だ! そこにいるのはッ!」

 

 まさに鬼のような形相で、何もない空間を睨みつけるのだった。

 前述のようにそこには何もない。あるとすれば空気のみ。

 だが、しかし。男は確信をもってその空間を見続ける。

 

「ふふふ……流石は、と言った所かしら」

「姿を現せ、もののけ」

「あら? 女性に対してそんな言い方はないのではなくて?」

 

 美しい声が何もない空間から響いてくる。

 続いて、その空間に罅が、否、隙間(・・)が広がっていく。

 隙間は世界を隔てる境界のように広がっていき、やがて無数の目が顔を覗かせる。

 だが、真に悍ましいのはその目ではなく、その中から現れた美少女。

 

 月夜でなお燦然と輝く金色の髪。見るもの全てを虜とする美貌。

 人ではあり得ぬ高貴さを醸し出す、アメジストの瞳。

 そして何より、答えなどありはせぬという胡散臭さ(不確定さ)

 

「君は…! (むらさき)と名乗っていた…?」

「あら? 姿を変えていたのに気づくなんて流石。では、正解の御褒美に改めて名乗りましょうか。私の名前は―――(ゆかり)八雲(やくも)(ゆかり)よ」

 

 寒気する程の色気を乗せた笑みを浮かべる美少女。

 その正体は境界を操る力を持った大妖怪、八雲紫。

 後に幻想郷の賢者となる者である。

 

「それにしても、よく私が同一人物だと分かったわね」

「なに、あれだけ肌が瑞々して美しく、なおかつ餅のように白く、頬ずりをしたくなる程に柔らかそうな腕はそうそう見られないからね。思わず、接吻を落としたくなったのを抑えた記憶も相まって覚えていたのさ。顔を変えた程度じゃ、その腕の美しさは隠せない」

「…………」

 

 無言で腕を服で隠す紫。

 やはり、如何に大妖怪と言えど、変態の扱いには困るのだろう。

 

「ああ、安心してくれ。君の腕を取ろうとは思っていないさ。君の腕は確かに美しい。10点満点で評価すれば間違いなく10点だ。だが、私の腕(かのじょ)はそれを超える11点だ。他の女に現を抜かすことはないよ」

「……美しいと言われて、これ程嬉しくないと思ったのは初めてだわ」

 

 あくまでも自分の嫁こそが至高であると語る男に、紫は関わり合ったことを後悔し始める。

 しかし、ここまで堂々と姿を現した以上それは許されない。

 紫としても、男としても。

 

「さて、如何に美しい腕を持つ女性だろうとも、私の顔を見たんだ。……残念だが、大事を取って殺させてもらう」

「私も残念ですわ。まさか、あの妖怪殺しの英雄、渡辺綱が『女腕』の正体だったなんて」

「フフフ、名乗るまでもないか。だが、そちらに名乗ってもらった礼犠だ。そう、私の名は……」

 

 男、改めて渡辺綱は優雅かつ勇ましい声で、武士らしく名乗りを上げる。

 

「「――渡辺綱」」

 

 酷く聞きなれた声と被さるように。

 

「23歳、独身。仕事はまじめで、そつなくこなすが、今ひとつ情熱のない男……。元皇族の血を引く上流貴族っぽい、気品ただよう顔と物腰をしているため、女中には()()()が、頼光様からは戦働きとか、護衛ばかりさせられているんだぜ。悪いやつじゃあないんだが これといって特徴のない……影のうすい男さ」

 

 その声は男のもの。もちろん、綱の声ではない。

 しかし、聞き覚えがないわけではない。むしろ、聞き覚えがありすぎる。

 

 ―――馬鹿な、あり得ない。

 

 そんな思いが綱の脳裏に走るが、戦士としての体は現実から逃げることなく振り返る。

 そして、目にするのだった。

 

「同…僚…ッ」

「出しな……てめーの刀……『鬼切丸(おにきりまる)』を……」

 

 自らの同僚の姿を。

 

「ちッ! 言われずともな!」

 

 そこからの綱の行動は早かった。

 最初から仲間への情などなかったとばかりに、容赦なく刀を同僚に振り下ろす。

 並みの人間であれば、それだけで一刀両断となる太刀筋。

 だが、しかし。

 

「やめとけ、やめとけ。右手を取り換えて自由に使えない今のお前じゃ、クマと相撲をして鍛えた俺の腕力には勝てねーよ」

「クソが…ッ」

 

 なぜ同僚が、ここに居るとは聞かない。

 目を見れば分かる。同僚は妖になりかけている自分を始末しに来たのだ。

 そしてそれは―――

 

5人(・・)でかかるが、卑怯とは言わんだろうな、綱よ?」

「頼光…様…!」

 

 自らの主の意志であるのだと理解していたから。

 

「あらあら……これは予想外。まさか、私以外にも彼を追っている存在が居たなんて」

「グル……ではないか」

「当然。ただの人間ならともかく、相手は妖怪退治の英雄。私、そこまで命知らずではなくてよ?」

 

 そんなシリアスな空気を醸し出す四天王達をよそに、紫は1人余裕の笑みを浮かべる。

 それもそうだろう。彼女からすれば、自分を殺そうとした人間に邪魔が入ったのだ。

 まさに運命は私に味方をしているという状況である。

 

「それじゃあ、部外者である私はここで帰らせてもらうわね」

 

 故に、紫は胡散臭い笑みを浮かべたまま隙間を開こうとし――

 

「少しゆっくりしていきませんか? どうせ、ここ一帯は結界で完全封鎖しているんですから」

 

 何者かの呪術により、それを打ち消されてしまうのだった。

 

「隙間が開かない…ッ!? それにあなたは……」

 

 その事実に目を見開き、ここに来て初めてとも言える警戒の表情を見せる紫。

 大妖怪である彼女をして、ここまで警戒させる人物。それは。

 

「初めまして、麗しきお嬢さん。ボクは安倍晴明、しがない陰陽師です」

 

 安倍晴明。

 神の使徒を母に持つ、史上最強の陰陽師。

 

「しがない陰陽師ですって…? これだけの大結界を、私にすら気づけないように張っておいて、笑えない冗談を言うものね」

「そうですか? まあ、何はともあれ、ボクの仕事はここから誰も出さないことなんで特にあなたに危害を加える気はありませんよ。……もっとも、闘ったとしてもボクは誰にも負けませんけどね」

 

 そう言って、ニコリと笑ってみせる晴明と反対に、紫は初めてその顔から笑みを消すのだった。

 

「そういう訳だ、綱よ。ここから逃れるすべはない。部下の不始末は主の責任。故に、私自らが介錯してやろう。……しかし、まさか鬼の腕を、自らに移植しているとは思わんかったぞ」

「……人間に仇なすつもりはありません」

「それはお前の邪魔にならぬならばだろう?」

 

 紫達の反対側で、ジリジリと残りの四天王と頼光に距離を詰められながら、綱は必死に考える。

 生き残る道を。この場から逃れる道を。

 そのためならば、泥を啜り、頭を地面に擦り付けることになっても構わない。

 誇りなどドブにでも捨ててしまえば良いのだ。

 

「仮にお前がその言葉を守ったとしよう。だが、それは何の解決にもならん。私の部下から……いや、皇族の血を引く者から妖が出るなど恥だ。全く、気色の悪い腕など付けおって」

 

 ピタリと綱の思考が止まる。

 顔から感情という感情が抜け落ちていく。

 その顔は無地の能面のようでいて、その実。

 

「……今、なんて言った?」

 

 ―――般若の面であった。

 

()()()()()()など付けおってと言ったのだ」

「なるほど…そうか…そうか……」

 

 頼光の再度の言葉に、綱の思考から逃げるという選択肢が完全に消え去った。

 彼の心に、人生に、誇りというものはない。

 全てをこなしてきただけの人生に、そんなものが生まれるはずなどないのだから。

 

 だが

 

「―――死ね」

 

 誇りはなくとも、愛はある。

 

右腕(彼女)を侮辱する者は誰であろうとも許さん! 地獄で詫び続けろぉおおッ!!」

 

 その姿、まさに悪鬼羅刹。

 愛する者を侮辱された怒りに燃える綱は、数の差など物ともせずに立ち向かっていく。

 

「づぉッ!? ほぼ左手だけって言うのになんて剣圧だよ…ッ」

「流石は我が四天王の筆頭、渡辺綱と言った所か……」

 

 怒りで完全にリミッターの外れた状態の綱は、鬼気迫る表情で他の四天王を打ち倒していく。

 4対1? それがどうした。愛する者を侮辱されて怒らぬ男など男ではない。

 さあ、今こそ怒りの牙を、憎き奴の喉元に突き立てるのだ。

 

「源頼光ゥウウッ!!」

「……見事。僅か1人で他の四天王を退けるとは。まさに、その強さ鬼神なり」

 

 もはや、人間の領域を超えた剣技をもって同僚達を打ち倒した綱。

 後は、愛する女性を侮辱した“元主”を切り伏せれば終わる。

 左手で強く刀を握り締め、大きく振り上げる。そして。

 

 

「だが―――そうした化け物を斬るのが私達の仕事だろう?」

 

 

 容赦なくその胴体を切り裂かれた。

 

「…ゴフ…ッ」

「ふむ。右腕を切り落とすつもりの斬撃だったのだがな……自らの胴体で受けるとは褒めるべきか、呆れるべきか。まあ、もとより―――その愛を利用した作戦だったのだがな」

 

 どこまでも無機質な視線で自分を見下ろす頼光を見て、綱は気づく。

 最初から、自分は彼の掌の上を踊っていたに過ぎぬのだと。

 

「そうか……私を挑発し…無理な体勢で突っ込んでくるように仕向け…最後に不可避の一撃を右腕に叩き込む……そうすれば必ず右腕を庇うと理解して……」

「正解だ。仮に右腕を庇えずとも、相当な動揺を誘える。そこを叩けば結果は今と同じだ」

 

 淡々と、まるで機械のように語っていく頼光の姿に、綱は思わず笑ってしまう。

 なぜ自分は忘れていたのだろうかと。

 この男は自らの主は。

 

「卑怯とは言わせんぞ。お前には常々、勝利こそが全てと言っておったのだからな」

 

 勝利のために手段など選ばぬ“鬼”だと。

 

「さあ、終わりだ」

「…ッ」

 

 頼光がゆっくりと刀を振り上げる。

 それは感傷に浸っているわけではなく、最後の抵抗すら許さないという油断の無さ故だ。

 だから、綱はもう逃げられないと諦め、握っていた刀を地面に落とす。

 そして、首を差し出すように胡坐をかいて頭を垂れる。

 

「……何の真似だ?」

「首を切り落とされれば、右腕を斬らずとも死ねるだろう?」

「……どのみち貴様の体は右腕もろとも焼くつもりだぞ」

「だとしてもだ。例え、1分、1秒、刹那の時であっても構わない。私は彼女を守りたい」

 

 そのためなら喜んで首を差し出せる。

 笑ってそう告げる綱に、頼光は何とも言えぬ表情を浮かべる。

 だが、彼の意志が変わるはずもなく。

 

「そうか……では、さらばだ」

 

 断罪の刃が振り下ろされる。

 

 

 

『……手を貸してやる』

 

 

 

 夜の空に甲高い()()()が響き渡った。

 

「……なに?」

 

 そう、金属音だ。鈍い、斬首の音ではない。

 金属と金属が、すなわち刀と刀がぶつかり合った音に他ならない。

 

 片方の刀は無論、頼光の刀。

 そして、もう片方の刀は―――

 

『今回だけは特別だ。手を貸してやろう―――()()()

 

 綱の右腕(・・)が持ったものだった。

 




平安時代って他の東方キャラと絡ませやすいんですよね。
一番簡単なのは、頼光をマラリアにかけた上に寝込みを襲ったのに、瞬殺されたヤマメ。
二番目は綱さんが腕をぶった切った鬼の元ネタ説のある宇治の橋姫ことパルスィ。
藍様は晴明の子孫が石にするので微妙に合わない。
でも、登場したのは紫しき…ならぬゆかりん。

理由は簡単。
源頼光+四天王+安倍晴明から生還できそうなのがゆかりんしか居なかったから。

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